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商品名
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「だめだ こりゃ」 |
出版社
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新潮文庫 |
定価
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定価 438円 + 税 |
購入場所等
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BOOK OFFにて250円で購入
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コメント
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2004年、3月。
一人のコメディアンの死が日本列島を震撼させた。
いかりや長介。
言わずとしれた「ドリフターズ」のリーダーである。
この死がどれだけの驚きと哀しみを持って迎えられたかは
報道された告別式の様子を見れば明らかだが
そのニュースで頻繁に取り上げられたのが
いかりやさん唯一の自伝である、本書 「だめだ こりゃ」である。
その報道において紹介されたのは主にドリフのメンバーについてのエピソードや
「踊る大捜査線」で競演した織田裕二のエピソードが多かったがもちろん中身はそればかりではなく、むしろそれ以外の方が断然、面白い。
静岡の田舎からバンドマンを目指し、紆余曲折を経ながら上京。
ハワイアン〜ロカビリー〜カントリーと変遷しながら(当時のバンドの多くがそうであったように)米軍の基地で演奏した事をきっかけにギャグを演奏に盛り込んでいく、後のドリフターズの雛形がこの時期に形成されていった経緯は興味深い。
近年、ビールのCMでアップライトベースを渋く弾くシーンであらためて、元々はベーシストであるということを多くの人々にアピールしたいかりやさんであったが本書ではその音楽的側面も多く語れている。
例えばベースには「チョッパーベース」奏法というものがあるが
この奏法を日本で最初に始めたのはいかりやさんだ
(正確には遠目にいかりやさんの弾き方がそう見えたらしく、
実際の奏法とは違っているらしい)とかFenderのベース(USA製)
を日本人で初めて使ったのもいかりやさんであるという(これは
ホント)話、ドリフターズがビートルズの唯一の来日公演で前座を
務めたのは有名であるが、その興味深いステージの様子(特にステージから楽屋に
戻る時、ビートルズのメンバーとすれ違い誰かの楽器といかりやさんの
ベースがぶつかった!というのは当人しか知り得ない正しく"秘話")など「8時だよ全員集合」でのいかりやさんしかほとんど知らない我々にとってこのようなエピソードは日本のPOPSシーンの黎明期を知る上でも貴重な話である。
しかし、いかりやさんにとって(我々にとってもだが)「8時だよ全員集合」時代は
その人生において重要なポジションを占めたようにこの本でもより多くの頁がさかれている。
「8時だよ全員集合」においていかりやさんの役割は、前半のコントでは
注さん、茶さん、志村さんから疎まれるといういわゆる嫌われキャラ。
後半は合唱隊や体操の司会進行(MC)と完全に"縁の下の力持ち"的なものである。
我々が遠い日々の記憶として覚えている他のメンバーとの丁々発止のコントの数々は
全て周到に用意、計算し尽くされたものである事は驚くべき事であるが
そのコントの制作、アレンジ、全体的な統括と文字通り先頭に立って
指揮してきたのはリーダーであるいかりやさんである事は言うまでもないことだろう。
「8時だよ全員集合」のエピソードは歴史も長い為、枚挙にいとまがないが
志村さんの現在のステータスを掴むきっかけでもあった有名な「東村山音頭」についてもこの本では目を見張る面白い記述がある。
三丁目の
「東村山三丁目 ちょいと
ちょっくら ちょいと ちょいと来てね
一度はおいでよ 三丁目」
はいかりやさんの作詞作曲である。と....
(「イッチョメ イッチョメ」の一丁目、こちらは作詞作曲は志村さん)
あの時代、リアルタイムにTVの志村さんと一緒に唄っていた
私にとってはもう涙チョチョぎれもののお話である。
正にドリフはいかりやさんそのものだったと失ってからその偉大さに気づかされるのはいつもながら悲しい事であります。
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