秘 訣13

人のまねをするな,コピーをするな!

 キャスティング大会の上位入賞者など,飛ぶ人のキャスティングフォーム・タックル等には多く方が魅力を感じていることでしょう。

 いわゆる飛ぶ人の技術等を取り入れることは,一つの答えであり,目標への近道になることは確かなことです。
 しかし,これでは目標に近づくことができても,達成に至ることはありません。
 仮に100%上級者のフォームをコピーしてうまく機能したとしましょう。コピーした者は,最大でも上級者と同じ飛距離で,上級者を超えることができないのです。

 本来,飛ばしたいとする意識の中には,上のレベルにある人をオーバーキャストしたいとするものがあり,「競技会でその人に勝ちたい」という思いがあるはずです。

 したがって,まね・コピーでは問題の解決にはならないのです。

 飛んでいる人のフォームを取り入れることに異論を挟むものではありません。問題はその取り入れ方法です。

 ひとそれぞれ,体力・体格・運動神経(年齢もあろうか)等が異なります。技術等のコピーは,受入側の体力等が同一でない限り成立しないものです。

 このため,そのまま取り入れるのではなく,自分の体に適応させる必要があります。つまり,飛ぶ人の例を参考にして,最終的に自分にあったフォームにしていくことです。当然のことながら,参考にする例は一つでも複数でも,フォーム・パート毎にでも構いません。
 構えに始まり,オモリの展開方法,引き込み方,かけるタイミング,押し出し方等々チェックしたいところは数多くあるはずです。
 各自の技術等は,これらを自分に合った形で総合的にまとめ上げたもので,その人固有のものです。
 ですから,参考にしながら自ら固有の技術等を創り上げていくのです。
※参考にするのですから,飛ぶ人ばかりを注目する必要はありません。大会等で結果が出ていない人たちにあっても,有意義な参考例は持ち合わせています。

 「コピーではなく参考にする」は,技術を伝える側も考えなければならない問題でもあります。
 一般にキャスティング愛好者は教えたがり屋です。飛距離に悩む者を救うべく,あまた多くのことを伝えようとします。受入側にとってこれを素直に聞き入れることは,時には肉体的・精神的にな困難が伴うことがあります。しかも,体格等が人によって異なるわけですから,必ずしも伝える側の指示どおりにできるとは限りません。

 スポーツ全般に,「優秀な選手はコーチや指導者のいうことを良く聞くが決してそのとおりにはしない選手である。」といわれています。
 この言葉の意味するところは,指導・助言をしっかりと聞き参考にはするが,自分にマッチした形で対応するということです。イチロー(オリックス→マリナーズ),仁志(巨人→横浜)はその典型といわれているようです。
 教える側は,いうことを聞かないからダメとするのではなく,「参考にして自分にあったものにしていくことが大切」とするのが適切と考えます。

まねるのではなく参考にする。そして自分のものを創り上げる。」ことが大切なのです。