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2014年の春から秋にかけて上演された「レディ・ベス」、6月に行われたライブ「TOY BOX 5」についてのインタビューです。
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のれん ■「TOY BOX」
-6年ぶりのライブ「TOY BOX」でしたが、ご感想は?
圭吾:面白かったですね。 ミュージカルもやったし、参加型もやったし、盛りだくさんでやれてよかったです。 みなさんの協力のおかげですよ。
-オープニングから凝っていましたね。
圭吾:最初には映像を使いたくって、曲は「カルミナブラーナ」で行くことはまず決めてた。あの緊張感(笑)。 しょっぱなはポンポンポンと行きたかったから、 「TOY BOX DAY」やって「エデン」やって。どういう風に繋げるのがいいかなっていうのは悩んだね。
-字幕も良かったですね。「あの頃は若かった」とか…。
圭吾:あれはシゲが考えてくれた。さすがですね。
-「さあ君が主役!」は参加型にぴったりでしたね。
圭吾:そうでしょ?でも今回、そんな強烈な参加なかったでしょ(笑)。…みなさん、参加してくれてよかった。 「森の熊さん」もみんな、よく歌ってくれたし。もうちょっと渋るかと思ってたんだけど「あるーひ」って振ったら(すぐ客席から)「あるーひ」って来たからね!ホント面白かった。

-ミニミュージカルは絶妙でしたね。
圭吾:一番最初に、ミュージカルっぽいのをやりたいな、と思ったときは「いよいよカオナシか?」と思ってたんだけど。 カオナシが主人公でなんかできないかなって、考えて。「でも、カオナシしゃべれねえしな…」
-「ドラえもんとドラえーもん」はどこから思いついたのでしょうか。
圭吾:最初、映像で「ドラえもんの歌」をやろうと思ったんです。 で、総タイツを作ってみたの。市販の青い総タイツに、ポッケとか白い部分をつけてみたら、これが良くて。 「これ、映像だけだともったいないなあ!」って思って。「これ…これでやろう、ミュージカル!」
-「闇の中」など、のび太とドラえもんの関係にはまっていましたね。
圭吾:切なかったでしょ?光の中に導こうとしてるんだよ!その思いがね。 お別れの日、ホント泣けてくるあれ。「さよなら」って言ったときに「うぅぅぅ!」(笑)
-波の音から「レベッカ」を連想したという感想もありました。
圭吾:それ、いいなあ…マンダレイの「ちゃーらーらーらーらーら」からジキハイの曲の終わりにもっていけばよかった。
-特にこだわったところは?
圭吾:「いかにマジメにやるか」その中で、例えば手袋が脱げるとか「殴られるの嫌いじゃないから」とか、そういうのを散りばめる。 やりすぎもよくないし、ふざけたくはなくって。 そして起きてることが、リアルでありたい。「生きてる」芝居でありたい。
-演奏の宇賀村さんが「ミュージカル本編並に緊張する」とおっしゃっていましたね。
圭吾:うん。疲れました。本当にミュージカルやってる感じだった。

-カラオケボックスの映像について。「鬼太郎」の街中ロケはかなりのインパクトだったのでは。
圭吾:(麻尋さんの)猫娘はぜんぜん平気だよ、普通に可愛いじゃん!どこ行っても「猫娘可愛いー」って言われて…問題はシゲと俺だよ。
-公園や喫茶店などで、相当、目立っていたのでは。
圭吾:うん、モテたもん。俺たち三人でボート乗ったら、みんなボートで近寄ってきて「一緒に写真撮ってくださーい!」 工事で作業中の人たちも「鬼太郎だ!鬼太郎だ!」って(笑)。みんなから呼ばれて、手ふったりなんかして…あ、コスプレってこういうところが気持ちいいのかな、こういうのにはまるのかなあ、と思いました。
-キャラクターもはまっていましたね。
圭吾:すばらしかった猫娘。無表情でピッと木から出てくる、あのセンスがすばらしい。でも俺はキャラ作りがちょっと甘かった。リモコン下駄とか、髪の毛針とか、ちゃんちゃんこ投げるとか、…もっとやれた。鬼太郎のキャラを深めて行けば良かったなと思って…悔しい。
-映像で最初に撮ったのは冬の「クリスマス・イブ」ですよね。
圭吾:「レディ・ベス」の前だからね…。雪山に撮影に行きました。3時ぐらいに到着してそれから、雪かき!夜、撮るって言ってたんだけど「いや、もう無理だ、飲も!」…で、朝まで「TOY BOX 3」のビデオ見て、大盛り上がりして、寝たの7時で。10時に起きて、撮影しました。
-「学園天国」は大人数でしたね。
圭吾:ジャンクション総出演。…HEY!HEY!HEY!で「塀」が出てたの、みんな気づいてるかなあ(笑)。HEY…!のワンカットが、「塀」で猫が居て、こっちを向いた。その塀に気づいてもらいたい。
-「民衆の歌」は大変な豪華キャストでした。
圭吾:ね。ホント、ありがたいですよ。楽屋に来てもらったり。稽古場に撮りにお邪魔したり。みなさんのお陰です。そしてシゲの編集とね、ホント、すばらしいね。

-今回、作り上げていった中で、特に感じたことは?
圭吾:みんなで絡んだりする歌や、ミュージカルの部分にこだわりましたね。何回も練習してもらったし、計算したし。演出家って大変だなって思いました…どうしたら、このニュアンスわかってもらえるかなっていう難しさを、実感した。 ミュージカルをやってて、「レディ・ベス」にしても、他の作品にしても。 人に「こうした方がいいんじゃない」って言うことが、最近はよくある。 きっと、外見じゃなくて中身なんだよね、どういう心持ちでいるから、その動きになるのか、っていうことが、俺たち役者にはすごく大事なんですよ。 こうなってこうなって、こういう感情が芽生えて、でもこういうキャラクターだから、こういう表現なんじゃない?…っていうことをちゃんと話さないと、人には納得してもらえない。 そういうことが増えてきてたから、ライブで演出することにも、すんなり入っていけました。 スタッフにしても役者にしても、前よりはきっと、いろいろわかっていただけるようになったんじゃないかと。
-時期は分かりませんが、次の「TOY BOX」が実現したら、何をやりたいですか?
圭吾:ここまで来たから、今回を超えるものをやらなきゃいけないよねー(笑)。そこが問題ですよね。映像もあれだけやっちゃったし。

■「レディ・ベス」

-半年間の長い公演でしたが、ルナール役で特に大切にしたところは。
圭吾:一番、大切だなと思っていたことは、あくまでも「中立」でありたいってことですね。誰かに感情を移入するとか、そういうことは絶対なく、やっぱり客観視できる目をもってあそこにいられたらいいな、ってずっと思ってて。 「ベスを消せ」に関してもそう。あれは司教に行動させるための手段だし。 「ベスを消せ」で初めて、ちょっと裏の顔が出ればいい、それまではあまり爆発せず、ずっとこらえているほうが面白いな、と思ってました。
-個人や宗教というより、自分の仕事に忠実なイメージですね。
圭吾:そうだね。国が良くなればいいからね。そのために動いている人、っていう役割が果たせればいいんじゃないかと。
-チーム・スペインとして、こだわったところはありますか。
圭吾:みんなで、いかにスペインらしさを出すか、ていうとこにこだわりましたね。「クールヘッド」もバカ騒ぎはバカ騒ぎでも、単なる若者達のバカ騒ぎじゃなくて、ラテン系の熱いバカ騒ぎがあるんじゃないか。そういう方法があるんじゃないかって。単にフゥ!とかYEAH!とかじゃなくて…って思うんだけどどう思う?って聞いてみたりして。
-フェリペとの関係ですが、物語の中でも変化があるのでしょうか。
圭吾:身内でいるときと、他の国でいるときの反応はそりゃ違うよ。だって一国の王子だから、立てなきゃいけないしさ。でも彼は弱味を、俺に握られてる(笑)。そういう関係性を、二人のときは、出せればいいなと思ってました。

-「部屋に入ってくる」という登場の仕方が多かったですね。
圭吾:それぞれ上手だったり下手だったり違うんだけど、だいたい怒ってる(笑)。
-「ベスを消せ」で入ってくる時もかなり怒っていますね。
圭吾:うまく行ってないんだもん。「お加減はいかがですか」って。「先週はご気分が優れなかったと聞きましたが。」は嫌味ですよ。で、別に心臓の話なんて聞きたくないから「猊下からお呼び出しを頂いた、ご用件は」って。
-メアリーに対しては、少しは優しい思いがあったのでしょうか?
圭吾:いや、思わないでしょう。でも彼女に親しく接してる、「なんであなただけタメ口?」みたいな、そういう立場を表現したい、と思ってました。 だって彼女こそ、みんなに操られなきゃいけないでしょ。「女王様、こうしなきゃいけません」みたいなさ。 いろいろ、みんなの口ぞえがあって「そうね、そうね」って振り回されなきゃいけない。 そうして行かないと彼女の最後の歌は生きないからね。ベスとの和解のところのメアリーの独白がさ。
-和解の場面はフェリペ同様、ルナールも立ち聞きしていたのでしょうか。
圭吾:してたね。あのすぐそばに俺、立ってたからね(笑)。

-最後の去り際に、クールヘッドの仕草をするときの心持は?
圭吾:俺の中では「この頭脳を、これから使うぜレディ・ベス」っていう意味。王子に対して指を差すんじゃなくて、「イギリス!」…っていうところですよ。
-あのむこうにイングランドの玉座がある。
圭吾:そう。俺の中では、「イギリス…!」
-王子は結婚式で同じ仕草をしますが。
圭吾:そう、「ここ(頭)を使えよルナール」みたいなことを言われて。
-その仕草を、最後にあえて「スペイン」として使うわけですね。
圭吾:そうそう。俺はそう思ってやってます。 「…みてろよイギリス!」確実に「イギリス」に見せたくて、いろいろ試行錯誤して、最終的にああいう形になりました。

-博多公演の最初に、それまでいくつか追加された仕草などを「そぎ落とす」という過程があったそうですが、どのように変えていったのでしょうか。
圭吾:帝劇や大阪でずっと公演しながら、後から付け加えていった部分で、無駄に感情が表れるようなところをやめたの。あと、心持ちを変えてみると、勝手にそこが排除されていく。中立、冷静、客観…っていうところを、しっかり持ってやると「ここは過剰だな、それはいらないな」っていうところが見えてくる。そういうところを捨てていった。でも、「ここはあったほうがいいな」って、また新たに思うところもあって、それは付け加えていった。
-例えばどのような?
圭吾:「王子の言うことは絶対」だから、グッとこらえる、とか。「釈放しなさい」って言われたときに「はい、やめます」…ここではやめます、っていうことが示せるといいなと。あとは、王子を守らなきゃいけない。だから(毒のシーンでフェリペに懇願する)ベスがダダッて駆け寄ったときに割って入るのも加えたし。…それはなぜかというと王子が隙だらけだから(笑)。でも、そこに割って入ることによって、あのシーン的には緊迫するかな、って思って。
-本質的に、ルナールはそういう立場なんですね。
圭吾:そうそう、守らなきゃいけない。どうしてもっと早く気づかなかったかなって…なぜかっていうと、以前は、ベスがババッて行っても王子がそっちを「見て」いたからなんだよね。それに、王子が反応しなくなった時から、勝手に自分の体が動いたの。俺の立場としては、行くべきだな、と。
-「赤のグラスは司教の杯というわけか」の瞬間の切り替わりも面白かったですね。
圭吾:「そうですね!」(笑)…「あ、そっちか、助かった」
-ガーディナーの反応がなければ、ルナールが上手に収めてくれたのではないかと。
圭吾:最悪、バン!てグラスを落として割ればいいでしょ。「失礼致しました」って。

-もし「レディ・ベス」にまた出会うことがあったら、やりたいことはありますか。
圭吾:何したいかな…今の段階では、やりたいことはやった。また次にやれることがあったら、その時にまた、相手と絡んだときに何か、新しいことがやれると思う。個人的にやり残したことは、ない。
-千秋楽のカーテンコールによれば、肩の狐は森に帰ったとのことで。
圭吾:そう。次は、熊もいいけどね。…うさぎもいいね。
-ルナールはその後、どうなったと思いますか?
圭吾:あのあと?どうなったかな…でもそのうちまた、戦が始まるでしょ。スペインに帰ってもがんばってる、次の手を考えてるんじゃないかな。


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