秘 訣 12

風を気にするな!

 キャスティングは屋外競技ですから,自然条件に影響されます。一番最たるものが「風」です。追い風と向かい風では全く飛距離が異なります。1色以上違うことはざらです。
 追い風の場合は,当然飛距離が出ることから,大抵の競技者は追い風を好む傾向にあります。そして,「風」にこだわるものです。

 風にこだわることはネガティブイメージを持つことと同じことになり,競技結果に決してプラスにはなりません。風の条件は,参加者誰にとってもイーブンです。
 キャスティングは,同じ条件のもとで,誰が一番飛ぶかを競う競技ですから,風を言い訳にして,人を説得できるものではありません。実釣ならば風を気にしていては釣りになりません。

 投げ方は人それぞれで,高い弾道,低い弾道,いずれもあります。確かに,追い風の場合は高い弾道が有利となり,また,向かい風の場合には低い弾道が有利となります。
 だからといって,例えば,向かい風の状況で,「自分は高い弾道だから」とあきらめてしまっては,参加すること自体意味がありません。
 ラインふけによって事故などが起こらないよう,追い風でコート設定することを基本としていますが,風向は一定ではありませんし,最近では充分な広さを確保できないなどの理由から向かい風でコート設定することさえもあります。

 一番優れた対処は,高い弾道を,低い弾道を投げ分けることです。ただしマスターするには時間がかかりますし,5投のなかで調整することは困難かも知れません。

 次に考えられるのがロッドの変更です。追い風=硬め,向かい風=軟らかめのロッドにして,弾道を変えることです。もちろん,これもあらかじめ練習において,ロッドの硬さによる弾道の違いを身につけておく必要があります。

 そして最も現実的な方法は,いつもどおりの投げ方をすることです。実はこの方法が,余計な小細工などせずに投げることから一番確度が高いのです。
 これは,横風の時にも言えることでもあります。
 例えば,左から右に風が吹いているようなときは,少々右方向を飛んだ方が飛距離は得られます。だからといって,わざわざ右を狙うようなことはしないのです。基本的には,正面を狙い,風により右に流れていくことで対応するべきなのです。当然,右から左へ風が吹くような場合であっても,気にせず正面を狙えば良いのです。

風を気にし始めたらきりがない」のです。

注)STの横風対応は別です。横風が強ければ真っ直ぐ投げても流れてコートアウトしてしまいます。風を読んで投げる方向を決めなくては成りません。STの技術は,このような適応力も必要とする高度なものなのです。