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2006年6月2日〜6月26日 帝国劇場
L・アーサー・ローズ&ダグラス・ファーバー 作詞・脚本/ノエル・ゲイ 作曲
翻訳 丹野郁弓/訳詞 高橋亜子/演出 山田和也



CAST
ビル 井上 芳雄 パーチェスター(弁護士) 武岡 淳一
サリー・スミス 笹本 玲奈 チャールズ(執事) 丸山 博一
ジャッキー 純名 りさ バターズビー卿 阿部 裕
マリア公爵夫人 涼風 真世 バターズビー夫人 福麻 むつ美
ジョン・トリメイン卿 村井 国夫 ジャスパー・トリング卿 花房 徹
ジェラルド 本間 憲一 ミセス・ブラウン 伊東 弘美

♪みんなで踊ろうランベスウォーク!、
ニュージェネレーション!!帝劇で新旋風を巻き起こす!!
この愛だけは譲れない!!

そんなキャッチコピーそのまんまのミー&マイガールの舞台だった。
前回の東宝版から3年の再演で、主要メンバーが半分変わるってのも珍しいよなぁ〜〜。
舞台セットや流れはほぼ同じでしたが、全く違う空気が流れてました。

若返ったという(現実に若返ってますから)印象以外には、テンポがよくなった気がします。
前回感じた、音楽のまったり感がなくなっているのは楽しい舞台になった大きな原因かもしれない。

入るとやっているロビーパフーマンス。ランベスの仲間達がロビーで、ランベスウォークを教えてくれる。
前半は、人もそんなにいなかったのにどんどん増えて、後半行った時には、ロビーはえらいことになってましたね。
その盛り上がりにちょっと付いていけなくて、結局参加したのは最初の2回ほど。後はおとなしく開幕に備えてました(これいい言い方かもしれない(笑))
この試み、塩田さんのトークも、オケの方々のミニコントみたいなのも楽しくてよかったけど。。。 どっかでなんか違うかなぁ〜〜という気持ちがあった。おかげで客席と舞台の一体感はすごかったし、終わってみりゃ楽しかったしよいじゃない・・程度のことですけど。
本来ならば、物語の進行につられて上がっていくテンションが既に出来上がってる。 始まる前に既に皆が異常にテンション上がっている状態っていうのも不思議な感じ。
1幕、舞台をみてビルにつられるようにして踊った幕間に、あったら楽しいかもなんて考えちゃいましたが、それじゃランベスウォーク一緒に踊れないか^_^;。

回数をみることが出来たこともあり、歌詞がよく耳に入ってきた(アンサンブルのハーモニー綺麗だった)こともあって、宝塚のも含めて今までみていた時には考えなかったことも考えちゃった公演でもありました。
この舞台って、観客はどういう視点でみているのかなぁ〜とかね。
場面場面によって、貴族になったり、ビルになったり・・・しているなぁ〜〜って。そりゃどんな舞台でもあたりまえのことなんですけど、立場が違うとこうも感じ方が違うのかって。
貴族の視点でみると、ビルって最初はどうしようもないじゃないですか。ただ、こっちは現実的に、貴族ではないから(笑)ビルが地位やお金に目もくれずひたすらサリーのことを好き!!って感情が伝わってくるから感動するわけです。
でも、物語の導入、一族の中に入ってくるビルをみる時って、どんなやつだ??って一族の人たちと同じような気分でみているんですよね。
そう思うと、ビルの最初の出の瞬間なんかは場違いで寒いんですよねぇ・・乾いた笑いで仕方がないように思う。そんな観客を笑わせるってんだからビルって役は大変だ。

パーティーのシーンなんかは、客席はパーティーに招かれた客でそれを舞台上のお客さん共々ビルがランベスウォークをさせちゃうってな展開なんだと思う。それだけにビルのテンションで引きずられるような勢いがいるのだと思う。

唐沢さん主演の時もここがかなり大変そうな気がしたんですよ(前回公演の感想→→★)。気持ちできてないんだけど、曲や雰囲気の力技って感じでいきなりぐいっとテンションあげさせられた・・みたいな。
今回は、↑の効果もあって、びっくりするぐらい盛り上がっていたので井上ビルはやりやすかったんじゃないかな。この曲流れるとみんなランベスの仲間な気分で踊る気満々だったもの・・・。

日本人には、薄い階級意識。これがものすごい入っているのも今回感じました。
調理場のシーンで、ビルは貴族にはなれないって歌うメイド方々・・。
自分たちに気安く声をかけてくれるご主人様もいいんじゃないかと思うのだけど、 この方々にゃこの屋敷で働いているプライドがあって、 自分たちが使える主人がりっぱな人でなくてはならないというそんな気持ちが入ってきて面白かった。ああ・・自分たちが貴族にはなれないの承知の上で、
嘆いているのだなぁ〜〜と。

前回の公演を詳しく覚えているわけではなのいですが、ローズルームのシーンの後のはちゃめちゃになっちゃう場面は今回ちょっと段取りがみえちゃってもったりした気がしました。
後半、バターズビー夫人がケーキに顔突っ込んじゃった辺りから(こりゃ見事でした^_^;)は、本当に混乱しているように見えましたけどね。ここ密かに本間ジェラルド大活躍。

井上くんのビルは、 汗っかいてがんばってる姿はほほえましく、やんちゃな部分に好感もてるビルでしたが、ちょっと印象薄い。周りが濃いのもあるのですけど。。。^_^;
この方、共演者が何かをした時の反応がいい。とっても自然でおもしろい。ちゃんとビルとしての受け答えにもなっているしその表情を私は楽しんでました。また、周りの方々もその反応を見たいがために楽しんじゃってるんじゃないかなぁと思えたりして(玲奈ちゃんでさえね(^_-))。
ほぼ初見の(みてるけど覚えてないし^_^;)彼は、噂どおり綺麗な歌声の方でした。 こんな、ビブラートのかかった「街角によりかかって」は初めて聞きましたね(笑)。よいお声っ。
背が高くて手足が長い。幻想シーンの前にひさしぶりと、街の方々と踊っている笑顔が好きでした。
サリーを後ろから抱きかかえるってシーンも絵になりますし嫌味のない笑顔と恵まれてますね(笑)

玲奈ちゃんのサリーは、元気な女の子というサリーにぴったり。素直に育ってます!!って(笑)体で表現してるみたいです。赤いワンピースが似合っていて、写真よりも動いているほうがずっと魅力。
歌も踊りもとっても上手で、柄にもあっているし危なげないしかわいいけれど、何か物足りなかったのも確かなんです。
それが何かはわからないけれど楽近く、「顎で受け止めて」の時に彼女の歌が乱れたことがあって、気持ちが高ぶった様子で時折声がふらつく。それまでがとても安定していたのでびっくりしましたが、すごーく元気いっぱいなサリーちゃんの乙女心がすっと入ってきてその日はとてもサリーちゃんの気持ちが痛々しく感じたこともあり、気持ちを届ける強さがまだ物足りないのかなと思ったりして。

このふたりとっても相性いいな。「ミスサイゴン」でも演じていたらしいけれど、また違った形での二人のコンビも観てみたいなと思わせる二人でした。
この先いやってほどみる気はする(笑)


純名さんのジャッキーは、後半の観劇の時に一番変わっていたと思ったのが彼女でした(意外に若い二人が安定していたの)。
初日近くの時は、妙にくねくねとした立ち姿が気になっていたのですがそれも気にならなくなり、ビルとのローズルームでのシーンはかなり大胆になっていてびっくり。でもいい意味でなじんで役にはまっていたのではないでしょうか。ただ、下手するとお金目当てでモーションかけてるというよりも、根っからの男好きに見えなくもないか・・な^_^;
楽の挨拶で、明日からは薔薇の花を投げても誰も受け取ってくれないって言ってた。 ああいうのって気持ちがいいだろなぁ〜〜。
実は、見るのがちょいと不安でした^_^;。
ジャッキーっていえばねぇ・・頭の中にかなめちゃんのが張り付いてるし、変な残像に悩まされなきゃいいなと。
全く違うものになっていたので残像はそんなになかったですね。 というか、気持ちが完全にマリアに行っててそれどころじゃなかったかもね(笑)
ジェラルドとふたりでいると、二人ともなんだかちっちゃくて(笑)かわいいカップルになってましたね。ジェラルドが完全にお兄さんになっているのがなんとも・・。
きっと、小さい時にはジェラルドの後をおっかけていたのじゃなかろーかと。ジェラルドは、 ちいさな従兄弟がかわいくて仕方がなかった。それがいつの間にか綺麗でわがままに成長しちゃって、呆れたり、むかつくこともいっぱいあるけど、やっぱりかわいいんだなぁ〜〜と思っているんじゃないかなという物語を勝手に想像してしまいました。
本間さんはそんなに違っているわけじゃないですけど(さすがにトシ感じましたが^_^;)相手によって違う物語が想像できちゃうのはおもしろい。
涼風ジャッキーの時は、きっとずっと女王様状態の彼女に振り回されてきたのだろうなと思う。ちっちゃい時からタカビー♪



目が離せなかったのが、福麻むつ美さん。2幕の幕開きのタップシーンなんぞは、 ジャッキーとジェラルドの真後ろでセンター。おっきな肉布団を着て激しく踊るから・・目立つことこの上ないっ(笑)。
なんかかわいいですしねぇ。。。口やかましく旦那を尻にしいてはいるけれど、ラブラブで(笑)踊った後は息切れ切れにテーブルに座って、二人でお茶してる。その飲み方も上品とはいえないいけどもう食べてるのが幸せぇ〜〜って笑顔なんですよ。
ケーキに顔突っ込んじゃったあとは暴れてるけど、アーン泣いてる姿がラブリー♪。その前はパラソル持ってうきうき気分で歩いているんですよ。
執事のチャールズとビルの掛け合いは、いつみても息ぴったりで・・・。パーチェスター殿は、あの前髪からしてフザケテル(^^)。この方の声好きだなぁ〜〜。
ジョン卿も、あったかくてダンディーなんだけどやっぱりヘタれた部分が愛嬌たっぷし。ちょっと お太りになられたかしら???
なんだかんだといいながら、一皮向けばみんな一緒さてな言葉が聞こえてきそうな人間味を感じつつ、前回のように貴族様にゃみえないってな感じもしなかった一族の皆様にも拍手デス。楽しかった。


かなめちゃんのマリアは、紛争写真をみた時、何の脈略もなくこりゃいいやぁ〜〜って思った。
作りすぎず自然に上品で落ち着いて見えていいなぁ〜って。
初日を見た友人からのメールは、ちょっと興奮していた。

アメージングでラブリーなおばちゃんを目指している・・・
とは、プログラムでのかなめちゃんの言葉。
アメージングとは「驚かせるほどであること。驚くほど見事なこと」。
まさしく・・そんなマリア公爵夫人。

パーティーマナーをビルに教えるシーンは、パーティーの一部分を誇張して演じる。
台詞と台詞の間の静寂。緊張感がおこって人に次を期待をさせ、その期待と違う方向にいっちゃってるから。。。笑いがおこる。そんなタイミングが抜群だったかも。
貴族のパーティーにおける表面的なもてなしをちょっと小馬鹿にしている部分があっての誇張なんでしょうけど。 いっちゃいましたねぇ・・・ビョーンと(笑)。そこまでがわりと声も抑えていたりするのでまさしくびっくり!!。
こういう展開もわかっている人多いのに・・・びっくりしてる人多数でした。
まさしく高テンションの一人芝居。あっこまで行くと・・もう脱帽(^^)。
唖然とするビルの表情が、観客の気持ちと重なるからよけいに・・・笑える。
あと、ランベス!!って叫ぶ声はいつも元気!!。あの声で場に勢いがつくというか・・・。

別に特別違うことをしていたわけではなかろう・・なんですけど、かなめちゃんの持ち味がすっかりマリアを飲み込んじゃってて多分誰がやってもこうは・・ならなかったんじゃないかと思わせる愛らしさ。
らしくてらしくて・・・とっても好き。どんな風になるのだろと想像を上回るパワフルさがあり歌声も、かなりの高音のキーなんだけどずっと聴いていたいぐらい気持ちがいい・・・♪。
ただね、お茶目さの頻度は最初の頃ぐらいの頻度でよかったかも・・・です。
私は、真ん中を見ていないけれど、どちらかといえばまだ硬さが残った前半の方が好き。厳格なおばちゃんの部分と、それを崩している部分の対比がはっきりとしてメリハリがあったように思う。硬い部分がないとこの話の軸がどっかいっちゃうからね。

かなめちゃんのマリアは、最初っからすごくビルのことを好き。
彼女の立場からいうと、もう一族の血が流れているっていうだけで最初から身内としてみている。 ビルの行動にびっくりし、顔をしかめつつなんだかとっても楽しそうなんだな。
どんなにガミガミ言われていてもビルはマリアにのせられて出て行かなかったのは、血縁関係ってものの特殊な関係なのかもしれない。
二人とも意識をしてはいないのだと思うのだけど。でも、トラの毛皮前にしてのやり取りのテンポのよさなんぞを見ていると、どこかでつながってないとここまでは言い合えないよなぁ〜と思うんだ。
そんな二人だから別れのキスは、お互いが気がついたんだなぁなんて感じて嬉しかったりしました。 別れのシーンだけどほのぼのとする。マリアの顔がとっても軟らかいからほっとした。
ビルが手に負えないってシュンとしょぼくれてるマリアも好きなんですけど、やっぱりこのお顔が一番デシタ。

余談ですが、「ヘアフォードの歴史」を歌っているご先祖様のシーンって、ご先祖様達ってはマリアには見えていないんですね(笑)。
マリアは、ビルに講義をしているのだということを今回初めて気がつきました^_^;。ずっとお化けが それでも動じないって素敵って思っていただなぁ〜〜。
そしてね、歌い終わったマリアが興奮してるビルに一生懸命話かけているのだけど、 その「ビル!!」って呼び方がねぇ・・・昔とちっとも変わってなくて笑ってしまいました。「アンドレ」って呼びかけていた時と。


ビルとサリーの仲の良い雰囲気と若さにみーんなアテラレて帰ったんじゃなかろーか(笑)。
そして、なんだかほんわかとあったかーい気分でね♪
大雑把な言い方だけど、それだけでこの舞台成功なキガスル。

千秋楽のあいさつで井上君が、まだみんな若いから・・・と言ったそうな。
この先も見てほしいみたいなことを話していましたが、 この先、再演があったとしても今のこの勢いとか素朴な感じとはまた違ったものになってしまうのでしょーね。 それが楽しみのような・・寂しいよーな。
でも、この時期に出会えたことはラッキー☆彡でございました♪。
かなめちゃんだってね、今だからあのマリアだった気がしますしね。
マリアはこの時代においても既に化石のような人(初演は戦前ですから)。貴族社会の秩序を一所懸命先に伝えようとしている。そんな厳格なイメージのある役。なんたってがみがみばあさん(byジョン卿)だもの。
本来ならば、そんなおばちゃんが踊ってるよぉ〜〜となるのがおかしさを誘うよな(現に、ジョンおじさん踊ってると、踊ってるよぉ〜〜とそれだけで思うしおかしいしな(^_-))味わいを出すにゃやっぱり若いしね(違う意味でかなりおっかしかったけど^_^;)。
かなめちゃんも、年を重ねてこの役にめぐり合えたらその時毎に違った味が見えるんじゃなかろうか。
その姿に期待して・・・・
次あるかなぁ〜〜

〜END〜

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