秘 訣 11

「胴で曲げる」に惑わされるな!

 「この竿は胴で曲がるから飛ぶ」「胴で曲がる竿を選ばなくては」.......
 このようなことが,しばしば遠投実力者の間でいわれていないでしょうか。
  また,「穂先を硬めにして,オモリが胴にのる調子に設定。抜群の飛距離を実現」というキャッチコピーに食指がそそられることなんてないでしょうか。 

 これから導き出される答えは胴調子のロッドということになってしまいます。
 遠投実力者に必要なタックルとして,また,パワーキャスターの証として,胴調子は必要不可欠であるとの風潮があり,先入観としてなのか,はたまた,洗脳されているのか,胴調子はキャスティングロッドの本質であるかのような捉え方がされています。

 それでは,トップが柔らか目の先調子のロッドはキャスティングには適さないのでしょうか,先調子では遠くへ飛ばすことができないのでしょうか。そのようなことは決してありません。

 そもそも,飛距離はトップの曲がりで得られるものではなく2番目の曲がりで得られるものです。ビデオ・写真等でチェックしてみれば分かることですが,ロッドが大きく曲がっているときは,2番目は曲がっているもののトップはほとんど直線的です。反発力は曲がっている2番目が元に戻ろうとする力ですから,トップの硬さはさほど影響しないのです。

 つまり,トップが太かろうと細かろうと,2番目の硬さが適しているならば,飛距離には影響ないのです。

 飛距離が変わらないのならば,どちらが適しているのでしょうか。それは,太いタイプではなく,実釣にも適した軟らか目の方といえます。

 軟らか目のトップの方が,オモリを回している段階で力を貯めやすく(回転でもスイングでも同じ),その結果ロッド全体を曲げやすくさせるのです。硬い方は,オモリを回すことに注意しないと,十分な力を貯めることができず,大きな曲がりは得られにくいのです。別のいいかたをすれば,軟らかめの穂先のほうが,2番目を曲げるきっかけに効果的な役目をするとともに投げ易いということです。

 もう一つ軟らかめの方が得することがあります。
 それは,特にオモリを地面に置いて投げるフィッシングスタイルの当方に関係することです。オモリをセットする地面が荒れていると,ロッドを回し始めてからオモリが地面を擦って動き出して際に小石などの突起物によってオモリがバウンドすることがあります。
 このようなときに穂先の硬いロッドでは,回転運動によって貯まった力をリリースしてしまい,2番目のロッドを充分に曲げることができなくなります。軟らかめのロッドでは,多少のバウンドならば吸収し貯まった力をリリースするまでには至らず,充分なロッドの曲げ=飛距離が得られるのです。もちろんバウンドが大きければ軟らかめのロッドでも途中まで貯めた力をリリースしてしまいますが,軟らかめの方が確度が高いのです。 

  「穂先が太いから胴が曲がるのではない。細くても胴が曲がって飛距離は得られる。」のです。