暗い舞台に、さっきの黒子さんによく似た人影が現われ、舞台中央に一台のプロジェクターを据え付けた。東山ファンお待ちかね、1年半ぶりに帰ってきた「お月様Brothers PART-II」のお目見えである。
*** あらすじ ***
それは月の輝くある夜のこと。深夜のドライブを楽しんでいたミュージカル俳優吉野圭吾さん(29)と東山義久さん(24)は、「段差注意」や「踏切注意」などたくさんの標識がかかげられた不審な道路にさしかかる。そこで彼らが目にしたものは…?!
*** FULL STORY ***
(詳しく知りたい方だけ読んでください。細かいから…)
プロローグ 楽しいドライブ
物語は「お久しぶりでございますー」と車に乗り込む東山義久くんで始まった。
繁華街を走る車の中、積もる話にふける二人。「エリザベート」のトートダンサーで大活躍中の東山くんの裏話とか(東山ファン大爆笑)、「BORN」の時の「シニカル」の東山くんのソロパート(「Ludi down down down Ludi 私を死ぬほど…」)を熱唱したりとか。ドライブは楽しく続いていった。
第一章 段差注意
「圭吾さん、段差注意っすよ。」
人気のない道にさしかかった二人の前に、「段差注意」の標識が見えてきた。
スピードを落とす車。突然、前方に何かが現れた。
段差、注意…だんさ、注意…だん、さー…
そこには、2人のダンサーの姿が。このネタ、冗談抜きで10年以上暖めてたらしい。
視界のすみっこに尖った物体がしずしずと現れ、やがて顔は「お月様」体は「総タイツ」の2人兄弟、月茂と月男の姿が闇に浮かび上がる。彼らゆっくりと数歩後退し、おもむろに合図するとリズムを取り始め、
「ひみつのアッコちゃん」のエンディング的なメロディの曲をアカペラで歌いつつ踊るのだった。歌はだいたいこう→「ツキ、ツキ、ツキツキー…ダッコちゃーん、ダッコちゃーん、ツキツキー」…………。
振りは、あれだ…回ったり突いたりダッコしたり、前回のビデオだと「それは『頭突き』やろぉ?!」って東山くんが突っ込んだあれとかをこう、歌に合わせていろいろアレンジして…だから無謀なんだよ、「お月」を言葉で説明するのは…。
顔を見合わせる車中の2人のショット。場内・大・爆笑。
第二章 族にも注意
気を取り直した二人のドライブは続く。
「この辺、暴走族とか出るらしいよ。…昔やってた?」「いや、僕はマジメっすから」「(んー?)」とか会話していると(この辺、二人の表情のかみ合わなさが異様におかしいんだが)、前方からY字バランスのキックボーダーが2人…!
さらにもう一周、抗争中なのか、一人がしゃがんで逃げるのを後ろから両手ぐるぐる回しながら追っかけるもう一人のお月さん…!!
スピード、手放し、そもそもお面、どこをとっても明らかに道交法違反の彼らを見送った吉野・東山ペア。果たして今のは族だったのか?
「2台、だった…」「ひとり、一台ずつ…」注:そりゃそうだ
「今の、族…?」「族でしょう、だって…」
同時に「ゾクっぽかった」と吹き出す二人、まだまだ余裕である。
第三章 踏切注意
「圭吾さん、フミキリ注意っすよ」
ネタも3つめになると場内、何が起こるか大体わかってたのだが、それでも踏切as月男君の「カンカンカンカン…」の声に合わせて首と両足を動かすリアルな動きに笑死体多数。その後ろで行ったり来たりしている電車as月茂がまた妙に楽しそうでかわいい。
踏切だからちゃんと左右確認する圭吾さん…左側では「踏切」が沈黙しており、右側からはさっき通り過ぎたはずの「電車」がじっとこちらを見つめていた。さっきのダンサー注意もそうだが、この兄弟はいちいちこっちの顔色を伺う傾向がある。彼らは彼らなりに何らかのリアクションを期待してるのかも知れない。
第四章 落石注意
「あ、圭吾さん、落石注意っすよ」
以下略。
余談だが、筆者は先日、久しぶりに「エリザベート」を観に行って東山くんたちのますます冴えた踊りを堪能してきた。それでやっぱりつい考えちゃったんだが、「最後のダンス」のトートダンサーの階段落ちの踊りの時、この「落石」が大勢転がってきたら嫌だなあって…みなさん考えてたでしょ。そうじゃない人、すまん。本当に。
第五章 動物注意
落石の向こうには「動物注意」の標識が。
「…うぉっ!危ね危ね…!!」急ブレーキ!
飛び出してきた動物(とりあえず4つ足で飛び出してきたから「動物」)2匹、迫り来る車になすすべもなく…!!
「…轢いた…?」
おそるおそる外に出た2人の見たものは、
地面に横たわり、弱々しく震えている2匹の「動物」…(かばいあってる…)
「……」「……」「……行っちゃうか…」「……行っちゃいましょう」
………発進。
エピローグ ドライブの終わり
さまざまな危険を乗り越えた圭吾さんと東山くん。「不思議なドライブだったねえ」「そうですねー」と顔を見合わせる。
と同時に悲鳴をあげる2人!既に、みずからが「お月様」と化していたのだった…。
THE END ああ、シュール。
エピローグ2 去り行く彼ら
2人してたばこ吸いながら(吸えるのか)去って行くお月様ブラザース。
ホワイト・アウト
エピローグ3 月茂ごあいさつ
缶コーヒーを飲みながら(飲めるのね)お月様ブラザース・兄がご挨拶。
「また いつのひか みなさんにおあいできることを。われわれは きぼうします。それでは ひきつづき おともだちの よしの けいごくんによる。らいぶおちゃかい。『とい・ぼっくす』を おたのしみください…しゅっしゅっしゅっ」注:笑い
ホワイト・アウト
かくして1年半ぶりの「お月様ブラザースpartII」は終了した。
圭吾さんが「彼ら」に聞いた話だと、この作品のために、出演者の1人は帝国劇場での昼・夜2回公演を終えてから駆けつけてくれ、撮影には午前2時くらいまでかかったんだとか…。 結局、「彼ら」は一度も名乗らなかった。そのせいか「どっちがどっちだか見分けがつかない」とおっしゃる方も多かった気がする。比較的大柄でよく見ると後ろ髪にパーマかかってるのが兄・月茂(by企画した人)、兄の動作をうかがって、1秒のタイムラグを置いて同じ動きをする困惑気味の細い人が弟・月男(byさっきまで帝国劇場にいた人)。わかった?
またいつか「彼ら」に会えることを心から期待する。お茶会への生出演もいいけど、やっぱホコテンでの路上パフォーマンスを期待したいなあ。
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