Current News 4 Aug,2004
十字架 Straight,Concert,and...

6月の「暗い日曜日」、7月「レ・ミゼラブル in コンサート」を終え、すぐに「himself」へ突入…といったスケジュールの吉野圭吾さんに、作品のご感想といきごみを伺いました。

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-ストレートプレイ「暗い日曜日」はいかがでしたか?
圭吾:楽しかったですね。踊りも歌もないっていうのはなかなかシンプルで、とてもこう、芝居に集中できるというか、そんな感じでした。あとは「役」が良かったのかなあ…同じ芸術家として、ピアニストの役で。そして脚本も良かったので。そこにすごく救われた部分がありますね。
-アンドラーシュ役に向けて、ピアノの練習をされたとのことですが。
圭吾:二ヶ月前ぐらいから、改めて習い始めまして。なんとか「暗い日曜日」を弾けるまでにはなったんですよ。まあ本番で弾いてるか弾いてないかは、ご想像におまかせします(笑)。だけどホントにピアノを練習してて良かったですね。やっぱり、まったく弾けないのと弾けるのとでは、気持ちが全然違いますから。
-ミュージカルやコンサートと違っていたことはどんなことでしょうか?
圭吾:稽古でやることが、芝居の部分だけじゃない?だから、なんか足りない気がするんだよ(笑)。 はじめのころ「あれ?これでもう、帰っちゃっていいんだっけ」…普段だとまだ踊りと歌の稽古があるから、「なんかしなきゃいけないんじゃなかったっけ」って思っちゃう(笑)。 でも、その歌と踊りに持っていってた体力は、芝居の中で使われるから、変わんないんだけどね。でもやっぱり「あれ?まだ、やってないことがあるんじゃないか?」っていうのはあった。…今はもうアップアップだけどね(笑)。やってもやってもまだやることがある(笑)。
-カンパニーの雰囲気はいかがでしたか?
圭吾:良かったですよ。やっぱり近藤正臣さんの「器の大きさ」が、カンパニーをすごくよくまとめていたと思います。勉強になりました。

-アンドラーシュという役を作っていく上で苦労されたところは?
圭吾:「描かれてない部分」をいかに埋めるかっていうことかな。人の…なんていうんだろう、自分の心情が、ほかのシーンで描かれてたりするから、そこを拾って持っていくっていうことが多かった。あとはその描かれてない部分を、観てる人にいかに「ああそんなことがあったんだ」って想像してもらえるか、とか。芝居の中からくみ取ってもらわなきゃいけない部分がたくさんあったんで、そこをいかに本当に想像させるかっていうところが勝負だったかなと、思いますね。
-自殺してしまう役はいままでになかったと思うのですが。
圭吾:そうだね。自殺って初めてだね。…死ぬっていうのは最近多いんですけど(笑)。死んでばっかりですよ舞台で(笑)。死にキャラですね。
-自殺に至る心の動きについては、言葉にできるものでしょうか。
圭吾:うん…僕は映画を見たときには、よくわからなかったんです。で、自分でやったときには納得したの。…まあ別に、それは俺が思ってるだけであって、観てもらって想像したことを否定はしない。だからあえて何も言わないです。僕の中では、自殺するところまでもってくところの、なんだろう、蓄積というか…そういうところは、できていたので、観てもらって、それをどう汲みとってもらえるか、っていうことしかないからね。
-再演希望の声も挙がっていますが。
圭吾:そうですね。本当に、地方とかにも行けたらいいなって思います。

-「レ・ミゼラブル in コンサート」はいかがでしたか?
圭吾:コンサートなんだけど、なんだろう…アンジョルラス的には、ジャベールとかバルジャンみたいに、一曲の大ナンバーとかはないわけですよ。「アンジョルラスのうた!」みたいのはないじゃない?(笑)それはたぶんやっぱり、民衆とともに在り、そして仲間たちと在るアンジョルラスだからこそ、そういう歌がないのではないかと、思いますね。だからほんとに、博多・帝劇で共に戦った仲間と、またそういうことができたこと…心を通わせられたことが、すごく楽しかったです。
-「民衆の歌」では本公演同様に「さあ行こう!」の掛け声をかけていましたね。
圭吾:そう。千秋楽なんか同じこと2回も言っちゃったもん(笑)。なんだかよくわかんないんだけど、出ちゃったんですよ口から…そんなこともありました。でもホントに、楽しかった。思い出しましたよ。共にバリケードにいたことを。もう、バリケードに乗りたいぐらいだったけどね(笑)。
-キャストの組合せも様々でしたね。
圭吾:そうだね、いろんなマリウスとできたの楽しかった。それぞれ違うし、面白かったです。

-前半で、ずっと着席しているのは大変だったのでは。
圭吾:お尻が痛いです(笑)。ベガー(パリのスラム)になってやっと立てるんだけど、もう体が固まっちゃってて(笑)。ホントだったらもうちょっと動いてほぐして、発声のひとつもしてから「それは将軍ラマルク」に行きたいんだけど、何もできずに行くからけっこうきつかったです(笑)。
-コンサートとはいえ、お芝居の要素も強かったと思うのですが。
圭吾:そうだね。でも「何を伝えたいか」っていうことをちゃんと歌えれば、それで成立する作品なんだよね。そう思った。 横を向いて歌うとかはできないんだけど、できるだけ、相手を自分の正面に見て、やればいいかなと。でもなかなかうまく行かないところがあったりして…いろいろ考えました。やっぱり、役者だから芝居したくなっちゃうんだよね、すごく。相手のことを見たくなっちゃうんだよ。そことの戦いがけっこうきつい(笑)。マイクの上げ下ろしとかも…もうハンドマイクが欲しかったです(笑)。「ガブローシュはいいな」って。ヘッドマイクで…「おまえは自由でいいよなあ」なんて思ったことが(笑)。
-マイクの上げ下ろしはある意味、味があったと思うのですが。
圭吾:「なんか、マイクのスタンバイのしかたすごいよね」ってよく言われました(笑)…なんせ勢いだから。勢い大事だから、アンジョルラス(笑)。役柄的に。

-「暗い日曜日」では短めの黒髪でしたが、また髪型を変えていましたね。
圭吾:レミゼのときはやっぱりパーマをかけたくって、やってみたら「あ、思ったより伸びた風に見えるなあ」と思ってびっくりしました。パーマかけて、自分で色ぬいて、「ああ良かった」って。「暗い日曜日」の時に真っ黒くしたから、なかなか髪が明るくならないんだよ。それが大変でしたね。やっぱり金髪がいいよね。あの役は。
-カフェソングで袖を下ろしていたり、最後に振り返るところなど、細かいところは自分で考えたのでしょうか?
圭吾:だいたいの動線は決められていて、あとは自由だったから。ちっちゃなこだわりだけど(笑)、出してかなきゃなって思ってました。
-今回、思い出深いことはありますか?
圭吾:そうだなあ…ペドロと共演できたこと(笑)。ペドロとガトで、(石川)禅さんとまたやれて面白かったなと。「砂の戦士たち」以来、こんなところで会えるとは。
-バルジャンの昇天の場面では座席で目を閉じていましたね。
圭吾:そう。いちばん最後のところって、あれはもう、なんていうんだろう、役柄を越えた部分であると思うんだよ。役がこうだからこうしなきゃいけない、っていうことじゃなくて、最後はやっぱり、それぞれが、個人として「民衆の歌」を歌うっていうところなんじゃないかなと思いますね。…衣裳を着てるから役はあるんだけど、でも、やっぱり一人一人が、この作品のテーマというか、「明日は必ず来る」っていうところを、一丸となってお客さんに訴える、語りかけるっていうか。そんなような場面なんじゃないでしょうか。
-最後に、あらためてアンジョルラスに贈る言葉などお聞かせ下さい。
圭吾:「また会う日まで、安らかにお休み下さい」

-今、稽古中の「himself」はどんな作品になりそうですか?
圭吾:中川(晃教)くんの良さが出る作品になればいいなと思います。重い「ハムレット」っていうだけの作品ではなく、明るく希望がある作品でもあると思う。わくわくする作品になればいいなと思いますね。
-「ハムレット」の原作上のレアティーズと違う部分はありますか?
圭吾:役柄的にはいっしょです。それはどう見せていくかは違うかも知れないけど。
-みどころを挙げるとすれば、どんなところでしょうか。
圭吾:やっぱり「ハムレット」って作品と、中川くんの曲を使うことで、それがどうからんでいくか。「アッキーの曲でやるハムレット」っていうのが、どうなるかっていうところだね。「himself」の曲だったり、前の曲だったり、また新しい曲も何曲か書いたみたいだよ。
-立て続けのスケジュールですが、大丈夫でしょうか?
圭吾:ぜんぜん大丈夫です。いやあ…生きてるなって気がしますよ(笑)。

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