Current News 28 Jur,2001


Now They Have Everything -2

「屋根の上のヴァイオリン弾き」、帝劇公演を終え、夏のイベント「TOY BOX 2?」の準備にかかった吉野圭吾さんにお話を伺いました。

前のニュース(2001.6.20) 次のニュース(2001.9.5) 目次 最初のページにもどる
−2ヶ月間76回の長丁場でしたね。
圭吾:長いようで短かった感じですね。 終わってみると「あと一ヶ月、今度は中日劇場にでも行って公演してもいいかな」という感じでしたが(笑)。…でもやっぱり、2ヶ月がギリギリ限界だったみたい(笑)。体が「え?無理だろう!」って、言ってました。
−客席で観ていると、むしろ後半に行くほどはじけて見えましたが。
圭吾:そうだね…やっぱり、後半に行けば行くほど、自分もみんなも、まわりが見えてきたんじゃないかなという気がする。だから、いろんなところから「拾える」ようになったんじゃないかなと。そんな感じがしますね。拾い過ぎも注意だけど。
−メンデルとの仲の悪さですが、あれはお互いに打ち合わせて?
圭吾:いや特に。その場で。稽古やった時点では、特にメンデルとは、あんまり絡みがなかったんだよ。でもよくよく考えていくと、やっぱここは大事だよな、って。 稽古じゃあわからなかったことが、本番やりながらだんだんわかってきたっていうか。それじゃ遅いんだけど(笑)。
−テヴィエとのかけあいで、思わぬ展開になったことはありますか?
圭吾:それ、恐れてた(笑)。「俺」で返すんじゃなくて、パーチックの立場とかパーチックの精神だとか、そういうものを踏まえて返さなきゃいけないじゃない?そうしないとどっか行っちゃうからさ。それすごい気をつけましたね。
ただ一回、(ゴールデに結婚を認めさせるために)「僕に金持ちのおじさんがいるとかなんとか」って言って、「いるの?」って聞かれて、「いません」って答える場面で、「どこ当たってもいないの?」って言われた時に、 かってに口が「いる」って言っちゃったことがあるんだ(笑)。 「『いる』…『いる』って…うわっ俺今しゃべったよね『いる』って!ああーどうしようっ」と思った。 で「いるの?!」って聞きかえされて、頭フル回転させて「……………わけないでしょ?」って(笑)。あれはビビりました自分で。
−あちらもびっくりしたのではないかと。
圭吾:うん、びっくりしてましたね(笑)。でもそれにちゃんと受けてくれるから、さすがですよ。
−ああいうアドリブのやりとりではすごく頭を使うんだろうなあと感じました。
圭吾:うん、使う。後半に行くに連れて、テヴィエさんがしつこくなってくるんだよ(笑)。 「いや、これにとことん付き合っちゃいけない、俺が切らなきゃいけない」と思って、よく切ってました(笑)。 なんでかっていうと、パーチックはテヴィエさんよりは、しっかりしたものを持っていなきゃいけないから。できることならやっぱりこっちが上の立場のところで終わらせたいなと思ってた。やっぱり、テヴィエさんより口は達者でなきゃいけないと思うし、とんちんかんでも、しっかり「こうだ!」って言わなきゃいけないし。 「こうだと僕は思いますよ」じゃなくて、「こうなんです!」っていう、彼の、言い放っちゃうところがやっぱり大事かな、と。全体的に思うんですよ。
−長台詞がたいへん多かったですが、困ったことはありましたか?
圭吾:初日だよ(笑)。井戸の前でホーデルを引き止めるところで、 「君はしっかりしてる。頭もいい。だけどその頭なんに使うんだい?ものを知ろうとする好奇心がなけりゃ、そこいらのカボチャ頭とおんなじだよ!」っていう台詞があって、 「君はしっかりしてる。頭もいい。だけどその頭なんに使うんだい?」って言ったら、 次の台詞出てこなくて。ホーデルはどんどん行っちゃうし、 「…えっ…なんか言わなきゃいけない!」と思って「…結婚式!」
って言いました(笑)。言った自分にまた驚き。 「どうしよう、『結婚式』…なんで『結婚式!』なんだ俺…」って思ってその後 「…おんなじだ!カボチャ頭!」…よくわかんない(笑)。
っていうことがありました。初日に。 びっくりしたぁ…俺がカボチャ頭なんじゃないかと(笑)。
−魔物ですね…。
圭吾:魔物が顔を出したね。あー怖かった。

−そのほかにハプニングはありましたか?
圭吾:ラバンとヤコブとかの人形の順番がバラバラになってて「やばい!」て思ったことがあった。いつもは並べ替えてあるんだけど、取り出して「ヤコブは」って言いながら見たら「ラバン」って書いてあって。でも、いいやそのまま続けちゃえと思ってやったら、娘二人が「えっ?これラバンて書いてあるよ?」とかいろいろブツブツ言ってて(笑)。「うっさいなもう!難しいんだからこの話!」と思ってた(笑)。あの話の場面は最後まで恐怖だったよ。
−初の帝劇公演でしたが、ご感想は?
圭吾:本番中、ちゃんとエレベーター係の人がいるんだよ。俺が入ってくるだけで俺の階を押してくれたりして。凄いなあ、職人だな!と思った。
−動きが多い役なのに、すごい重ね着でしたね。
圭吾:汗取り着てるでしょ、でその上にシャツ、お祈り用のチョッキ、ふつうのベスト。で、上着。5枚も着てたんだ、すごい(笑)。とにかく暑いんだよ。
−くつしたの穴が空いていましたが、あの場面だけ?
圭吾:最後まであのままで行くこともあるし、履き替えちゃう時もある。穴から指が出て、やたらと食い込むことがあるんだけど、そういう時は履き替えて、別に違和感ないときはそのまま。何足かあって、やわらかい靴下だとよく広がってくけど、 あまり広がらないくつしただとちっちゃい穴のまんまで。
−いろいろあったんですね。
圭吾:そーですよ一足をずっと履きやしませんよそんな(笑)。くさいじゃないですか。

−プログラムに倣って、婿の立場からテヴィエに贈る言葉を。
圭吾:
「突然やってきて、突然娘をさらって、またどっかへ行ってしまって、どうもすいません(笑)。
むちゃくちゃな男だとは本人もわかってます。 でも、仕方がないんです。…そういう時代なんです。すごく揺れているんです。時代も、彼も。
だから…どうぞ、許してください。ホーデルを幸せにします。
今度逢ったときには、僕のことも『息子』と、ぜひ呼んでください。
では。
シベリアの牢獄の中より。愛を込めて。」
−悲しすぎますね。パーチックは牢獄から出られたんでしょうか。
圭吾:どうなんだろうね…テヴィエさんもかわいそうだよなあ。娘しかいないってところが。原作を借りて読んだんだけど、下の二人のエピソードもすごくかわいそうだった。
−原作もかなり長い作品ですね。
圭吾:うん、すごく勉強になったよ。パーチックに関してヒントがいっぱい隠されてた。

−ちらしでは髭でしたが、本番でなくなったのは?
圭吾:前回の枠にとらわれず、ひきずらずにやりたいなと思ってて。プロデューサーも「君のパーチックを作ってくれ」って言ってました。だから資料のビデオも見せてくれませんでした(笑)。 もう、一から「こんなんじゃないか、あんなんじゃないか」とやってきたわけで。髭は…まあ似合わないっていうのもあるし、「革命家」っていうことで、しきたりにこだわらないパーチックでありたいなとずっと思っていて。稽古の時点では「前回はこうでした、ああでした」っていうことが多かったんだけど、そうじゃなくて、新しく入って来た人たちがいるんだから、その人たちの芝居で新しいものを作ればいいじゃないんですか、っていうことをずっと、話し合いましたね。で、その中でやっぱり髭や髪の毛のことも出てて。映画もこんなような髪の毛で、髭もなかったし。若者らしくていいじゃないですか、ということで。
…でもお陰で「この人は誰なんだろう」っていうことがあるよね。 「この髭の人いないじゃん、お休みなのかしら」って(笑)。
−「屋根」全体のご感想をお願いします。
圭吾:面白かったよ。すごく勉強になった。あのお芝居、好きな人たちがいっぱいいたし、こう来るんならこう、ああ来るんならこうとか、いろいろ戦えたから、それが面白かったよ。 西田さんのお芝居を見ながら、一緒にやりながら、やっぱり勉強になったし。すごく自分のためになった舞台でした。

−いよいよ「TOY BOX 2?」ですが、今回のタイトルはどんなお気持ちで?
圭吾:そうですね…吉野圭吾、役者をやっていくにあたって、 年に一度は、自分が企画するショーやら何やら、そういうものを打っていきたいなと、思うのでございます(笑)。自分のためでもあり、ファンのためでもあり。そんなイベントが毎年できたらいいなあと思い、「TOY BOX」に続いて「TOY BOX 2?」という、タイトルで行きたいなと。
「TOY BOX」って、いいよね。僕すごく気に入ってるんですよ。「TOY BOX」っていうタイトルが。なんかさ…何、出てきてもオッケーじゃない(爆笑)。素敵なものやら変なものやら、何が出てくるかわからないっていうところが。それに対応する優秀なスタッフがいるし(笑)。ね…自分勝手なショーでございますよ。
俺的には、みんなが遊べる場所でもあるかなと思ってるんだけど。舞台監督の金田さんも、金田さん的に好きに考えて、かなやんを表現できる場でもあるかな、と。二人で楽しんでるっていうところもあるし、楽しみながら作りあげていけるような、そんなイベントだと思っております。だから、僕たち一人一人が、まあ…言ってみれば、おもちゃかなっ(笑)。 そのおもちゃを、みなさんに見て、触れてもらい、動かしてもらう…それが「TOY BOX」です!わかるかなあ(笑)。
−どうでしょう…。
圭吾:理論的には、ひとりひとりが、おもちゃなわけで。 それが、入ってるボックスだから「TOY BOX」。(笑)…それは結合と連帯感を、反映し。そして、プーク人形劇場にとけあう。
−それと愛情ですね。
圭吾:そう。それと愛情。 それが「TOY BOX…2?」(笑)。
笑いたい奴は笑え。ついていきたいやつはついてこい。出ていきたい奴は出ていけと(笑)。それがトイ・ボックスだ!見たい奴だけ見に来い!
………まあ、そんな一人一人を、俺は精一杯愛す。
−期待しております。
圭吾:うん。すんごいよ。7月最後のイベントだから…みなさん、そこでエネルギーをしっかり充電していただいて。暑い8月、乗り切ってもらいたいなと。 クリックするとメッセージが聴けます!
−では、最後にみんなへひとこと。
圭吾:それではみなさん。7月29日、日曜日。たった一回きりのイベントですが、 熱く・熱く・熱く…燃えつきましょう。
合言葉は、「ファイヤー!」
…チャオ!

ここをクリックすると声が聴けます。→

「屋根の上のヴァイオリン弾き」から「TOY BOX 2?」へ。熱い熱いパーチックの情熱とテンションはおさまるどころかますます上昇中なところ、ご覧の通りでございます。さてさて当日、何が起きることやら…。お話を聞くほどに謎は深まるばかりな「TOY BOX 2?」とは何か?7月29日、みなさんの目で確かめて下さい。
前のニュース(2001.6.20) 次のニュース(2001.9.5) 目次 最初のページにもどる