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2014年〜15年「モーツァルト!」五演目についてのインタビューです。
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VANSON
-ほぼ4年ぶりの「モーツァルト!」でしたが、お稽古での印象は?
圭吾:振付の時に「俺、こんなにやってたの?!」って思った。「そんなに踊ってる?…へぇー、大変」(笑)。今回、プラスしたとこもちょっとあるけど。
-「ちょっぴり」では女優に合図を出したり、細かい振りも入っていましたね。
圭吾:みんなでよってたかってモーツァルトを引き抜こう、入れ込もう、っていうことがテーマだから。それが明確に見えるようにしたいね、って言ってました。
-モーツァルトを見つけた時に「チャンスが来た」ということでしょうか。
圭吾:そうそう。「じゃ、例の作戦で」配置につけ、と。
-「ちょっぴり」も500回以上となりましたが、特に心がけたことは?
圭吾:今までもそうだけど「全力でやらない」っていうことですね。いい感じに力抜いてやる、っていうことがテーマだった。やっぱり力が入るんだわ。ガンガン踊っちゃうし、息がもたないし。曲が終わって袖に入った時に、ゼエゼエした時は「あ、今日は力が入りすぎちゃったな」って思う。

-プラター公園でヴォルフに囁きかけるところでは、なんと言っているんでしょうか。
圭吾:「おい見ろ、妖怪ネジ女だ。危ない危ない、キケンキケン」…「見ろ!」って行かせといて「ダメだ」って引っ張るっていう(笑)。ヴォルフが「ダメなんだ?!」ってなる。…なぜ止めるかっていうと「すべてはイカサマ」だから、なんだよ(笑)。
-ウェーバー一家とは顔見知りなんですね。
圭吾:知り合いです。俺、常連だから。

-「ここはウィーン」での立ち回りぶりが面白かったですね。
圭吾:今回の新しいところは、二幕頭の武内耕さん(ヴァーゲンザイル)との「いくらで譲る?」っていうやりとり(笑)。「高いっすよ?」みたいな。 モーツァルト君を見ながら「いいのを見つけたねえ」「でしょ?」(指で数字を出して)「コレで?」「いや、コレで」みたいな。そういう会話ができたことが楽しかったです。「コウさん、初めて絡みましたね」(笑)。
-曲中で使っているキューは「レディ・ベス」の「クール・ヘッド」と同じものでしょうか?
圭吾:おんなじ。「ウィーン」のキューが「クール・ヘッド」に行って、それがまた帰ってきたんですよ。

-「友だち甲斐」の「どうして」で「手」を出していたのは…。
圭吾:当て振り(笑)。「どうし『手』いるのか『と』」って行きたかったんだけど「と」は思いつかなかった。
-仕事中のヴォルフを楽しそうに邪魔していましたね。
圭吾:でも、あるとき、ヴォルフの譜面のところに「なべのうた」って書いてあったよ?(笑)

-「フランス革命チェイサー」で「お前は!」とジャンプしてヴォルフの頭を掴むところが追加されましたね。
圭吾:演出家が、そういうニュアンスを出してほしいって。「何やってんだァお前一人でやるな!やるんなら俺もまぜろ」みたいな。「一人でカッコつけんな」っていう風になるように、ああいう形にしました。
-「魔笛」の去り際も、ヴォルフにしっかり向き合う感じになりましたね。
圭吾:最初のころは観客を見て、よーしよーし!モーツァルトモーツァルトーって(拳を振り上げて)やってたんだけど、演出家に「そっちへいくより、彼に渡してくれる?」って言われて。で後半から、ヴォルフに「渡す」ようにした。

-アマデとシカネーダーの雰囲気も面白かったですね。
圭吾: アマデが見えることは確かなんだよ、シカネーダーにはね。きっと「一緒にやりたい」って思ってる。本当は居酒屋にもアマデは居てほしいぐらい。何か飲みながら、どっかの席に座っていてほしい(笑)。もしくは俺が座ってる横にいたりとか…すごくよくない?
-見えないだけで、あの酒場にもアマデはいるんでしょうね。
圭吾:それは、いるでしょう。いつもモーツァルトと一緒だもんね。きっとテーブルに座って書いてるんだよ。で、俺に刺激されて面白い曲をまた書き出すみたいな。モーツァルトが「よし、やろう!」って言うんだから、アマデもきっと、ひゃっほー!やろうやろうー…ってなってる。
もしくはアマデが、俺に会わせるためにヴォルフをあそこに連れて来るんでもいい。そんな存在であっても面白いよね。
-ヴォルフガングの「才能」と、シカネーダーの関わりという視点で見ると、興味深い場面ばかりですね。
圭吾:だからアトリエの場面で、「魔笛」の譜面を見たときに、そこには、アマデがちゃんと見える。名前はわからないけど、彼の才能というか中身というか、そこが見える、…っていうことは「アマデが見える」ていうことにつながっていく。そう思って俺は、あえてアマデを見てました。
ピアノの上で譜面を書いてるアマデが、フッと俺を見ることがあって。今回いちばん印象深かったのはそこですね。「このアトリエ集中できるよ」「よし!」って、俺が譜面を見て、譜面越しにアマデと目が合う。…なんともいえないんだよ…「え?見えてる?」「あー見えてるぜー」みたいな。
-公演の終盤ですね。
圭吾:突然、俺を見た。で俺、スイッチ入った。「ありがとう」って思いました。

-「Mozart!Mozart!」の立ち位置が過去より内側、中段になりましたね。
圭吾:うん、昇りました(笑)。いかにあの、狭い階段の上でなんとかするかを、計算しつくした。
-入ってくるところから見事な足運びでしたね。
圭吾:そのまままっすぐ行っちゃうんじゃないか、みたいな感じを出したかったから、下は見ない。
-フィニッシュも凄い迫力でした。
圭吾:そうだね。俺が一番ぎょっとしたのは、最後に「モーツァルト!」ってやって、バタッて倒れる後ろから俺がグッ!てやった時に、ヴォルフがガクン!ってなった時。何回かあったんですよ。「…はまった!!」 「なんて凄いんだこいつは」って思った(笑)。
-今期も、物凄いナンバーになりましたね。
圭吾:あの後、汗だくだからね。あれがいちばん、苦しいよ。「ちょっぴり」とはまた違う、気合が入る。残っている力ぜんぶあそこで出してる。そういうシーンだもんね。

-「影を逃れて」の問いかけで終わる部分は、今回も印象的でしたね。
圭吾:井上君も言ってたけど、「モーツァルト!」ってそこがすごくいいと思う。お客さんにも問いかけてるけど自分にも問いかけてる。
…外から見たことがないからね。どういう風に伝わっているかはわからないけど。
-いつかアマデ達がモーツァルトやコンスタンツェになったら。
圭吾:うん、杖ついて観にいく(笑)。

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