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Current News 3 May,2008

 

Tam Biet

2008年2月に上演されたTSミュージカルファンデーションの「タン・ビエットの唄」についてのインタビューです。

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-「タン・ビエットの唄」ではハイン以外にもいろいろな役がありましたね。
圭吾:そうだね。ホント出ずっぱりだった。早替えばっかりだったけど、 いろんな役をやれるんで面白かったです。
-今回の公演でよかったことはどんなことでしょうか?
圭吾:昔の劇団の先輩たちとやれたので。またそこの劇団にいるかのような、錯覚がありましたね。
-懐かしいと思うような瞬間はどんな時でしたか?
圭吾:それはやっぱり、絡んでるときだね。お互いにぶつかりあえるっていうのが。ぶつかって行って、それ返事がちゃんと返ってくるし。そういうことができるところが、同じ釜の飯を食った仲間だなと。逆に、遠慮をすることがすごく失礼だと思うし。だから、むこうも遠慮しないし、こっちも遠慮しないし。本当に、作品を良くするために、ぶつかり合っていくっていう…そういうことがすごく楽しかったです。
-音楽座時代に築いたものが生かされていたのでしょうか。
圭吾:そういうところは凄く大きいと思う。でも、理想としてはどこへ行ってもそれができなきゃいけないんだよね。全て、こういう形でやってみたいなと思いました。
-畠中さんとの掛け合いは、稽古場からそういったやり取りがあったのでしょうか。
圭吾:うん。…最後の掛け合いのところは、畠中さんが「俺は決めたくないんだ」と。決めたくない。だから、最初のうちは、どう転んでもいいから「心と心がぶつかり合う」っていう基本のところをまず作っていった。きっとそれは、あるところでやっぱり畠中さんが自分のことを信じてくれてるっていう部分もあったと思う。どんな風にやってもお話がちゃんと見えるように…っていう、お互いの信頼感があるから。全力でぶつかれた。…まあ元々そういうシーンだからね(笑)。
-ハインとトアンも、まさにぶつかり合っているわけですね。
圭吾:そうそう。お互い遠慮なくやってたから、本当に面白かったです。 なかなかああいう経験はできないよね。また、ぜひご一緒したいです。

-シクロの人はどんな役作りを?
圭吾:うさんくさい感じを出したかった。
-あの人もシクロの運転手なんですよね。
圭吾:もちろん!俺のシクロ号は、裏にある。みんなそれぞれ持ってるシクロはあるけど、あそこでは一台しか出てこない、っていう。ホントだったらもっといっぱいのシクロで、ぱぁーっと登場したかったな(笑)。
-稽古場ではあのシクロに乗ってみたのでは?
圭吾:もちろん(笑)。大きいから、重いんだよ漕ぎ出しが!そりゃスピードに乗っちゃえばいいのかも知れないけど、動き出すまでが。人乗っけたら、坂道なんて絶対無理だね。
-あの帽子とサングラスはご自分のものですか?
圭吾:いえ。小道具置き場にあったんで、「あ、じゃあこれとこれ」
-おかわりをするところで、売り手の女の子にお金を投げて、スローモーションが終わる瞬間にキャッチする…というやり取りがかっこよかったですね。
圭吾:カッコいいよね!俺たち、その瞬間「見つけた!」と思ったもん。このタイミングだ!っていうのを見つけて、お互い嬉しかった…ひとつになった日がありましたよ(笑)。 あの子は、幼いフェイをやってた子だからね。

-バンメトートの戦いでは、ハインとは別の兵士なのですよね。
圭吾:そうそう。旗ふり、綺麗に振るのは難しいね。できるかぎりゆっくりしたいんだけど、スローモーションにするときは難しかった。あんまり遅すぎると旗が落っこちてきちゃうし。
-ああいった場面では、メインキャストの方も総出演なのですね。
圭吾:そう。総出演だよ(笑)。戸井さんは、お坊さんの場面に出なきゃいけないからいなかったけど。いちばんはじめのシクロのところは(ミンの準備で)宮川さんがいなかった。で、(ダナンの)お面のところは、俺はとっとと退場してハインの準備をしていた。もちつもたれつ(笑)。
-剣舞の人はどういう立場の人なんでしょうか?
圭吾:結婚式のお祝いで、みんなで行列していると。寺院で働いてるんじゃなくて、あの人たちに呼ばれたんだよ。お囃子隊みたいな。(笑)普段は普通の仕事してるんだよ。普段は鍛冶屋とかやってて、ああやって呼ばれると出てくる。稽古の時は、その後のお祈りしているシーンにも出てたんだけど、せせこましすぎるっていうことで、人数が減って出ないことになった。あのシーン、けっこう好きだったんだけどね(笑)。心が洗われる感じがあって、すごくよかったんだけどね。なくなって残念でした。
-一幕ラストでは、みんなが白い衣装を着て立つ場面でしたが…。
圭吾:「泣かないで」の竹林を思い出す(笑)あの白いのは「さまよう霊たち」なんです。戦争で死んでいった、さまよう霊たち。

-「もしも自由を」の踊りは相当練習されたのでは?
圭吾:うん、練習した。あの棒、重くてたいへんなんだから(笑)。当てたら相手が怪我するし。すごい気をつけたよ…「熱くなりすぎない!なりすぎない!」(笑)
-ティエンが「私はみんなが好きです」という場面では、ハインもドキッとしている部分があるのでしょうか。
圭吾:あるある。ハインも好きだからね!…影ティエンファン。
-ティエンとのかけあいは少なかったですが…。
圭吾:土居さんをリフトできたから悔いはない(笑)。バク転させるとこがやれて良かったです。降ろしてこっちむいた時に、土居さんが笑顔で「イエイ!」って言うんだよね(笑)。

-ハインはトアンよりかなり若いのでしょうか。
圭吾:うん。まああの五人の中なんだったら一番下だろうと。そういう設定で俺は作ってました。
-過去を話す場面でも、回想シーンでは幼い口調で、今のハインとは違う感じの語りでしたね。
圭吾:稽古の最初の頃はあの衣装(軍服)を着てても、現在のハインの雰囲気でしゃべっていたんですよ。でも、なんか気持ち悪くて収まらない。謝先生とも相談して、じゃあ、過去のハインの話し方でしゃべろうと。そのほうがしっくりくる感じがして。ただ、本当だったら現代のハインが話している部分だからね。観てるお客さんがごっちゃにならないといいなと思って、そこは気をつけていました。

-ティエンの子供を抱いて出て行くとき、4人それぞれと目を合わせますね。
圭吾:うん。みんな的には「その子をよろしく頼むよ」っていう、俺とのお別れじゃない、その子とのお別れ。でも俺にとっては、みんなとのお別れだから。
-ジャングルの中で帽子を捨てる動きはもともと決まっていたのでしょうか?
圭吾:そうだよ。帽子を捨てるっていうことで、もう俺は脱走するという決意を見せる。
-もう少し、タオとの場面が見たかったですね。
圭吾:ああ、俺も見たかった。「タン・ビエット」をタオに歌い聞かせてるシーン。それを、現代のタオにつなぐ…タオが出てきて最後に「母がいつも歌っていたそうです」っていう言葉しかないからね。
-いろいろなことを想像させる作品になりましたね。
圭吾:うん。この作品に出会えて、本当によかった。そしてあのメンバーでやれたことがすごく良かったです。これからもがんばっていこうと思いました。

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