茅原実里
Minori Chihara Live Tour 2009
〜 Parade 〜








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 3回目のMC。

 観客の様子を見てまずは「みんな元気だな〜」と感嘆。
 そこから昨年末、行った”初のキャンペーン”話へ。
 当然ながら、名古屋キャンペーンの事も語られた。
 そうなれば、定番の地元ネタ−グルメ話へと話が膨らみ「味噌煮込みうどんが美味しかった」「(手羽先の)山ちゃんですよ」と想定内の話題が出たかと思えば、昨日から『前乗り』して立ち寄ったホテル近くのコンビニがローソンだった為か、突然、「ドラゴンボールフェアをしているね」と名古屋と全く関係ない話をし始め、客席も唖然呆然。ここでも彼女が(愛すべき)「残念な子」と言われる所以が見事証明されてしまった感じであった。
 また朝ご飯にバームクーヘンを食べたけれど、冷蔵庫に入れて堅くなってしまうのを嫌がり、前夜から窓際に置いておいたら、朝、それを見ると(結露で)ベチョベチョになってしまい残念だった。という我々の理解の域を超えたフリーダムな話題まで飛び出す始末(笑)。嗚呼(苦笑)
 その後は、グッと真面目に、アルバム「Parade」制作時の事を話し始めた。

 「今の自分をそのまま表現したい」という想いで作られたというアルバム「Parade」− 特にジャケットデザインの考察、撮影時の楽しさや、それが出来上がってきた時の喜びをせつせつと語った。
 その「Parade」から。と紹介された10曲目「光」を茅原さんは艶やかな声で唄いあげ、11曲目の「その時僕は髪飾りを買う」というミディアムバラードでは、しっとりと情感溢れた歌声で我々、観客を魅了した。(「その時僕は髪飾りを買う」の歌詞は、特に茅原さんをイメージして書かれたとしか私には思えないのだが、ファンの方々いかがだろう?)この2曲だけでも、茅原さんに(昨年のツアーよりも)格段の成長が有ったことを強く印象付けさせた。
 昨年のツアーでも先行的に披露された「Melty tale storage」を茅原さんのその特徴的で”伸びやかな”歌声で披露し、それを終えると、本日4回目のMCが始まった。
 手始めにGOODSの紹介という商売っ気バリバリのトークに萎えたものの、それは前日の伊勢原公演から話題になっていたある物を使用したプラクティスのデモンストレーションに過ぎなかった。
 つまり、茅原さんの兼ねてからの希望であった「旗(Flag)」のGOODSを使い、曲中に観客と共に振りたい。という事なのであった。それが事前に、ある程度予想された為か、軒並み、開演前−それも随分前に旗は売り切れ(¥500)となる大盛況ぶり。(私もこれだけは入手しておきたいと願っていたのだが結局、購入できなかった。)茅原さん主導で「旗の振り方」の実演が始まった。
 それに合わせ、バンドは「Lush march!!」をマーチの如く力強く(実際の曲より半分のスピードぐらいで)演奏。茅原さんはと言えば「ラララ〜」と鼻歌交じりである。この1回目の実演だけでも大多数の観客は、茅原さんの振りを真似ることが出来る順応性をみせた。
 だが、茅原さんと観客双方の希望で、もっとスピードダウンした状態での旗の振り練習。
 これによってほとんど誰も間違えることのない完成度を極めるに到ったのだった。
 万全の体制で臨んだ「Lush march!!」
 ドラムのスネアの連打と共に始まったこの曲は茅原さん自身も述べたようにかなりテンポの速い曲で、正直な処、旗の振り方も途中で迷うぐらいなのだが、問題のサビ「Lush march〜♪」においては綺麗に左右に振られ見事に決まり、壮観この上もない。
 つくづくこの『お祭り』に参加出来ない事が悔しかった。
 ただ、誰かが言っていたが、この一斉に旗が振られている状景は中国共産党か、冷戦時代のソビエトかと言うぐらいのマスゲーム観。
 特に旗の色が赤なだけに余計、そう思えてしまうのだった。


 「Lush march!!」の勢いそのままに曲は「Parade」アルバムのリーダーストラック「Voyager train」へと移った。
 ここで彼女は赤い衣装を取り去り、上下黒のエナメル系のゴス、あるいはロック的な衣装へ。
 特に下はホットパンツ姿で、細かい編タイで覆った足がSEXY。
 今回、一番の露出度にどうしても目が奪われがちになってしまった。
 「Voyager train」をステージで唄っている茅原さんの姿見るのは「ニコニコ動画」でも配信されたradio minorhythm公開録音イベント以来だが、ネットを通じて聞くのと生で聞くのはやはり全く違う。
 観客も「Hi Hi」とそこら中で飛びまくり、正にライヴが最高潮を迎えつつある事を感じさせた。
 今ツアーライヴ、最もサプライズな選曲となった15曲目「輪舞-revolution」は、始まるやいなや客席の方々から「おー」と声が漏れる程であった。
 この「輪舞-revolution」は茅原さんにとって大先輩にあたる奥井雅美さんの曲で、昨年リリースされた奥井さんのトリビュート盤において茅原さんがカバーしているのだ。
 また昨年の「アニメロサマーライヴ」(さいたまスーパーアリーナ)においても、奥井さんとコラボレーションして歌い大喝采を浴びた曲でもある。
 いわば、あのさいたまスーパーアリーナでの再現が目の前で行われているという事でもある。
 これはもう興奮せずにはいられようか。「アニメロサマーライヴ」に参加していない私のような観客にとってはGIFTとなった。
 またエンディング近くには茅原さんの「せーの」という掛け声と共に「レボリューション〜」と大合唱になる様は、オリジナルにはないライヴツアー仕様となっていたのもファンには嬉しかっただろう。
 16曲目「君がくれたあの日」。茅原さんの代表曲、今や彼女のスタンダードと言ってもいいこの曲で場内は青いサイリュウムの光によって満たされていった。
 そして−私が最も聞きたかった曲。茅原さんが主役、「土宮神楽」役を演じたアニメ「喰霊-零-」の主題歌「Paradise Lost」が遂に披露された。
 同曲のPVでも、今まで私達が一様にイメージする”茅原実里”像をかなぐり捨てた”ロック”ライクなものだっただけに要注目だったのだ。
 それを象徴するかのように傍らに持つマイクも、(昔、Queenのフレディ・マーキュリーが使っていたような)短い簡易スタンドに装着しひたすら体勢低く歌う彼女の姿はエロチックな雰囲気さえ感じさせていた。
 また、歌詞の一節の「分かり合う」に対しての「求め合う」「離さない」に対しての「離れない」「輝いて」に対する「眩しくて」の見事のまでのステージと客席の”コール&レスポンス”。私が考えていた以上の盛り上がりをみせ、エンディングには「みんなも一緒に飛ぶよ」という茅原さんの大号令の元、(私も含め)皆が弾けたのだった(苦笑)
 「みのりん」という大歓声を前に、ステージ中央に立つ茅原さんはこう告げた。

 「今日は会いにきてくれて本当にありがとうございました。また会いましょう」

 次の曲が最後と言われ、「ええー」という溜息混じりの声が大きく響いたが、それには全く関せずという感じで静かに曲が始まった。これが全く意表を突いた選曲。アルバムトップを飾る「透明パークにて」という小曲であったのだ。
 マーチングドラムと安らかなKeyの調べをバックに歌いあげると、曲が終わりを迎えるのを待つまでもなく、茅原さんは踵を返し、目映い逆光の中、セット中央奥に位置するドアから去っていった。




 程なくして始まったアンコールを求める声と声と声

 それは大きなシュプレヒコールとなって会場の隅々まで響いた。
 3、4分ぐらい続いただろうか、暗闇の中、バンドメンバーが徐々にステージに復帰。みな赤いツアーTシャツに身を包んでいた。
 やがて、ケニーの指先から、温かなメロディーが紡ぎ出されると、茅原さんもステージに帰ってきた。
 ライヴスタート時と同じように、セットの天辺に姿を現した彼女は、静かに「everlasting... 」を歌い始めた。「everlasting... 」はアルバム「Parede」のラストを飾る曲であり、今の茅原さんの心情を最も投影した言葉で綴られた名曲である。
 高いセットから階段を一歩、一歩踏みしめながら囁くように丁寧に歌う茅原さん。
 しかし、歌が2番に入ったあたりから、彼女の声に微妙に震えが出てきてしまう。
 そして『出会いはわたしに勇気をくれたの 別れる時 何を返せただろう』という歌詞の処で全く声が出なくなってしまうのだった。
 ステージ近くの客なら、この異変はすぐ判っただろうが、私のようにやや離れた処に居た者にとってはすわ、機材不良か?はたまた歌詞を忘れたか?とも思われたのだが、実はそうではなかった。
 結局、その部分は全く唄えず、次のVERSEからなんとか復帰するものの、曲が終わってからもずっと俯き顔を上げることが出来ない彼女には、当然のように大きな声援が飛ぶ。
 ようやく顔を上げた茅原さんが「感極まってしまいました」と説明するも、彼女の中で動揺は全く収まっていないようであった。
 それを証明するかのように「everlasting... 」の曲について述べようとしても、また涙がこぼれて声が出ない。
 それでも途切れ途切れに発せられた彼女の言葉によれば −「everlasting... 」の曲を貰った時は、色々、思い悩み落ち込んでいた時で、この曲を受け取って、こんな素晴らしい曲を私が唄えるなんて−と感動したと。
 また、歌っている時に今までの事が色々、脳裏に浮かんで感極まってしまったとも言って、終始「ごめんね」を繰り返す。
 だが、こんな彼女を誰が責められるだろうか?一時とは言え秋葉原のストリートで歌っていた過去さえある彼女のルーツを知るファンなら尚更である。




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