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Photo by 村尾マサミ
Current News 2 Aug,2006

 

2006 Spring

2006年4月の「ダウンタウン・フォーリーズ Vol.4」、5月のトークサロン、「ジャック・ブレルは今日もパリに生きて歌っている」についてのインタビューです。

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-「ダウンタウン・フォーリーズ Vol.4」について。今年は青山円形劇場に戻ってきましたね。
圭吾:円形劇場、よかったですね。やっぱり「ダウンタウン・フォーリーズ」は、円形みたいな感じがいい。
-2時間半ノンストップでしたが、着替えなどで大変なところは?
圭吾:ぜんぶ大変です(笑)。誰かが出てるときは着替えて、次、出番だからね。 むっちゃくちゃハード。超、重ね着してたもん。もう、ジェームス・ディーンの登場が終わったら「Let it Go!」のホットパンツをはいて、その上からピチピチのズボンをはいて(笑)。汗がすごいから、くっついて履けないんだよね!それで「Love me」とか歌ってたから、たいへんでした。唯一、お休みできたのは玉野さんのカレー事件のところ(笑)。

-「ほんまみいや」は一作目のリメイクでしたね。
圭吾:「1」に忠実なんじゃないかと思うけど、どんなことやってたかは忘れてたからね。また、新たに作り直した感じだった。
-マコの退場前の挨拶の気弱げな「ありがとうございました」が評判でしたが。
圭吾:(笑)ちょっと危ないよね。「ぼくはだめなおとこだ」みたいな感じがあったじゃない。やっぱり最後はあそこに戻るべきかなと思って。「三年目の浮気」ではそうなるわけにもいかないけど、エンディングでは、そこに戻ってみた。

-「レイバー&ストーラーメドレー」の冒頭の踊りが評判でしたが、ああいった振りは好きですか?
圭吾:そうだね。うん、けっこう好きかな。オーソドックスな感じの踊りって、自分の個性を主張できる時間があるんだよ。振りと振りの間とか、いっぱいいっぱいに振り付けられてるものじゃなくて、「ここは埋めてください」みたいな間がある振りのほうが、自分的には楽しい。 …難しいんだけどね。それだけ振りに余裕があるっていうことは、そこを埋めなきゃいけないっていうことだから。速いテンポでぴゃぴゃぴゃぴゃってやるよりも、逆に難しいんだよ。
-あのメドレーも一作目以来でしたが。
圭吾:また「LOVE ME」を歌えたのが良かったです。あれってもとは二曲なんだよ。エルビス・プレスリーが歌っってる「LOVE ME」っていうのがあって、それと「DON'T」っていう曲を組み合わせてデュエットにしてる。「スモーキージョーズカフェ」に出てくるらしい。
今回、英語をちゃんと発音しようと思って、高校に行ったの。英語課の、アメリカ人の先生に、発音とか習って。英語の発音を気にして発声していくって、今までにない発声のしかただから「あ、もしかしたら英語をちゃんと勉強するとすごく発声にいいのかな」って思った。
-訓練法としていいのかも知れませんね。
圭吾:うん、本当にそう思った。日本語で出さない発声のしかたとか、口の中の使い方をするから。バーンとあてたいところも、日本語と違ってアイウエオじゃないから、思い通りにいかないんだよね。それが今回、勉強になったかな。もっと英語を勉強しようと思いました。

-メドレーの途中で、ジェームス・ディーンが一瞬だけ登場しましたが。
圭吾:「みんなでいろいろ出てないキャラをちりばめようよ!」って言ってて。 で「じゃあ、あそこでジェームス・ディーンが出るのはどうですか」って言ってやらせてもらいました。「間に合うの?!」って言われたけど「間に合わせます!」って強行突破して。…でも結局、他のみんなは出る場面がなかった(笑)。西郷さんとか、いろいろ出て欲しかったんだよ。ロビンちゃんが出たり、キル・ビルが出たりさ。
あと、青山の千秋楽にジェームス・ディーンのかわりに「犬」で出ようかと思ったんだけど。でも犬の衣装が揃わなかった(笑)。

-「Let it Go!」へのテンションの持って行き方はどんなものなのでしょうか。
圭吾:そんなに、普段と変わらないんだけどね(笑)。 …やっぱり「Let it Go!」の曲がかかって、客席に出ていったときのみんなの空気はたまらないです(笑)。面白かった。
-客席へ降りるのは楽しいですか?
圭吾:うん。ああいうコーナーじゃない(笑)。 いちおう段取りは決まってるけど、「起こったことをいかに拾えるか」みたいな(笑)。そういうことがすごく試される時間でもあるわけで、大変です。やる前は「大丈夫?できるのかな?」とか思うもんね。いざ出て、やり出しちゃえば忘れちゃうんだけど。「大丈夫かな、ちゃんと、お客さん上がってくるかな」とか。盛り上げなきゃいけないし、そこはやっぱりいつも、プレッシャーでした。

-「トワイライトゾーン」の結末が変わって、亭主と妻の立場が逆転していましたね。
圭吾:「あのままじゃ救われなさすぎるだろう」って。ああなったの。
-役名は「ホスト」でしたが、やくざ風の衣装でしたね。
圭吾:ホントだよ…チンピラだよ(笑)。いないよね、あんなホスト。
-「こんな人ごみでコーヒーなんか」というところでボディランゲージを始めたのは、何かきっかけが?
圭吾:ちょっと手振りが多かった(笑)。そこから二人でやっていくうちに、どんどんエスカレートしちゃったんだよ。たかちゃんがマネするんだもん…だんだん違うものになってきた(笑)。

-犯罪舞踏の導入の「やあミッキーだよ」の振りは良かったですね。
圭吾:(笑)シュールでいいでしょ?あくまで、ミッキーマウスのマネじゃないほうがいいの。稽古場では「あれ、どうなの?」って言われたんだけど、「いや!絶対大丈夫ですから。絶対、お客さん入ったら平気です!自信あります!」(笑)
-万引き老人の中腰は大変なのでは、という感想が多かったですが…。
圭吾:辛いですよ。もう、ムリだもん、後半。しっかり立てないもん。でもやっぱり、ああしないと(キャラが)作れなかった。

-総集編ということで、過去の名作をたくさん演じられたわけですが。
圭吾:「ダンシングクイーン」がなかったのは残念だったな。あれは絶対やりたかった…あれが一番オーラスだったらいいのに(笑)。
-「Neighborhood」を歌った後に。
圭吾:そうそう。千秋楽とかさ、カーテンコールで一番最後に出てった時に、衣装があれに変わってたらきっと最高に盛り上がったよ(笑)。
-とはいえ、盛りだくさんでしたね。
圭吾:そうだね。…やっぱり、最後に「Neighborhood」歌ってるとき、ホントに、「ああ…すごいなあ…この人たち」って思うんだよ。凄い人たちだな…って。その仲間に入れてもらえてホントに良かったなと思います。

-トークサロンについて。登場の曲が「ヴァンパイア」のオーバーチュアでしたが。
圭吾:打ち合わせの時に「何で登場しましょうか」って話をしてて「ヴァンパイアのオープニングでいいんじゃない?」と。「いいですねえ」…で、やったの。
-「血ぃ吸ったろか」とオチをつけたのはご自分のアイデアですよね?
圭吾:リハーサルの時に「なんかひとことあったほうがいいよね」とかいって、言ってみたら「あ、これだ」と(笑)。
…面白かったですよ。登場して「あ…キャーって言ってる!」(笑)。ちょっとびっくりしたし、照れくさかった。一人でやるのも久しぶりだったから。トークサロンって、役を背負ってやるわけじゃないから、ちょっと恥ずかしいよね。自分の話をみんな聞きに来てると思うと、「大丈夫かなあ、俺の話つまらなくないかな」とか、いろいろ考えてました。

-ホワイトボードでのプロフィール紹介はよかったですね。
圭吾:初めての人もいるから「やっぱり、簡単な年表があったほうがいいよ」って。リピーターの人もいるかもしれないけれども、やっぱり、初めての人にも、簡単に、そういうこともお話したほうがいいんじゃないかと。
-映像もありましたね。
圭吾:吉野圭吾のなんかって言ったら、ビデオがないと始まらないからね(笑)。…ほんとあのプロジェクター、活躍してるよ!あれは「BORN」の時からずっと使ってるやつだから!
-ビデオメッセージでは「ダウンタウン・フォーリーズ」の皆さんにたいそう褒められていらっしゃいましたが…。
圭吾:…あんなに「全力」「全力」って歌穂さんが言ってるけど、そんなに全力じゃないからね(笑)。
-共演者やスタッフの方から見れば…
圭吾:そうなのかもしれないけど。普通の人なら五、やればできるところを、俺は十、やらないとできない。ということは俺は、十やって普通なわけで。みんな「いっぱいやって偉い」って言うかもしれないけど、そうじゃない!それが当たり前っていうかそこまでやらないと、俺はできない。 …これは言っとくけど、謙遜とかじゃない!ホントに!(笑)みんなベタ褒めしてたけど、そこまでやらないとできない、それだけの話。みなさん、誤解しないように!

-「出逢えた人たちへ」は初めて聴いた方も多かったようですね。
圭吾:最初「BORN」にしようかな、と思ったの。でも「出逢えた」でよかったなと。 「BORN」なんてあんな状況で歌えかった、絶対無理だった(笑)。前の日の夜中に歌ってみて、あ「BORN」もいいなあ、これ名曲だなあってつくづく思ったんだけどね。夜中に一人で「いい曲だなああ!」って涙流しながら稽古してて(笑)。おかしいな俺!…でも「BORN」は、次の機会に残しとこう、と思いました。

-「ジャック・ブレルは今日もパリに生きて歌っている」について。「マドレーヌ」で描いていたスケッチブックの絵はご自分で?
圭吾:そうだよ。マドレーヌちゃん(笑)。 あの曲、前は全員で歌ってたんだって。それを今回初めてソロにしたんだって。
-アメリカの帽子かぶって脚まくりをされていましたが。
圭吾:ジャック・ブレルってフランス人だよね。けっこうアメリカを賛美しながらも馬鹿にしながら作ってる曲だと思うんですよ。アメリカ!とかクリスマスツリー!とか。そういうのを表現するのに「ピエロみたいな感じがいいなあ」と思って。コミカルな感じを目指してました。
-たいへんな量の歌詞でしたが、曲の終わりでは気持ちが楽になるのでは。
圭吾:なるね!「彼女の母さん、べー!」ってやった瞬間に「あ、終わった!!」と思う(笑)「やったぁ…!今日も終わったよ…!」

-特に面白かった演目はどれでしょうか?
圭吾:そうですねえ。自分が歌った中では、「彫像」かな。
-「マリアの息子」で十字架を体で表現していましたね。
圭吾:前の曲の「ジャッキー」の手、広げてる部分にちょっとかぶるな、って思ったんだけど。でも、ここは「マリアの息子」でちゃんとみんなにキリストを想像して欲しいなあって思った。「あいつ死ぬまで、清く正しく誇り高く」で、十字架にかけられた感じを出したかったの。
-衣装ですが、認識票をつけていたのは、兵士を意識してでしょうか。
圭吾:うん。前は軍服を着てやってたらしいんだけど、別に軍服じゃなくてもいいかなと思って。ああいう認識票みたいなものがあれば、兵隊だと思ってもらえるかなって。…なんで服をはだけてるのかよくわからないけど(笑)。
アレンジがけっこう、ロックっぽくなってたんだよね。前の「ジャック・ブレル」ではもっとシャンソンぽかったみたいなんだけど、今回はああやって、始まりからガガーーーーン!ってなってたから。じゃあ、そこは俺に(合図として手を)振らせてください、と。3回あるんだけど、「俺の気持ちで、振らせてください」ってお願いしてました。
でも、ちょっとああいう歌は怖いね!怖いし変な感覚があるし。やっぱり「入っちゃう」じゃない。闇の世界に入るから、疲れるっていうか、変になる。
-怖いですね
圭吾:怖いね。3日間だけでよかったと思って。…でもまあその後に「息子たち」みたいな、空が見える曲があってよかったよ。
-「彫像」の後はそのまま「絶望した人々」で、雰囲気を切り替えていましたね。
圭吾:うん。そうだね。その後も続いて「息子たち」だったし、そこでは「凡人の子」の役割だったんで(笑)。「天才の子も」が剣持さんで、「凡人の子も」が俺だったから、 空見て「あー」とかいって「雲だよ?」みたいな雰囲気でやってました(笑)。 池田さん、歌いながら後ろ向いて俺に向かって手振ってるとき、いつも笑ってるんだよ(笑)。
「マリーク」も良かった。マリークっていうのはフランドル地方の代表的な女性の名前で、男が歌ってる曲なんだけど、はじめ女の歌詞だったの。「会いたいわ」とかそういう感じ。で、それを、青井さんと相談して、「これ男が歌うようにしていいですか」と。ジャックブレルが歌ってるのを聞いたら、けっこう後半とか叫びまくってるんだよね。そういう風にもってきたいなあと思って。
-紫吹さんの「アムステルダム」で後ろに座っている人物ですが、女性という設定だったのでしょうか?
圭吾:「男娼のイメージにしてほしい」ってことでやってました。最初は、布をダラっと被ってたんだけど、なんかおばけみたいになっちゃったから、スカートにしてくださいってお願いして。

-「葬送のタンゴ」も面白かったですね。
圭吾:うん。面白い、よくできてるよね。あれも自分が死んでからの歌なんだけど、「友達の葬式に来て歌ってる」って思われたらやだなと思って。(舞台中央に)死んでる人がいるから。だから最後、「自分」に帰っていくっていう風にしたくて、「じゃこれはどうですか?」って、曲の最後に、俺が(死体の上に)倒れる瞬間に照明を消してもらう。 あれで、「自分」に入った感じがしてたらいいんだけど。
面白いよね…なんか、死人担当だった(笑)。やたらと死んでる立場から歌ってたなあ。

-「ブルジョアども」では、男性3人という設定でしたが、メガネ姿の紫吹淳さんが不思議な雰囲気でしたね。
圭吾:紫吹さんが「こういうキャラでやりたいんだけど」って。次の曲がまた酔っ払いで「ジェフ」だから、違うキャラにしたいって。…でずっと俺のことを見てる動きに(笑)。でも俺は自分のことで精一杯だから「ホントに、かまってあげられませんから!」って言ってた(笑)。
-「お前も石を投げろ」という振りがありましたが…。
圭吾:(笑)あれが精一杯。
-「華麗なる千拍子」も言葉が多くて、難しそうでしたね。
圭吾:千拍子?そうだね。歌詞がたいへんだった。 寝ても醒めてもずーっとあれ歌ってたもん。 …終わって次の日もいろいろ歌ってたなあ。「彫像」とか。 ヴァンパイアの歌稽古だったのに、「つかまえてみたいねー」とか歌ってたもん(笑)。

-剱持さん以外は初共演でしたが。
圭吾:面白かったね。本当に、あのメンバーでよかったよ。四人四様で、それぞれの武器が出せてよかった。

-3日間だけでしたが、心に残る公演でしたね。
圭吾:なんか、3日間だけだったことも良かったのかもしれないね。…凄いよ。すっごい練習したし。やれるだけのことはやったんだけど。でも間に合わなくて、初日はバクバクだったね!「大丈夫?!」と(笑)。 でも、面白かった。

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