Teammate
2013年3月の「ウェディング・シンガー」についてのインタビューです。
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◆目次
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-脚本を初めて読んだ時の、サミーの印象はいかがでしたか。
圭吾:「一所懸命生きてるな」って思ったよ。何の疑いもなく、ポンポン表現してかなきゃいけない、きっと深く考えることは必要ない、って思った。
やっていく上で大変だったのが、テンポ。山田さんが「この話はテンポが大事だから、どんどん飛ばして。だららららら!って、 四行あるところを一行で言ってる感じにして?」って。だからとにかく、テンポを追求しました。テンポってすごく頭を回さないといけないから、疲れるんですよ。 相手の言葉を聞いてすぐ出す、すぐ出す、すぐ出す。その集中力を出していくのが大変でしたね。稽古の最初のうちは、 少し考えながら台詞をしゃべるんだけど、その「考え」が瞬時に出て来るようにしなきゃいけない。 そこへたどり着くまでが大変だった。台詞も長いしね。最初のほうの「18日にパラマスでバンドコンサートがある…」とか。
-一連のやりとりが、音楽のようでしたね。
圭吾:うん。バンドマンですから(笑)。
-「面白いんじゃねえよ、エロいんだよ」の言い方はなぜああなったのでしょう。
圭吾:最初からだよ。稽古場でやってて「お客さんがわかるように『エロいんだよ』はちゃんと言って」 って言われてたから、ちゃんと言ってました(笑)。みんなにわかってもらえるように、ニュアンスを出して。
-ジョージが持っていたブーケを蹴飛ばすところ、打ち上げ公演ではリフティングに発展していましたが…。
圭吾:たまたまです(笑)。千秋楽の神様が降りた。たまたま、上がっちゃったんだけど…「そんなに引っ張るか!」と思いました(笑)。
-三人の雰囲気はどのように作って行ったのでしょうか?
圭吾:普通に作っていきました。二人はもう、何十回もやってきてるからね。その中に俺が入って行ったわけだから。でも、ちゃんと「友達」な感じに、幼なじみに見えたんじゃないかと思います。
-「バーニング・センセーション」の頃は三人ともパンクファッションだったのですか。
圭吾:そう、ジャラジャラでしたよ(笑)。…名前変わっちゃったんだよなー。
-「ハッピー・ニュージャージー」ですね。
圭吾:ヘビメタに飽きちゃったみたい、彼は。疲れるから(笑)。きっと、バイトでウェディングシンガーやってみたら、はまっちゃったんだよね。でも、このバンドはここじゃ、まだ終われないんだよ。
-今回、ベースが初めてとのことでしたが、弾けるようになりましたか?
圭吾:一曲、弾くのは無理ですね。一番はじめの曲は途中まで弾けるけど。でーでーれれれれってーん…イントロはできるようになった。ベーシストの人に教えてもらって。
-ギターとは違った苦労があったのでは。
圭吾:そうだね。(ネックが)長いから、取り回しが大変なんだよ。ユダヤのシーンとか、みんなと距離が近くなったりすると、 ぶつかりそうで怖かった。
-リンダの手紙の場面、サミーが着ている服は正装なんですよね。
圭吾:そう、我らの。ジャケットもズボンもジョージと同じで、 着こなしが違うだけだから。ちゃんと洋服の青山みたいなとこで買ってきた(笑)。でもブーツインなところがサミーっぽくていいでしょ。
-「ぽーてーとー」のマイクチェックはなぜああなったのでしょう。
圭吾:台本どおりですよ!「寒いなー…でも、この空気にさせちゃうのがサミーだろうなー…」と思いながらやってました。「サミー的にはこれで合ってるんだろうなー…でも吉野圭吾的には耐えられないな…」(笑)。
-サミー的には楽しくなっちゃったんでしょうか。
圭吾:いや真剣ですよ!"POTATO"っていう破裂音で、高音から低音までちゃんとハウらずに鳴るかチェックしなきゃいけない。真剣真剣。
-ドナテラの結婚式では最初はハラハラしていたのに、途中から曲に浸りきっていましたね。
圭吾:「もうやっちゃえ!」って演奏し始めたら、だんだん楽しくなってきて。乗っちゃいました…マイケルジャクソンの「スリラー」やったり、遠吠えしたりしながら。
-ジョージの叫び声が響くところで、下からライトに照らされている絵がカッコ良かったですね。
圭吾:そうそう、ジョージが叫んだ後「あ、このサス(ライト)空いてんじゃん」アオーン…てやってる自分が、しょうがないなと(笑)。
-ドナテラに襲われながら「ロビー!」と叫んでいましたが、ああいう時はロビーが助けてくれるものなのでしょうか?
圭吾:ジョージは助けてくれないでしょう(笑)。マイクには入ってないと思うけどドナテラに 「奥さん!奥さんやめましょう!」とか言ってました。「奥さん、まあ落ち着いて!奥さん!奥さん!まあ落ちつい…っ! …ロビー、助けてくれロビー…」。最後は「覚えてろーっ」…そんな感じでしたね。
-ユダヤの場面、頭のビンのアイデアは?
圭吾:山田さんと「なんか、ユダヤっぽいのないですかね」って話してて「…ボトルダンス?」…速攻、作ってもらいました。
-ジョージとのアテレコ風の口パクは自然発生でしょうか。
圭吾:そう(ジュリアの)「飲み物いらない?」からね。…こっそりやってようと思ったのに、ばれてました。
-「サタデーナイト・イン・ザ・シティ」は、入ってくるところから大変なテンションでしたね。
圭吾:だって田舎者が都会に出てきたわけだから。「すっげーぞこれ!」って。初めて原宿に行った感じ?
-ニューヨークはリッジフィールドからは近そうですが…。
圭吾:あんまり、自分の街を出たことないんだよ。基本、田舎者だから(笑)。井の中の蛙だから…あんなノリノリで「待ってろよ女ども、俺が行くのを」とか言っときながら、最後は撃沈だからね…「来るんじゃなかった…」
-二幕でパーティの飾りつけを持ってくるところでは、懸命に気持ちを立て直そうとしているわけですね。
圭吾:そう、かなりがんばってる。「これでどうだー!」…でもとうとう怒っちゃって「なんでいちいち俺のこと…」ってなる。
-ホリーが歌う「すぐ目の前に」で目指したのは。
圭吾:マンガチックに。そして古くさく、昔の踊りっぽく、ださーい感じで。男たちが出てきて、一人一人決めポーズするところでも、(両手両足を広げて)「俺の決めポーズはこれだ!」と。あれがサミーにとっては最高の決めポーズなの(笑)。…あの曲、意外に疲れるんだよね。袖でぜーぜーしてました。
-サミーの時系列では、「俺も期間限定なんだよ」の後は「シングル」なんですよね。
圭吾:そうだよ。…急な展開だよね。あれでロビーを許せちゃうんだ、と。でも自分の嫉妬よりもたぶん、彼を心配する方の気持ちが勝ったんだろうね。
-「いい加減立ち直ってくれよ」と。
圭吾:そうだね。ボーカルいないとバンドできないし(笑)。
-ロビーにお酒を、派手に吹きかけられていましたね。
圭吾:うん。稽古場で「俺にもかけて?」って言ったの。
-「シングル」で特に好きな瞬間はありますか?
圭吾:なんだろう…好きとか、そういうんじゃないんだ。でもロビーが「嫌んなる気持ちわかってきたー!」って歌ってる、横で踊ってる時が好きですね。
-ロビーの家にスケートボードで滑ってくる場面では、バランスが難しそうでしたね。
圭吾:難しい。引っぱってもらってるから、両足で乗ってるぶんにはいいんだけど、片足になったりすると持ってかれるんだよ。同じ力でウィーって動くわけじゃないから。
圭吾:そうそう、壁があった(笑)「…あぶな、あぶない!」本当はその後、絆創膏とかつけて出たかった。
-千秋楽、滑ってきたポーズはスーパーマンですか?
圭吾:それっぽいね。とりあえず俺(サミー)はスーパーマンが好きだからね。
-ロージーの金婚式の場面、ロビーとのやりとりは何を話していたんでしょうか?
圭吾:ロビーが「サミー、どうしよう」っていうから「ごめん、どうにもなんねえよ」って。「悪ぃな」とか「だめだな」とか…で、ホリーのとこへ行って(肩を抱こうとして)「あーっ、またやっちゃった俺、ごめんなさい、すいません、わりぃ、触らねえよ」…って。…あそこに立って見てると、(アーノルド)じいちゃんがまた、いいんだよね…味がある。素敵ですよ。
-出ていくとき、ロビーに「乗れよ」と言うようにバサッと上着を鳴らす仕草が良かったですね。
圭吾:あれいいでしょ?芳雄君が「サミーに乗ってくってのはどう?」って言うから「やってみようか。じゃあ、これでどうだ」って。「じゃあ、次に登場するときはホリーが乗ってよ」って。…ほんと、おんぶとか好きだよね!あの人たち(笑)。
-空港でロビーに「ありがとう!」とキスされる流れはもともとですか?
圭吾:稽古場からやってたね。最初はほっぺだったんだけど、俺が「向いてみたらどうだろう?」と思ってちょっと顔を向けてみた(笑)。
-「さっさと行けよ」の言い方が良かったです。
圭吾:ちょっと照れてんの(笑)。
-ホリーと半年前に別れたきっかけは何だったのでしょうか?
圭吾:きっとサミーがふられたんだろうね。ホリーはお金持ちが好きだからさ。「あんたとはやってられない、きっと白馬の王子がいるはず!」
-ラストは結婚式ですが、サミーたちも結婚式を挙げたのでしょうか?
圭吾:あのあと?そりゃどうかな!(笑)結婚はまだ、しないね!
-誓いの言葉を捧げていますが…。
圭吾:愛を誓うっていう"I do." 結婚するっていうわけじゃないから。俺たちにはまだ、やることがいっぱいある。夢がある…来年こそバンドコンテスト行かなきゃ。バーガーキングには戻らないからね!
-サミーは、アルバイトではうまくいっていたのでしょうか。
圭吾:店長までいった(笑)。いい仕事してたんだよ、だから嫌なわけよ。「違うんだよ、こっちじゃないんだよ…」で、まだ悪あがきしてるって感じだと思います。今はもう、バーガーキングには行ってない。戻りたくないんだよ。
-エンディングの結婚式にはそっくりさんが全員出てくれていましたが、場所はラスベガスで?
圭吾:違う、地元だよ。地元まで、あの人たちが来てくれたんだよ。いつものあの(Touch and Glassの)看板出てるでしょ?空港のお姉さんも来てくれたんだね(笑)。
-「ウェディング・シンガー」で一番、好きな場面はどこでしょうか。
圭吾:だから、そっくりさんですよ!すべて、あのシーンのためにやってるんだよ。時間が足りなかったら、俺たちが巻く。 たっぷりやってください!…って思ってました。
-こんなに、出演者全員に光が当たる作品も珍しいですね。
圭吾:そうだね。また、縁があればぜひ、ご一緒したいです。