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女性デュオ「Bitter & Sweet(通称:ビタスイ)」がこの2025年5月31日を以って 活動を終了する。と発表されたのは4月7日のことであった。 『この度 Bitter & Sweetは5月31日をもって活動を終了し、田アあさひは6月末に弊社を退社、長谷川萌美は弊社に残りソロとして活動していくことになりましたのでご報告させていただきます。 昨年、田アあさひより30歳になる前に新たな環境で色々なことにチャレンジをしていきたいと申し出があり、それをうけて二人と話し合いを続けてきました。その結果、田アあさひは退社して活動、長谷川萌美はこれまでの経験を元に弊社で歌をメインに活動をしていきたいという意思のもと、今回の結論になりました。 4月19日からはツアーも始まり5月31日が最終公演になります。 それまで、Bitter & Sweetとしての活動は精一杯続けさせていただきますので引き続き応援よろしくお願いいたします。』 寝耳に水であったため、驚きもしたが 結成から12年。 遂にこのときが来てしまったかという気持ちが一番、強かった。 Bitter & Sweetとこれまでの自分の繋がりを紐解けば、一番古い記憶は 今はなきハロプロ初(?)の女性バンド LoVendoЯのファーストライブツアー(2013年4月)のオープニング・アクトとして田崎あさひさんが帯同したこと。 LoVendoЯのライヴも含め、当日の記憶はほぼ無くなっているが、あさひさんが 開場前に並んでいた我々に丁寧に挨拶をされていた光景だけは なぜか強烈に覚えている それはまだBitter & Sweet結成前のソロで活動している頃であった。 それから3ヶ月後、アップフロントグループのアーティストが出演する音楽フェス「MUSIC FESTA VOL.1」が開催。 これにはLoVendoЯと共に 田アあさひさんが出演したのだった。 その後、まもなくあさひさんは長谷川萌美さんとBitter & Sweetを結成。 2014年3月にデビューシングルをリリースした。 私がBitter & Sweetのステージを初めて見たのは2015年の「MUSIC FESTA VOL.3」であった。 (前年には「MUSIC FESTA VOL.2」にも出演したりLoVendoЯのツアーにも帯同していたようだった) この時は、MCのさわやか五郎氏と長谷川萌美さんとのコント、歌コーナーがかなり面白かったと微かに記憶している。 それからは4回ほどリリースイベントに足を運んでいた。 ● 2016.2.6 ミニアルバム「♯ビタスイ」発売記念ライブ ● 2017.5.14 メジャーデビューシングル「幸せになりたい。/写真には残らないシュート」発売記念イベント ● 2019.11.03 セカンドシングル「遠いところへ行くのでしょう/ラブストーリーは始まらない」発売記念イベント ● 2023.9.03 インディーズ4thシングル「私が飛行機を嫌いな理由/雪と花火」発売記念イベント 関東方面ではライブも頻繁に行われ、特に栃木県栃木市にある「岩下の新生姜ミュージアム」ではフリーライブが定例化して 羨望の眼差しで見ていた。 今思えば、ツアーでは何度も 名古屋で訪れていたのに足を運ばなかったことに後悔している。 なんとなく参加の壁が高いような気がしていたのだ。(本当はそんなことなかったのに) だが、ビタスイの名古屋における最後のライヴとなれば、そんな壁も軽々と乗り越える。 後悔はしたくない。という気持ち一心で。 当日は雨模様となってしまった。 本日の会場は スタンディングということで、傘をどうするのか?という問題が早々に持ち上がった。 傘の置き場所は用意されているのか? 今池GROWという会場は、全くの未踏の地ゆえ 勝手が判らないというのも悩みのタネであったのだ。 その結果、導かれたのはライブ中に持参していても出来るだけ邪魔にならない折りたたみ傘を使うという結論であった。 ライブハウス 今池GROWは その名の通り 名古屋の歓楽街の一つ 今池にある。 今池といえば、自分のライブハウス初体験となった「THE BOTTOM LINE」を筆頭に「TOKUZO」「HUCK FINN」など会場は数多い。 しかし今池GROWは、今回のツアー・スケジュール発表で初めて知った会場であった。 それだけに どんな会場であるのか メッチャ不安であった。 ただ、地下鉄の今池駅の出口8番出口から徒歩1分という好位置にあるということ。 雨が降っているだけにこれは好都合とは思ったが、出口を出ると思いの外距離があり、しかも雨が強い。 方向間違いをしたのかも?と不安になりながら歩いていくと ある店舗の前に数人、人だかりが出来ていた。 ようやくここが今池GROWの入り口であることを確信したのだった。 −と言っても今池GROWは このビルの3階である。 今回のライヴ、電子チケットに整理番号(自分は70番代)が割り振られているのでその番号順に並べばいいのだが、この螺旋状のような階段にどう並べばいいのか? クラブクアトロのように壁に目安の番号が貼られている訳でもない。 何も判らないので、なんとなく列らしきものの最後尾に連なった。 あと10分ぐらいで開場の筈だが、自分の整理番号ぐらいの人数が3階の会場入口まで並んでいるようには到底思えなかった。 もう訳がわからない(苦笑)。 そんな困惑している中、開場時間となった。 階上から整理番号を呼ぶ声が微かに聞こえてくる。 当然ながら、はっきりと判らない。 すると 並んでいる人たちが口伝で伝えていく。 そうリレーのように....。 この光景を間近に見て「なんて 優しい現場なんだ」と思わず口にしそうになる。 ビタスイ・ファンの民度の高さを感じずにはいられなかったのだった。 やがて自分の整理番号近くになったため、会場入口まで移動し 自分の番号が呼ばれるとスマホの電子チケットの画面をスタッフに提示した。 チケット代に含まれていたドリンクチケットを貰い、いよいよ会場に入っていった。 やがてステージ全景が目に飛び込んできた。 フロアには 既に多くのファンがステージに向かって立ち並び、空いた空間を見つけるのが難しいくらいであった。 その状況からも判る通り、この今池GROWのフロアはかなり狭い。 キャパは150人とあったが、その数通り入ったら相当圧迫状態になるのではと感じられた。 どこで見るべきだろうかと不安になったが、まずはグッズ購入のために列に並んだ。 とは言ってもフロア後方、入り口近くに机を配置して販売するため グッズ列と立ち並んだ客が入り混じってカオスな状態になってしまっていた。 進みが緩やかなグッズ列に イライラを少し感じながら待つこと 数分。 狙っていたアクスタ(アクリルスタンド=ハロープロジェクト的には FSK=フィギュアスタンドキーホルダーと言った方が良いのかも)をやっと購入することが出来た。 さて 次は懸念していた"どこで見るべきか"だが、下手側に少し余地があったため、其処に陣取ることにした。 ステージ左端は見ずらいが これは仕方ない。 その間も どんどんと客が入場してきていた。 その都度、スタッフから「もう 半歩前へ進んでください」と声が掛かる。 客を入れるスペースを作ろうと躍起になっているのが判る。 そんな混沌した時間が過ぎていった。 開演時間の17:00を迎えた。 17:00をわずかばかり過ぎた頃、ライヴ開始を宣言するように自然発生的に拍手が沸き起こる。 それと同時に場内に拡がるピコピコ的な電子音、それに続く壮大なテーマ。 なんとなくあの超有名ゲームのテーマソングのような曲に苦笑いしてしまう。 今回のライヴは 「LIVE QUEST 2025 〜ぼうけんのしょ〜」というタイトルからも示すとおり"Bitter & Sweetの最後の冒険、そして2人のこれからの冒険"という意味を込めて田崎あさひさんが考え 採用されたらしく、衣装のコンセプトもかなり凝ったものになっていた(ちなみに「QUEST」の意味は 冒険である)。 衣装は あさひさんが魔法使い、萌美さんが勇者というコンセプトになっており某RPGに益々寄せていて ネットでキービジュアルが発表された当初、各方面に大丈夫なんだろうか。と心配になった程であった(笑) マーチのようなテーマソングが後半に差し掛かると ステージにはビタスイの二人が姿を表し 先程以上の拍手が場内に響きわたった。 1曲目はビタスイの代表曲の一つ「ハレルヤ」。 スタート同時に手拍子が鳴り響き、個人的には超久しぶりの(軽い)PPPHも曲に彩りを与える。 既にこの1曲目から場内が一体感に包まれた。 「Hey!Hey!」の掛け声から始まった2曲目「恋愛WARS」もその勢いは変わらず。 先程よりも手拍子&PPPHは激しくなってきている。 二人のコンビネーションも、もちろんコーラスも全く隙がない。 「みなさん、楽しんでいますか?」 「愛知2公演目が始まりました。この2公演目で終わりなんですか?」 今宵初のMCは長谷川萌美さんから始まった。 それに対して観客は一応に「えええ〜!」と残念な声を上げる。 まあ、お約束である。 「もう1公演ぐらい出来ま〜す」と萌美さんが言うものだから、客席からは「追加公演!」の声も上がった。 すると「3公演目は 夜の9時くらいから」と付け加えるお茶目さも忘れないのであった。 それから"あさひさんが魔法使い、萌美さんが勇者"という衣装が かなりのインパクトとして迫ってくるが 今回、それにプラスされる要素があった。 それは"勇者"の衣装に身を包んだ萌美さんの頭に 見慣れないキラキラ輝くゴールドのティアラが装着されていたからである。 「私が出てきた時、ニヤニヤしているのは おそらくコレのことではないでしょうか?」と言って ティアラを指し示す萌美さん。 「ちょっと 装備を強くしまして...このツアーも終盤なんで夜のテンションでこうしてみました」 夜のテンションという言葉が出てきたのをきっかけに「シラフで酔った真似とか出来る」と実践してみる萌美さんに「追加公演はそのテンションで」とまで言うため、客席は大いに盛り上がるのだった。 「5月31日で私達は活動を終了するお知らせをさせて頂きました。なので1公演、1公演みなさんにたくさんBitter & Sweetの曲を聞いて頂きたいと思って 続いてはメドレーを聞いて頂きたいと思います」 そう言って始まったメドレーは8曲に及ぶ長大なものとなった。 メドレー1曲目は「遠いところで行くのでしょう」。 冒頭の歌詞から いきなり名古屋スペシャルになっていたのである。 『名古屋へ来たのでしょう。ねえ 来たのでしょう』 きっと各地で 地名を当て嵌めているのだろう。 そう判っていても嬉しい。 2曲目「涙の糸で」3曲目「真夜中のLonely」でしっとりさせたかと思えば、4曲目「誰にもナイショ」では客席にコールを求める。 5曲目は「新芽」を情感深く歌い上げ、6曲目「ラブストーリーは始まらない」で息のあった二人のコーラスが響き渡らせた。 ちょっとPerfumeっぽさを感じさせた「バイバイメトロ」は ビタスイの多彩な魅力を垣間見せ、最後はデビューシングルの「Bitter & Sweet」が手拍子の中、披露され ここでメドレーは終了した。 今まで生では聞いたことがない曲もあり、ビタスイにはこんな楽曲もあったのか。と新たな魅力に気付かされたのだが、いかんせん余りにも短い時間でそれぞれの楽曲をまとめるには勿体ないと思うばかりであった。 直後のMCで あさひさんが今回は普段のフリとは違うアレンジにしたという話もしたが、ラストツアーはやはり特別感があるようだ。 4曲目はコロナ禍の不安の中、リリースしたKiroroの玉城千春さんが書き下ろした曲「だけど会いたい」。 優しい曲調と歌詞は Kiroroの玉城さんが創作したと聞けば誰もが大いに納得できるものであった。 おそらくビタスイの二人をイメージして書かれた曲なのだろう。ピッタリである。 5曲目「月蝕」はステージ上手下手 左右に分かれて(途中、ポジションをチェンジしながら) 少しでも観客に届くように丁寧に歌い上げた。 イントロと共に手拍子が場内に鳴り響いた6曲目は「オレンジライン」。 可愛らしく明るい曲調は これまたビタスイにはピッタリ。 初期のビタスイを代表する曲である。 調べてみれば 作詞:NOBE 作曲・編曲:michitomo という吉川友さんの楽曲でよく見掛けたお二人が制作したものであるということ。 なるほどと大いに納得するのだった。 曲後のMCでは 田崎あさひさんが 今回のツアーについて 「今回のビタクエ・ツアーのコンセプトなんですが ビタースイートとしての最後の冒険、二人のこれからの冒険としてやっていこうとコンセプトを立てまして『冒険の書』というタイトルにさせて頂いて、ちょっと『ドラゴンクエスト』にヒントを頂いて こんな感じにさせて頂いきました」 某RPGとかぼやかすこともなく、はっきりと『ドラゴンクエスト』の名前を出してしまうあさひさんに ドッと笑いが起こった。 「タイトルとコンセプトはあたし(あさひさん)が考えさせて頂いて 二人で話し合って選びました。萌美ちゃんから ドラクエの世界観をと.....」 と話し、ドット絵のグッズを作りたいねという提案もあり、旅をしていくツアーにしよう。 いつもなら名前は「ライブツアー」だけど、ツアーを無くして「クエスト」にしよう、それで「ビタクエ(Bitter & Sweet LIVE QUEST=略してビタクエ)」となったと説明されたのだった。 「これから私達が共作した楽曲を歌わせて頂きたいと思います」と萌美さんが話す後ろでは 今宵、一番気になっていたエレピにあさひさんが移動してスタンバイを進めていた。 「今まで共作した曲はいっぱいありますが、YouTubeの番組(『MUSIC+』)の企画で”ネガティブ”というテーマで募集したメッセージで曲を作ってみようとなり、作った楽曲を次に聞いて貰いたいと思います」 長崎公演に続いて、愛知公演の最後で披露されるという貴重な機会となった(最後の東京公演も披露された)「NO!!」。 あさひさんのエレピと萌美さんのアコースティック・ギターの二人だけのセッション。 素晴らしかった。 間違いなく、今夜の白眉の瞬間であったと言っていい。 8曲目「目指したのは」も 萌美さんのアコースティック・ギターの力強いストロークと 重層的に拡がる二人の美しいコーラスが心に染み入っていく。 正にビタスイの真骨頂 ここにあり。 それを現すように 曲が終わっても いつまでも拍手が鳴り止むことはなかった。 その後のMCでは あさひさんが数年前、腕を痛め それ以来ピアノの弾き語りが出来ない時間が続いたものの ここ最近は少し回復の目処がたった。 でも全曲の弾き語りとか 速い曲を弾くのはまだ難しいということで 「せめて(あさひさんの)地元−長崎だけでも弾き語りを〜と 其処で弾き語りをしましたが、ここ最近 調子が良くなってきたということでこのツアーで初めて「NO!!」を披露させて頂きました」と話した。 「NO!!」はどうしても(セットリストに)入れたくて、なにせビタスイ初の共作曲なので 名古屋公演に入れたくて相談して入れました。 と言うと 萌美さんから「(「NO!!」は)一番、最初ではない」という鋭いツッコミが入った。 すると場内は一気に笑いに包まれた。 萌美さんは「一番最初はね、もうちょっと穏やかな曲だった」と答える。 「そうでしたっけ?」とあさひさんがボケる。 再び、笑いがドッと巻き起こるという それはまるでコントのよう(苦笑) あさひさんは納得いかないのか「はじめてじゃなかったっけ?」と尋ねるも真剣に判らない様子である。 本当に判らないあさひさんに対して 観客の一人がか「(萌美さんに)耳打ちして貰えば」と提案すると、その通りをステージで早速 実行するお二人。 最終的に「もう一度」という曲と「NO!!」どちらが先に作った曲なのか?となったのだが、古すぎて観客も判らないという結論だった。 しかし、このなんとも言えないイチャイチャなやりとりを見て 本当に12年間 ずっと仲が良かったんだなあ。と感心してしまった。 それだけにBitter & Sweetが もうすぐ終わってしまうという非情な現実に寂しさを感じてしまうのだった。 「一緒にセッション出来て嬉しかったです」という あさひさんの感謝の言葉は、大きな拍手を沸き起こした。 ライヴは いよいよラストスパート 〜 セットリスト・ラストブロックへ。 ただ その前に説明し忘れたことがあったようで...それはビタクエの各地でそれぞれ発表してきたモンスター・スタンプについてである。 これまで ご当地モンスターを作ってきたが、ここ愛知のモンスターを萌美さんが作成、これをみんなにゲットして欲しいというお願いであった。 つまりドラゴンクエストモンスターズっぽい(笑)ことをしたい。ということなのだろう(ゲームをやらない自分にはサッパリなのだが)。 ちなみに ここ愛知のモンスターは「しゃち天ぴよりん」という名前である。 しゃちは「しゃちほこ」のしゃち、天は「天むす」の天、ぴよりんはまんま「ぴよりん」から取ったという名古屋を代表するものの3つ。 「ぴよりん」だけそのまんま フルネームなので、観客は大いに笑うのだった。 あさひさんが「ぴよりんだけ なぜフルネームなの?」と問えば、萌美さんは「私の中で(このモンスターは)ほぼほぼ ぴよりんの形なの」と答え 余計に笑いが大きくなった。 萌美さんは 今回のモンスターの中で一番のお気に入り、一番カワイイと思っている。と宣言、観客は大喜び、当然ながら場内は拍手に包まれたのだった。 「ラストスパートの1曲目 私達、このツアーに向けて最後に二人で共作した楽曲です。作詞が私、あさひちゃんが作曲をしました。これから それぞれの道に旅に出るというイメージもありますが、ある意味 みなさんも毎日が"冒険"だなと思って詞を書きました。みなさんもこの曲を楽しんで頂けたらと思います」 と萌美さんの紹介で始まった9曲目。 "冒険"という言葉が正にキーワードとなったであろう「MY QUEST」というタイトルであった。 あさひさんの「いくよ」という掛け声から勢いよく始まると同時に 我々は即座に拳を振り上げ「Hey Hey!」とコールで反応する。 ポップで力強い楽曲に熱く酔いしれ、二人のパフォーマンスに釘付けになる。 クラップやPPPH、はたまた 曲中に客が一斉にひざまづいて腕をステージを指し示す(ケチャ?)などヲタ芸的な要素も飛び出して吃驚したが、それもまた楽しい。 ラストスパートの勢いは 休みなくそのまま10曲目になだれこんだ。 曲は2022年発表の「ないものねだり」。 ロック調の楽曲にのる二人の熱い歌声が 非常にカッコいい。 11曲目は初期からずっと歌われ続けてきた「DREAM GIRL」。 記憶を紐解けば、田崎あさひさんが まだソロでやっていた時代 〜そう「MUSIC FESTA」の第一回でも聞いていたのである。 「ABCDEFG、many choices, you're free As you like it you're free, find out your dream」 冒頭から聴かれるサビの歌詞が 心地良い。 中島卓偉氏の作曲ということもあって、アレンジを多少施して男性が唄えば普通にロックな曲になるように思う。 「名古屋 最高!」とあさひさんが曲中に叫ぶ。 客席は 大きく盛り上がり、激しい手拍子が続く。 「ABCDEFG、many choices 〜 」の大合唱の中、それをバックに二人の綺麗な声が響き渡った。 次曲「泣いて 泣いて 恋してる」でビタスイの二人と客席の一体感は最高潮を迎えた。 「泣いて 泣いて 強がって 泣いて」における力強いユニゾンの声が心に刺さると同時に この歌声も終わりが近づいていることにどうしても寂しさを禁じ得なかった。 「それでは名古屋公演ラストの曲となりました。一緒に盛り上がっていきましょう」 あさひさんがそう言って始まったのは とても耳馴染みのある曲−「Rolling Days」であった。 これまた 田崎あさひさんがまだソロ活動をしていたデビュー当時。 前述したように LoVendoЯのファーストツアーに帯同し、オープニング・アクトを務めていたあさひさんがステージで披露した曲であったのだ。 当時もエレピを弾きながら元気よく歌っていた....と思うのだが、残念ながら其処まで詳細には覚えていない(苦笑) ただ「Rolling Days」は ビタスイ用に少しだけアレンジされ今や「Rolling Days (B & S Edition)」というタイトルにもなっている。 ひたすら元気よく、明るくポジティブな歌詞が二人の歌声でいっそう映える。 客席では「まわれまわれ〜ひたすら風を受けて」の部分で一斉にグッズ・タオルが振り回される。 もはや お馴染みの光景である。 だが、それも此処、名古屋ではこれが最後となってしまう。 二人の笑顔の間には その光景を一瞬たりとも見逃さす 記憶の襞に刻みつけようとしているかのように感じられたのだった。 曲を終え「ありがとうございました」と言葉を残し、二人はステージを降りていった。 すかさず始まったアンコールを求める声と手拍子が場内を満たした。 その盛り上がりに 時を置かずステージに姿を現した 田崎あさひさんと長谷川萌美さん。 我々観客は 彼女たちを大きな拍手で迎えるのだった。 一瞬の静寂の後、アカペラで圧巻のコーラスを響かせる二人。 名古屋公演 最後に選ばれた曲はデビューシングルの1曲「インストール」であった。 ビタスイにとって最重要曲であるこの曲の登場に"待ってました"とばかり我々観客は二人と共に腕を振り上げ、声を上げ全力で反応する。 このなんとも言えない心地良い一体感は何物にも変えられないものだ。 しかし そんなドリームタイムも程なくして終焉を迎えた。 遂に12年間に及びBitter & Sweetの名古屋での歴史が終わろうとしている。 その瞬間、突如として感傷的な気持ちが蘇ってきた。 「ありがとうございました。ビタースイートでした」 格段 特別なお別れの挨拶もなく、あっさりとステージを終えたビタスイ。 その潔い姿に 逆に印象を強くするのだった。 誰も居なくなったステージ。 客席では オープニングにも流れた壮大なテーマソングに合わせ いつまでも手拍子が続いたのだった。 1週間後、5月31日 Bitter & Sweetは渋谷Guiltyで昼/夜に2回公演を無事に終え、12年間の活動に終止符を打った。 ネットレポートにもあるようにWアンコールでもう一度「Bitter & Sweet」を披露したという。 デビュー曲であり、ユニット名を冠した楽曲を本当の最後に披露するのは やはり必然であったということだろう。 そして名古屋公演と同じように その終わりには二人に涙はなく(?)ライヴを完遂したようだ。 ライヴMCで長谷川萌美さんが「また歌いたくなって歌うかもしれない」と言ったともある。 誰も これからのことなんて判らない。 再び、二人が一緒に歌う日も来ることもあるだろう。 今は それが叶うまでの小休止。 そう思うばかりである。 |
SET LIST | |
1 | ハレルヤ |
2 | 恋愛WARS |
MC | |
3 | ビタクエメドレー 遠いところで行くのでしょう 〜 涙の糸で 〜 真夜中のLonely 〜 誰にもナイショ 〜 新芽 〜 ラブストーリーは始まらない 〜 バイバイメトロ 〜 Bitter & Sweet |
MC | |
4 | だけど会いたい |
5 | 月蝕 |
6 | オレンジライン |
MC | |
7 | NO!! (田崎あさひ:ピアノ / 長谷川萌美:アコースティック・ギター) |
8 | 目指したのは (長谷川萌美:アコースティック・ギター) |
MC | |
9 | MY QUEST 【新曲】 |
10 | ないものねだり |
11 | DREAM GIRL |
12 | 泣いて 泣いて 恋してる |
13 | Rolling Days (B&S Edition) |
・・・Encore・・・ | |
14 | インストール |