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Current News 11 Jun,2007
2007 spring 3月に行われた「TOKYO KAIKAN MUSICAL GALA CONCERT vol.2」、及び4月の「ダウンタウン・フォーリーズ番外編 そっとおやすみ」についてのインタビューです。
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-東京會舘ガラコンサートについて。今回の選曲はどのように?
圭吾:そうですね。せっかくオーケストラでやるので、 やはり「サンセット・ブールバード」をもう一度歌いたいと思いました。 あとは、ちょっとにぎやかな曲があったほうがいいなと思って「ちょっぴり」を持っていきまして。もう一曲は「どなたかとデュエット」ということで、そうだじゃあ泉見君とデュエットしよう、って「エリザベート」の「闇が広がる」を選んでみました。オーケストラでやる機会なんてなかなかないからねえ!これは、ぜひやってみたいなと。
-男性とのデュエット曲という選択も面白かったですね。
圭吾:おかしいよね、男・男、女・女の組合せ(笑)。
-指揮者の方が後ろにいるというのは、いつもと感覚が違うのでは。
圭吾:そうだね。いつもはオーケストラピットと向き合っているから。指揮者とアイ・トークして「ちょっと待って!」って伝えたり、いろいろできるんだけど、今回は背中の雰囲気でしか伝えられないから…まあ、後ろ振り向いて見合ったりすることとかもできたんだけど。でもやっぱり、歌ってて「呼吸」がわかれば、後ろでもなんとなくわかるから。そんなに大変ではなかったですね。
-音の聞こえ方はいかがでしたか?
圭吾:オーケストラピットの時よりも直(じか)に音が響いてくるから、それが面白いよ。客席で聞くのとも全く違うからね。 みんなが聞いてる音と、こっちが舞台上で聴いてる音はバランスがぜんぜん違うんですよ。
-「サンセット」では塩田さんが「こんな難曲をよくぞ」とおっしゃっていましたが
圭吾:でも、これまでに4回ぐらい歌ってるから、だいぶ慣れてきました。 この前までは難しかった。「俺はやる…」の部分は五拍子なんだけど、どうしても六拍目までいっちゃうんだよね。「(俺はやる・何もかも)12345、12345…」って数えてるんだけど、前はそれに「123456・123456…」って六拍目が入っちゃって、足りなかったり余ったりしてたんですよ。
今回はオーケストラの楽器が入って、楽器は「123・12、123・12」って鳴ってるんだけど、歌は「12・123、12・123」って歌ってたりする。リハーサルで塩田さんがそういうことを言っていたんですね。楽器が「ダララ・ディラ、ダララ・ディラ」って言ってるけど歌うほうは「ダラ・ディララ、ダラ・ディララ」…って行くとかね? そういうとこが面白い。で、その両方が合体したときに、やっぱり何か力が生まれるし。
-全体でのリハーサルは当日のみだったのですね。
圭吾:そうだね、個人個人で練習して、初めて合わせたのは当日でした。第一声で「なんでこんな曲を選ぶんだ」って言われました(笑)。「すいません!…カッコイイと思って!」
-「レ・ミゼラブル」のハプニングについてのトークのとき「レーッド!」と歌い出したところでたいへん盛り上がりましたが、あの構成は決まっていたのですか?
圭吾:いえ、決まってなかったです。後ろで、曲を流してくれたから、自然に(笑)。
-衣装はコンサート用に、ご自分で選ばれたのですね。
圭吾:そうですね。出番を考えて、「この歌とこの歌は、その衣装でいける」とか。
-「闇が広がる」の黒い衣装は評判でしたね。
圭吾:ゴシックロリータな感じで選びました(笑)。ああいう店は面白いね!いろいろ楽しいもの売ってて、ホント面白い。
-「闇が広がる」も、当日初めてデュエットしたのですね。
圭吾:そうです。気持ちよかったですね。みんなが言ってたけど、本当に蝋燭が綺麗なんですよ。みんなのテーブルの上にこう、ぽんぽんぽんて蝋燭が燃えてて、しゅわーって長ーい炎が見えて。「ああ、まさにこの曲ぴったり!」っていう感じでした。楽しくやってましたよ。
-最初だけ泉見さんとすれ違って、後は正面を向いて歌うという構成は、当日のリハーサルで考えられたのですか?
圭吾:うん。「『レ・ミゼラブル』のコンサートみたいに、正面で相手を見ればいいんじゃない?」「うん、そうですね」つって。そうすれば振りがなくても成立するからね。
-「ちょっぴり」も「Mozart!」本編とは少し違った雰囲気でしたね。
圭吾:タップバージョンでやってみました。ホントはね、タップ板を敷いてタップを踏もうと思ったんだけど、それはちょっとできなくて。まあ足元見えないし、タップ踏んでるニュアンスが出ればいいかなと。客席からは聞こえなかったと思うけど、いちおうちゃんと鳴ってたんですよ。
-ハンドマイクを持って、ステッキはなしでしたね。
圭吾:ステッキ持とうと思ったけどたいへんだからやめた(笑)。ステッキの先にマイクつけようか、とか思ったんだけどそれもちょっと難しい(笑)。それじゃ歌ってる最中にステッキさばきはできないもんね(笑)。
-「ちょっぴり」の前振りで「この衣装で現れたら、何を歌うかお分かりですね。…『ママ、どこなの』」と落としてオーケストラの方を大きくこけさせたのはアドリブだったのでしょうか?
圭吾:うん(笑)。いちおうリハーサルでも言ったつもりだったんだけど、ホントにびっくりしてたみたいだね。オーケストラのみなさんが。…でも、誰か「ママどこなの」のイントロ弾いてたよね!てぃんてぃんてんてん…て聞こえたよ(笑)。面白かった。
-また、今回のような機会があったら、どんな曲を歌いたいですか?
圭吾:オーケストラをしっかり利用できる曲がいいよね。すばーんと、大々的な曲歌いたいです。せっかくだから。
-塩田さんとのセッションも、またあれば素敵ですね。
圭吾:ええ。そんな機会があったらぜひお願いしたいです。
-「ダウンタウン・フォーリーズ番外編 そっとおやすみ」について。円形劇場を360度使った演出は今回が初めてでしたが、いかがでしたか。
圭吾:稽古場ではどうしても演出家が見てるほうを「正面」だと感じちゃって、やっぱり、体が勝手にそっちばっかり気にしちゃうんだよね。だから、ある程度まで作った後はみんなで「こっちが少ない」「あっちが少ない」って。演出家いろんな席に座ってもらって。そうやって作っていきました。
-どちらを向いても人がいるわけですね。
圭吾:うん。ある意味「どこを向いてもいい」って考えると、それは楽です(笑)。だけどやっぱり、なかなか難しいよね。逃げるところはないし、後ろを向いて何かを直したりとか、そういうこともできないので。起こったことに素直にやるしかなくて、でもすごい鍛えられたね。面白かったです。
-今回は北村岳子さんがお休みということで、いつもの「ダウンタウン・フォーリーズ」の4人とは違う感じでしょうか。
圭吾:そうですね。三人芝居で書かれてるから、それはそれで良かったけど。もし、たかちゃんがいたら、どんな風になったかな、とも思いました。
-保険のセールスマンの気障な台詞やギャグのオンパレードは凄かったですね。
圭吾:凄いよね。初めて台本見たときに「すごいなあ…」と思いました。「大磯」は笑った(笑)。
-観る人も、笑うツボが色々でしたね。
圭吾:俺は「大磯」。
-セールスマンの役作りはどのように?
圭吾:なんかこうちょっと古臭い感じで、やっぱりどこかキザっぽくて。 台本に書かれてる台詞がもう、そういう雰囲気を醸し出してるから。
-「保険に入ろう」という曲は、難しそうでしたね。
圭吾:ずっと同じメロディで何番もあるから(笑)歌詞がわかんなくなる。
-気障な人があえてコミカルに語っている、という雰囲気でしたね。
圭吾:ああ、そうだね。やっぱり人格変わっちゃわないように気をつけないと。でも、けっこうコミカルな曲だから、難しいですよ。
-「休暇はカリブへ」の手前の「きゅっきゅっ!」は脚本にあったのですか?
圭吾:ない(笑)。ないけど、歌詞指導の古賀先生が「きゅっきゅっ!休暇はカリブ〜へ…とかカッコいいよね!」と。そこから「カッコイイ」は飛び越えて、一人歩きしてしまった。あれは、ビキニが前に落ちたの。「あれっ!」って。んで、背中でヒモを締めなおしたんです…勝手にああいうフリになっちゃったんだよね(笑)。
-カウチの上で背面周りして立つ、という部分も自然に?
圭吾:ああ、そうだね。ホントは平地でやってたんだけど、「これじゃ見えないね」ってことで、カウチの上から「うわあっ」ってやってみたときに「あ、こんなバク転みたいなことができるじゃん!」と。
-英語で愛を語る場面は完全にカタカナでしたね。
圭吾:カタカナで書いてあるんだもん(笑)。「ウーワ、ウーワ、ウーワワッワッワ」って書いてある通りやりました。歌穂さんは発音が良かった?(笑)
-その後の真剣すぎる眼差しは、相手を笑わせようとしているのかと思いました。
圭吾:いやいやいや。真剣に愛の言葉を打ち明けて。しっかり感情を込めていわないと、負けるから。それが解き放されて「ああ…!!」って抱き合う、みたいな。そこまでのガマンがないと、あれに行けない。
-ミュージカルの歌は盛り上がっていましたね。
圭吾:やっぱり、あの二人のときめきを、描いていったんだと思います。楽しい歌だったね…。
-高音での叫びは何と言っていたのですか?
圭吾:「F#(エフシャープ)だと僕には高すぎる」。いろいろ、BmとかEとか、いろいろやったあげく、F#になりました。 あれの難しいところは…そんなに高くないんですよ、歌い切れちゃうのね。ちょうど、声を張りあげて気持ちいいところで。「僕にはー高すぎるー」って、ぜんぜんいけるんだけど、それをいかに高すぎるように歌うかっていうのが苦労したところです(笑)。
-カウチに駆け上がっての喜びのオーバーアクションが凄かったですね。
圭吾:「神様ありがとう!!」みたいな(笑)「ああ神様!この幸せをありがとう!!」みたいな表現にしました。
-その振りに向き合うブロックの人たちが爆笑していました。
圭吾:気持ちを伝えられて良かったな、と(笑)。あの曲の後半は、振付的にも「この二人の素敵な気持ちを、みんなにわかちあってもらう」っていうのがテーマなの。
-最後に二人でくるくる回るところまで、盛り上がりましたね。
圭吾:「かー」って伸ばしてることと、幸せに回っていることが楽しくて(笑)。「そろそろ息がもたないから、このへんにしとくか」とか考えながらも(笑)。
-今回も本当に多彩なキャラクターを演じられましたね。
圭吾:何種類もあるじゃない。「客」で「深夜の告白」で「イタリア人」で「デストラップ(クリフォード)」で、四役あったよね。だからやっぱり「ひとつひとつ違いたいな」っていうのはあったよ。
-4つの役割の中で、いちばんすんなりできたキャラクターは誰でしたか?
圭吾:…イタリア人。だってあの「ズンチャズンチャズンチャズンチャ」っていう曲を聴いたら、もうあの調子で行くしかないじゃん(笑)。
-登場の場面でのブルースハープはわざとああいう風に?
圭吾:わざと変に吹いてる。稽古場でちゃんと吹いたら「それはないな」ってみんなに怒られた(笑)。うまく吹けないようにしなさい、と。
-上着は途中で脱ぐけれど帽子かぶりっぱなしというところが粋でしたね。
圭吾:そうだね。ぜったい帽子があったほうがいいと思って、「脱がないで全部やっていいですか」って。
-ジョバンナとの会話の端にあった「おーそれみよ」「どれですか」は過去のDTFの「三味線姉妹」で北村岳子さんが使っていたやりとりでしたが、もともと脚本にあったのですか。
圭吾:ないよ。歌穂さんとやってて。「ちょっと入れていいかな」って入れました。別に聞こえない程度でいいから、入れとこうよ、と。「たかちゃんもいるよ?」って思ってやってました(笑)。
-作家志望のクリフォードは後半、人格が反転していましたね。
圭吾:そうね。「ダウンタウン」的にはやっぱりあそこが必要なんでしょう(笑)。ああいうシーンが必ず出てくるからね。あそこのシーンで、「ああ、ダウンタウンなんだな」って思った。
-チェックのシャツは大きめでしたね。
圭吾:中に(赤いシャツを)着てるからね。…バレバレだよね(笑)。ピチピチとした大学生を目指したんだけど(笑)。
-激しい動きや出ずっぱりの場面が多かったですが、あまり汗は見えませんでしたね。
圭吾:うん。汗だくなのは最後だけ。最後に「客」が縛られて入ってくる、あそこはもう暑くってしょうがない。コート着てるし、不自由だし、客席もあったまってるんで、 あっついあっつい。もう汗が入って目、開けられないんだもん。 痛い痛い。でも手で拭けないから、あれはしんどかった。
-台詞も長かったですね。
圭吾:もうなにがなんだかわかんなくなるわけですよ。苦労しましたよ…縛られてるし、不自由な中で何かをするっていうのは、大変ですね。
-「客」は「死と乙女」のキャラクターにはなっていないんですよね。
圭吾:そう、あそこは「客」ですよ。客が「変なホテルに迷い込んじまった」っていうところです。
-あのあたりからは映画のパロディというより、「客」にシンクロしながら観ていくと楽しめる感じですね。
圭吾:うん、そうだね、演出家もそういうことを言ってました。ホントに、観ているお客さん側が「客」の心情。だから「客」が「あぁ?」って思うときは、観てるお客さんも「あぁ?」っておんなじように思えれば、笑いがおきる。
-「俺がいるからお前がいる」の曲はカッコよかったですね。
圭吾:あの曲はすっごい苦労した。もっと面白くならないかって、さんざんああでもないこうでもないって作っていきました。
-消去されそうになって、インベーダーゲーム風に逃げる振りが良かったですね。
圭吾:適当に動いてたら、なんか、ゲームみたいだね、ってことになって、稽古場でちょっとやってみたら「それやろう」と。「音も入れよう」って、インベーダーの音を入れてくれました。縛られてると、横動きぐらいしかできないんだよ。前は難しいから自然に、ああいう動きになりました。
-千秋楽だけ「お金がジャンジャン」の曲を使ったフィナーレがありましたね。
圭吾:当日に「やりましょうよ!」っていうことになって。 やってみたらみんな、できちゃった(笑)。振りが体にしみこんでいるもので。 やれてよかったです。
-「ダウンタウン・フォーリーズ」全体のご感想を。
圭吾:ホントに、いろんなことがやれて、芝居の勉強になりました。