Current News 25 Apr,2001
First "Paul"
2月1日〜4日の5公演。 |
−「パウロ」が終わってしばらく経ちましたが、今のお気持ちは?
圭吾:やっと、頭が切り替わってきたところ。次の「Una Noche」に、徐々に切り変わりつつあるところでございます(笑)。「パウロ」…良かったんじゃないでしょうかねえ。キャストにもスタッフにも、本当にすばらしいメンバーに恵まれて。ぜひ再演をしてもう一度、もうちょっと練って、出直したいなと思います!
−今後も、代表作になっていくのではないかと。
圭吾:ハイ。もう俺の中では代表作ですから。−本当に幅広い感情を表現されていましたが、難しかったところは?
圭吾:あんまり難しくはなかったんだよね…台詞を覚えて、稽古するじゃない?で、マリアとぶつかってみたときに、勝手に生まれていったことが多かったんじゃないかなあ、お互いに。こうしよう、ああしようっていうことは、あんまりなかったんだ。それよりも、実際にやっていて生まれることの方が多かった。「ああ、芝居してる!」って感じ(笑)。けっこう、(役に)入っちゃう方なんだ。で、いざやってみて、こう、パウロとマリアとして出会ったときに何が起こるのか、っていうところの勝負だったんだなと。
でも、脚本読んだときに、「ここは押さえなきゃいけない」っていうところはしっかりやったし、それと後半…やっぱり最後の、回心するところにはこだわったね。そこはもう演出家も含め、音楽も含め、ねばりにねばった。「これなら終われるだろう」っていう決定打が出たのは稽古の最終日ぐらいだもん。それで、「ああやっと、一番はじめの処刑のシーンにつなげられたな」って。その処刑のシーンに至るまでを表現しなくても、見えたな、って思えた。
−あそこで終わるのはすごく大胆だなって思いました。
圭吾:そう思うよね。一番始めに脚本読んだときにも「え、これで終わっちゃうの?これで、終われるわけ?」って思った。最後にみんなで歌う歌も加わって、「フォローはそこでしてくれるな」と思って。
それぐらいかな…面白かったよホントに。すごく、自分に合ってたんだろうね。−今回、印象に残ったことは?
圭吾:公演が終わってみたら体中傷だらけだったんだよね。「ちょっと一ヶ月公演は無理だなあ」と思った(笑)。
−舞台で七転八倒しているうちに傷だらけに。
圭吾:うん…もう、「入っちゃってる」からさ、全然痛くないんだよ。終わってみると「痛ててて」ってことになってるんだけど(笑)。
なんか、考えるより体が勝手に動いたことが多かったね。すごく。後半をやってると、「あぁ、俺はどこまで行くの?」と思う(笑)。稽古中も「ああどこまで行っちゃうんだろう」…そう思ったことはいっぱいあったね。音楽座の頃、エチュード※で「精神病の患者」をやった時に、その場にあったチョーク食ったの思い出した(笑)。それとちょっと似てたよ。※即興劇−身体的にはハードだったのでは?
圭吾:ハードだよ(笑)。泣くと声が出なくなるんだよ…。
…本当は、「演技」でやらなきゃいけないのかも知れないんだけども、俺はすごく「自分自身」だったっていうか、そこに、その「パウロ」っていうミュージカルの中に、生きられたから。…なんていうかなあ…後半はもう、テクニックとかじゃない。それはいろいろ考えてる、呼吸しながら「音がこうだから」とか間合いだとか「これじゃ見えないな」とか、そういう事はしっかり働いてるけれども…ひとりの人間として生きたんじゃないかなあと思うんだ。
まあ、甘ちゃんなのかも知れないけど、俺の考えは、そこに生まれたものがすべてだと思ってるからさ。その、2時間という時間の中をしっかり、みんながそれぞれ旅に出て、出会って何かが起きて、お互いに変わっていったり、そういうところを見せられるのが、自分がやってる芝居だと思うし。…うん。そんな風に思います。−3月の「Una Noche」ですが、どんな世界なのでしょうか?
圭吾:「あれはあれ、これはこれ」っていう勢いで見に来てくれ(笑)。パウロはパウロ、「Una Noche」は「Una Noche」。あっちの吉野圭吾とこっちの吉野圭吾はまた違うから。と、思います!「ああきっとこんなこと言われちゃうんだろうな」ってのが想像できるよ(笑)。「えぇー?!こんなの違うー!」って言われちゃうだろうなあと…。
まあ楽しみだ!
「初演の『パウロ』を観た!」なんていう思い出話を、何年か後にも熱く語り合えたらなあと思う今日このごろ。「夜明けの月」「あきらめないで」「悪夢」そしてラストシーン…ひとつひとつの曲や言葉、表情を、思い出して噛みしめてるだけで1年くらいもちそうな気がしますがそう言ってるうちに「Una Noche」が始まります(爆)。
いつになく気になるヒキになってしまいましたが「あれはあれこれはこれ」の謎を解くべく(^^;)、次の作品に出逢いに参りましょう。
いつか必ず、「パウロ」に再び逢えますように。