Current News 12 May,2004
あっぷ Volume Two

2002年の今頃に上演された「ダウンタウン・フォーリーズ」から2年弱を経て帰ってきた「ダウンタウン・フォーリーズ Vol.2」について、吉野圭吾さんにお話を伺いました。

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-「ダウンタウン・フォーリーズ Vol.2」についてですが、Vol.1と比べていかがでしたか?
圭吾:(上演)時間が短いから、1より楽なのかなって思ったの。でも実際、やってみたらそんなこともなかった(笑)。前にやったやつもあったから、覚えることは前回より少なかったけど、思い出すまでが大変だった。
一番はじめのタップは何度やっても緊張しますよ。ずっと前向いてるじゃない?なんか、すごい孤独感に襲われるわけですよ(笑)。長いし、なんかこうすごく圧迫されるんだけど、それに対して、がんばってグっと胸を張らなきゃいけくて…「うわーまだここかよー」って負けそうになる(笑)。音が入って次の「Famous Feet」になると救われるんだけど。ああやって口だけで喋ってやるのってすごくこう…「一か八か大会」っていうか…「試験」みたいな感じ(笑)。「ハイ用意!…暗記したのやってください!」みたいな(笑)。
-冒頭のタップはVol.1でも苦労したとおっしゃってましたね。
圭吾:なんせ長いから、言葉、覚えるまでが大変だね。覚えちゃえば「この言葉のときはこれだから」ってやれるけど。でも怯むと負ける!怯んでちっちゃい声でやると、もう負けるんだよ。練習では絶対できるのに、本番になると難しくなることって、多々ある。受身じゃなくて、攻めでいかないとね(笑)。
-タップそのものの振付は同じでしたが、「いやらしく…」というところで一人だけ腰を振って注目される部分は新しかったですね。
圭吾:そう。稽古場で自然発生したの。だって「いやらしくみだらな腰の動き」だから…と思って俺が腰を振ってたら、いつの間にかああなりました(笑)。

-前後左右に観客がいる空間というのはいかがですか?
圭吾:面白いよ。横を向いてても見えてる人は見えてるから、そこが面白いかな。旅公演に行く前に、全部正面に向けた動きに直したりしたんだけど、ちょっと残念でした。客席も遠くなるから「届いてるのかな?」って不安になるけど、信じてやるしかないからさ。なるべく花道とかじゃなくて客席に降りたい、って言ってたんです。
-最初のタップ以外で苦労したところはありますか?
圭吾:一番緊張したのは「Kiss of Fire」で帽子を取れるかってとこと(笑)、「自分のソロの振りを忘れないか」ってとこかな(笑)。やっぱり一人でやるところは緊張する。 もう…袖で待ってるときが嫌なんだよ。「ああ…はじまっちゃったよ…」(笑) 踊ってる間はしんどくないんだけど、引っ込んで着替えしてポールになるときが一番、つらいね(笑)。すぐに「ヨシノヤ」で首だけ出なきゃいけないから、ハアハア言いながら準備してました(笑)。

-「Kiss of Fire」の帽子投げは評判でしたね。
圭吾:カッコいいよねあれ。でもやっぱ小道具ものは難しい。 公演中にも帽子の扱い方がいろいろ変わったんですよ。玉野さんが、さすが、いろいろ知ってて。本番始まって何回かしてから、俺が帽子を落としたんだけど、その後練習してたら、「あれ圭吾、なんで左手で帽子を投げるの?」って言われて。「え?」「右でやってみ?」「…おぉ!」(笑)。「左手で」って決まってたわけじゃなくて、とりあえず帽子を投げるって決まってるだけだったんで、じゃあ変えよう、って。
あと、背中越しに下から背中を回ってポイって投げるところでも、帽子を回転させたほうが安定するんだよって教えてくれて。 「これが取りづらいんですよね…」「え、それ回せばいいんだよ」「…おぉ!」 それがまた公演始まって数日経ってからで…青山の千秋楽ぐらいにやっと。「あぁ、もっと早く…!もっと早く聞いてたら…!」(笑)。 それ以来ぜんぜん緊張しなくなりましたね。
-日を追って進化していたんですね。
圭吾:そうそう。「Kiss of Fire」はすごく好きです。

-60年代メドレーの衣装はいかがでしたか?
圭吾:カツラがちっちゃくてね。いつとれるかヒヤヒヤしてました(笑)。 メガネはケンタッキーおじさんの使いまわしなんです。「なんか足りないなあ…」と思って、「そうだ、メガネ!…玉野さんちょっと借りていいですか」って。「おお、これだ!これが足りなかったんだ。」
あと、本番はじまってしばらくして、「…あれ?…襟?!」と(笑)。襟を立ててみて、「おおいいじゃん、これだ!」
まああのキャラは「いかにクサく」みたいな、ね。立ち姿のラインとか、ちょっとそういうのにもこだわってみた。…でもまさかあんなにウケるとは思わなかった(笑)。

-「ほんまみいや」のマコの役づくりはどのように?
圭吾:「どう持っていこうかなあ」って、いろいろやってました。しゃがれた声のオカマとか、いろいろ試したんだけど「声もきついしな」と思ってあんな感じに落ち着いたんです。
-60年代に続いてカツラでしたね。
圭吾:あのカツラ似合ってたよね(笑)。あのカツラをかぶるとすごくやる気が起きる。…いつも外見から入るから(笑)。なんかこう、なんでもできる気がする。やっぱ衣装、着てみてっていうか全部整えてみて、そこから出るものってすごくあると思うんだよね。 「ああこの衣装だったらこうかな」って。 着てみないとっていうか、ホントに、衣装着てやってみた時に変わることがすごくある。
-Vol.1では「昭和枯れすすき」での気弱そうなマコが後半で人格が変わるところが話題でしたが、今回も最後に豹変しますね。
圭吾:そうだね。最後にミコがお店に来て再会したときに、もう一回あの「枯れすすき」に戻れたらいいなと思ったんだ。「ここでなんか『思い出』とかが出たほうがいいっすよ!」って言って、前のやつをスライドか何かで出してくださいってお願いして。なんか「TOY BOX」っぽくておかしかったね(笑)。「出たなプロジェクター!」
-「リバーサイド」を熱唱するところは最初から通路を使う予定だったのですか?
圭吾:そうだね。…稽古場でシーンとしてる中で何度も何度もやった後、本番でやった時に「お客さんていいなあ」とつくづく思いました(笑)。
-マコが先に帰るところの動きは脚本で決まっていたのでしょうか?
圭吾:「あとで」って書いてあって、そのあと退場って書いてあったの。…なにが「あーとー手」だよ(笑)。なんでああなったんだっけ…「会えるじゃないか、また明日ー」「ってマコ帰らない!」っていうときに、別のギャグを考えてやってたんだけど、稽古場でカットされまして(笑)。ちょっと口惜しいんで、「じゃあこれはどうだ」って。「あー、とー、手っ」…て、やったわけですよ(笑)。で、いつの間にか壁激突もついた。
-凄い勢いでしたが、壁が壊れませんでしたか?
圭吾:一回壊しました。一回壊して謝りました。前回もやってたんだよね、激突するの。ぜひ、次回もどこかで(笑)。
-次回作ではマコはどうなってしまうのでしょうか。
圭吾:どうなっちまうんだろうね(笑)。生まれた子供が成長して、その子供を俺がやるとか。 そして「ママーどこなの、聞こえて…」(笑)。

-「ダウンタウン・フォーリーズ Vol.3」が実現したら、今度はどんなことをやりたいですか?
圭吾:4人で「どうだーっ!」ってぶっちゃけるシーンがやりたい。圧巻なやつ。 今回は一幕ものだったから、4人でガッてやれるタイミングが限られちゃうからね。 前の銀ぎつねのやつとか、ダンシングクイーンとか、ああいうナンバーをまたやってみたいです。
青山から橋本、名古屋、神戸と駆け抜けた「ダウンタウン・フォーリーズ VOL.2」、ここ数ヶ月間のいずれの公演とも違った「吉野圭吾」に出会えたのではないでしょうか(笑)。雰囲気も内容もさまざまな演目を一度に味わえるこの作品、今からVOL.3への期待が高まります(^^)。
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