98年2月はこの4公演

 


カブ「チープジープ」

東演パラータ 2/6〜2/8
2/7(土)観劇。座席 自由

コマーシャル・サーカスでの「チープチープ」がおかしかったので大いに期待して行った。公演の案内文やごあいさつ文もナンセンスでおかしい。これはいいぞーと久々のワクワク感。しかし、肝心の公演は大いに期待を裏切るものだった。前回のようなテンポのいい会話もないまま、だらだらと恋愛ごっこを繰り返すだけ。内容もよくわからん。正直言って眠くなった。いや、眠った。カブ初のラヴストーリーとの事なので、今回が失敗作だったんだと思いたい。役者では難波美恵がいい味を出していた。

演劇の部屋に戻る


立身出世劇場プロデュース
「地上最低のショウ」

下北沢駅前劇場 2/13〜2/16
2/14(土)観劇。座席 自由

原案 後藤ひろひと
この名に引かれて観に行く。後藤・楠見夫婦は映像で特別出演。たいした役じゃなかったけど。
物語は詐欺師の男(谷省吾)と純情過ぎる女(冬乃もみじ)の恋物語と「地上最低のショウ」開幕までの悪戦苦闘の物語の2つのストーリーが同時進行していく。最後には一つの話になるんだけど、ネタバレなんでカット。まっ、途中で展開が読めちゃうくらいたいした話ではないんだけど。全体を見てみると、うまくハートフルコメディには仕上がっている。しかし、役者の力不足で肝心の「地上最低のショウ」がつまんない。そりゃ最低の役者を揃えたショウだからそれでもいいのかも知れないけど、ネタはつまんなくても芝居的におかしくないとね。「かぁ〜情けねぇ〜」なんて笑えたらそれなりの愛情がわき、おもしろかったと思う。寒空ヤッケ(今仲ひろし)の一人コントだけはへなちょこで笑えたけど。個人技が光る遊気舎が公演していれば、さぞかしおかしかったと思う。そんな事を思うと残念でならない。

演劇の部屋に戻る


双数姉妹「オクタゴン」

青山円形劇場 2/17〜2/22  
2/17(火)観劇。座席 H-19

今回も前作「3 BALKAN BOYS」同様、30分程の話を3本立てにし、その3話をおおう世界を展開した作品であった。金網に囲まれた正八角形の闘技場「オクタゴン」の中で(時には外で)進行していくが、テーマは『闘う』。

第1話は、一人の女性をダシにして他の女性とのつながりを持とうとした男二人の物語。
第2話は、死んだ彼氏の影と闘う女の物語。
第3話は、暗闇(死後?牢獄?)での決して出会わない二人の物語。
3話のうちどれが気に入ったとかはなく、全体的に面白い舞台であった。物語はたいした事ないが、小池竹見が作る空間がいい。「ハクチカ」には及ばないが久々に小池竹見の舞台演出が良かった舞台であった。それだけでも自分的には満足。日常と狂気が交差したオープニングや時間なんかを無視したような交差がとてもいい。テーマ以上にその「交差」というのが気になった。本当のテーマはこの交差なんじゃないかと思うくらいに気になった。それはともかく双数姉妹の試行錯誤がいい方向にむいてきている。「SHOCKER」の失敗をやっと挽回してきたかなっ。でも、もっともっと試行錯誤をして欲しい。アカペラなんか入れて満足せずに。


“双数姉妹”自分が観た公演ベスト
1.ハクチカ'96
2.オクタゴン
3.3 BALKAN BOYS
4.SHOCKER

演劇の部屋に戻る


★☆北区つかこうへい劇団
「サイコパス〜木村伝兵衛の自殺〜」

三鷹市芸術文化センター 星のホール 2/19〜2/22
2/19(土)観劇。座席 C-14

熱海殺人事件の最新バージョンで最終バージョン。木村伝兵衛には石原良純を配し“石原良純スペシャル”とまで銘打った公演。出来はすばらしものになっていた。進化し続ける“熱海殺人事件”だが、その出来ばえは、熱海の中でも1・2を争う出来。(私は「ロンゲスト・スプリング」からしか観ていないが・・・)

マザーコンプレックであり、母親殺しの疑惑がかけられている木村伝兵衛部長。その愛人であり、伝兵衛逮捕の使命を受けている水野朋子婦警(鈴木聖子)。犯罪心理分析官(神戸で起こった殺人事件の犯人酒鬼薔薇のその後の姿というおまけ付き)榊原亮介(鈴木祐二)。そして容疑者大山金太郎(小川岳男)。それぞれ一癖も二癖もある登場人物が繰り広げる物語である。
オープニングに流れる曲はもちろんチャイコフスキー。でも、今回はいきなり母親殺しの幻覚を見ている木村伝兵衛から始まる。今回の伝兵衛はマザーコンプレックス持ちでおぼっちゃんタイプ。いままでのふてぶてしさが欠けるのがちと寂しい。根底に流れるのは「熱海の浜辺でブスを殺したという3面記事にもならない事件をみごとな殺人事件にして、りっぱに13階段を登らせる」ということだが、今回の作品ではその影は薄らいでいた。大山金太郎が殺したのはアイ子ではなく、大山の母とする大きな変更点や、家族の為に原子炉の中に手をつっこむという大山のやさしさ、せつなさを全面に持ってきている。大山に感情移入してしまった私はその心に涙してしまった。熱海殺人事件でそんな気持ちになろうとは思いもしなかった事である。それほどまでに大山金太郎の存在がでかかったので、木村伝兵衛が霞んでしまったというのも正直な感想。壮絶なラストもいままでの作品とは異質なものだった。
これほど変えてもやはり“熱海殺人事件”はおもしろい。つかこうへいの凄さを感じる。観劇後すぐ、もう一度観たいと思ったのは久々である。4月には場所を変えての公演があるが、今から楽しみでしかたがない。


“熱海殺人事件”自分が観た公演
甲乙つけがたいので順位はなし

●熱海殺人事件―ロンゲスト・スプリング
●熱海殺人事件―オーソドックスバージョン
●熱海殺人事件―モンテカルロ・イリュージョン
●売春捜査官

演劇の部屋に戻る



CONTENTSのページに戻る