Current News 22 Jur,2003
おのぼり Drawers

既に開幕した「レ・ミゼラブル」稽古中のインタビューをお届けします。しばし時を戻して「CLUB SEVEN」のご感想とあわせてご覧下さい。

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−「CLUB SEVEN」についてですが、「真似をする人」という演目はどのように作っていったのでしょうか?
圭吾:玉野さんが「この曲でこんなようなことをしたい」って言ってて、小道具は新聞で、っていう話になって、「じゃちっとやってみますから、見てて下さい。」とか言って その場でやってみたの。「あ、こんな感じー」って言われて「わかりました。じゃ考えてきまーす」それで終わって、あとは自分で作った。それで最終決定みたいな(笑)。 なんか得意なんだよ、こういうの。昔、音楽座の頃、稽古場とかで遊んでた気がする。 そこから来てるんだよな。
−昔からの技なのですね。
圭吾:そうそう。「新キャラ」って言われましたけど、新しく生まれたんじゃありません。引き出し、開けただけです(笑)。
−とはいえ、あのかつらは初めてでは?
圭吾:そうだね(笑)。最初の頃、(禿かつらの)上にかぶるかつらをどうしようか、みたいな話になって。あのかつら、ホントは後ろ前なの。普通にかぶると、ぜんぜん面白くない。で「面白くねえな」と思って逆にかぶってみたの。そしたらなんか宇宙人ぽくて。 「あ、いいなこれ…これでいいじゃないですか!」 で、衣裳は何がいいですか?って聞いたら「あのね、日曜日のお父さんみたいな感じ。ポロシャツ!黄色いやつ!」と(笑)。凄いよねえ…「ポロシャツだけは絶対着ない」って言ってた男が。丸くなった(笑)…「芸のためなら」みたいな。
−あのかつらの人と、ホストクラブに登場したニロ子のパパは、もしかして関係が?
圭吾:いっしょいっしょ!おんなじ人なんですよ。話、つながってんの。あれはバイトの休憩中だったの(笑)。ホントはベンチのところ、安藤酒店の前掛けつけてやっとけばよかったなって、後で思った。
−「ニロ子ちゃんのことが好きだから」というセリフは評判でしたね
圭吾:「俺、どこまでこの『間』を使えて遊べるんだろう」と思ってた。面白かったよ。「あ、間ってこうやって遊ぶんだな」って、勉強になった。
−No.1ホストのリョウさんの役作りはどのように?
圭吾:リョウさんは最初、稽古場では普通にやってたの。「リョウです!」みたいな感じで普通にやってたんだけど、「これじゃみんなのキャラと違いすぎる…っていうか弱いな俺」と思って「わかった…!」って、あるとき突然(裏返った声で)『りょおーです!』ってふうにやってみたの。そしたらみんながガガーンてうけて(笑)「これだ!…つかんだ!」。名刺渡すときにも「リョーです!リョォーです!」ってやって、もうぜんぜんオッケー。で、他の会話もあの口調でやろうとしたんだけど「いや、圭吾そこは普通にやったほうがいいわ…」って玉野さんから言われました(笑)。 ハラ君も(タクヤの話口調を)自分で考えてきてたよ。あの「飲むか?」とか「あ?」とか「お前ダレだ?」とか。ある日突然作ってきた。
−ホストクラブのテーブルが壊れてしまったハプニングがありましたが。
圭吾:壊れたねえ。割れたらしいね。(みんなが破片を片付けている間)俺も出てこうと思ったんだけど、「でもなあ、今出てったらもったいねえなあ」と思って。 出るなら、ホーキか?と思って「すいません、ホーキ!ホーキ!」で、(自分の登場場面まで待ってから)持って出た(笑)。 その後、これどうやって持って帰ろうかなーとか思ってさ。でも持って帰るしかないよなー残してくわけにいかないしなーとか。いろいろ考えながらやってたよ。

−映像場面は稽古中に撮ったのでしょうか?
圭吾:「刑事物語」?稽古始まった頃に撮ってました。朝8時に代々木公園、そのあとマリアート、そのあと近くの居酒屋行って、カラオケボックス行って、クラブeX行って…(笑)。
−殉職シーンは生映像と録画の合成だったのですね。
圭吾:そう。でも(録画が流れる間も)頭だけ出して。でももう次の「SE TAP」のために着替えなきゃいけないから服脱いでるの。隣のボックスからはその脱いでるのが丸見えで、観てる人と目が合ったりして(笑)。
−せりふはアドリブでしょうか?
圭吾:いちおう台本はあった。 とにかく玉野さんが着替えるから伸ばしてくれって(笑)。 だから「あーっ」とか「うーっ」とか、これだけあればいいだろうってくらいまで伸ばしてた。

−五十音順ヒットメドレーですが、ここがスカッとするという曲目はありますか?
圭吾:あるねえ。「TSUNAMI」とか気持ちよかった。あと「飲んでー」も好きだな。 あれも気持ちよかったですよ。SMAPも好きだった。
−ずっとあの曲順で稽古をされていたのですね。
圭吾:最後まで「次はなんだろう?」って、(進行の)紙を見てたよ(笑)。後半のほうがやっぱり覚えきれなくて。
−金八先生も話題でしたが…。
圭吾:金八は、もうやめましょうよって泣いて頼んだんだけどダメで(笑)。 俺、ものまねとかホント苦手なの。だって俺よりうまい人はいっぱいいるしさあ…「そこをあえてやるのがいい」ってみんなに言われて、「そうかなあ」なんて自分をだましてやってました(笑)。

−「CLUB SEVEN」公演全体のご感想を。
圭吾:7人も出てるのに、あんなに休めない公演は初めてだな(笑)。…でもあの空間で、あんなに扉がいくつもあるセットで、ほんとにいろんな演目があり。 あの空間でああいうことがやれて、よかったんじゃないでしょうか。
芸達者なメンバーの人たちと一緒にやれたのもよかったよね。 (西村)直人さんもホントに、役者魂みたいなところが見れてよかった。 「役者ってすげえな」と思ったよ。 (刑事物語の犯人が化けている)にゃんこ先生のビデオ撮ってたとき、映像では音入ってないけど、踊りながらもっといろいろしゃべってたの。すごいんだよ。ちゃんとそのキャラクターが存在してるの。にゃーにゃーって言ってる人のレッスンを受けるシーンを撮ってたんだけど。どんどん泉のようにフリやセリフが沸いてくるし、 「わんとぅーにゃんにゃん」とか「もっと、自分をアピールするように!」とか「はい、なめてーなめてー」とか(笑)…「すっげえ…」って思いながら踊ってた。 なんかねえ…ほんとに感心した。感心したし、がんばろうと思った。 そのキャラクターに、こう…すごく練習してやればできるのかも知れないんだけど、そうじゃなくてなんかこう、瞬時に変われる?ほんとに。NIROもそうだけど、瞬時にこう、ポンて、違うキャラクターになれてしまうことってすごいことだなあって。あのメンバーとやってて思ったんだ。すごいよ。

−まもなく「レ・ミゼラブル」ですが、アンジョルラスの衣装はお好きですか?
圭吾:そうですね、やっぱりあの「赤」を着るとぜんぜん違うね。もう後には引けない感じがする。やっぱりあれを着て、サッシュ巻くと、覚悟が決まりますね。もう何が起きても平気。 この間の稽古の時に、ガブローシュが取りに行った(弾丸の入った)カバン、あのカバンが俺のとこに飛んで来たの。受け止めて、みんなに弾配ってたよ。 ガブローシュのカバン持ったまま「死のう、僕らは、敵など恐れはしない」って歌ってた。そんな日もあるかも知れないね。
−セットなどは実際のものを使っているのでしょうか?
圭吾:プレビュー4日前じゃないと、バリケードとか本番のものには会えないんです。稽古場だと天井が低いから、旗も振れない(笑)。ずっと水平に振るしかない…稽古場サイズだからちびちゃいし。 ホント、早くあのでっかいのを振り回してみたい。 死に際、燃えるもんね。マリウス撃たれて、下に降りてって、グランテールと二人で見詰め合うシーンがあるんだけど、で、ダー上がってって…旗をオラ!って振りたいんだけどさ、「…あーぶつかるぶつかる。蛍光灯蛍光灯。」(笑)。

−ジョン・ケアード氏とのお稽古は通訳の方とご一緒に?
圭吾:「ラ・カージュ」とかから縁のある垣ヶ原美枝さんが演出家アシスタントだから、通訳要らず。いろいろ質問とかするとね、「吉野圭吾を納得させるには大変よねえ」とか言われて(笑)。(カフェソングでの登場は)「亡霊じゃないんですよね?」とか。 「亡霊じゃないんですよね?マリウスが、ABCで楽しかった頃の仲間たちを思い出してる。じゃあ、赤のチョッキとかじゃないですよね?ABCのときのあの黒い服ですよね?あーでもきっと『象徴』って言いたいんですよね…そうですか、わかりました…象徴でいるのはわかるんですけど。でももっとこう、和気あいあいとした姿がポンと見えたほうがいいですよね!」みたいな(笑)。

−ほかの学生との関係などは基本設定があるのですね。
圭吾:もとからあるね。原作もあるしいろいろ資料もあるし、だいたいそれは、いっしょじゃないかな。アンジョルラスは金持ちのぼんぼんで、フィイだけが孤児で…みたいな。
−ダブルキャストでの稽古ですが、アンサンブルもグループごとに交代で?
圭吾:うん。アンサンブルはだいたいいつも、1チーム目、2チーム目ってこっちと同時にメンバーが入れ替わるわけだから、やったことないことも多いわけですよ。こっちも2人だからさ、交代交代だと全部同じチームで動いちゃうから、たまに変えてみたり。…ところが、回によって泉見(洋平)君がマリウスだったりクールフェラックだったりするわけですよ!で、横にいたりするんですマリウスの(笑)。「うわどっちだっけ?!」って思いながら「クール…マリウス…クール…クールフェラック!見張りだー!マリウス!少し休め!」

−髪型についてはどのように決めていったのですか?
圭吾:「長さはこのままでもうちょっとちゃんと染めて、毛先だけちょっとパーマかけようかなあって」て言ってたんだけど。そしたら(山口)祐一郎さんに「いや圭吾、いいじゃんベルサイユみたいにしろよ!」…きっと、くるくるっとした金髪っぽい感じにしろってことなんだろうけど(笑)、「そうしろよ!それで、そんな奴が、ここ(ハート)は、男なんだよ!そこがいいんだよ!」って言われた(笑)。

−特にこだわっている場面はありますか?
圭吾:死に際ですかね。「絶対、目、つぶるもんか」って思ってやってる。開けっ放しで。だってあの男、絶対目つぶらないと思う。なんか、つぶらない気がするんだ。「絶対最後まで見届けてやる」っていうか、死んでるのも気づかないぐらいに、存在してて欲しいなっていう気がするんだよね。 だから「美しい死に様」ではなく「これでもか!」みたいなのもいいんじゃないかなあ、アンジョルラスっぽいのかなあって。別に安らかである必要はないかなと思って。 でも難しいの。盆が回るでしょ、だから風景が回る。焦点を徐々にずらしてかなきゃいけないのが難しくて。クワって開いて「今度こそ…強い意志を!強い意志を!がんばれ!絶対つぶるもんか!」…みたいな感じでやってます。
歌って踊ってお芝居してコントしてタップして…と盛りだくさんの「CLUB SEVEN」から早2ヶ月。 ついに新生「レ・ミゼラブル」が開幕、日々、新たなステージが創り出されていく中、革命家アンジョルラスとしてバリケードに立つ姿を既にご覧になった方も多いと思います。この作品で新たなアンジョルラス、新たな吉野圭吾さんに出会う人それぞれが、新しい発見と感動を味わうことができますようお祈りしています。
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