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昨年の『「この街」TOUR 2020-22』から1年半ぶりの森高千里さんのライヴが、同じ愛知県芸術劇場で行われた。 開演は17:00。 休日ということもあり、非常に早い始まりとなった。 このような状況は コロナ以降、明確になったような気がするがどうなんだろう。 開場時刻 16:15を頭に刻み、自宅を出発した。 日曜日は地下鉄も それほど乗車率が高くないのは、特に夕方近くだとそれを強く意識できる。 会場である愛知県芸術劇場は 今や名古屋のシンボルマークの一つとなった「オアシス21」に横並びの愛知芸術文化センターに敷設されたものであるので、最寄りの栄駅に到着したらまず「オアシス21」を目指すこととなる。 だが毎回、思うのだが「オアシス21」に行くにはどの改札で出るべきなのか、覚えていないとかなり遠回りになってしまう失敗をしてしまう。 今回、時間に余裕がないため事前に調べ(栄駅東改札口)できるだけ短い時間、短い距離で移動。 愛知芸術文化センターのエレベータで2階へ。 芸術劇場の入場口には 既にカラフルなグッズのTシャツを身に包んだファンや あるいは森高さんのコスプレをした女性などでごった返していた。 その情景を横目に 入場口へ突き進んでいく。 今回も電子チケットを選択した為、入場もとてもスムーズだ。 厳重なカメラチェックもなくフロアーに足を踏み入れると、其処は会場外以上にごった返していた。 そしてここでも お馴染みの大行列が3階席以上への階段に形成されていた。 言わずもがなこの行列、グッズ購入者の列なのだが 以前よりもその規模は大きくなってしまっているのではと思うばかりであった。 とりあえずトイレをと思い移動してみるが、ここでも大行列。 前回はここまでではなかった筈だったが.......。 仕方なくその最後尾に並び、順番を待った。 とはいえ、男子トイレゆえサクサクと進む。 やっぱり それが女子トイレと違う利点である。 トイレを終え、グッズ列の最後尾に並んでみた開演まで20分(ぐらい?)。 5分、10分、まんじりともせず列の進み具合を見守ったが 予想以上に遅かった。 すると係員から「このままお待ちいただいても 開演時間に間に合わない場合もあります」とアナウンスされたのをきっかけに列を離れた。 「まあ 終演後も販売するだろう」と希望的予想を持ちながら〜であったのだが、以前、何かのライヴでは物販が終演後には無くなっていたのが頭に残っていて不安になる。(なんとか その希望的予想は現実となり安心したのだが) いよいよ1年半ぶりに愛知県芸術劇場の客席へと入場していく。 7月のMR.BIG名古屋公演会場であった日本特殊陶業市民会館 フォレストホールとは明らかに違う内部の作りはとても豪勢で、せり出した5階のバルコニー席まで、下から見下ろしても壮観である。 個人的には名古屋では特に好きな会場である。 その最大の理由はなんと言っても音響が良いこと。 フォレストホールと比べると尚更そう感じるのは仕方ないことだろう。 環境的に何の問題のない会場、唯一問題だったのは自席の件。 デジタルFCにも入っていない自分は普通にローチケ先行で取ったのだが、スマフォに表示された席は2階席。 森高さんが活動再開されて以降では、2014年に行われたZEPP NAGOYAでのライヴ以外は すべて1階席であった。 それだけにガッカリ感は大きく、やはりFCの力は偉大だったのかと再認識するに至った。 その自席に着き、ステージに視線を向ければやっぱり距離が遠い(苦笑)1階席の人々が羨ましく思えたのだった。 開演まで10分。 場内では森高さんが かってカバーした曲がSE代わりに流されていた。 The Beatlesの「Everybody's Got Something To Hide Except Me And My Monkey」や「HERE COMES THE SUN」が流れ、懐かしいと思ったのもつかの間、はっぴいえんどの「風をあつめて」が聞こえてきた時は「こんな曲も歌っていたんだ」と結構、驚いた。 後で調べると どうやら東京のCOTTON CLUBでの公演でやった時の音源だったらしいのだが当時の選曲にも、そして本日のSEにも意外さが際立ったのだった。 そしてこの「風をあつめて」が開演の合図となった。時間は17:00。ぴったりである。 そうそう、開演前には「資料映像収録のため撮影があります」というアナウンスもあった。 「資料映像って何?」と?が頭を飛び回ったが、YouTubeに流す20分ぐらいのトレイラー的なライヴ映像か?と考えたがどうなんだろう? いや DVD/Blu-rayの特典映像かもしれない。いずれによ記録として残るのは良いことである。 暗闇に包まれたステージに メンバーが現れ始める。 次第に場内に手拍子が響き渡る。 森高さんが登場してそれは最高潮に達した。 スポットライトを浴びた森高さんがリズムに乗って歌い始めた。 曲は「東京ラッシュ」だ。 元々は細野晴臣さんが1978年にリリースしたソロアルバム「はらいそ」に収録された1曲。 森高さんは1998年にアルバム「今年の夏はモア・ベター」をリリースしたが、その1曲目に収録。細野さんとも共演していた。 森高さんは再活動以後、東京で行われるライヴなどで披露してきたが 自分にとっては初めて生で聞く機会となった。 オリジナルよりもリズミックで、ダンサブルである。という印象であった。 「東京ラッシュ」は終わりになると急にスピードアップして「ザ・ミーハー」へと繋がった。まるでメドレーだ。 森高ファンにとっては「ザ・クラシック・森高」とも云える初期名曲の「ザ・ミーハー」は、安定の楽曲と言っていいだろうか。 「お嬢様じゃないの、私、ただのミーハー」の振りコピが ベテランのファンを中心に拡がっているのがよく判り面白い。 重量感を感じるベースの音がイントロを奏で始める。 ベースは古参のお馴染み 横山雅史さんである。 「今頃 違いを気付かないで〜」と森高さんが歌いはじめてようやく、この楽曲が「非実力派宣言」だと判る。 ほぼリード楽器となったベースが曲を先導し、鈴木マリアさんの印象的なギター・ソロがエンドを結んだ。 マリアさんにとって 今夜の見せ場の一つとなった。 (ちなみに 鈴木マリアさんの機材は 愛機のPaul Reed Smith、アンプ・ヘッドがOrange、スピーカーはBognerであった。ペダルは不明。ヘッドがOrangeというのは以前とは異なっていたような気がするが) 「みなさんこんばんは。森高千里です!今日は 森高千里「今度はモアベターよ! ツアー2023」ようこそいらっしゃいました」 「衣装も 1990年の学園祭ツアーの衣装を ほぼ再現して作ってみたのですが 似合ってますか?」 「かわいい」という声が客席方方から あがる。 「愛知でやるのは1年以上ぶりになります。最初は今回のツアーのスケジュールに名古屋が入っていなくて「なんで名古屋はないの?」と声がすごくありましてスタッフが必死にこの会場を押さえてくれました。コロナが終わって色々なアーティストが会場の取り合いになってるんです。名古屋でみなさんに会うことが出来てうれしいです」 「一生懸命に歌いたいと思いますので宜しくお願いします」 最初のMCを このように結んだ森高さんから次曲が告げられた。 それは「風に吹かれて」であった。 この曲は 今夜のライヴにおいて個人的にはハイライトの一つとなった。 なにせ1993年の「Lucky7 Tour」以来、30年ぶりに生で聞くのだ、懐かしさに溢れたと言っても過言ではない。 それにこの曲を当時、アコギ好きな元同期の友人にコードの採譜をして貰ったという思い出もあった。 あれから30年も経ったのかという時の流れと もはや連絡も取れないその友人の事を思い浮かべずにはいられなかったのだった。 秋深い夜にはピッタリであった「風に吹かれて」の雰囲気を一転した5曲目は お馴染みの「ストレス」。 曲前には後ろを向いた森高さんはこの曲の正装とも云えるエプロンを付けていたが、私にとっては森高さんと出会った曲。 私は 今までステージで何度となく聞いてきたが、その度に早着替えに挑戦していたな。と光景が脳裏に浮かんできたのだった。 ドラミングで始まった6曲目は「その後の私」。 この曲もかなり久々に聞いたと思ったが(調べたら、おそらく31年ぶりだった!)当時から大好きな曲であった。 そして曲間に入る「Ho〜Ho〜」と手拍子や振りなんて その後のアップフロントの後輩、モーニング娘。らハロプロのヲタ芸文化に繋がるものだと思えた。 特に2階席から1階席の客の振りコピの壮観さを見るにつけ余計、そう感じたのだった。 ラテンのリズムに乗って「ああ〜知りたがり〜♪」と唐突に歌い始める森高さん。 「これは....」とほぼ記憶の彼方に置き忘れていた楽曲は「しりたがり」。 アルバムは「非実力派宣言」に収録された森高さん初の 作詞作曲の楽曲であった。 この曲もステージで聞くのは おそらく「非実力派宣言」ツアー(1989年)以来、34年ぶりだと思う。 驚きと感慨をふける間もなく、曲はすぐに次に繋がった。 「しりたがり」はほぼイントロという感じか。 次は初期の楽曲「オーバーヒート・ナイト」。 森高さんが再活動以後も、時折、披露していることもあってか大いに盛り上がる。 「風に吹かれて」から「オーバーヒート・ナイト」披露のこのブロックは 振り返ってみれば自分が 80年代末期に森高千里というアーティストに初めて触れて 夢中になっていった頃の記憶を追体験しているような感じとなった。 「「オーバーヒート・ナイト」という曲はデビューから 2曲目の曲なんですけど、その時はまだ若くて10代だったので歌いきれていなくて 今はピッタリの年齢になって......間の、間奏のセリフが10代の時は恥ずかしくてちっちゃい声でしか言えなくて、今はいいお歳になってきましたので堂々と言えるようになってきました。すごくコンサート映えする曲だなと思っていますが、どうでしたか?」 もちろん、場内は大きな拍手に包まれた。 「2、3日前から急に寒くなってきましたけど、衣替えしたよ〜っていう方?」 「今年は あまりにも暖冬すぎたんですが、昨日ぐらいから寒くなってきたので 秋のセットリストがぴったりな気候になってきたかなと思っております」 と季節な話をした後 「みなさん判っていると思いますが今日は映像を撮っております。なので、みなさんの声援が小さいと「森高って人気がないんだな」と思われるので、みなさん、なるべくいつもより上げていただいて(大きな声で)」 と森高さんが言うやいなや、客席全体から大歓声が湧き上がった。 「ありがとうございます。それぐらい欲しかったです。最初から!」と森高さんが答えるとドッと湧いたのだった。 そして森高さんは広い会場の上階、3階、4階、5階を見上げ「遠いかもしれませんが 大丈夫? 見えますか?」と問いかけると 3階、4階の人が大きな声で「見えます〜」と応えた。 すると 森高さんは「ありがとうございます。私も見えてますよ」と会話のキャッチボールが為されたのだった。 「大丈夫ですか、楽しんでますか?」「映像が入ってますよ」と重ねると より大きな声で観客は反応した。 「朝からこの曲を聞いて 元気に学校、会社に向かった人も多かったと思います。ララサンシャイン聞いて下さい」 9曲目「ララサンシャイン」10曲目「二人は恋人」と定番の"陽な曲"が続き、場内には手拍子が鳴り響く。 ピアノ(音色)の調べから入った「休みの午後」は実にフォーキーなアコースティカルな曲へと変化。 この秋の季節にはピッタリな曲といえた。 秋のセットリストというのが最も実感できたかもしれない楽曲だった。(でもしっかりと鈴木マリアさんの情感溢れたギター・ソロとオブリガードでロッカ・バラードへと昇華させてもいたのだった) 「休みの午後」の最後のトーンが途切れることなくメドレーのように12曲目が始まった。 イントロから大きく盛り上がる「テリヤキバーガー」である。 ロックな楽曲な為か、鈴木マリアさんのギター・ソロも非常に映える。 ほぼ後半はマリアさんの独壇場という感じであった。 普段、この「テリヤキバーガー」はライヴ後半の ラストに向けて勢いを付ける"アゲアゲソング"なのだが、今回のように中盤にセットインするのはとても新鮮であった。 そんな気分は次のMCでも反映されることとなった。 「まだ終わりじゃないですよ、みなさん(笑)」 「このあたりに「テリヤキバーガー」をやると結構、好評みたいで....熱くなって頂いたんじゃないかなと。」客席から拍手が上がった。 「名古屋、久しぶりに来させて頂いて。名古屋はね、都会ですし何回も来ているので美味しいものはいつも食べさせて頂いていますが、「この街ツアー」の流れでインスタグラムに写真を撮って上げているんですが 名古屋ということで何にしようかと地元で有名な物を紹介して貰おうかなと用意して頂きました。」 そう、このブロックのMCは 森高さんのライヴでは超恒例となっている「地元の美味しい物を紹介する」コーナーである。 思い起こせば、地元グルメを紹介することは30年以上前から行われた定番中の定番であったがインスタグラムというアイテムを得て、より詳細に紹介するものになった。 「「めいふつの天むす 千寿」知ってますか。天むすの発祥のお店ということで、そうだったんだと初めて知りました。」 「名古屋の方はご存知ですよね。ココイチのベーカリーが出来たんですけど、知ってますか?行った人〜?」と訊くも、あまり手は上がらず「少ないね」と苦笑い。 「ココイチがカレーパンを作って ネットニュースにも載っていたので カレー好きな私は食べたいと思って スタッフの人は用意してくれました。ちょっとスパイスも効いて凄く美味しかった。」 「「つばめパン」知ってる?今、流行っているんでしょ。そのオムレツサンドっていうのを頂きました。これがまたメッチャ美味しかったです。最近、たまごサンドって流行っているじゃないですか。ちゃんと味がしっかり、チーズとマヨネーズが入っていて美味しかったです。」 残念ながら 「つばめパン」も場内の反応は薄かったが、自分は「乃木坂工事中」(テレビ愛知)で 名古屋出身の筒井あやめさんが紹介していた事もあって 知っていたのだが、全国的にも有名だったのかと改めて認識したのだった。 「これは私がインスタを見てて、名古屋の美味しいものはないかなと調べていたら、一朶(ICHIDA)の「冷やしみたらし餅」って知ってます?」とまた客席に問いかけるも「知らな〜い」とまたまた反応は薄かった。 そんな中で、かろうじて一人だけ手を挙げた人が居て「食べた?」と問いかける森高さん。 「(反応した人が)一人だけだった....」と唖然とするも、続いてもう一人が手を挙げて「美味しかったです」と答えると「そんな冷静に言わなくても」と森高さんが返した為、爆笑を誘ったのだった。 「私、みたらし団子が大好きで みたらし団子のタレがちょっと薄い感じでサラッとしていて、でも味はしっかりしている。一朶(ICHIDA)のみたらし団子、名古屋の人も知らなかったということで ぜひ食べて頂きたい」 「「芳光のわらび餅」も美味しかった。これはもう....「ぴよりん」。藤井(聡太さん)さんがおやつに食べたということで有名になったということで用意して頂いていたんですけど 私は意味が判らなくて、なんでこんなひよこがいるのかなって(笑)でも美味しく頂いて」 「ぴよりん」についても食べたことある方〜?って尋ねると、流石に多くの手が挙がったのだった。 「今回は普段、名古屋に来て食べないものを食べてみようと思って色々と調べてみましたけれど、名古屋の方も知らない(苦笑)。後でインスタの方に上げておきますので、ぜひ見て頂いてまた買いに行って頂けると嬉しいなと思います。」 「そういう訳で終わりです」と森高さんはこの「地元の美味しい物を紹介する」コーナーを自ら閉めたのだった。 COCOICHIポークカレーパン/特選牛スジ煮込みカレーパン つばめパン めいふつ天むすの千寿 芳光のわらび餅 覚王山 吉芋 STATIONカフェジャンシアーヌのぴよりん 一朶 「次の2曲はゆっくりめの曲を歌うのでみなさん、座ってゆっくり見て頂きたいなと思います。みなさん 座れてちょっとホッとした顔してますね。」 森高さんの着席指定で始まった曲は代表曲「渡良瀬橋」。 この曲を聞くと、実際は訪れたことがないものの 夕日に照らされた渡良瀬橋を想像してしまう。 渡良瀬橋と言わないまでも 自分の記憶の中にある夕焼けの情景が脳裏に結ばれるのだった。 森高さんのリコーダー・ソロもさすが 危なげない。 ゆっくりめの曲、2曲目は「雨」。 情感を込めて しっとりと歌う森高さんの声を我々、観客は堪能した。 そしてリズミックなトラックが場内に溢れ始めるとみな、一斉にスタンド・アップ。 自然と手拍子が拡がっていく。 始めは何の曲か判らなかったけれどお馴染みのイントロが聞こえてきて「17才」と判明すると、会場全体のギアが一段 上がった気がした。 「早く」「強く」「動か」「ないで」「空も」「海も」のコール・アンド・レスポンス、「好きなんだもの」のコールと「17才」が観客参加型の楽曲であることは 決してTV番組の歌唱だけでは判らないというのを改めて認識させてくれる。 それは次曲の「私がオバさんになっても」でも云えることだろう。 この曲をカバーしたアイドルは多いが(ハロープロジェクト、吉川友、乃木坂46 etc)サビの部分の振りなど完璧にコピーしているのは ほぼ居ない。 今回、2階席から見ていて ベテランの森高ファンを中心にそのフリコピがしっかりと揃っている様は、もはや他のアイドルを超えた。と言ったら言い過ぎだろうか(笑)。 通称「私オバ」は 大きく盛り上がって終わった。 「「17歳」「私がオバさんになっても」この流れ、メチャ盛り上がっていただけて ありがとうございます。」と直後、MCで感想を述べたぐらいだったからよっぽどだったのだろう。 それに森高さんとしては このように声出しが可能になったことが大層、うれしそうであった。 また"コール・アンド・レスポンス"はパフォーマンスだけでなく、MCにおいてもその効力は発揮された。 コロナ禍以降、声出しが可能になった今だからこその事であるが、このMCの時間が最高に楽しかった(面白かった)。 森高さんのライヴでは30年以上前から恒例であるライヴグッズの紹介であったのだが この客との会話が面白すぎたのだ。 「今回、森高タオル。肩に掛けていらっしゃる方が多いですが。前の方は....... いらっしゃらないですね(苦笑)」(どうやら、最前列周辺はいわゆるガチ勢に席は当たらず、新規のファンで固められていたようである) 「売り切れた〜」と観客。 森高さんは「オレンジは売り切れたそうです。黄色はまだ残っていますので」と続けるとまた観客が反応して「黄色も売り切れた。本当?」と聞き返した。 「まあ、でも通信販売でも売ってますので....」と森高さんがビジネスに徹すると、場内はドッと拍手と笑いに包まれた。 その森高タオル(ツアータオル)であるが「こういう風にすると、ここが『森』『高』になります。いいでしょ。初めてのことなので...コンサートでしか出来ないかもしれないけれど(苦笑)」と森高さんが実際にタオルを肩に掛けて見せてくれたのだった。 「「森高靴下」。履いている人いる? 足あげ(て見せ)なくていいですよ。つっちゃうと困るから」 「パンフレットはもちろん、パンフレットは皆さん、2冊ずつ持ってますか?」 「よく昔は保管用と見る用と買っている人が多くて。昔は−ですけどね」 「Tシャツは皆さん、着てますね。緑色が多いかな。まあ、全色お願いします」と煽る森高さん。 「トートバック!」と森高さんが紹介すると 方方から色々な声が上がったが 観客の一人が「ペラペラ」と声を上げたのを森高さんは聞き逃さなかった。 「ペラペラ!?」と語気を強めると 場内は爆笑に包まれた。 「私が言うのは判るけど(人に)言われるのはカチンときますね」と森高さんは言い返すものだから、大爆笑と共感の拍手が湧き上がったのだった。 「ペラペラも良いじゃないですか。ペラペラだと折りたたんで、バックにも入れられますし、いいじゃないですか」とポジティブな意見も付け足しこれには 森高さん、流石です。と心の中で思わずにはいられなかった。 「キャップかぶっている人?」と訊くと、手を挙げる人も多数いたが またその中から「小さい!」と声を上げる人がいた。 「小さい!?」とまたまた反応する森高さん。 「苦情ばっかり〜(笑)上がってますけれども。一応フリーサイズですけども。それならココをチョキンと切って工夫してかぶって頂けたら」と即座に対応するのだった。 「あとはマグカップ。こないだ インスタにマグカップを持っている写真を載せたんですけど どうでしたか?皆さんにこれで 朝、コーヒーとか紅茶を飲んでもらいたいなという表情だったんですよ、判って貰えましたか?」 「1列目、2列目の人は首が(森高タオルが無くて)寂しい感じがしますが、とりあえず大丈夫ですよ。(手に持っているタオルを)あげたいんですが、喧嘩になっちゃんうんで、買って下さい」 と最後まで販促を忘れない森高さんなのであった。 その後 「ベース:横山雅史」「ドラム:坂入康仁」「キーボード:山上佑」「ギター:鈴木マリア」「そしてバンドリーダー、ギター:高橋諭一」「バンドの名前はWHITE QUEENです。宜しくお願いします」とメンバー紹介を終えた。 「残り4曲となってしまいましたぁ〜」「えええーっ」とお馴染みの光景が広がる。 「残り4曲は元気にいきたいと思いますが、みなさん元気は残ってますか?」とライヴ後半に向け、森高さんは煽り、大きく盛り上げる。 グッズ紹介が繰り広げられたこのMC回は何度も言うが、本当に面白かった。 コロナによって声出しが禁止されたここ数年間の鬱憤が爆発したかのような 森高さんと観客のやり取りは 90年代初頭の頃のライヴを思い出させた。 爆笑MCの後は The Beatlesの「All You Need Is Love」のイントロ(つまりフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」のイントロ)から 同じくThe Beatlesの「Helter Skelter」の歪んだギターリフへと繋がり、それが「ハエ男」へと変わった。 洋楽、ビートルズファンには溜まらないこの演出に脱帽である。 そして ロックン・ロールなノリはそのまま少年ナイフのカバー曲「バナナチップス」へと見事に繋がった。 今まで東京でのライヴなどでは 頻繁に披露された曲であったが自分にとっては初めて聞く曲であった。 「東京ラッシュ」もそうであったが、30年以上、森高さんのライヴに通ってきて"はじめての曲"というのは貴重である。 出来るならば カバー曲ではなく自曲であったなら。と思うのだが贅沢すぎるのだろうか。 19曲目は 森高さんのライヴ後半に必ず披露される(と言ってもいいぐらい)「夜の煙突」。 カーネーションのカバーであるものの、おそらく本家よりも披露する回数は勝っているのではないか。 ドラムのイントロからして既に大きな盛り上がりが会場に渦巻く。 森高さんは舞い歌い、我々もその激しいパフォーマンスを全身で受け取り コールや手拍子、身振りで応える。 表情まで細かく判らなかったが、森高さんも汗だくだっただろう。 それぐらいエネルギーを消費する楽曲なのである。 このロックなコーナー最後、あるいは本編最後は「雨のち晴れ」。 前述した「テリヤキバーガー」が本来なら この本編最後あたりにセットインするのだろうが、この「雨のち晴れ」も1992年の「ROCK ALIVE ツアー」においても同様だったことを考えてみれば このセットリストも最適解なのかもしれない。 「みなさん、どうもありがとうございました」という言葉と共に、割れんばかりの大きな拍手を背に森高さんはステージを降りていった。 それを見届けるやいなや、場内には「千里〜♪」」コールがはじめから絶好調だぜ!というぐらいに大きく響き渡った。 コロナ以前の森高千里ライヴはこうだったんだ。とより思い起こさせたのだった。 「千里〜♪」」コールは一度も衰えることなく5分ぐらい続いただろうか。 暗転したステージに光が灯り、シルバーの宇宙服のようなジャケットとブーツ、赤のミニスカートに着替えた森高さんが登場。 アンコール1曲目。曲は「気分爽快」である。 冒頭から手拍子が始まる。もうこんな光景もお馴染みである。 この曲がビールのCMソングだったことを若いファンは もはや知らないかもしれない。 次の曲は再活動以後では 新曲というくくりになる「Don't Stop The Music」であった。(それでもリリースは10年前だ) リリース当時、森高さんがクラブミュージックに挑戦したとファンの間では話題であったが 今ではもう立派に"The 森高ソング"になって馴染んでいる。 曲間の特徴的なキメの手拍子も非常に楽しい。 直後のMCにて 「今日は約1年ぶりの名古屋のコンサート、みなさんも大きな声を出して頂いて一緒に歌って踊って楽しんでくれたと思いますが、楽しかったですか〜?」 これに対し、我々観客は拍手と大歓声で応えた。 それでも森高さんは 満足出来なかったのか 「ちょっと もう1回やり直そうかな〜。みなさん、楽しかったですか〜?」と煽った。 その言葉が発せられると同時に 先程とは比べられないほどの拍手と大歓声が長い時間、続いた。 「ありがとうございます。最初の頃は笑顔のない方もいらっしゃいましたが、だんだんと一緒に口ずさんで頂いて身体を動かしたりして頂いたりする方も凄く増えて楽しんでくれてるな。とこちらから見ても思いましたけれど、私も楽しんだんじゃないかなと思います。それぐらい楽しかったです。ありがとうございました。」 大きな拍手と声援が森高さんに贈られた。 「最初からこれくらい(大きな声が)欲しかった....」とボソッと森高さんが呟いたのは笑ってしまったが。 その後、インフルエンザやまだまだコロナが油断ならないということで、身体が冷えないように注意して下さい。みなさん いい歳なので〜と健康話に花を咲かせて 「元気を貰いに ぜひ森高のコンサートに来て下さい。お願いします」と纏めると再び、大歓声に包まれたのだった。 「10月18日に「この街ツアー2020〜2022」のBlu-rayとDVDが出ましたけど もうみなさん、お手元にお持ちですよね? この街ツアー行ったよっていう方、いらっしゃいますか〜?」 多くの者が挙手をし、当然、自分もその中の一人となった。 「「この街ツアー」のタイトルにもなった「この街」を歌って終わりたいと思います。今日は 本当にみなさん どうもありがとうございました。」 「この街」お馴染みのイントロが流れる。 森高さんのフリに合わせ、会場中が一斉に同じ動き(フリ)をする。 この光景は前述の「その後の私」に続き、壮観なものでライヴならではのもの。 これも決して歌番組では絶対、判らない。 そして「この街」では その土地々々の名物を曲中のセリフに差し込む事が恒例となっているが、今回は 「夜のおかずは何にすっと?久しぶりに味噌煮込みうどんがよか」 「今日のおやつは何が食べたいと?ココイチのカレーパンがよか」 −と味噌煮込みうどん、ココイチのカレーパンの2つが選ばれた。 「今日はみなさん、本当にありがとうございました」と1階はもとより、2階、3階、4階、5階の観客にも手を振りながら、ステージを降りていった。 しかし客電は点かなかった。 すかさず始まる再度の「千里」コール。 今回は着替えがなかった為か、すぐにステージ復帰した森高さん。 「Wアンコール、ありがとうございます〜」 すぐ今夜のライヴの感謝を述べた森高さんだったが、声がガラガラだった為 観客から「お水飲んで」「落ち着いて」(笑)と声が飛んだ。 森高さんが後ろを向いて水分補給に勤しんだ。 「50を過ぎてますから(苦笑)今日も歌って踊って。でも結構、動けてるでしょ.....」場内は拍手喝采であった。 「ほんと 名古屋のみなさん、めっちゃ元気ですね。ありがとうございます」 「「今度はモアベターよ! ツアー」は12月1日で終わるかなと思ってた人もいるかもしれませんが、また来年2月からスタートします。また色んな所にも行きますのでぜひ来ていただけると嬉しいかなと思いますし、久しぶりに熊本にも行きますのでぜひ、熊本の方にも遊びに来ていただけたらなと思っております。」 「それでは みなさんが今日、コンサートの帰りに こういう気持ちになりながら帰って貰えるとうれしいなと思いながら詞を書いた曲を歌ってお別れしたいと思います。ぜひまたみなさん 森高に会いに来て下さい。「コンサートの夜」聞いて下さい。ありがとうございました。」 最後の曲「コンサートの夜」。 ここ数年、ライヴの最後を飾ってきた曲でもあるが 1992年(リリース)の時点で こういう楽曲を制作した先見の明に改めて驚かされる。 なんだろう。歳のせいか、こういう曲にグッと来てしまうのだ。 もちろん、コンサートについて個人的な理由(思い出)があってのことなのだけど....。 「ありがとうございました。また会いましょう」 森高さんは 満面の笑みでステージを上手、下手と動き回り我々、観客に手を振りながらステージを後にしたのだった。 「今度はモアベターよ! ツアー2023」はその後、福岡筑後(11/25)大分中津(11/26)と無事に終了し、12月1日にツアー・ファイナルをLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で迎えた。 それからこの「今度はモアベターよ! ツアー」は来年(2024年)も続くことが発表された。 それも2月10日の宮崎公演からですから驚きます。 また1年ぐらい掛けて全国を周るのでしょう。 名古屋公演も また来年後半ぐらいでしょうか。楽しみです。 |
SET LIST | |
1 | 東京ラッシュ |
2 | ザ・ミーハー |
3 | 非実力派宣言 |
MC 1 | |
4 | 風に吹かれて |
5 | ザ・ストレス |
6 | その後の私[森高コネクション] |
7 | しりたがり |
8 | OVERHEAT. NIGHT |
MC 2 | |
9 | ララサンシャイン |
10 | 二人は恋人 |
11 | 休みの午後 |
12 | テリヤキバーガー |
MC 3 名古屋の美味しい物紹介 | |
13 | 渡良瀬橋 |
14 | 雨(アルバム・ヴァージョン) |
15 | 17才 |
16 | 私がオバさんになっても |
MC 4 | |
17 | ハエ男 |
18 | バナナチップス(少年ナイフ) |
19 | 夜の煙突 |
20 | 雨のち晴れ |
・・・Encore・・・ | |
21 | 気分爽快 |
22 | Don't Stop The Music |
MC 5 バンド「ホワイトクイーン」メンバー紹介 | |
23 | この街 |
・・・Double Encore・・・ | |
MC 6 | |
24 | コンサートの夜 |