ジッパー仕様
Current News 7 Nov,2009 Current News

 

done.

2009年7月から9月にかけて上演された「ダンス・オブ・ヴァンパイア」再演についてのインタビューです。

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-三ヶ月通してのご感想を。
圭吾:できるかぎりのことはした感じ。毎回、出し惜しみせずにやれてよかったなって思いました。終わったときに、ほっとしたよ。
-再演にあたって大事にしたのはどんなところでしょうか?
圭吾:初演の時も思ってたのかも知れないけど、今回ずっと毎日大事にしてたことは、「これはコメディではなく、カルトミュージカルだ」っていうところ。そしてアルフレートがいろんな人たちと出会って成長していく物語である、ということだね。そこは毎回、肝に銘じてました。その中で何ができるか、っていうことをいつも考えてましたね。そういうカルト的なところが一番、出せる場面って僕のところだと思うんですよ。人間的にふるまって、その曲の中で「もう我慢ができない」で「噛みたい」っていうところを表現できるのって、あのお風呂場のシーンの曲だと思うんだよ。欲望とかそういうものに、正直にっていうか、その「本能」がそうさせてしまう、っていうのが出せるのはあの場面だけなので。そういうことが、きっちり出せるようにっていうことを考えて、毎回やってました。

-今回も、登場場面が印象的でしたね。
圭吾:やっぱり「この世のものではない」的なものを出したいですよね。行動とか、言葉とかではなく、「人間ではない」その雰囲気をね。最初に入ってくるところが俺は一番大事だと思ってるから。パッと見ただけで、なにも喋らずにただそこにいるだけで、ああ、あの人、人間じゃないんだな、っていうオーラが出せてればいいなと思いますね。
-バスルームの登場場面はいろいろありましたが、その後のポーズの戻し方も良かったですね。
圭吾:たいへんなんですよ、制約が(笑)。とにかくあの(バスタブについた)泡みたいなのに触れるとバキバキ言うから、あれにはふれたくないわけですよ。で、ふちにつかまろうと思っても泡があってダメだし、でも足下は、こっちにもこっちにもシャボンマシーンがあって、そんなに動けないし。その中で、できることをやった感じです(笑)。
-千秋楽はバスタブの中ほどから伸び上がっていく動きでしたが…。
圭吾:浮いたように見えたでしょ(笑)。「なんか美しくてゴージャスで、そういう出方がしたいんですよ」って阿知波さんと話してたら「なんかこう、浮いていく感じがいいよね」ってアドバイスしてくれて。じゃあバスタブに入る時の踏み台をうまく使って、こういう風に出て行こう…ってやってみました。

-「父上に言いつけてやるからな」の台詞は最初はなかったですが、シーンにはまりましたね。
圭吾:そうだね…いろいろやってみた中で、「次につなげていく台詞のほうがいいな」っていうところで落ち着いたんですよ。次の場面で父上が出てくると、親子のつながりがみえるじゃないですか。父上が出てくるきっかけにもなるし、お客さんも「言いつけてやるっていってるよ大丈夫なの」「ああ、やっぱり父上が出て来た!」みたいなワクワク感があるんじゃないかと思うんだよね。 そうするとお芝居の繋がりがよくなるんじゃないかと思って。
-博多千秋楽のバスルームで教授とアルフレートと三人で「人間十字架」になってしまったのにはびっくりしました。
圭吾:あれは稽古のときからやってたんだけど、「いまいち良くないな」って言ってたんです。「でも、三人でやったらには面白いな」って言って三人で企画した(笑)。「こんな感じで」って口で打ち合わせだけして、本番でぶっつけ(笑)。
-教授との勝負もいくつかパターンがありましたね。
圭吾:「斜めに見ればバッテンだ」もかわいいよね、あほらしくて(笑)。他にもいろいろ考えたんですけどね。
-お蔵入りになったネタも多かったのでは。
圭吾:うん。でも、そんなもんですよ(笑)。「どうやってあそこのシーン締めようか」って、禅さんと去年の「レベッカ」の楽屋からずーっと悩んでました(笑)。

-舞踏会の場面で大事にしたところは?
圭吾:あくまでも父上とサラのシーンだからね。そこが際だつように心がけてました。
-アルフが紛れ込んでいるのには気づいているのでしょうか?
圭吾:うん(笑)気づいてますよ?ずっと。
-執拗にダンスに誘うところも面白かったですね。
圭吾:「…いこっ!…いこっ…!」っていうところを、安部ちゃん(安部誠司さん)が持っていくと(笑)。人が行き来してるから、僕はひっぱられるまで向こうへは行けないんですよ。まず誰かが通った後に、安部ちゃんに俺を呼びにきて引っ張ってもらわないと。それまでに時間があるわけですよ。この時間の埋めかたがなかなか難しいんですよ。
-教授たちが舞踏会から逃げ出そうとする場面では、ヘルベルトがちょうど教授の正面で威嚇しあっていたようですが…。
圭吾:そうだね(笑)。(バスルームで)俺が「ばーか!」って帰ったから、こんどは、教授のほうが「ばーか!」って。で、俺は十字架はできないんで指一本立てて(笑)。
-十字架につっこんでいくのは、父上を助けようとしてるんですよね?
圭吾:そうだよ。でも(十字架に触れて)「びびびびび」ってなってるのがけっこう面白くなっちゃって、「あひゃひゃひゃ」って笑い出しちゃう(笑)。あの感覚が苦しいんだけど、面白いっていう。

-フィナーレの衣装が変わりましたね。
圭吾:今年は皮パンだったんだけど、足が汗でくっついて大変でした。 前半は、よく踊ってる最中にベストの前が取れちゃった。一度取れちゃったらもう(爪が長いので)つけられない(笑)。あとで、とれないようにしてもらいました。
-首にかけていた鎖は重かったのでは?
圭吾:重いですよ。重いし、たまに歯とかに当たるとむっちゃくちゃ痛い(笑)。袖のところも皮がべろんてなってるから、人に迷惑かけそうで危ないんですよ。当たっちゃわないように、ずっと気をつけてました。
-ヘルベルトをやっていてよかったと思うところを教えてください。
圭吾:「歌って踊って」っていうことができたのが良かったですね。「ダンス・オブ・ヴァンパイア」ですからね(笑)踊らないと。最後のみんなが踊ってる顔とか見てて、こんなに愛される作品に出られて本当によかったって思った。
なかなかこんな、人間離れしたような役もそんなにないじゃないですか。それも、ありがたいですよね。こんなこともできるんだっていう自分の可能性も広げてくれました。
-やりきった三ヶ月でしたね。
はい。ぜんぜん、悔いはないです。

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