2001年7月はこの1公演

 


ポツドール「メイク・ラブ〜それぞれの愛のカタチ〜」

王子小劇場 7/18〜7/22
7/18(水)観劇。座席 自由(7列目中央:招待)

構成・演出 三浦大輔

 前回同様、左右にモニター。モニターには、上空からのカメラでベッドが写し出されている。いやがうえにも期待は高まる。公演を重ねる毎にセンセーショナルな話題を振りまいてきた、セミドキュメントの第三弾。ぴあのインタビューで三浦氏は、「僕は恥によって生じる、人間の本質を描きたいだけ」と答えていたが、今回もやってくれた。今回の舞台はラブホテル。ホテルにやって来た4組のカップルたちがベッドイン(未遂に終わるものもあるが)までに見せる人間模様をオムニバス形式で、完全生中継する。「セックスを描くことが目的なのではない」というこの芝居は、その“やる”という「行為」に至るまでに生ずるドラマをとことんリアルに提示している。

○一組目 米村亮太郎&安藤玉恵
 普通に愛しあっている恋人同士のエッチ風景。前作『身体検査』で恋愛のゴタゴタを露呈した二人だったのでどうなるかと思ったが、案外円満な風景となっていた。まぁ現実でもつきあっているらしいのでリアルって言えばリアル。でも、そんなイチャイチャしているだけの風景を見てもしょうがないかなぁ〜とも思う。
○二組目 野平久志&井上記恵
 久しぶりに飲み会で会った二人。でも、会ったのは2回目。井上はちょっと野平の事が気になっていたらしい・・・そんな気持ちからか勢いでホテルへ入ってしまった・・・そんな設定。設定は作り物なのに、なんか本当に生々しいリアルな現実風景を覗き見ているように感じた。さすが、野平久志って感じである。“やりたい”という気持ちを全面的に見せる野平。したい気持ちはあるが、今日は生理と拒む井上。生理という設定が事前からのものなのか、その場での機転なのか、本当に生理だったのか、その真相はわからないのだが、駆け引きがドキドキものであった。緊張感も素晴らしい。
○三組目 小林康浩&安藤玉恵
 小林には彼女がいる。安藤にも彼氏がいる(一組目の流れ)。飲み会の流れで「話すだけ」って事で一緒にホテルへ入ってしまったという設定。男としては“ホテルに入ったんだからヤレルかもしれない”という気持ちで、その方向へ話を進める。女としても自分の彼氏の事が好きだから心に壁はあるものの、微妙に心が揺れている。小林の自己中心的な心境がうまく表現されていたと思う。って言うかリアルに口説いているんだから当たり前か。今回は何もなく終わっているが、一組目の話がもつれた時、この三組目がどう変化するのか見所ではないだろうか・・・でも見れないけど。
○四組目 仁志園泰博&松浦絵里子
 仁志園は女に惚れていた。松浦は男に何の感情も持っていない・・・同じ学校のサークル仲間って感じの設定(で、ホテルに入るんか?って事はさておき・・・)。このカップルについては、どこまで素なのかわからなかった。松浦絵里子の嫌な女っぷりが見事だったからである。『騎士クラブ』で斎藤舞が見せたと同様な嫌な女っぷり。ラストで松浦が仁志園に浴びせかける「カス!」って言葉の素晴らしさは半端じゃない。このカッップルについては、ドキュメントではない三浦大輔の演出がかなり入っているように感じた。だって素晴らし過ぎるんだもん。

 で、4組を見て一番感じたのが構成のうまさ。前作の嫌ぁ〜な空気はなかったので衝撃的なものは弱いが、SEXに持って行くまでのリアルな現実、生身の人間のブザマな姿、恥ずかしさが、ありのままかどうかはわからないが、とても生々しい空気として劇場に充満していた。この芝居の後、役者達はすごく落ち込んでいるのではないだろうか。だって、自分の性生活ってシークレットにしておきたいじゃない。

 今回はメイク・ラブって事で、ごく一般的な男女の関係を描いていたが、一歩進んで男と男ってのもアリじゃないかなぁと思った。演技じゃないマジにその方面の役者が必要だろうけど・・・それとラブホテルが舞台なら、デートクラブの女の子を待つ男って情景も、悲劇にも喜劇にも転がりそうで、面白かったのではないだろうか。どうでしょ。

 セミドキュメントが、新しい演劇スタイルの旗手となり得るのか、まだまだ不透明なところがあるが、確実に今後も目が話せない劇団であると実感した。


“ポツドール”自分が観た公演ベスト
1.騎士(ないと)クラブ
2.メイク・ラブ〜それぞれの愛のカタチ〜
3.身体検査〜恥ずかしいけど知ってほしい〜
 

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維新派「さかしま」

奈良県室生村総合運動公園内健民グラウンド 7/19〜7/22
7/20(金)観劇。

作・演出 松本雄吉

 
申し訳ありません。まだ書けていません。

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