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ナイトレンジャーが1stアルバム「Dawn Patrol」を1982年11月にリリースして今年で40年である。 ここ日本では1983年の前半にリリースされた(ライナーノーツの日付などから)と思うが、自分もほほ発売されてまもなく購入したと思う。 つまり自分もナイトレンジャーと出会ってほぼ40年。 正にバンドとともにこの時間を歩んできたと云える。 ここで当時(1983)を少し振り返ってみると「Dawn Patrol」が前半にリリースされ夏〜秋に初来日公演が発表? 2ndアルバム「Midnight Madness」のリリースが11月頃?(ライナーノーツの日付などから)−来日記念盤と銘打ったステッカーも貼られていた。 1983年12月6日(東京新宿厚生年金会館)7日(大阪フェスティバルホール)8日(名古屋市公会堂)9日(東京中野サンプラザ)10日(東京NHKホール)13日(東京新宿厚生年金会館)で初来日公演が開催。 翌年夏頃?には ジャパンツアー最終日(追加公演?)である新宿厚生年金会館公演の映像がビデオパッケージとなって発売されたのだった。 自分にとって人生初ライヴが 1983年12月8日 名古屋市公会堂でのナイトレンジャー初来日公演である。 来年には 初来日から40年となり、当然ながら同時に初ライヴから40年となる記念すべきものとなる。 そんなデビュー40周年を記念する来日公演がウドー音楽事務所主催で決定した。 3年前(2019年)の来日公演は「Dawn Patrol」と「Midnight Madness」を完全再現を主とするライヴであったが、残念ながら東京と大阪の4公演のみであった。 前々回(2017年)が東京、大阪、名古屋、広島の4箇所開催であったのに対して、いきなり2箇所に減らされ「なぜ?」と疑問を感じたり・・・としたものだった。 特にここ名古屋は1997年の正式再結成以来の来日公演では必ずライヴが開催されていた土地。 そこが外されたことに深い疑問が残った。 特に大好きな「Dawn Patrol」「Midnight Madness」の再現ライヴだっただけにその残念度は大きかった。 あれから3年、長いコロナ禍を通り抜け、遂にウドー音楽事務所から発表されたナイトレンジャーの来日公演は またしても東京、大阪の4公演のみだった。 そのライブ・スケジュールは前回と同じ 昭和女子大学 人見記念講堂で3日間、グランキューブ大阪で1日というものであったが、人見記念講堂で3日間を2日にして、名古屋を追加出来なかったのかと思わずにはいられなかった(ネットでもそう思った方もいた)。 もう日本では4回公演までしかやらないという契約となってしまっているのだろうか。だから東京を優先しているのかも.....?と。今回も疑問が残った。 ナイトレンジャーのメンバーは今年 70歳となったケリー・ケイギーをはじめ、68歳のジャック・ブレイズ、65歳のブラッド・ギルスとオリジナルメンバーはもはや高齢に位置している。 ケリーに至っては数年前に心臓の手術を行っているだけに、バンドがこれからもずっと安泰だとは残念ながら思えない。 今回の来日公演が最後になるのかも......それとも....!? しかし それは神のみぞ知ると言ったところだろうか。 そう考えると、居ても立っても居られなくなり最終日の大阪公演へ行く事にしたのだった。 この40年のライヴ歴において、ナイトレンジャーで遠征するのは今回が初の経験。ジャパンツアー最終日というのも2014年以来、2回目でもあった。 当然ながらグランキューブ大阪という会場は全くの未踏の地であった。 会場の雰囲気はどうなのか?客席からの見え具合は?など全く判らない。 幸いなことに、入手したチケットはなんとか10列目以内、そして会場に入って判ったのだが センターマイクの直線上の席であった。 ライヴ当日、午後。 私は大阪へ移動の為、近鉄電車「ひのとり」車中の人になった。 2020年に運行が開始されたばかりの「ひのとり」は 近鉄名古屋駅で毎時00分に発車するプレミアム感溢れる特急列車である。 近鉄には大阪へ運行する特急にアーバンライナーという列車もあるが、利用客が減少傾向は否めず それを打破する為にこの「ひのとり」の運行が計画されたそうである。 その目論見は当たり「ひのとり」は週末など休日は大いに賑わっていると訊いている。 そんな「ひのとり」を初めて体験してみた感想を一言で表すならば"快適"の二文字に尽きる。 レギュラーシートであったにも関わらず、後ろを気にすることなくリクライニング出来る特別仕様、揺れの少なさ、はたまたウイークデーということもあり隣席には乗客もいないという気楽さも相まって大阪までの2時間、苦痛に感じる瞬間が全くなかった。 YouTubeの乗車体験動画で「飛行機のファーストクラス並」という評価も聞かれたが、それも納得できる快適さであった。 ライブ終演後、名古屋への帰還は新幹線こだまを使ったが、乗客が全く居なかったものの揺れは大きいしシートは狭いしで快適でなかったゆえ「ひのとり」の快適さが際立ったというのもあるかもしれない。 大阪の友人のアドヴァイスに従い 初めて鶴橋の地で降りた私は、駅構内を急いで移動し JRの大阪環状線に乗る為 チケットを購入。改札を通り抜けた。 大阪環状線のプラットホームに立って気付いたのだが、既にラッシュの時間帯になりかかっていたのは想定外であった。 目指すはJR大阪駅。 ホームになだれ込んできた列車の行き先に不安を感じながら乗り込むと、やはりギュウギュウ詰めの満員状態となった。 マスクがあるとは云え、新型コロナへの恐怖が蘇ってくる。 16分ぐらいの乗車を終え、ようやく大阪駅に到着。 行き先表示板を探しながら必死に次の目標「桜橋口」を目指した。 たどり着いた「桜橋口」から大阪駅外に出る。その大通りでは大型バスが勢い良く走行していたが、其処にはいくつかのバス停があるのが見て取れた。 自分はここから「グランキューブ大阪」の横にあるリーガロイヤルホテルへと行き来しているシャトルバス(無料)に乗る予定なのである。 17年前に従兄妹が結婚式を行ったリーガロイヤルホテルへこういう形で戻る?ことになるとは感慨深かったが、そのシャトルバスの乗り場が判らず一苦労。 やがてシャトルバスが交差点を曲がり、なだれ込んで人の列が形成されている場所に止まった。 やっとここが乗り場だったのかと最後尾に並んだ。 20人以上は並んでいただろうか。 事前情報によればシャトルバスの定員は28名。 果たして乗車出来るのだろうかと不安になってきた。 これに乗れないと6分待ちとなる。 開演までには十分、余裕はあるが......。 なんとかバスには乗れたものの、車内は満員。 再び、コロナの不安が蘇ってくるものの周りが 全員がナイトレンジャーのライヴに行く人なのかも思えると何やら同志のような気持ちが湧き上がってくるから不思議である。 バスには10分ぐらい揺られていただろうと思うが リーガロイヤルホテルの入り口で下車した後、横のグランキューブ大阪へと急いだ。 時刻は18:00頃。 開場したのかどうかさえ判らない時間帯であったが 既にグランキューブ大阪の建造物に入る入口へと長い行列が出来ていた。 その人々の行動の速さに驚きつつ、行列の最後尾に並んでしばし時を待ったのだった。 グランキューブ大阪のメインホールは5階である。 其処までエレベータで登るが、5階でもホール入口まで行列が出来ていたが どうなっているのかここからは全く伺い知れなかった。 列が動き、ホール入口を通過するとようやく物販売り場と、チケットのもぎりの様子が見て取れるようになった。 このまま入場したらグッズは購入できないのでは?という不安に駆られ、列を離脱。すばやく物販列に並んだ。 程なくして売り場にたどり着いたが、気になっていたキャップ(\3,500)は既に売り切れてしまっていた。 残念。どうやら先行発売で売り切れてしまったようだ。 だから開場前から 人が多かったのかと今更ながらに気付いたのだった。 結局、今回もパンフレットを購入しただけで チケットもぎりのブースに移動。やっとホール入りしたのだった。 客席に入ってからの第一印象はまず 「愛知県芸術劇場に似ているな」というものであった。 もちろん愛知県芸術劇場を特徴づける馬蹄形の3層のバルコニー席などというものはないが、1階の客席の雰囲気が似ているように感じた。 前述したように今回、取れた席はギリギリ10列目以内と判っていたが、着席してみて初めてセンターマイクの直線上の席でもあると判ったのだった。 つまり ド真中であったのだ。それだけにあと 3列ほど前だったら最高だった。と言ったら高望みだろうか。 開演までの30分以上、ステージの写真を撮ったりしてまったりと時が過ぎるのを待ちながら これからステージで繰り広げられるであろう光景を想像した。 開演予定時間(19:00)から7分ぐらい過ぎた頃だった。 それまでのSE代わりに流れていた曲から、格段に大きなボリュームで"ある曲"がスピーカーを響かせ始めた。 その曲は 後にsetlist.fmで判明したがエルビス・コステロの「Pump It Up」という曲であった。 なんともノリが良く、耳に残る曲である。 自然と手拍子が湧き上がった。 「Pump It Up」の曲後半 ステージに目を転じれば、暗闇に紛れメンバー達が所定の位置へ立とうとしていた。 この時には場内のSEは「(You Can Still) Rock in America」のシンフォニー・ヴァージョンへと切り替わり、ライヴのスタートを煽っていた。 「All Right Please Welcome Night Ranger !!」とお馴染みの野太い声の雄叫びが場内に響き渡る。 スタッカート気味にギターリフが刻まれ それに併せ、スポットライトが一つずつメンバーを照らしていく。 ステージ下手(客席から左側)がキーボードのエリック・レヴィ、上手がドラムのケリー・ケイギー、その間を埋めるように左右のお立ち台にはケリ・ケリ(Keri Kelli)とブラッド・ギルスが立つ。 そして「40TH ANNIVERSARRY」の文言も加えた大きなバンドロゴを背負う形となったジャック・ブレイズは、ステージ後方に備え付けられた高台に居る。 ステージ後方の高台のセットといえば、39年前の初来日公演を思い出さずにはいられない。 そういう意味もあっての今回のステージセットなのだろうか。 最後に全員が同時に眩いスポット・ライトを浴びて決めポーズを作る。特にジャックのベースを掲げた姿がカッコいい。 我々、観客は曲のスタートを固唾を呑んで見守ったのだった。 なにせ先立って行われた東京3公演は1曲目が「 (You Can Still) Rock in America」だった初日・2日目、「This Boy Needs to Rock」だった3日目と明らかに違うのだ。 それだけに1曲目に何が飛び出してくるのか?要注目事項であったのである。 期待を以って臨み耳に飛び込んできたギターリフは「This Boy Needs to Rock」のそれであった。 個人的にも大好きな曲、ライヴ・スタートを飾るには相応しい曲である。ジャック・ブレイズも元気いっぱいだ。 ギター・ソロにはナイト・レンジャーではもうお馴染みとなったDeep Purpleの「Highway Star」のギター・ソロを組み込み、ブラッドとケリ・ケリがユニゾンで速弾きを決める豪華仕様。堪らない瞬間である。 その後、ケリー・ケイギーがそのまま「Highway Star」をワンコーラス歌い、後半は「This Boy Needs to Rock」に戻っていった。 曲が終わりを迎えるとそのまま ほぼ途切れることなく、キーボードの音色が場内を満たす。 「Four in the Morning」である。 サビの「I can't take anymore I can't fake anymore 〜♪」で 客それぞれが拳を振り上げ、マスクの中とは云え皆が歌っていた。 それは今まで 何度となく見てきた光景でもあった。 アレンジを加えたコーラスの後ブラッドのショート・ソロを挟み、ケリ・ケリのギター・ソロが始まる。 個人的には この曲を弾いて自分のチャンネルに載せようと練習したものの、途中のエコノミー・ピッキングの速いフレーズがどうしても弾けず頓挫してしまっていただけに要注目であった。 軽やかにケリ・ケリはフレーズを弾きこなし、いよいよ問題の箇所にくると彼はそのフレーズをタッピングで弾いた。 「えっ そうなんだ」とちょっと唖然としてしまった。 自分が今まで見てきたケリ・ケリ参加の来日公演(2014年/2017年)でも おそらくそう弾いてきたのだろうが、自分が挑戦してみて初めて判る弾き方の違いである(オリジナルのジェフ・ワトソンはエコノミー・ピッキングで弾いていた)。 「Four in the Morning」が終了すると、これまた途切れなく低音を効かせた分厚いキーボードの和音が響いた。 ジャックが「Sing Me Away !」と曲名を叫ぶやいなや小気味良いギターリフが奏でられた。 歌が始まると、なにやら調子のハズレたケリーの歌声が聞こえてきて「あれっ?」となったがその後、いつものメロディラインに戻ったのでアレンジ/フェイクでもしていたのだろうか? その時、ドラムセットの回りにジャック、ブラッド、ケリ・ケリが集まって演奏していたのも 何かケリーをサポートするという意味合いがあったのかも。と思えたのだった。 その後、今日はじめてジャック、ブラッド、ケリ・ケリがステージ下手に集まったりと見せ場を作り、ケリ・ケリがギター・ソロを決める。いつものナイトレンジャーの姿であった。 (ただ ケリーの歌唱は処々、苦しげであったのは間違いない。数年前の手術の影響でもあるのか?とやはり考えてしまった。) 「Night Ranger is Back in Osaka」で始まったジャックの今宵初のMCは絶好調ぶりを適正に示し、次曲がDamn Yankeesであることを伝えた。 ブラッド・ギルスから繰り出される小気味良いギターリフが Damn Yankeesの代表曲「Coming of Age」である事を示した。 今やナイトレンジャーのセットリストにおいて定番となったDamn Yankees楽曲であるが、Damn Yankees自体が活動不能となっている今、唯一 定期的に披露しているのはジャックだけなのだろう。 Damn Yankeesファンにしても貴重な機会である。 ブラッドがアーミングでエンディングを決めると 客席は大興奮状態。 それを受けてセンターマイクに立ったジャックはMCを犬の真似した吠え声と共に始めた。 時折、見せるジャックのイタズラ、おふざけである。だが、客席は大ウケであった。 また以前もネタにした事があるケリー・ケイギーとケリ・ケリを分かり易くするために「KK1」「KK2」とすることを話したり、ジャックがホテルのエントランスで朝7時、コーヒーを持っていたら エリックが酔って朝帰りした(「昨夜はハード・デイズ・ナイトだった」と発言したようで 笑)と暴露したりMCは終始 和やかに進んでいった。 そして そのエリックがジャックに促され、ピアノ音色で流麗なソロ曲を弾くと、それは「Sentimental Street」へと繋がっていった。 キーボードのみをバックにして ドラムセットで歌い始めるケリー・ケイギー。 いつもながら美しい瞬間である。 ワンコーラスを歌い終えると、サビのコーラスからはステージ袖に捌けていたジャック、ブラッド、ケリ・ケリの三人も加わりバンドサウンドへと膨らんでいく。 タメの効いたギター・ソロをアーミングで終えたブラッド・ギルスと見所の多い楽曲であるが、パワフルなドラミングと最後まで朗々と歌い上げたケリー・ケイギーがやはり主役であった。 あらためてジャックに「ケリー・ケイギー」とコールされ、満足気な表情をしたケリーに拍手を送る我々であった。 場内が風のような音のSEが満たされていくと、高台のセットに一人上ったブラッド・ギルスにスポットが当たる。 ギターのボリュームを操作して曲のイントロを構築、それに併せてドラムの音がだんだんと大きくなっていく。我々も手拍子でそれに応えた。 お馴染みの「Passion Play」だ。 元気よくジャックが歌い始める。初来日公演以来、何度も目にした光景である。 曲のエンディングをケリ・ケリの猛烈な速弾きで終えたメンバー達を我々、観客は拍手で称えるのだった。 センターマイクに立ったジャック・ブレイズにスポットが当たった。しばしのMCタイムである。 ここでは昨年夏にリリースされた新譜「ATBPO」の紹介が主となった。 観客に「ATBPO」を連呼して、叫ばせるというこのご時世ではちょっとヤバめな展開(苦笑)。 要するに次の曲は そのニューアルバムから新曲披露である。 ここでの注目は、さてその新曲は何をやるか?であった。 東京公演初日では(アルバムリリース前にネット解禁となった)「Breakout」が披露されたが、2日目、3日目と「Bring It All Home to Me」が披露されたのである。 アルバムのリードトラックともなった「Breakout」は 自分のYouTubeチャンネルでいち早く弾いてみて(世界で一番早いかも 笑)それをインスタグラムでも紹介すると、なんとエリック・レヴィにもイイね&コメントを貰ったという逸話があっただけに思い入れが強い。 だからこそ本家の「Breakout」を生で聞いてみたかったのである。 しかし、ジャックがMCで「Baby Baby〜♪」とサビを鼻歌交じりで歌ってみせたのは「Bring It All Home to Me」。 「ああ、やはりこっちか〜」とちょっとガッカリしてしまった。 「Breakout」はステージで披露するのは特別な、レア曲になってしまったのだろうか。 アメリカでは昨年来、よく披露されてきた曲だったように思えたのだが...。 ジャックの鼻歌が呼び水となって 大阪では本邦初披露となった「Bring It All Home to Me」も ノリの良い実にナイトレンジャーっぽい(というかジャック・ブレイズっぽい曲という方が合っているかも)曲で悪くない。 選曲された理由も、結局の処 ジャックが好きだから(あるいは歌い易いというのがあるかも)かもしれない。 それを反映してか、曲が終わってもジャックは小声で鼻歌?を歌ったが それを切り裂くように聞き覚えのあるシンセサイザーが突然、響き渡った。 「The Secret of My Success!!」とジャックが叫んだ。 ナイトレンジャーのライヴでは再結成以後、必ず披露されてきた曲であるが ソロにおけるブラッドとケリ・ケリのギター・ハーモニーが実に心地良い。 曲の終わりには「Na Na Na〜」と客とシンガロングするシーンも定番であったが、今回は流石に時間的に短いものとなった(東京公演では客が声出しするシーンが顕著になった為に注意されたという噂もあったが)。 「Night Ranger This Year 2022 40years Anniversary !」とデビュー40周年をMCで祝った後、演奏が始まったのはバンド名を冠した「Night Ranger」である。 最初はゆったりとしたミディアム・テンポで始まるこの曲は 後半(当時は)スラッシュメタルかというぐらい速い曲になっていくのが特徴的であったが、ここ最近はまた違う側面を併せ持つようになった。 特にケリー・ケイギーのドラムソロが始まると印象が一変する。 ドラムセットにメンバーが一同に会し、それそれがスティックでドラムを乱れ叩くのだ。 前回の来日公演でも披露しライヴの見せ場となっていたが、今もこれが続いている。 まずケリ・ケリがMAN WITH A MISSIONのようにオオカミ?風の被りモノを付けてドラムソロに参戦、タムを叩く。 その後、ジャック、ブラッドが参加。息のあった演奏を見せていく。 最後には、エリックまで参加しバスドラムやそのヘリを叩き大いに盛り上げたのだった。 そんなドラム合戦が終わるやいなや、ブラッドはドラムスティックを客席に高く投げ入れ、ジャックは丁寧に前方の席に投げ入れたのだった(二人の行動の違いが見えて興味深かった)。 「Night Ranger」が前述したように速い曲へと様変わりすると、ブラッドとケリ・ケリのソロ回しもあり、非常に見所の多いものとなった。 ジャックが次の曲と紹介した11曲目はDamn Yankeesの「High Enough」。 ジャックの後ろに控えるケリ・ケリは既にアコースティック・ギターを構えていた。 東京公演2日目(2022.10.22)にはこの「High Enough」の前に サプライズで「Come Again」をワンコーラスほどジャックが熱唱するシーンもあったそうで、羨ましい限りである。 日本公演最終日であるこの大阪公演でも、そんなサプライズも期待したが、予定どおり?に「High Enough」が披露された。 「High Enough」も 先の「Coming of Age」に続き、今やナイトレンジャーの定番曲となったが それを表すようにブラッドのアーミングたっぷりのギター・ソロは これがもはやオリジナルなのではないかと勘違いさせる程であった。 個人的には、Damn Yankeesなら他の、例えば2ndアルバムに収録された「Where You Goin' Now」とかを一度は聞いてみたいと思うのだが.....。 再びケリ・ケリとブラッドはアコースティック・ギターを抱え ジャックに促されケリーがセンターマイクに立った。 「次はアルバム『Man in Motion』から スペシャルな曲です」と紹介すると始まったのが「Reason to Be」であった。 東京公演2日目のみ披露された曲で、おそらく1988年の解散前の来日公演以来の披露ではないだろうか。 1988年の公演を見ていない自分にとっては生で初めて聞く曲でもあった。 ブラッドが力強くギターをストロークし、それに追従するケリ・ケリ。 その演奏をバックに、タンバリンを叩きながら歌い始めるケリー・ケイギー。 ユニゾンでジャックが歌声を合わせる。 その様子に 客席では自然と手拍子が湧き上がった。 これまた美しい光景であった。 今夜の大阪公演で 白眉な瞬間の一つであったのは間違いないだろう。 しかし、アンプラグドタイムはまだ終わらない。 ジャックから告げられたその曲はバラードの名曲「Goodbye」である。 ブラッドとケリ・ケリのアコースティック・ギター隊をバックに従えて、ケリーがしっとりを歌い上げる。 この構図は先程の「Reason to Be」と同じである。 途中からはジャックも歌唱に加わりこのバンドの底力を見せつけたのだった。 またブラッドのアコースティック・ギター・ソロが見れるのもこの曲だけである。 曲後半はブラッドとケリ・ケリがエレキに持ち替え、ケリーはドラムセットに座り、分厚いバンドサウンドを奏で始める。 メロウな曲調で始まり、最後はハードで閉める。 ある意味、最もナイトレンジャーらしい曲かもしれない。 その余韻を楽しむように「Goodbye」のエンディングはそのまま「When You Close Your Eyes」へとメドレーのように繋がった。 この曲もコピーしただけにギターを(ケリ・ケリのソロなど)注目してしまうが、サビの部分ではジャック先導のコール・アンド・レスポンス。 やっぱり、ライヴで他の客と一緒に歌うって楽しい。という気持ちを思い出させてくれたのだった。 15曲目。本編最後となったのはやっぱりこの曲しかない−「Don't Tell Me You Love Me」である。 あのアルペジオとスライドを組み合わせたリフが聞こえた瞬間から客席は大きく盛り上がった。 ステージ狭しと上手、下手と動き回るブラッドとケリ・ケリ。ギター・ソロもバッチリだ。 そのギター・ソロ後にも見せ場はあった。 絶妙なアーミングでコーラスに彩りを与えたかと思えば、ステージ中央にジャック、ブラッド、ケリ・ケリが集まってギター&ベースのDUEL。 ライヴならではの光景であった。 曲最後にジャックがメンバーの名前を連呼し紹介すると、そのままステージを捌けると場内は再び 暗闇に包まれた。 やがてアンコールを求める拍手がさざなみのように拡がっていくと、メンバー達もすぐさまステージに帰還した。 早速、ジャックが謝辞を述べその口から「オジー・オズボーン」の名前が発せられた。 そうなればオジーと関係があったブラッド・ギルスに注目が自然と集まる訳だが、よく考えるとブラッドが急逝したランディ・ローズの代役を務め、オジー・オズボーンの初来日公演を成功させてから今年で40年なのだ。 そんな記念すべき年だからこそ(度々、来日公演でも披露されてきたが)「Crazy Train」を演奏するのは意味のある事だったのかもしれない。 ショート・バージョンの「Crazy Train」ではあったが、肝心のブラッドによるギター・ソロはたっぷり。 目一杯、アームを効かせてブラッドらしい演奏を披露してくれた。 ジャック・ブレイズが「Sister〜!」と叫び、それに応えて「Christian!」と我々 観客も叫んだ。 あの聞き慣れたピアノフレーズがエリックが奏でると、ドラムセットを降りていたケリー・ケイギーが徐にステージセンターで歌い始めた。 これもまた何度となく見てきた光景である。 やがてドラムセットに帰還したケリーのスネアの連打と共にギター、ベースが重なり分厚いバンドサウンドへと転化。 結果的にナイトレンジャーを解散に追い込んだ曲となった「Sister Christian」が今や、バンドを代表する1曲ともなった事を考えると なんとも感慨深く思えてくる。 時代の移り変わりを感じてしまうのだった。 「Osaka〜 still Rock in Japan !!」 ジャックの掛け声と共に 地を這うようなアームアップした音がブラッドの赤いストラトから発せられると いよいよライヴもオーラス。 「 (You Can Still) Rock in America」の見せ場といえば、なんと言ってもそれはブラッドとケリ・ケリのギター・ソロに他ならない。 個人的にはブラッド・ギルスの一二を争う名プレイであると思うし、前任のジェフ・ワトソンの名前を一気に広めた「8フィンガー」タッピングはバンドのカラー(特徴)となった。 バンド加入当時はまだ拙かったケリ・ケリの「8フィンガー」も、加入から9年(来日公演では4回目)もう堂に入ったものであった。 (ただ難点を言わせて頂くと、ケリ・ケリのせっかくの見せ場が背後からの煙の噴射で見えづらくなってしまった事ぐらいか(苦笑)) でも この曲でライヴを閉めるというのはやっぱりイイ。 東京公演の初日・二日目はこの「 (You Can Still) Rock in America」でスタートしたのだから(ラストは「Sister Christian」)戸惑う人も居ただろう。 セットリスト的な観点から言っても、大阪・日本最終公演をチョイスしたのも あながち間違っていなかったと思えるのだった。 ライヴ終了を惜しむように大歓声と拍手がメンバー達に称賛を込めて浴びせられると、ジャックらの先導で恒例の「San-Bon-Jime(三本締め)」が始まった。 それが終わるとすぐさま場内にはクロージングSEとしてPAからブルース・スプリングスティーンの「Born In The U.S.A.」が流れ出した。 ライヴ終了を伝えるには不釣り合いなほどアガる曲である。 ブラッドやケリ・ケリはギター・ピックやコースター(?)を大量に客席に投げ込み、前方で争奪戦になっているのも目に入ってくるが、この位置ではそれに参加出来ないのがもどかしい(苦笑) そうこうしているとジャックか誰かが「Born In The U.S.A.」に合わせ手拍子を煽り始めた。 皆、それに従い拍手が揃う一体感を醸し出した。 ライヴが終わっても しかもバンドと関係ない曲でも盛り上がるというのは珍しいし、個人的には楽しい気分になったのだった。 日本公演最終日というのもあったのだろう。 終わりを惜しむようにステージに留まっていたメンバー達もステージを去り、終了を伝える場内アナウンスが流れ始めると時計の針は21:00を指していた。 ライヴ終了直後特有の騒然とする雰囲気の中、観客は帰路へと急ぎ始めた。 友人から伝え聞いていた規制退場もなく、それが余計混乱を極める結果となった感じであった。 びっしりと人が固まったエスカレータ。 なかなか場外に出られない焦りで心が一杯になる。 なにせ終電の新幹線は22:30発のぞみ78号。 さすがにこれには間に合うとは思うが、この前の22:06発こだま768号に乗りたいと事前に予定を立てているのだが....。 発車まで1時間も余裕がない中、その間に新大阪駅まで行けるのか皆目判らなかった。 グランキューブ大阪からJR「福島駅」まで徒歩、そこから大阪環状線に乗ってJR「大阪駅」へ行き 京都線に乗り換えて「新大阪駅」。 一つでも乗り間違えたりすれば、その時点でアウト。 そんな気がして仕方なかった。 だからこそ JR「福島駅」までの歩く時間をどれだけ短縮出来るかがキモであった。 全く土地勘がない場所で焦る気持ちを押し殺しながら、走るに近い勢いでひたすら駅を目指した。 JR「福島駅」に着く頃には、汗をかくぐらいの体温上昇を感じるほどであった。 その後、乗り間違えもなく 乗り継ぎも巧くいったことでなんとか多少の余裕を以って「新大阪」に到着。 お土産を買う事は出来たものの、弁当を買う事は出来ず(新幹線駅構内の売店は既に閉店していた)空腹のまま こだまに乗車。 10数人ぐらいしか乗車していないじゃないか?というぐらい閑散とした車内は、ストレスは感じなかったが前述したように揺れがひどい(苦笑)。 それでも先程のライヴの喧騒と盛り上がりを振り返りながら、自然と笑顔になったのだった。 実は別の不安な件があり、心ここにあらずな状態で行った大阪遠征であった。 しかし、ライヴ中はそんな不安も吹き飛ばす夢の時間でもあった。 やはり、デビューから40年ずっと追いかけてきたナイトレンジャーは自分にとって特別なバンドであると改めて 認識した次第である。 また2年後、3年後...再来日を実現して欲しい。 出来るなら名古屋でもやってね。と今は 願うばかりである。 |
SET LIST | |
◆ | Opening S.E. Pump It Up (Elvis Costello & The Attractions) |
1 | This Boy Needs to Rock(include Highway Star) |
2 | Four in the Morning |
3 | Sing Me Away |
4 | Coming of Age(Damn Yankees) |
5 | keyboards Solo (Eric Levy) |
6 | Sentimental Street |
7 | Passion Play |
8 | Bring It All Home to Me |
9 | The Secret of My Success |
10 | Night Ranger |
11 | High Enough(Damn Yankees) |
12 | Reason to Be |
13 | Goodbye |
14 | When You Close Your Eyes |
15 | Don't Tell Me You Love Me |
・・・Encore・・・ | |
16 | Crazy Train(Ozzy Osbourne) |
17 | Sister Christian |
18 | (You Can Still) Rock in America |
◆ | Closing S.E. Born In The U.S.A. (Bruce Springsteen) |
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