TAGAWA
2018 SPRING petit TOUR







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オフィシャルツイッターより









田川ヒロアキ - guitar, keyboards, vocals
長谷川浩二 - drums, vocals
寺沢功一 - bass, vocals












 毎年ほぼ1回の割合で行われている「TAGAWA」のツアー。

 昨年も実施されたものの、私は参加出来なかった為、2016年6月以来 約2年ぶりのライヴとなった。
 会場はTAGAWAではお馴染みのMUJICA
 此処は栄セントラルパーク(地下街)から、ほぼ直結しており雨にも濡れない(土砂降りなら、それなりに濡れるが 笑)というのがウリ文句の会場である。
 時間を調節し、開場時間10分ほど前に地下フロアーにあるMUJICA前に降りていくと、見慣れたファンが列を作っていた。彼らとも2年ぶりとなる。



 開演予定は19:30。

 平日の金曜日ゆえ、通常より遅い方であるが、これぐらいが丁度良い。
 予定時間を数分過ぎた頃、これまでのクラシック・ロックのSEが鳴りを潜め、薄暗闇の中、メンバーがステージに現れた。長谷川浩二さん、寺沢功一さん、最後はマネージャーの奥方に連れられた田川ヒロアキさんである。
 長谷川さんのカウントを合図に、ドラムの連打とベース、ギターの渾然一体となった音の固まりが我々、観客を襲った。
 其処から、田川さんのギターがアーミングによって唸りを上げ、猛烈な速弾きが始まった。
 これでもかと技を見せつけるやいなや、それが今夜の1曲目「Stranger Destroys Arms」のイントロとなった。
 約2年ぶりだからだろうか、田川さんの奏でる音が、耳にやや痛さを感じた。(今回、使用していたらしい(?)アンプがMarshall JCM900だったというのもあるかもしれない。前回はJCM900ではなかった。)
 激しくメロディアスに、後半には怒涛の速弾きを見事に観客に示すと、その勢いは途切れること無く2曲目「Bound」へと繋がった。
 ”跳ねる””弾む”というタイトルの意味が如く、この曲ではより一層、激しく叩く長谷川さんのドラムが主役である。其処に乗るノリの良い田川さんのリフとメロディーが気持ち良い。ギター、ドラム、ベース三位一体のこの演奏は、TAGAWAが間違いなくトリオバンドの最高峰にいる事を実感させた。
 緊張感溢れる演奏の後は、リラックスタイムとばかりにゆるいMCタイムとなった。
 メンバー紹介後の話題の中心は、先日、訪れたばかりのタイ・バンコクの事であった。長谷川さんが「臭かったね、汚かったね」と連呼する度に客席では苦笑が漏れる。
 また、タイの後の沖縄での仕事に長谷川さんのみ参加出来なかったことに、長谷川さんがいじけるという構図は大いに笑いを誘った。
 MCを切り上げ、次の曲に移行しようとしたところ、急に自分たちの名前の由来話に脱線するところも このバンドならではである。
 例えば、寺沢さんのお祖父さんの名前が「功」でその初孫だから「功一」、長谷川さんは当時、”流行っていた”という浩宮殿下から一字頂き、次男だったから「浩二」、田川さんにいたってはお父さんが五木ひろしのファンだったから「ひろし」にしようと思ったものの大反対され、「ヒロアキ(博晃)」になったという−初出し・蔵出しのネタを披露し客席を爆笑に包んだのだった。
 この暴走・脱線気味のMCから気分を一心し、3曲目「Running Light」では、田川さんは用意された2本目のギターを弾いた。
 名古屋初お披露目となったこのギター。
 テレキャスターのボディ・タイプでありながら、ストラトのピックガードとピックアップ、ストラトタイプのネックとかなり変則的。
 先日、NAMM SHOW WINTER 2018でも偶然にも、同じようなタイプのギターが本家のFenderから発表されたが、すぐにそれが思い浮かんだ。後で、田川さんに訊くと、元々は(復活した)AIR-CRAFTのギターで、田川さんをずっとサポートしているSadowskyが改造したものだということだった。
 このテレキャス・スタイルのギターの秘めたる力が発揮されたのは、次の4曲目−初期からの代表曲「My Eternal Dream」が披露された時であった。
 なんというか音が太いのだ。歪はアンプで作るスタイルを取る田川さんだけに、足元に並べられたエフェクターは空間系ぐらいである。それなのに1本目のギターと出音が明らかに違う。
 また最初の頃に感じていた耳の痛さも無くなっていた。もちろん、ライヴ開始から数十分のうちに慣れたのというのが一番の理由だろうが、それだけではないとも言えるのがこのギターであった。
 田川さんの十八番であるSweepピッキングやタッピング、ハーモニーフレーズが気持ち良く決まり、曲は終わった。
 2回目のMCも、タイ・バンコクのお話。TAGAWAとしてライヴを行ったライブハウスは、防音もないただの木造家屋で、其処のオーナーでPAを担当したのは 入れ墨バリバリの厳つい男性であった。
 地元では名の知れたスラッシュメタルのバンドマンだったそうだが、第一印象では良く思っていなかったという寺沢さん。
 だが、寺沢さんがSLY(二井原実/石原慎一郎/寺沢功一/樋口宗孝)のバンドメンバーだと判ると、態度を一変させたという。
 なぜなら彼はSLYの大ファンであったのだ。
 その後、寺沢さんを追っかけ、FBから頻繁に連絡してきた彼は まるでストーカー(型ファン)(苦笑)と言って笑いを取るのだった。
 そして現地では、一日だけオフがあったそうで、そんな状況下でも唯我独尊、我関せずとしてホテルから出ず、ほとんど出歩かなかったという長谷川さん(唯一、近所のコンビニで弁当を買うだけ)。
 その一方で、田川さんと寺沢さんは、タイ式マッサージに出掛けたそう(期待したHなものではなかったらしい 笑)。
 また街中で(偶然にも)別々に、串に刺したサソリを食べたというのも旅の土産話ならではであった(おそらく 地元の人達はサソリなんて食べないだろう。と予想していたが さて?)。
 長めのMCの後には、寺沢さんが作った「Jack and Coke」を披露。
 モータヘッドのようなリフや曲調(亡くなったレミーに捧げる曲でもあった)で、前回のTAGAWAのライヴでも披露された事を朧げながら、思い出した。
 6曲目も寺沢さんがメインの曲、「Crazy Gun」である。
 寺沢さんがボーカルを取り、「Oh Yeah!」「All Right!」という寺沢さん曰く−中学レベルの英語(笑)でも通じるワードで行う コール&レスポンスが楽しかった。
 7曲目は「That's Over」。TAGAWAの1stアルバム「Flying Carpet」に刻まれた もはやお馴染みの曲である。
 曲間に寺沢さんの自由奔放で重厚なベースソロ(最後はチョッパーで締めた)、ドカドカうるさい(褒め言葉です 笑)壮大な長谷川さんのドラム・ソロをはさみ、メインメロディに戻ってくると、後は田川さんの独壇場。ブルース・フィーリング溢れるフレーズも飛び出し 楽曲をしっかりとまとめ上げたのだった。
 「That's Over」が終わると、場内は静寂に包まれた。
 スピーカーからは薄く、ストリングスと共にピアノのメロディーが溢れ出した。
 その美しいメロディに乗せて、田川さんが歌い出す。名曲「平和の風」である。
 今まで、何度も歌われ、私も田川さんの2010年の「Time to hit the Road」ツアー以来、聞き続けてきた。
 しかし、今回ほど、感情を込めた歌い方は聞き覚えがなかったかもしれない。表現方法に深みが増したというか...。
 歌詞を再現するような、手話的なパフォーマンスもその相乗効果となったと思う。
 ソロ・ライヴ、TAGAWA、手数セッション、、その形態は違うが、毎回、「平和の風」はそのライヴのハイライトとなる曲であるが、今回は特に心に刺さったのである。
 感動的なパフォーマンス直後のMCは、その照れ隠しか、長谷川さんからのライヴ・グッズ(物販)紹介が またゆるーい話で爆笑となった。
 特に、長谷川さんのバースデイ・ライヴをTAGAWAで収録した新発売のDVDについて−寺沢さんが、この長谷川さんのバースデイの為に歌詞を改変した「Crazy Gun」が このDVDには収録されていない事を知らなかったらしく(もちろん事前にその事は長谷川さんからメールで連絡済みであったのだが、そのメールを読んでいなかったらしい)困惑するという面白シーンもあった。
 ライヴ本編最後、9曲目はTAGAWAの2ndアルバム「Wind」に収録されたゴキゲンなナンバー「キミを乗せて」
 ポップで軽快な曲でありながら、タッピングを組み込んだテクニカルなソロは、十分にロックしている!
 拍手に送られ、ステージを下りていくメンバー達。その背中を見ながら、すかさず客席ではアンコールを求める手拍子が始まった。


 2分ほど、それが続くと寺沢さんを先頭にメンバーはステージに帰還した。
 マイク前に立つと、早速、我々に謝辞を述べる田川さん。なぜか 長谷川さんの声を真似てである。
 客席では笑いが拡がる中、短くMCを切り上げると始まったのは もうお馴染みのインスト楽曲「Fly Away」
 私もライナーノーツを書かせて貰った記念すべき1stアルバム「Fly Away」の文字通り表題曲であるのだが、あのアルバムから既に9年が経とうとしていることに驚きを禁じ得ない。
 だが、初めてこの曲を聞いた時からの印象は今も不変である。判りやすいメロディライン、スリリングな曲展開、曲に沿ったテクニカルなフレーズ 等々、今も尚、私はずっと惹きつけられている。


 曲が終わり、無人となったステージ。手拍子は鳴り止まなかった。
 それは どれぐらい続いただろうか。
 観客の願いは、残念ながら届かず、場内のスピーカーからは開演前に流れていたSEが小さく流れ始めると、客電が付いた。
 すなわち、それはライヴの終了を意味していた。



 前記したように、自分にとって2年ぶりのTAGAWAのライヴは、全く危なげのない安定・安心のパフォーマンスであった。
 2009年の「LOUD PARK '09」出演の為に急造されてから来年で結成10周年。もはやベテランバンドである。
 元々、名うてのミュージシャンで結成されただけに その最初期から演奏は折り紙付きであった。
 しかし、10年近く経っても毎回、新鮮に感じるのは私が1年に一回程度しか遭遇しないからだけではないと思う。
 3人という最小バンド構成人員で再現される高い演奏力は、毎回、化学変化を繰り返し、より熟成したものへと為った。
 その結果が、私に毎回、新たな感動や変化を与えてくれるのだと思う。


 エリック・クラプトン、ジンジャー・ベイカー、ジャック・ブルースの「クリーム」エマーソン・レイク・アンド・パーマーラッシュ、ジェフ・ベックの「ベック・ボガート & アピス」ポリス... 古今東西、トリオで活動するバンドは多い。
 だが、一部を除いて、どれも短命で終わっているのが現状だ。しかし、歴から言ってもTAGAWAは そんな世界のスーパーバンドを既に超えているのだ。
 演奏やパフォーマンス、楽曲においてもなんら遜色ないのは言うまでもないだろう。
 今回、クラウドファンドによってタイでの初海外公演が為ったが、TAGAWAこそ、もっと海外でやるべきだと思う。
 その思いを よりいっそう強くした今回の名古屋公演であった。







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SET LIST
1Stranger Destroys Arms
2Bound
MC
3Running Light
4My Eternal Dream
MC
5Jack and Coke
6Crazy Gun
7That's Over(include Bass solo / Drums solo)             
8平和の風
MC
9キミを乗せて
・・・Encore・・・
MC
10Fly Away
















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