SCHAUSPIELER
10月5日に日生劇場にて開幕したミュージカル「モーツァルト!」。 |
−公演が始まってのご感想は?3ヶ月間の「モーツァルト!」。日生劇場公演もまもなく終了、この後は11月のドラマシティ、12月の帝劇公演へと続いていきます。劇場や時期、キャストの違いによってさまざまな顔を見せてくれるこの舞台。まだの方はもちろん、もうご覧になった方も、この先のシカネーダーにぜひ出逢ってください。…びっくりしますよ(^^)。
圭吾:気が抜けない作品でございます。初めから終わりまで。
全体で歌うことがたくさんあるんですが、それがやっぱりすばらしいっていうか、いいよね。みんな自分のソロがちょっとずつあったりして、一人一人が責任持ってこの「モーツァルト!」っていう作品を、ひとつになってやってるなっていう気がします。 そんなことをさせてくれるこの作品、すごくよくできてるよ。 話はけっこう難しいっていうか(笑)まあモーツァルトの生涯の話だけど… なんていうか、 一場面一場面が独立してて、次から次へと飛ぶじゃない? 「それから何年後」みたいなさ。 その一個一個のシーンを、観て楽しんでもらいたい感じかな。不思議な作品です!
−第一声から飛ばす役回りですが、ペース配分が難しいのでは?
圭吾:難しい。行き過ぎるっていうか、思いっきりやると、余裕がなくなっちゃう。稽古場の時から、そこを「いかに抜くか」みたいな、 その「新たな扉」を開くのが大変だった。まだ開きかけだけど、でも新しい…こう、吉野圭吾の「一生懸命やってます!」みたいのはおいといて、 もうひとつ上に行けたらいいかなって。今回、ホント勉強になってる。 歌もそうだし、芝居の部分もそうだし、ミュージカルっていうものに対してすごく 、自分の可能性、新しい可能性が見えて、それをすごくつかみたいと思う。そう思わせてくれるんだよね、この作品。−「チョッピリ・オツムに…」の曲ですが、歌の部分と台詞的な部分の割合などは、どのように作っていったのでしょうか?
圭吾:だんだん決めてった。「これ以上やりすぎると、ちょっと『歌』じゃなくなっちゃうかな」っていうところもあって。先生からは「これ以上増やすんだったら、どこかを削って」って言われたり(笑)。
−台詞部分が増えていった感じでしょうか?
圭吾:そう。「芝居っぽくやろう」と思って。向こう(ウィーン版)のミュージカルって、わざと音を外したり、台詞っぽく言ってたりするじゃない。 で、それをやってたら、ちょっとやりすぎになっちゃったり。 そこはいろいろ、研究に研究を重ねた結果、今みたいな形になってる。 音の高い部分で、わざと裏声を使ったりしてるんだけど、 それもおかしくてね。自分ではすごく気に入ってる。 この「役」的には面白いかなと。そして作品的には全然アリかな、と!
−歌っていて特に面白いところはありますか?
圭吾:やっぱり、最後のラインダンスになるところかな。あそこは気張っちゃうね。あとは単純に「お代は見てのお帰り・花形スター総出演、俺も」。ここが一番アピールポイントかな(笑)。
−いい歌詞ですね。
圭吾:難しいんだから…「総出演」って言うのが(笑)。「そうしつえん」って言ってたら「しゅつえんって言ってください」って注意されました(笑)。−井上芳雄さんと中川晃教さんのWキャストということで、演技で分かれる部分はありますか?
圭吾:わかんないね。特に何が違うってわけじゃないから、当日やってみて「こうだからああ」とか「どうだからどう」って、対応してかないと。 あ、でも「どうだい、いつか俺と組んで」って言う時、 アッキー(中川晃教)は倒れてる(笑)。で、(井上)芳雄はそのまま来る。それぐらいかな、決まってるのは。アッキーは必ず倒れてんだよ。助けてやらないけどね(笑)。助けちゃうシカネーダーじゃないなと思ってさ。 しゃがんで「どうだい」って話しかけたことはあるんだけど。 それか、立って勝手に進めてるかどっちかだな。
−シカネーダーのモーツァルトに対する気持ちは同じなのでしょうか。
圭吾:そうですね、ぜんぜんそれは変わらない。−シルクハットがいきなり出ますが、どうやっているのでしょうか?
圭吾:それは言えないな。口から出してんの!…「マジシャンなのかなあ?」って思ったりして(笑)。
−お金が無いときはプラター公園で。
圭吾:マジックショー。俺がやってる(笑)。
−ステッキさばきは相当練習したのでは?
圭吾:したよ。舞台では大したことはしてないんだけど。 いろいろ練習したんだ。バトンと友達になろうと思ってさ。いつも本番始まる前は絶対に、あのバトンとしばらくたわむれてる。「今日も、落としませんように」と(笑)。−かつらはずっと同じでしょうか?
圭吾:パパゲーノの時だけ違う。
−「ここはウィーン」では、普段のかつらを結んでいるのですね。
圭吾:そうそう。あれもシカネーダーですからね?ていうか、全編通してシカネーダーです(笑)。 決して違う人物じゃあございません。
−「ウィーン一の社交場にもぐりこんだ」感がありますが。
圭吾:うまく立ち回ってるんだよ(笑)。俺はどこでも顔を出す!
−衣装でお気に入りはありますか?
圭吾:みんな好きですよ。パパゲーノ入れて4着。たいへんなんだよ、紫のやつ。踊ってて重いし、「ギュー」って押されると跡が残っちゃう。
−メイクはご自分で考えて?
圭吾:そうです。…当初より、だいぶ男っぽくなった。
−「魔笛」前後の着替えが大変なのでは。
圭吾:大変。「革命」からはもうバーって、一気に最後まで行くから。−「ここはウィーン」の振り付けですが、最後の「気をつけろ」でジェスチャーをする部分はご自分で?
圭吾:あれは勝手にやってる。みんな自由だから。でも最近、手を振り上げると、自分の袖が顔にパシッとか当たるんだよね!ここ3回ぐらいそうなんだよ。どうして最近そうなんだろう、おっかしいなあと思ってさ。手を下から上まで振り上げるからいけないんだろうな。
−ちょっと痛そうでした。
圭吾:うん、痛かった…「お前が気をつけろ」みたいな(笑)。
「気を・つけろ(あ、痛ぇ!)・ここ・は・ウィーン」…できてんじゃん(笑)。そういう流れなんだよ。
−フランス革命でビラを畳んでキスするところもオリジナルでは?
圭吾:そうですよ。それはもう、ちゃんと俺の中でストーリー作んないと。 「いよいよ俺の時代が来た」と。「いよいよこの『魔笛』を世に・出す・時が・来た!」と。
−「モーツァルト!モーツァルト!」もすごい気迫ですね
圭吾:あれ、みんなが熱狂してるシーンなんだよ。いろんな人たちが、「モーツァルト!モーツァルト!」って言ってる、もう狂ったみたいに「モーツァルトぉ!!」って言ってるところ?それを出したいんだ。だから「魔笛」もサラって終わるし。
もう、イっちゃう感じだよね…それぞれのキャラクターの人たちが「モーツァルト!」って熱狂する。そういう感じの歌なの。
−「神がー」の部分はすごいですね。
圭吾:そうだね。あそこ、一番気合が入ってるシーンです。自分の歌いだしの「神がー」のところ。 稽古場でも話題になってました…「台が揺れる」とか言われてさ(笑)。絶対はずせないところでございます。