銀次郎物語 第五章 −デビュー−
ジャパンカップの前日、私の知らない間に銀次郎は中京競馬場で2戦目のレースに挑みました。芝の1200m戦でした。相手関係は何にもわかりませんが、11番人気で11着。大差のシンガリ負けという結果でした。私はレースも見ていませんし、何とも言えないのですが、道中からポツンと置かれて追走というかたちにになっていたようです。
何故このように競馬にならないような成績になってしまったのでしょうか?まず、道中で他馬についていけないのが問題だと思います。今回において何があったのかまだわかりませんが、真面目に走っていないような気がします。精神的に若い面が残っているのでしょう。
第2に今回の中京遠征について、同厩舎のオープン馬が中京のCBC賞(GU)に出走していたので、その付き添いで中京についていっただけだと私は思います。もちろん中京の方が、中央場所よりレベルが低いとは思いますが、この遠征でメインだったのはCBC賞に出走していた馬だったと私は思います。
しかしこのようなことは日常茶飯事で、非難すべきことでは無いと思います。相手が弱そうな中京に行くのは悪いことではないと思いますし、問題は本当に銀次郎を競馬に使うときだったか否かなのです。CBC賞に出走したフェイマスケイも私が勤めていた牧場に休養に来ていたこともある馬で、CBC賞で3着に好走しましたし、S厩舎としてはうまくいった中京遠征ではあったでしょう。これが名も無き競走馬、未勝利馬の運命でもあります。
ジャパンカップはエルコンドルパサーが優勝しました。この後、有馬記念に使うかどうかわかりませんが、少なくとも競馬ファンの間では、使うべきだとか無理はしないべきだとか議論するでしょう。しかしこのような議論は何故か未勝利馬にはおこりません。月に2レース間隔で使っていてもそれが当然のことなのです。
私は今回の銀次郎の使い方を非難しているわけではありません。銀次郎の成績からして、どんどん使っていくべきだと私は思います。重賞レースに出る馬に付き添っていく馬がいることも知っています。私は、フェイマスケイと銀次郎が同じ厩務員さんの担当馬ではないかと思います。同じ厩務員さんの馬を同じ日の同じ競馬場で出走させるのが、仕事としてやりやすいことでしょう。
人それぞれの考え方はあるでしょうが、銀次郎はどんどん使っていった方がいいと私は思います。ですから今回の遠征を支持します。前走太めだと思っていた馬体重も少し減っていました。銀次郎の次走に期待する、今の私はただそれだけです。
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この物語はフィクションであり、実際の馬、人物、団体等とはたぶん関係ありません。
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