吉川友
バンドライブツアー2018
一蓮托笑 〜NEO SUGAR SUGAR YOU〜








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 きっか(吉川友)のバンドライブツアーが始まったのは5月20日の横浜「F.A.D YOKOHAMA」公演であった。

 あれから20日あまり。遂に ここ名古屋にやってきた。

 きっかの単独ライヴとしては 昨年1月のライブツアー2017 〜 YOU! 友! 酉! 〜以来1年半ぶりである。
 東京では対バンライヴや、各種イベントライヴ、バースデーライヴとあったのだが、リリースイベント以外で地方にやってくる事は稀になっていた。バンドライヴにしても、それはやはり関東限定のものでしかなかった。
 だが「チーム・負けん気」の仲間であり、解散(8月2日)が決まっているチャオベッラチンクエッティがバンドツアーをやっていた事もあり、その実現性に期待していた。
 だからこそ、バンドで行ったバースデイライヴ後に、いよいよバンドツアーが発表された時は、小躍りしたものだった。
 それぐらい、このバンドツアーは自分にとって悲願であったのだ。


 今回も、昼夜2回公演のうち最後の夜公演を選んだ。

 このバンドツアーは当然ながら、昼と夜では公演内容が異なっていた。
 昼は”甘いきっか”、夜は”甘くないきっか”というテーマでパフォーマンスされることになっており、衣装も違うという(どちらも新衣装だ)のだ。
 それから本日、6月9日は『ロックの日』である。
 そんな記念すべき日に、きっか初のバンドライヴを見る事が出来る。こんな素晴らしい事はなかった。
 また個人的には、今回の会場であるHOLIDAY NEXT NAGOYAも自分にとって 大いに意味のある場所であった。
 前回、此処を訪れたのは、11年前の2007年12月15日であった。まだ前身である「CLUB HOLIDAY NAGOYA」と言われていた頃である。
 その時は、LOUDNESSの二井原実さんの久々のソロツアー「Rock'n Roll Gypsy Tour」名古屋公演であった。
 田川ヒロアキさんがギターでツアーに帯同するという事で見に行ったのだが、これが田川さんのパフォーマンスに触れる初の機会でもあった。
 長年、田川さんの演奏を見る事を熱望していただけに、この日は楽屋を訪れる事も出来、感動的であったのを今も覚えているぐらいなのだが、その田川さんの誕生日が、本日、6月9日であったのだ。

 6月9日−『ロックの日』生まれの田川ヒロアキさんの演奏を初めて見た同会場を、11年ぶりに訪れて、きっか初のバンドライヴを見る。
 この偶然に私は、開演前から既に、感動モードへと気持ちが盛り上がっていた。



 上前津で地下鉄を降りた私は、大須の商店街を抜けてから、名古屋高速が頭上を走る若宮大通を二本渡って、HOLIDAY NEXT NAGOYAを目指した。
 あれ以来、訪れたことのない場所なのに、当時の事が昨日のように記憶が蘇る。
 すると若宮八幡神社が見えてきた。そうすれば会場はもう目前である。
 開場10分前。きっかのイメージ・カラーである黄色Tシャツの集団が視界に捉えられた。
 女性スタッフにより、既に整理番号による整列が為されていたので、私は慌てて その最後尾についた。
 開場時には再び、番号を点呼するというので、安心してその時を待った。


 開場時間18:00を過ぎ、受付で番号が呼ばれているのが微かに聞こえてくる。
 だが、外の我々には その声がよく聞こえない為、列の先頭付近から人づてにリレーで伝えられた。
 なんという連携だ。これが 友フレ(きっかファン)なのである。

 やがて 自分の番が呼ばれると、いの一番でHOLIDAY NEXT NAGOYAに足を踏み入れた。
 細長い通路を歩きながら、11年前の記憶が蘇ってくる。
 受付が目に入ってくると其処に、気になる表示が見て取れた。
 それは『ドリンク代 600円』というものであった。
 今まで、様々なライヴハウスに通ってきたが、通常ではワンコイン=500円であった。
 ワンコインというのは ライブハウス側からしても お釣りを出しやすいという事情もあると思うのだが、(最近、一部で値上げしているのを知っていたものの)まさか、ここが値上げしているとは!
 しかし、私は会場内のドリンク交換所のMENUに「ワンコイン」と記載されているのを見逃さなかった。一体、これは何だろうか?(苦笑)


 グッズ売り場で、チェキくじと(ランダム)缶バッジを購入し、いよいよフロアーに入っていった。

 今回はオールスタンディング形式のライヴである。
 フロアー後方は段差になっており、後ろからでもかなり見やすい。
 だが、後方には曲に合わせ、フリコピや踊りたい友フレが控えている感じだった為、私はやや中央よりの3列目で見ることにした。
 ステージにはドラムや、キーボード、ギターやベース、そしてアンプが見て取れる。距離にしても僅か、数メートル先である。かなり近い。
 そんな風景を見ながら、時間を潰すこと20分あまり、遂に開演時間を迎えた。



 薄暗いステージに、ライヴスタートを知らせるSEとして「ヒラヒラ星」が大音量で響き渡った。
 今回、きっかのライヴではお馴染みの「Ignition」ではなく、既存曲の「ヒラヒラ星」であったのは、特別なバンドライヴであるという強い意志表示なのだろうか。
 そんな中、バンド・メンバーが現れると、我々は拍手で迎え入れた。
 ドラムのカウントと共に1曲目が始まった。曲は「Sweetie」だ。
 イントロと共にきっかがステージに走り込んできた。
 きっかの他に、他に演者が居るというのはもちろん、音源ではなく、生の楽器の音がPAが弾き出されてくるのは実に新鮮であった。
 イントロだけ聞いても、バンドアレンジされた楽曲に全く違和感を感じない。(以前、YouTubeに上げられたいくつかの曲では、多少、違和感のようなものもあったので)この一曲で今日のライヴがとても良いものになるであろうと予感させた。
 1回目のMCでは、バンドメンバー紹介を行った。
 しかし、ここで きっかから突然の無茶振りで「好きな名古屋名物を言って」とリクエストが。
 「ひつまぶし」「手羽先」「もつ煮」ときて、バンマス(?)のベース劔樹人さんが「しるこサンド」と言ったのは、やはりハロオタである挟持かもしれない(笑)。
 モーニング娘。元メンバーで初の愛知県出身者=鈴木香音が、道重さゆみに初めてプレゼントしたものが「しるこサンド」であったのだ。
 最後はきっか。だが、今日、何を食べたか思い出せず(苦笑)、名古屋に来たら必ず食べるものとして「きしめん最高、大好きな吉川友で〜す」と自己紹介した。
 そして−ここで恒例の「今日、初めてライヴに来た人?」のきっかの質問タイム。
 ツイッターできっかを知った人、はたまた、1曲ぐらいしか知らないがとりあえず来てみた人とコミュニケーションを取ったが、その1曲というのが「こんな私でよかったら」であった。
 だが、ここで場内からクスクスとした笑いが。
 それを察して、きっか自ら「今日は”歌わなかったとしても”」と言って場内は笑いに包まれたのだった。
 そうなのだ! 今回のセットリストにこの曲は昼夜の公演とも入っていないのである。これには もう笑うしかないだろう。

 2曲目は「花」
 そうあの、アイドル史上最長17分25秒の曲である。
 発表当時、この曲の長さと「第一楽章」「第二楽章」「第三楽章」という3つに分かれた壮大な世界観が注目されたが、私が実際にこの曲をフルバージョンで聞いたのは『7大都市ツアー2015 〜友言実行!〜』の時だけだった。
 つまり 今回で まるっと3年ぶりとなるのだ。
 その間にも、ショートバージョンや、散発的にフルバージョンを関東のイベントで披露した事もあったようだが、地方で見せた(聞かせた)のは本当に久々。
 それも今回はバンドバージョンである。
 期待と不安がないまぜなまま、曲が始まったのだが、すぐにそのパフォーマンスに惹き込まれた。
 「これは凄い事が起きている」と思うにそう時間は掛からなかった。
 今回のライブのハイライト、白眉の瞬間(の連続)であったと言えるだろう。
 Queenばりのロックオペラ「第一楽章」、セリフが多用され、語りにメロディを乗せた「第二楽章」、バンドとの一体感が光る「第三楽章」。
 それは「感動した」と一言で片付けるには恐れ多いほどで、私は演奏終了後、しばらく呆然としてしまったほどであった。
 ライヴ終了後の特典会できっか本人にも直接、伝えたのだが、バンドとのパフォーマンスで『曲が完成した』というのが正直な感想であった。
 3年前、作り込まれた音源をバックに、必死に覚えた歌詞をひたすら間違えないように歌った当時のきっかと、今回の堂々とした風情を纏いバンドを率いて歌うきっかはもはや別人であった。また、バンド用にアレンジされたのも(と言っても原曲に至極、忠実である)この曲には向いていたのだろう。
 それも相まって「花」フルバージョン披露は素晴らしいものとなった。
 直後のMCで「私はいつも皆さんに応援していただいているので、この「花」という曲を名古屋の皆さんにプレゼントしにきました」と綺麗に纏めたきっか。
 先日、5月1日のバースデイライヴに向けてのプレイベントで、披露する曲を友フレからリクエストを募るという企画があったのだが、このリクエストで1位となったのが「花」であった事も説明した。
 それから 昼公演の客の熱狂ぶりからか「名古屋の皆さん、キャラ変した。2018年、パワーアップした」と我々を褒め称えたきっか。
 なんだか、照れくさいではないか(笑)
 「花」の感動そのまま3曲目に雪崩込んだ。曲は「TO.BE」だ。
 このバラード曲も、ピアノの旋律を中心にして次第にバンドならではのパワフルさも重なり、純度の濃いロッカバラードへと昇華していった。
 4曲目「あまいメロディー」
 エフェクトの掛かったドラムのフィルインが、明らかに通常のバージョンでないことを告知するが、其処に乗せるきっかの歌声、メロディは何ら変わりはない。それどころか、きっかの歌声にはバンドの演奏に負けないぐらいの力強ささえ感じた。

 「バラードをバンドでやると、こんなにも原曲と変わってカッコよくなるんです」

 直後のMCできっかはそう語ったが、ただただ その言葉に納得するばかりであった。
 そして、これは恒例行事だろうか(笑)。
 26歳の目標を掲げて「ギターの弾き語りに挑戦したい」というきっかに友フレは一様に苦笑い。
 −というのも、2年ぐらい前に、事務所の先輩アーティスト 中島卓偉さんからギターを貰い、一度だけ(?)「プラネタリウム」を弾き語りをした事はあったが、きっか曰く、ギターは押入れに入ったままだったからである。
 しかし、26歳になったきっかは違った。
 「 自分の言った事は責任を持ってやる 」という宣言どおり、本格的にギターの弾き語りに挑戦するそうだ。
 そんな力強いきっかの言葉が聞けた後は、吉川友−初の配信シングルとなった新曲「NEO SUGAR SUGAR YOU」が披露された。
 もちろん、自分にとって初めて生で聞く曲である。
 ギターの小気味良いカッティングから、全体的にギターの存在が際立って、カッコ良い。
 夏に向けての、夏フェスで盛り上がれるロックチューン。
 正しくその通りだと思えた。
 ただ、きっか的には、我々、友フレのこの曲に対するレスポンスには不満があったようで、曲中の「〜新感覚のYOU♪」「YOU」「ヒュー」という「甲子園で風船が飛ぶような」コールをして欲しいと、その部分だけ「NEO SUGAR SUGAR YOU」を演奏して再現。
 正にバンドならではの臨機応変だ。音源だったら、まずは叶わないパフォーマンスである。
 そんなライヴならではの遊びもやってみせてクールダウンした後は、いよいよライヴも後半戦へと突入。
 それは同時に 怒涛のセットリストの幕開けだった。

 まずは「WILDSTRAWBERRY」
 イントロのドラム連打がまるで怒涛への咆哮となったようだった。
 これまで音源で聞いてきた「WILDSTRAWBERRY」よりも随分、趣が違うことに驚く。
 ステージのせりの先端まで出てきて 我々を煽るきっかも いつもと一味も二味も違う。
 ほんの一瞬のブレイク後、休み無く7曲目「URAHARA テンプテーション」へと続く。
 これはもはやフルバージョンのメドレーだ。
 お馴染みの『跪ずくのよ』の歌詞で我々、客側は一斉にしゃがむ。
 見慣れた光景もバンドバージョンでは何か、違って見えるのは何故だろうか?ステージ側から見れば尚更であろう。
 フルバージョンのメドレーは8曲目の「ハコの中のブルー」に入っても、きっかとバンドのパフォーマンスがいささかも緩むことはなかった。
 勢いのある「ハコの中のブルー」は特に分厚いバンド・サウンドで彩られると、盛り上がりはより大きくなった。
 我々、友フレも拳を振り上げ、それに応え、最後の『オイ!オイ!』コールも いつになく激しいものとなった。
 激しい盛り上がりそのままに「チャーミング勝負世代」に雪崩込んでも、場内はますますヒートアップするばかり。
 きっかも、ステージ左右に行ったり来たりと忙しく、我々を煽る。
 またこの曲では、ギターのコーハンさんのフラッシーな速弾きが目を惹くなど 見どころがいっぱいであった。
 休みなく10曲目は「恋愛遠慕」
 メロディアスなギター、キーボードが渾然一体となってきっかの歌を盛り上げる。
 『Hi Hi』コール、『きっか』コールがこれまた激しい。
 11曲目「アカネディスコ」。時折、入ってくるバンドメンバーのコーラス、煽りがよりいっそう曲を盛り上げた。
 この曲では きっかは扇子を扇ぎ&振り回し我々を煽るのだが 私の左前の友フレが持つ、ピンクの派手で大きな扇子が目についたのか、きっかは曲中に交換を願い出てすぐさま、その目立つ扇子を振りかざし始めるというサプライズもあった。
 そして、途中には『ホーリ・ホリホー』からの、きっかが咄嗟?に考えた名古屋ならではの『ひつまぶし ひつまぶし 暇つぶし!』『生バンド 生バンド 最高だ ナゴヤ!!』の熱いコール&レスポンスを挟み、今夜のライヴは最高潮を迎えた。
 直後のMCで、急遽(友フレから)扇子を借りた事を詫ながらも「目立っている方が好きなんだもん」と素直に言い放ったきっかは「センスのいい 扇子も売っております」とグッズの宣伝も忘れなかったのは流石であった(笑)。
 本編最後となったのは CDとして最新曲である「DISTORTION」
 3月に、子供の頃からの馴染みの場所で行われたリリースイベントが既に懐かしく思えるぐらい 感慨深く聞いたのだった。


 きっか、バンドメンバーがそれぞれ、ステージを降りていくとその姿を見届けるようにきっかコールが始まった。
 次第に大きくなったその声は、しばらく続いた。

 その声がだんだんと早くなり、最大となった時、薄暗いステージにバンドメンバーが帰還。
 メンバーは各人、ライブ・グッズである黄色の「きっかTシャツ」を着飾っているのが判る。
 その胸には「チーム吉川」黒文字で染め上げられている。
 バンドにとってこれほど相応しいロゴはない。
(ちなみに、劔さんはライヴ本編では、アメリカのハードコア・パンクバンド「デッド・ケネディーズ」のTシャツを上着の下に着込んでいました。)
 ステージに戻るやいなや、すかさずチューニングに勤しむメンバー達。今までのきっかのライヴでは まず有り得ない光景である。
 一通り、チューニングが落ち着くとカウント共に曲が始まった。
 その曲 −「Stairways」のイントロと共に勢いよく きっかがステージに現れた。
 もちろん、同じ「きっかTシャツ」を着用して、である。
 「きっか」コール、「Hi Hi」コール、「Hi」コールが場内を木霊する中、熱唱するきっか。
 曲間の長めのブレイクで、客席を大いに煽るアクションも もはや堂に入ったものだ。
 次々と同期のアイドルグループが解散していく中「(今後も)10年 20年と歌い続けたい」という力強い宣言をすると、遂にライヴもオーラスとなった。

 最後の曲は、きっか鉄板のタオルソング「水色」だ。
 客席で、あるいはステージで タオルが最初から最後まで乱舞するこの曲はライヴを締めくくるには最高で、最適な曲となった。
 「名古屋 ありがとうございました」と感謝を述べたきっか。
 また名古屋に戻ってくることを願い、ステージ・客席一丸となった万歳と共にライヴは終了した。





 吉川友にとって 初めてのバンドライブツアー。

 正直な処、私は大いなる期待と、ちょっぴり不安を抱えてライヴに臨んだ。
 だが、そんなネガティブな気持ちは ものの1曲目で吹き飛んでしまった。
 特に「花」フルバージョンが圧倒的で、素晴らしすぎて心が囚われてしまったが、もちろんそれだけではない。
 バンドアレンジで改めて気付く、楽曲の魅力、良さ....。
 今回のライヴは それを知る最高の機会となった。

 きっかは今後もバンドでのライヴ活動を続けていくという。
(実際、今年の夏イベントは ほぼバンドで参加するという予定だとか。あのTOKYO IDOL FESTIVALさえも....)

 私は 早くも次のツアーを期待しているのである。













SET LIST
0SE : ヒラヒラ星
1Sweetie
MC
2花(フルバージョン)
MC
3TO.BE                                
4あまいメロディー
MC
5NEO SUGAR SUGAR YOU(新曲)
MC
6WILDSTRAWBERRY
7URAHARA テンプテーション
8ハコの中のブルー
9チャーミング勝負世代
10恋愛遠慕
11アカネディスコ
MC
12DISTORTION
・・・Encore・・・
13Stairways
MC
14水色










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