銀次郎物語 第六章 −初勝利を目指して−
5月30日。牝馬のダービーともいえるオークス当日の第2レースに銀次郎は出走してきました。ダート1200m未勝利戦、出走頭数13頭です。私は久しぶりに早起きして、約2時間かけて東京の府中競馬場まで応援に行きました。
移動中の電車の中、私は競馬新聞に目をやります。3枠5番。人気はほとんどありません。それもそのはず、前2走全てが競馬になって無いのですから仕方ないでしょう。「見切り発車でデビューさせたが早すぎた。休ませて正解」のような厩舎のコメント。非力な馬だっただけに予想通り2歳競馬には向いていなかったようです。3歳になり、少しは力がついたのだろうか。もしそうならばなかなか楽しめるかもしれないと思いました。
東京競馬場のパドックに着き、いよいよ第2レースの出走馬が入ってきました。そしてその中にもちろん銀次郎もいます。パドックを歩く馬でよくしっぽの付け根に赤いリボンをつけている馬がいますが、あれは人を蹴る可能性があるという危険印なのです。もちろん銀次郎もつけていました(^^;)パドックを歩く銀次郎は私の方など見向きもしません。当たり前のことなのですがちょっと寂しい気もします。
銀次郎は▲の見習騎手を背にし、いよいよレースが発送します。今までのように最後方からとか、ズルズル後退とか、そういうのだけはやめてくれと祈りながら、ゲートが開きました。
あっ!出遅れた中の1頭が銀次郎のようでした。また後ろからなのか・・・。
ターフビジョンに映った頃、銀次郎は中段よりやや後方にいました。ま、馬群について行っているのですから、十分チャンスはあるでしょう。4コーナーを回り直線コースにはいり、銀次郎は伸びてきましたが6着でゴール。出遅れたことを除けば十分なレースでしょう。次回に期待をかけられる結果になりました。私はやはりもっと長い距離がいいかと思いますけども、また、芝の方がいいように思うのですがいかがなものでしょうか。次回のレースが楽しみです。
レースを終えて銀次郎は戻ってきました。とりあえずは元気そうで何よりです。無事でなければ次は無いのですから。次にレースを終えて戻ってくるときは、ウイナーズサークルに立ってくれないかと思ってしまいます。
来週はいよいよ日本ダービーです。しかしながら、もちろん銀次郎は出走することはできません。まだ1勝もしてないのですから当然です。これが勝負の世界なのでしょう。とりあえず1勝。これが銀次郎の競走馬生命を伸ばすことのできる唯一のことなのです。
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この物語はフィクションであり、実際の馬、人物、団体等とはたぶん関係ありません。
写真と本文はたぶん関係ありません。