His "Toy Box" vol.4
8月5日のお茶会「TOY BOX」についての吉野圭吾さんへのインタビューです。 このインタビューは前編から続いています。また、内容についてご存じない方は観劇レポートを参考にして下さい。
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−東山義久さんとの「お月様ブラザース」ですが、かなり以前からあたためていたネタもあったそうですね。
圭吾:車、乗り始めてすぐだから…18ぐらいの時からあったよ「段差注意」は(笑)。やっと形にできてよかったです。
−あのテーマソングは今回考えられたのですか?
圭吾:我ながらいい歌が浮かんだなあと思いますよ。なんで「ダッコちゃん」かは聞かないで下さい(笑)。 …今回もよくついてきてくれたよ、彼は。さすがですよ…あの踊りだってあの場で考えたんだもんね。カメラ班も照明班も蚊に刺されながら、みなさん、ありがとございます(笑)。−「世界中がアイ・ラヴ・ユー」の曲では、初めてタップをご披露されたわけですが。
圭吾:これが最初で最後だから(笑)。いや、別にタップシューズ履くつもりはなかったの。でもあの曲が、ちょっとタップっぽいなと思ったんだ。映画版見ても、歌ってるやつのまわりでやってたし。「ちょっと…入れるか」とか思ったけど、その時は舞台にリノリウムは敷かない予定だったから、タップシューズはダメだろうと思っていて。で、普通の靴でやってて…でもバイクを通すために会場の床を養生しなきゃならなくなって、リノ、借りることになったから、じゃ舞台にも敷こうと。 「っていうことは…シューズ履いてく?」って思って(笑)。ちょっとやってみた。−「一人クール」のご感想を。
圭吾:失敗(笑)。…っていうか、すごく無理があるなあと思いました。体力的に。
だって、もう立ち上がりたくても立ち上がれないんだもん(笑)。あのキャラクターだから乗り切れたよ。
踊りの途中で一回、袖に入るところがあるんだけど、その時「もう出たくない」って…四季でやった時にも、今回も思った(笑)。一瞬、ほんの1秒か2秒ぐらいなんだけど、その間にいろいろ考えるんだよ。「これ、出なかったらどうなるんだろう」とか「このまま…やめる?」「いや、でも!」みたいな(笑)。「ここで拍手来ちゃったらどうしよう」とか「明かり消えたらどうしよう!」とか。2秒ぐらいでいろいろ思いました(笑)。
−そのあとすぐ戻ってきて「スマイル」でしたね。
圭吾:椅子があってよかったな。あの椅子は、俺がものごころついたときからあるんだ。 昔ピアノ習ってて、弾いてた頃のやつだから。背もたれの上に弟がかじった跡とかついてるし(笑)。
−3時間、全く休みなしでしたね。
圭吾:肩と腰、傷めました。 「どうにでもなれ!」みたいなわけのわからない動きしてたから、 知らない間に傷めていたらしい。
−喉は大丈夫でしたか
圭吾:カラオケボックス帰りみたいだった。カラオケボックスに行くと、絶叫して喉ガラガラにならないとやった気しないんだ(笑)。同じ感じだったよ。−トークの内容などは特に決めずに?
圭吾:芝居の中の一部じゃないからさ。何かの「役」を やってるわけじゃないから、自分がもろに出るんだよね。 だから…予想外な感情とか出てくる(笑)。 だからトークはあんまり考えてなくて、その場で感じたこと言えばいいかなと思ってました。ライブだから。
…まあでも予想はついてたね。「あー泣いちゃうんだろうな俺」とか思ってた(笑)。 「きっと泣いちゃうんだろうな」って。こらえようとはしたんだけど。
…ほんと、前から思う。あそこで言った「仲間あっての作品」って言葉は。 自分でやってると、普通のミュージカルやってる以上にもろに感じる。
作っていく中で、自分が接する部分が多いじゃない。 全部に関わってるわけで、自分に関係ないことっていうのはないからさ。 本当は他のミュージカルをやってたってそうなんだと思うんだけど、 それ以上に直接来るから…本当に「自分一人じゃできない」と思うよ。 観てくれる人もいなきゃいけないし。
ミュージカル作るのって本当は、そうでなくちゃいけないんだな、って思う。それは、ひとりひとりが決められたことをきちんとやればいいのかも知れないけども、でもやっぱりみんなが…ひとりひとりがみんなのこと考えて、みんなが一人のこと考えて 作って行くものって、きっとお客さんに強く伝わるんだろうなあって…思うな。
まあ、考え方が劇団ぽいって言えば劇団ぽいんだけど(笑)。 でもやっぱり、いろんなとこから集まった、 一つの作品に対しての一つのカンパニーだもんね。 その中で協力しあいながら作っていくもので、そうしないと絶対いいものってできないと思うんだよ。 いろいろなミュージカルをやるけれども、どれも、 そこに集まってきてやる、ひとつの「劇団」だと思うんだ。 だからその中で作っていく…協力し合いながら作っていくのが、ミュージカルだと。
きっと、なんの仕事でもそれはいっしょだと思う。 「なんとかプロジェクト」があったら、そのプロジェクトもひとつの「なんとか劇団」なんだよ。 お店だってそう。ひとつの店だって、その店の中でちゃんと、みんなが一人のこと考えて一人がみんなのこと考えて動く店ってのはきっと、繁盛するんだろうしさ。 「あ、なんか、いい感じのお店だな」って、思えるかも知れないし。
そりゃすごく難しいよ?一人一人がいろんなところから集まってやるわけだから。 でも、そうやって行けて初めて、いいものができるんだろうなって思う。…なかなかできないけど。
そうやって作っていくのが、いいと思う。その方がやってて面白いしね。
−今回は楽しかったですか?
圭吾:うん。楽しかった!…楽しかったよ。
またあらためて「自分」も実感できるよね。人から言われて作るんじゃなくて、自分でいろいろ考えて作って、ひとつにまとめていく、っていうのは。 「BORN」の時も思ったけど、ほんとに「ああ、よかった」と思う。この仕事やっててよかった、と思うし「こんなことしたいんだよな」って思った。
7月からいろいろな形で続けて来た「Toy Box」特集は今回で終わりです。
待つ間の期待も、本番の興奮も、終わった後のみんなとの尽きない思い出話も、何かしら楽しかったりシアワセだったりした素敵な夏でした。
2001年の夏はどんなでしょう?その前に「あれ」とか「あれ」とかいろいろあるわけですが(^^)。まずは11月の「ワンス・アポン・ア・マットレス」をお楽しみに。
また逢いましょう!