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舞台挨拶レポート

2002.9.29 日曜日



開場まで



前日、東京入りしていた私は 例の如く興奮の為か余りよく眠れず、 朝早く目覚めてしまった。
そして ここ最近のホテル滞在ではお馴染みとばかり 前夜コンビニで購入したサンドイッチとおにぎりで朝食を済ませ 身支度を整えていたのだが、いつもなら見る事のない「忍風戦隊ハリケンジャー」やら「仮面ライダー龍騎」に時折目をやりながらゆえ 準備の手が止まってしまう。
「仮面ライダー龍騎」...噂には聞いていたがライダー同士が戦うストーリー、 やはり自分にはついていけませんデス。(苦笑)

−としているうちに「仮面ライダー龍騎」も終了。いよいよ出発する時間だ。


ホテルをチェックアウトし 京浜東北線に乗車。
途中、先に到着されているOBs関東の方にメールで連絡を取る。
なんでも今は劇場前に2〜30人ぐらいが並んでいるとの事。
予想ほど並んでいないことに安心したり、拍子抜けしたり...と 気分は複雑。


有楽町スバル座がある有楽町に着いたのは9:30頃。
予定よりもやや遅れてしまった。
劇場が入居している有楽町ビルに入り奥の階段を上っていくと 意外や意外 劇場前には既に70人ぐらいが列を作っていた。
20分ぐらいで先程の情報の倍は人が集まってきた計算になる。
さすが首都東京、集客力が違います。

その列の中にはOBs関東の方が二人いらっしゃったので 軽く挨拶して列の最後尾に並ぶ。
ここで私は大林監督の最新著作「ぼくの瀬戸内海案内」を鞄から取り出しページを進めていくと どんどん人が集まって私の後にも 列が続いていく。
集まってきた観客の中にはOBsの仲間も何人もいて、その都度挨拶を軽く交わす。
また観客ばかりでなくTV局の取材陣も何社かやって来ていた。
ある局のカメラなどは私たちの列にもレンズを向けている。
あまり目立たないように(決してカメラ目線にはならないように..) 振る舞ってみるが さてさて何かの番組で映るんでしょうか??
列の前の方では「なごり雪」の舞台となった大分からいらしているお客さんもいるみたいだ。撮影現場がどうのという会話からそれが判る。もっと列の前の方に目を向ければOBsの仲間でかつスタッフとしても関わった方が ある人と話されているのが見える。あの方は「アクトレインクラブ」という俳優事務所の社長さんのようだ。個人的には6月の舞台「JUM はじめまして」でも会場でお見かけした方。今日の舞台あいさつに登場される細山田隆人さんが事務所に所属されている関係でみえているのだろう。



開場



10:45分頃、ようやく開場。
入場制限をしながら段階的に客を会場に入れていく。
劇場に入ると私はまっしぐらに前の方の席に向かって走った。
しかし案の定、既に埋まってしまった最前列は諦め、なんとか2列目を確保。
最前列にはOBsの仲間達の顔をもあった。
私は先程メールで情報を寄せて下さったOBsの方と しばらく立ち話をし舞台あいさつの時間になるのを待つ。
その間にも劇場は観客でどんどん埋まり立ち見まで出る勢いである。



舞台挨拶



11:20分。
定刻通り 舞台、上手から司会の方が登場され そこにスポットライトが当たる。
早速、この司会者の紹介で大林監督、三浦友和さん、 須藤温子さん、ベンガルさん、細山田隆人さんが同じ上手から入場して 大きな歓声が上がる。
特に私の前の列の女性の方達は細山田さんのファンの方なのか 細山田さんへの嬌声は凄いものがある。
司会の方は 一番に左の大林監督を紹介され その大林監督がマイクを取って いつもの優しいトーンでいつものように語り始める。まずは第一声が
「嬉しいなあ」
と劇場に詰めかけた観客に向かって率直な気持ちを述べられ、引き続き

「皆さんは、自分の人生の中で大切な1日を選んでこの『なごり雪』を 観に来てくださったのですから、本当に嬉しく思っています。」

と感謝の言葉も忘れない。いつもながらに監督のお話は巧い。感心してしまう。
その後は監督自らが出演者の紹介を始められ いつのまにか司会者に 早変わり。本当の司会者には仕事が上がったりだ。
次にマイクを渡された三浦友和さんも監督に

「秋になり おじさんも綺麗になったという感じだね」

と『なごり雪』の歌詞を変形引用のフレーズで紹介された事で苦笑い。
そんな中、友和さんは

「50歳になりました。でも、まだ実感が湧かないんです。芸能生活30年で、実年齢の役をや らせていただいたのは初めてなのですが、素敵な共演者に囲まれ、素敵な監督のもとでお仕事ができ、素敵な 時間を過ごすことができました」 と語っていました。

それに対し、監督は「昔から現場では友和くんの老け待ちというのがあります〜」と仰る。
これは昔の(百恵&友和シリーズ)の頃から若々しいイメージが先行する友和さんにもっと年齢に合った、いい年の取り方をした俳優になって欲しいという願いが『老け待ち』という表現に繋がっているのだが最近の友和さんの活躍を見ると監督の願い通り、いい年の取り方をした俳優さんになったなあと実感できる。
それゆえ今回の「なごり雪」での実年齢に則した役。期待度は非常に大きい。
監督はまた友和さんとの出会いについても触れ

「友和くんとはCMの現場で出会いました。百恵ちゃんのCMを撮影する事になりそれで百恵ちゃんの相手にふさわしい素敵な男性は誰だということで 現れたのがこの友和くんだったのです。それはあの『伊豆の踊子』に出演する前でもあったのです」

というような思い出話まで披露され これには友和さんも終始下を向きながら非常に照れているご様子であった。
考えてみれば友和さんはあの百恵さんのご主人でもある訳でこのような話を友和さんご本人を目の前にして聞けるというのも凄いことだ。普段、百恵夫人の事を話題にされるのは未だに抵抗がある(?)友和さんにとっても「大林監督なら」と納得させられるのはひとえに監督の人徳ゆえだろう。
そして友和さんも大林監督との事で最近、印象的だった事を話された。

「今年50歳の誕生日に自宅に一杯祝いの花が届きました。そのお花を玄関に飾りましたが その中で他とは違う一際目立つ花がありました。それは大林監督から贈られた花でした。それでなぜ目立ったのかというと その花は”造花”だったのです。」

『造花』ということで 客席からは苦笑まじりのため息も聞かれたが 友和さんの話はそれをうち消すように

「この造花には監督が『人の手によって作られた物の方が本物より美しい時がある。我々の仕事もこの造花を目指そうではないか』とメッセージが込められているのだと解釈いたしました」

といかにも大林監督らしい祝福に我々は感慨深く聞き入ったのだった。
この後は同じ50歳ということでベンガルさんにマイクが渡されベンガルさんは時に笑いを挟みながら「なごり雪」での撮影時の事などを話された。
その中で特に印象的だったのはご自身の初デートの話。

「デートと言えば昔は映画がつきものでした。映画を見ている最中は隣の彼女の事も忘れ、映画に集中したのものです。」

と昔話を語っていらっしゃるかと思いきや

「最近は若い俳優さんが色々出ているけれども演技が同じように見えてしまいます。どれも演出だけで見せていくような感じで私はこういう映画に出会うと金縛りにあったようになるのです」

と思わぬ方向へ話は展開していったが私自身も日頃感じているような事を代弁してくれているようでこれには溜飲が下がる思いであった。
ベンガルさんはこのような苦言を呈しながらも「なごり雪」はその真逆にあると言ってもいいぐらいの素晴らしい映画であるのでどうぞ楽しんでいって下さい。と作品へのフォローも忘れなかった。
そして 監督から友和さんの若い頃を演じられた細山田隆人さんのことが紹介されマイクはその細山田さんに託された。
その細山田さんは舞台あいさつ慣れしていない為がかなりの緊張状態。
こちらにもその緊張感がひしひしと伝わってくるようで胃が痛くなりそう。
でも精一杯自分の言葉で話そうとしている姿勢は好感が持てる。

「素晴らしい監督や共演者の方々と一緒に出 演できたことを、本当に嬉しく思います。大林監督の作品で、三 浦友和さんの青春時代を演じるプというレッシャーもあって、撮影 から逃げちゃおうかと思っていたんですけど、皆さんに優しく迎え 入れられたので、一生懸命頑張ることができました」

『逃げちゃおうか』まで撮影当時の心境を率直に語られていた細山田さんの真意はここにいた観客にも十分伝わったはずである。
その後、再びマイクは大林監督に戻され、「我々のヒロインを紹介しましょう」と言ってあらためて映画のヒロイン、雪子役をされた須藤温子さんが紹介された。
激しく光るフラッシュの嵐。
多分、今回の舞台挨拶で一番のフラッシュ量だろう。
今日の須藤さんの衣装は役名にちなみ全身白一色。正に「ピュア」という感じであった。 その須藤さんにマイクが渡され、さっそく自己紹介から挨拶は始まったが残念なことにノドの調子が悪いらしく途中で何度も声が詰まってしまい苦しそう。そんな調子の悪い中でも

「撮影に入る前にも大林監督や出演者のみなさんにお会いしていたのですが いざ撮影に入るにあたって どうしようもなく不安になってしまって大変でした。 でも撮影に入ると みなさん暖かく迎えて下さったので現場が楽しくて仕方ありませんでした」

と撮影時の苦労を話されたのですが、大林監督からは「あれは どうしちゃたんだろうね」と話を振られれば須藤さんは

「撮影中に倒れて入院してしまいまして映画には友和さん、ベンガルさんと唯一共演するシーンがあるのですがその撮影は病院から駆けつけました。雪子さんが入院している病院が出てきますが 私は同じ病院に入院してました」

と撮影現場における緊張の度合いは半端ではなかったことがお話からも伺いしれたのだった。

そして「撮影場所の雰囲気が昔の ままというか何も変わっていない感じだったので、自分もすごくナチュラルでいられました。昔懐かしいという感じのする映画なの で、子供に戻って純粋な気持ちで観てください」

と「なごり雪」への想いを語って須藤さんの挨拶も終了。
再びマイクが大林監督の元に戻り、再度、我々観客へのお礼と挨拶をされて 舞台下に結集したマスコミ用の集合写真撮影の後、 監督一行は手を振りながら 拍手の中、退場されたのだった。
自分の席から最も近い劇場の(舞台下手側)出入り口から 先程のマスコミ陣が出ていくところを見るとその出入り口の隙間から垣間見える 一際目立つ大きな「なごり雪」の看板を掲げているロビーで恒例の記者会見が行われるようだ。
館内のアナウンスでは「このまま休憩なしで上映が始まります」と伝えられ出入り口は閉じられその様子を伺いしれなかったが、この会見の様子もワイドショーで放送されるのだろう。



やがて 場内暗転。



ついに 映画「なごり雪」は始まった。





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映画本編の感想は また後日、「映画日記」のコーナーでも発表する予定です。






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