水辺にて Current News 17 May,2005

 

Town to Town

「SHIROH」大阪千秋楽を終えて一月末から「Winter Rose」、そして3月〜4月は「Down Town Follies VOL.3」で全国縦断、と休みなしの公演期間を終え、6月からはまた「Mozart!」の全国公演となる吉野圭吾さんに、この春の公演についてのお話を伺いました。

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-今年の「Winter Rose」はいかがでしたでしょうか。
圭吾:今年は、そうですね…それぞれが、新たな気持ちで仕上げまして、また新たなものができたのではないかと思います。
-衣装を白にしたのは何故でしょうか?。
圭吾:「彼女の心のよりどころ」としては、やっぱり「黒」は違うかなと。ダークなイメージじゃないだろうな、っていうふうに思ったんです。 できれば彼女とおんなじ色がいいな、と。そうするとブルーだけど、「ブルーのスーツはちょっと男の子には似合いませんね」と言われまして(笑)。 じゃあシャツをブルーにして、白で行ってみましょうか、と。 「SHIROH」をやりながら、大阪で衣装合わせをしました。
良かったんじゃないですかねえ。なんか、しっくりきたっていうか。「ああ、白だったんだ」と思った(笑)。
-台詞回しもかなり自然な雰囲気になっていましたが。
圭吾:そうだね…白を着るとそうなったのかなあ(笑)。 ちょっと考え方を変えたっていうところもあったと思う。前回は彼女の「影」っていうか、ダークな部分として考えてたんだけど。 彼女が求めるものって、外からは暗いようには見えるんだけど、実はとっても、明るいところじゃないかななんて、今回はそういう風に思ったわけですよ。 …でも、「優しくなりすぎず。厳しすぎず」みたいなところで漂えたらいいかな…という感じでやりました。
-今回「最終章」という言葉が使われていましたが。
圭吾:今の自分たちにできるっていうか…すごくはまったんだよね。「Winter Rose」っていう作品をこのメンバーでやるにあたって、キャスト、時期、とか年齢とか仕事とか、今が一番良かったんだと思う。きっとこれが、2年3年経ってやるっていうとまた違うんだろうなあなんて思いつつ作り上げました。もちろんスタッフもね。
-稽古の雰囲気はいかがでしたか。
圭吾:そうだねえ。2回目だから、それぞれがいろいろ考えてきて。ぶつけあってできたのかな。でまあ、そんなにこう間違った方向にそれぞれ行ってなかったと思うんだ。けっこう、すんなり来たところはある。
-交流会で他の出演者の方々に「吉田くん」と呼ばれていましたが、なにかの流行りでしょうか?
圭吾:(笑)あの、「お互いに全然違う名前で呼ぶ」っていうのがよくありましてね。その流れです。伊藤(明賢)君がイムラ君なんだね(笑)。…いや、伊藤くんと俺ぐらいしかやってないかな(笑)。 …まあでも、(星奈)優里ちゃんは、「姉さん」てずっと呼ばれてましたね。 前回に引き続き「台詞に詰まったら『姉さん』て呼べ」というのは続いてました(笑)。
-同じ台詞が続くことがありますが、混乱することはありませんか?
圭吾:まあそういうことはないんだけど、こう、変にこねくりまわさないこともテーマのひとつだったね。 なんていうのかなあ、台詞が持ってるイメージをデフォルメしすぎない。そうするとこう「こんばんわ…ヘビです」みたいに(笑)、この世のものじゃなくなったりするからさ。

-「SHIROH」「Winter Rose」「Down Town Follies VOL.3」と休みなしでしたが、体調的には大丈夫でしたか?
圭吾:大丈夫なんだけど、休みがあるときに、ちょっとくたびれ加減が出てしまいますね。 やってるときは大丈夫なの。休むとダメ。また働き続ければ大丈夫(笑)。 …「ダウンタウン」は一ヶ月間の間に、やって、空いて、やって、空いてだから、 期間があくことで、落ち着いてできるというのもあるし。逆にヒヤヒヤだったりすることもあるし。そういう一ヶ月間だった。 千秋楽過ぎても終わった気がしなかったんだよね(笑)。また一週間後とかにありそうで。
-北村岳子さんがよく花粉症の話題を出していらっしゃいましたが。
圭吾:そうですね。…たかちゃんと俺だけが花粉症で苦しんでたんだよ(笑)。玉野さんと歌穂さんは元気でした。

-今回は特にいろいろな劇場がありましたが、そのことで苦労した点は?
圭吾:一番苦労したのは「Let it Go!」ですね。踊りの最中に、舞台から飛び降りなきゃいけないから。そこの間合いがなかなか図れなくて。舞台の一番前のところのエリアが長かったり短かったり。短けりゃすぐポンて飛び降りられるんだけど、長いとそれを考えて、前の振りから、どんどん前方に攻めてかなけりゃいけなかったですから。それぐらいかなあ。あとは、上手と下手が遠かったりとか。
-不条理劇で上手から下手に回る距離が長くなりますね。
圭吾:そう。あと、ヒゲの人たちの踊りも、広いと辛かったなあ。
-登場して下手から上手へサイドステップしていくスピードが凄かったですね。
圭吾:稽古場で振付けてた時には、あっという間に上から下へ行けちゃってたの。でも実際やってみたら遠いのなんのって(笑)。
-あの2人は「Down Town Follies VOL.2」の「Cherry Pink Manbo」の方たちと同じキャラクターでしょうか?
圭吾:あれは同じ同じ。またVol.4でも彼らに逢えるんでしょうかね(笑)。
-「社長さん…」という台詞が最後に入るようになりましたが。
圭吾:テキーラの最後、結局一人俺は残されるわけですよ(笑)。で「これじゃ帰れねえだろう!」と、いろいろ考えて。…たまに玉野さんに替わって欲しかったけどね。
-一方オープニングの最後では玉野さんが一人タップを踏み続けるのを横でサボりながらけしかける、というようになっていましたが。
圭吾: すぐ後に歌穂さんの歌があるから、タップの部分を伸ばさなきゃいけなくて。「じゃあ、これでどうですか」と。…ああいうずるい手を考え出しまして(笑)。
-最後だけ元のリズムに戻ってステップを決めますよね。
圭吾:たいへんなんだよ!あれ数えるの。何回目でやめる、とか、ちゃんと決まってるから、数えてるんだけど。。 笑いながらお客さんをあおったりしてますけれども、もう頭のなかでは「いちにっさんし!…にーにっさんし!…さんにっさんし!」(笑)。

-不条理劇のキャラの役作りはどのように?
圭吾:コント55号がやってるのを一回見たんだけど、ああ…欽ちゃんにはなれないなあと思って、自分なりに作りました。玉野さんがしきりに「圭吾、怖いなあのキャラ」って言ってた。「そっか怖いのか。そうだよなあ、怖いよなあ」と。…回を重ねていくうちにどんどん、危なくなっていって(笑)。「…そろそろやりすぎだぞ」と言われるギリギリのところだったね。 面白かった。楽しいなあ…コントとか。ま、衣装とか大事だよね。 衣装着ると、それぞれのモードに入るわけですよ。
-チェックを着るとああなり。
圭吾:そうそう。「Let it Go!」を着ればああなり。 あれも面白かったね。まさか「電話に出て」って言って、(舞台に上げられた人が)自分で取るとは思わなかったんだよ(笑)。取る人、取らない人がいるんだよね。面白くてね!
もう…あのシーンはベラベラしゃべりながら、頭、超高速回転してるわけですよ(笑)。 いろいろ考えながらさ。ズボンは落ちてないかとか「あ、俺、動揺してる!」とか(笑)。 ほんとにすごいね、人間て。すごいいろんなことをいっぺんに考えられるんだなと思う瞬間でございました。
-「Down Town Follies VOL.1」の時と違って、仕掛けのあるズボンでしたね。
圭吾:そうそう。「今度は一発で脱げるようにしてください」ってお願いしたんです。 大変ですよ。脱げないときもあり、…脱げてしまうときもあり(笑)。 千秋楽参ったね。踊ってる途中から脱げちゃって「やべえこれ!」って。 電話で話しながら、「うまくつかねえかな」と思ったけどダメだった。
-最後のポーズの決め方をうまく変えていましたね。
圭吾:「上も脱いでやれ」って思ったけど。…これ、たぶん、2年若かったら脱いでた(笑)。…でも、ちっちゃな吉野圭吾がストップをかけたんだよね。 「…ちょっと待って。ここで脱がないのも手だよ。」 って、教えてくれたの。俺の耳元で(笑)。
-ほかに教えられたことはありましたか?
圭吾:まあ「ダウンタウン」ってやっぱり、お客さん、が教えてくれるね。 自分で思ってもいないところで受けたりするから。 「ああ…ここで神様が降りたな」と思ったのはね、「ほんまみいや」で、後ろ(にまわした手)が羽根になったところ。全然そんなつもりなかったのね。「(あとは朧)わわわわー」っていうところの手振りの延長で、手をただ動かしただけなんだよ。で、地方まわってて「なんでそこで客席から拍手が聞こえるんだろう、たかちゃん何かやってんのかなあ…あれ?俺はパタパタ背中に手を…ああー…羽根に見えるんだ!」 全然気がつかなかった。何回かやって「ああー…羽根だわ!」って気づいたの。

-「犯罪舞踏」の最初の口上には振付があったのでしょうか?
圭吾:いいえ?私が(笑)。考えたんですよ。ジェームスディーンとか、俺、今回MCみたいなのが多くて、台詞を覚えるのが大変で。 どうにかして当て振りをして、台詞を覚えられないものかと考えた結果、ああなったわけです。「氷上を踊る妖精」で踊るジェスチャーとかね。ポンキエリは(笑)…ま、(鼓を)ポンと叩いて「ポンキエリ」なわけですよ(笑)。あの「シーン」とした空気が大好きでした。 …なんかこう、今回は、「どんなことがあってもやりぬく力」というものを身につけました。
-「ブルース・ブラザース」も独特な雰囲気でしたが…。
圭吾:ええ(笑)。最高ですね。あれ、受けると負けです!受けた日は「ああ、負けた」と(笑)。どれだけあの、客席を「はてな」とか「…え?」で、埋め尽くすか。そして、その後のマリリンモンローですごく受けてるところとのギャップと(笑)。 あれだけの客を黙らせる俺たちの力もすごいなと思いながら…。
-「ブルース!」「ブラザース!」という決めポーズがありましたが…。
圭吾:最高(笑)。「気持ちいい!」と思ったもんね。全然、怖いものないもん。あの噛み合わない二人じゃなきゃできないね。
-「ハッピーバースデイ」の代わりに色々なフレーズを出していましたが…。
圭吾:「はっぴー!たっぴー!ぐっぴー!」は、楽屋で玉野さんが言ったんですよ。「ほか、ないですかねえハッピーで」 って聞いたら「はっぴー!たっぴー!ぐっぴー!」とか、玉野さんが言って。「玉野さんそれいいっすよ!それいただき!」
-でも千秋楽に「それはなんなんですか?」って聞かれてましたよね。
圭吾:(笑)暴露すればよかったですね。「玉野さんが楽屋で俺に言ったんですよ!」
-オードリー・ヘップバーンへの「似てねえ」は怖かったですね
圭吾:ねえ(笑)。かわいそうだよねえあんなに言われて。「似てねえっつってるだろうが!うら!」ってね。 でも、あれはたかちゃんを立ててるのであって、決してあの、ジェームスディーンの「げっ!」への仕返しじゃないですから(笑)。

-今年の「Down Town Follies VOL.3」のご感想を。
圭吾:なんだろう…3回目だからかもしれないんだけど、流れは一番よかった気がする。変な気負いもなく。…ていうか気負っている暇がなかったっていう(笑)。なんせほんとに時間がなかったね。出て引っ込んで着替えて出て引っ込んで着替えて出て引っ込んで着替えて。で、気がつくと、「ほんま見いや」が終わってて。「あ、終わってしまったな」っていう。そんな感じの公演でしたね。
-vol.4が実現したらどんなことをしたいですか?
圭吾:まあぜひ、一曲4人で醸し出すパワーみたいな見せ場を。また新たな見せ場ができたらいいなと思いますね。そういうのを期待してます。
-「Down Town Follies Vol.1」のとき、最後の曲「Neighborhood」で泣きそうになる、とおっしゃっていましたが、今もそういうところはありますか?
圭吾:そうだね。「あ、いい仲間だな」と思う瞬間ですよ。やっぱり、毎回ああやって最後に、あれだけお客さんが立ってくれたりして、すごい拍手もらえて、「ああ、すごいんだなあ」って思って。 自分もその一員だろうけど、他の3人もスタッフもほんとにすごいんだなあと。あらためて実感する瞬間だった。 「ああ…『ダウンタウン・フォーリーズ』に出て、この一員になれてよかったな」と。思う瞬間ですね。
-お帰りはあちら、の曲はかなりのアップテンポでしたね。
圭吾:そうそう。地方だとね、ほんとに帰っちゃうおじいちゃんおばあちゃんがいて(笑)。申し訳ない(笑)。 次回も、がんばります。

-今年の「Mozart!」へのいきごみを。
圭吾:まあ、あれから2年ちょっと経って。多少なりとも、引き出しが増えてると思うんですけれども。またその、2年経った深みが出ればいいなと。自分も含めて「Mozart!」全体的に。 エマニュエル・シカネーダーの、いかさま加減とか魅力とか、 まあこう、先を行く目、みたいのが…どう出せるか。 乞うご期待。
-全国縦断ですね。
圭吾:そうそう。すごいよ。台本見たら、4つぐらい劇場が並んでて。びっくりしちゃう。
-9月には参加型ライブ「Toy Box 4」ですね。
圭吾:「Toy Box」。やるよ!来て下さいみなさん(笑)。ぜひ、みなさんに、参加していただき。いろいろなことをやっていきたいと思うわけでございますよ。今までやってきたところを切り取る部分もあり、新たな試みもあり。 今回シアターVで2日間にしちゃったからね。ホントに…来て!(笑)。埋めつくしてやりたいから。1回目も2回目も、MAXでやりますから安心してください。…よければ、二日とも来てください。たくさん歌って、お芝居あり、小芝居あり(笑)。僕のつまらないトークもあり。
それから特別なスペシャルゲストも出てくださいますし。
-土居裕子さんと舞台でご一緒するのは8年ぶりでしょうか。
圭吾:音楽座以来ですね。
-昨年秋に、NHKの「ふれあいホール」で共演されましたね。
圭吾:ねえ。あそこでまた二人は、出会ってしまいましたよ。その時に「ぜひ、ご一緒させてください!」と。
まずは開けてみてくださいよ!「Toy Box」ですから。今までのを観に来てくれている人にはまた新たな発見があり。「こう来たか」とか、「ああ!あの兄弟はこうなってしまったか!」とか。そして初めて「Toy Box」にいらっしゃる方は。「うおっ!こんなこともするのか」「そんな歌も歌うのかとか」とか、いろいろ新たな発見が。ミュージカルの舞台の上ではご覧いただけない部分とかね。そんなところもたくさんちりばめていきますので。ぜひ!楽しみにしていてください。

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