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不可能犯罪ミステリリスト(国内編)へ
風太郎全作品刊行祈願カウントダウンへ
新刊レヴューへ
97.12.31(水)
・ミステリ・マガジン2月号。バウチャーコンのレポートが載っている。この欄にも、何度も登場するロバート・エイディー氏や山前譲氏の写真が拝める。しかし、日本ミステリ・パネルの席上で山前氏が「英語で訳されていない重要な作家」を問われて、「内田康夫」を挙げているのは、ちょっとなあ。
・来月号の特集は、久々の「密室ミステリ」。ホック・カミングス夢の共作や、ロバート・アーサーの短編、日本の作家が選ぶ海外密室ミステリベスト3などが予告されていて、今から楽しみ。
・今年も今日で終わり。ホームページを立ち上げて以来たくさんの知り合いができ、お世話にもなりました。来年も続けるので、どうぞよろしくお願いします。
●国内リスト更新情報
京極夏彦「絡新婦の理」追加。
97.12.27(土)
・岩井巨匠と関大人と、上京してきたサイ君を交えて新橋で忘年会。その場で、「仮面劇場の殺人」は、原書房が版元だといわれた。巨匠は、この件で本屋の店員とケンカしたという。よく確かめずにアップした結果です。万一、同じ目にあっている人がいたとしたらほんとに御免なさい。原書房「仮面劇場の殺人」をよろしく。
97.12.23(火・祝)
・職場内洋楽同好会で朝までカラオケをやったため、一日廃人状態。
・風太郎コンメーディア第5回(昭和26年)をアップ。「悪霊の群」はカミング・スーンてことで。
97.12.21(日)
・待望久しいカー「仮面劇場の殺人」が新樹社から出る。、カーの未訳だった4長編の1冊である。原題は、PANIC in BOX。劇のリハーサル中に劇場2階の特等席で起きた不可能犯罪。未訳の中では評判のいいThe House at Satan's Elbowも近刊とのこと。こちらも楽しみだ。
・解説を二階堂黎人が書いている。唐突に世界七大推理小説家なるものを持ち出してきたり、松田道弘の「新カー問答」に対する誤解等気になるところもあるが、カーの長編を「完全なる密室殺人もの」「準密室」「足跡のない殺人」に分類しているのは、「密室系」としても参考になる。
・伊丹十三の突然の死には驚いた。「フラッシュ」での不倫報道が引き金だというが、普通そんなので自殺するか。もしかして純愛だったのか・・。いやいや憶測はやめよう。高い知性の持ち主で屈折も並大抵でなかった方だけに、自殺の理由は、常人にはうかがいしれないのかもしれない。あるいは、本人にすら。
映画監督として一世を風靡したけど、私にとってはそれ以前の仕事、エッセイだったり、「ポテトブック」の翻訳だったり、岸田秀と組んだ精神分析エンターテインメント雑誌「モノンクル」だったり、村松友視のプロレス本の解説数頁を一文だけで書いた超絶技巧だったり、「ドレミファ娘の血が騒ぐ」の怪演
だったりが懐かしい。映画では「タンポポ」が好きでした。合掌。
・「亜智一郎の恐慌」の感想をアップ。
●国内リスト更新情報
泡坂妻夫「補陀洛往生」追加。
97.12.20(土)
・来年度予算の内示があって、夕方から出勤。現在私の勤務する某弱小省庁もこの時期は大騒ぎ。でも、土、日にやるこたないだろうに。明日も復活要求の関係で出勤。年賀状書きをどうしてくれる。
・岩波文庫から「月長石」「白衣の女」で名高いウィルキー・コリンズの短編集「夢の女・恐怖のベッド他6編」が出ていた。「恐怖のベッド」は、宿の一室での怪死を扱ったミステリ。海外の密室アンソロジーにも採られている作品。(ミステリ・マガジンに既訳あり)。その他の作品も、ミステリや怪談に興味のある人には楽しめそうだ。
・今(2時半)テレビで、伊丹十三の飛び降り自殺というテロップで流れた。げげげ。
97.12.14(日)
・金曜日に「このミス98年版」出る。朝日の朝刊で全面広告が出て驚く。今更ながら、売れてるのねぇと実感。
参考までに、ベスト10を書いておくと、
(国内編)
「OUT」桐野夏生、「黒い家」貴志祐介、「死の泉」皆川博子、「絡新婦の理」京極夏彦、「鎮魂歌」
馳星周、「神々の山嶺」夢枕獏、「嗤う伊右衛門」京極夏彦、「逃亡」帚木蓬生、「三月は深き紅の淵を」恩田睦、「氷舞」大沢在昌
(海外編)
「フロスト日和」ウィングフィールド、「赤い右手」ロジャーズ、「グリーン・マイル」キング、「鉄の枷」ウォルターズ、「静粛の叫び」ディーヴァー、「蒼穹のかなたへ」ゴダード、「カリブ諸島の手がかり」ストリブリング、「ダーティホワイトボーイズ」ハンター、「天から降ってきた泥棒」ウェストレイク、「幻の特装本」ダニング
例年のように、相変わらず読んでいない。正月の読書の参考とします。リストを見ると、海外編が随分、おとなしいというか、ミステリ・マニアごのみ。冒険・ハードボイルド系って、いつのまにか勢いなくなってたんだな。
毎年一番楽しみにしている小山正氏の「バカミス」コーナー。今年の「ミステリバカジン」は、若干すべり気味。でも、山風「天誅」を「バカミスの鑑」と絶賛。えらい。(7/27参照)
・山風。廣済堂文庫の新刊は「魔群の通過」。ハルキ文庫の方は、2月続けてなし。まさか。悪い予感がする。
・コンメーディアupできず。先週、仕事帰り地下鉄の終電で「新かぐや姫」と「黒衣の聖母」のラストを2日続けて読んで、どちらの日も涙目になってしまいました。
・新刊レビューに「探偵くらぶ下」と「幻惑の死と使途」をup。
・宮澤さんの「探偵小説頁」からリンクしていただきました。ありがとうございます。
97.12.7(日)
・新宿古書センターにいくも、「少年」傑作集見つからず。新刊本屋で注文してみる。
・リンクにno name氏の本格山風サイト「山田風太郎事典」を追加させていただく。
・「甦る「幻影城」U」でる。ウエッブ上で、第1巻はおとりで、山前さんがほんとにやりたかったのはこっちだよね、という趣旨の文章をみかけて、同感、同感。巻末に「幻影城」作者別索引がついており、同好の士必携です。
・泡坂妻夫「亜智一郎の恐慌」を本屋でみつけて驚愕。亜愛一郎の祖先で将軍直属の隠密方を主人公にした連作らしい。こんなシリーズがあったとは、知らなんだ。
・世界探偵小説全集「空のオベリスト」も出てしまう。中に「世界ミステリ作家事典(本格派編)」の広告が。刊行が来年1月にずれ込んだようだが、まさに夢みられるべき一冊だ。
・その他パトリシア・ハイスミスの「変身の恐怖」、ジジェク「ヒッチコックによるラカン」など買う。
・いまさらながら本買いの記録ばかり。本コーナーのタイトルを「男子の本買い日記」と変えようかな。
97.11.30(日)
・風太郎コンメーディア第4回(昭和25年)をアップ。
97.11.24(月・祝)
・詳細は、おってと書いて、池袋の本屋をかけずり廻ったが、どこにもなし。90年に出た光文社文庫「少年傑作集」に収録されているらしいのだ。「本をさがす」では、現役本になっているのに。まあ、ゆっくり探そう。
・ミステリ・マガジン、EQ1月号買う。ついでに創刊500号記念特大号に惹かれてSFマガジンも。しかし、この号に掲載されていたオールタイム?・ベストSFの1位から5位が「夏への扉」「火星年代記」「ソラリス」「虎よ!虎よ!」「幼年期の終わり」とは。「この40年のSFはクズだった」という説もにわかに信憑性を帯びてくる。
・ついでに「小説たけまる増刊号」も買って財布が破綻。この本、一人雑誌形式のつくりで面白い。
・「嵐の館」の嵐山氏からリンクしたとのお知らせあり。ありがとうございます。こちらからも相互リンクさせていただきました。
●国内リスト更新情報
我孫子竹丸「バベルの塔の犯罪」追加
97.11.23(日)
・「Index to Anthologies」の野村さんに、山田風太郎のミステリ作品が収録されているアンソロジーの完璧なリストを提供していただいた。どうも、ありがとうございました。このリストで、何と「帰去来リスト」にない、少年物「なぞの占い師」を発見!詳細は、おって。
・杉浦さんから、「妖胎記」(昭51「侍たちの風雪」講談社文庫収録)と「黒百合抄」(平7「戦国風雲録」富士見時代文庫収録)のアンソロジー情報をいただいた。後者は、現役本。さっそく、カウントダウンさせていただきました。前者は絶版のようなので、「コンメーディア」到達時に記載させていただきます。皆さん、ありがとうございます(涙)。
・山田風太郎明治小説全集7出る。全7巻完結。巻末に「山田風太郎明治小説人物事典」がついて、これは便利。この全集、売れたのかなあ。
・オール読物最新号に山風インタビュー。7月に退院後、体調はいいのだがまだ2階の書斎にあがっていない。菊池寛賞授賞式は、車椅子なら行けるかもとのこと。風太郎氏が、僕は推理小説を書く能力はないと、あちこちで書いたり言ったりしていることをいうと、インタビュアー氏、そんなことはない、「妖異金瓶梅」と「明治断頭台」があるじゃないですか、と切り返した。世間の風太郎評価の水準は、確実に上がってるぞ。来年までが限界かなとの本人のお言葉。そないなこといわんといて。
・文芸春秋12月号に、菊池寛賞の発表が出ていて、関川夏夫がお祝いの言葉を寄せていた。それにしても、この授賞式に何とかもぐりこめないものか。
・コンメーディアに昭和24年に「帰去来殺人事件」を追加。色々考えたが、長編、連作短編は、一応、最初の作品が発表された年次に入れていくことにする。
●国内リスト更新情報
山田正紀「阿弥陀」、森博嗣「幻惑の死と使徒」、加納一郎「生殖センターの殺人」追加。
97.11.19(水)
・「探偵くらぷ゛下」(カッパノベルス)見つける。「幻想怪奇編」という予測をしていたが、副題は「浪漫編」。なるほど。風太郎「万太郎の耳」が収録されている。
97.11.16(日)
・風太郎コンメーディア第3回(昭和24年)をアップ。
●国内リスト更新情報
西村京太郎「黙示録殺人事件」「トンネルに消えた・・」、小栗虫太郎「赤馬旅館」追加。
97.11.15(土)
・「密室系」にドアがついた。やや恥ずかしいが、その名も「リンクス/ユダの窓」。まだ、このページでおなじみの「Index
to Anthologies」と「よしのさんのえいぎょう」の2つだけだがいずれ増えていく、はずだ。
・11.11に新刊評アップ。もの凄いブランク。
・国会図書館に行って来た。第3土曜日だけは開館しているのを最近知って狙っていたのだ。もちろん目的は風太郎探索。資料請求から入手、複写に時間がやたらかかるのが難だが、収穫あり。
まず、処女作「達磨峠の事件」〜「宝石」の昭和22〜23は欠号。でも、唯一この短編が収録されている処女短編集の岩谷書店版「眼中の悪魔」があった!女の眼から涙とも光線ともつかぬものが出ていて悪魔が踊っているという変てこな表紙の本を手にとって、涙ボウダ。
昭和22「泉探偵自身の事件」〜掲載誌「新探偵小説」なし。
同 「全き円は天上に」〜掲載誌「いろは」あり。典型的な3号雑誌でした。作品には「怪奇ロマンス」と銘打たれている。
昭和23「天狗岬殺人事件」〜掲載誌「孔雀」なし。
同 「この罠に罪ありや」〜掲載誌「ルックエンドヒヤー」あり。日本医師会内の診療協力出版部というところから出ていた「医者が書く雑誌」のわりには、表紙は手術で手が血塗れの看護婦がこっちを向いてみえを切っているというへんてこな雑誌。同じ号に法医学対談があって、こちらには乱歩が出ていた。
昭和26「二つの密室」〜掲載誌「小説公園」あり。壇一雄、梅崎春生らが同じ号に書いていた。読物雑誌。
同 「渡辺教授毒殺事件」〜収録されているはずの「週刊朝日10臨時増刊」なるものがないという。ムムム。10月の各週号を見たが見あたらず。
昭和31「青春探偵団」〜謎の作品(「リストの謎」参照)を確認しようと思ったが、掲載号の「明星」が欠号。
ここらでタイムアップ。また、いくぞ。入手作品コメントは後日。
しかし、国会図書館にもない作品はどうすればいいのでしょうか。やはり全集期待。
・国会図書館の目録カード、検索とも「ヤマダカゼタロウ」になっていて、国会書館ともあろうものがと思ったのだが、「眼中の悪魔」の奥付をみてびっくり。「ヤマダカゼタロウ」とルビが振られているではないか。山風自身「フウタロウ」とも「カゼタロウ」決めていなかったが、最近「フウタロウ」が定着してきて、この方が自分らしくてよい、てなことをエッセイで書いていたと思ったが、少なくとも初期においては公的には「カゼタロウ」だったのですね。
・国会図書館の検索でアンソロジー収録についても、幾つかわかったので、そのうちリストを修正します。
・「創元推理17」の「まぼろしのテレビドラマを求めて」に「恐怖劇場アンバランス」(昭和48)(未見)の第7話で風太郎の「黒幕」(夜よりほかに聴くものもなし)が「夜が明けたら」のタイトルでドラマ化されているのを知る。黒木和男監督。執筆者橋本直樹氏は、五つ星をつけている。このシリーズは、ビデオ化もされているようだ。
●国内リスト更新情報
西村京太郎「終着駅殺人事件」、大谷羊太郎「殺人予告は三度くる」、メフィスト最新号から、北村薫、西澤保彦、篠田真由美の短編をアップ。
97.11.9(日)
○杉浦さんという方から長文のメールをいただいた。風太郎リストに関して有益な指摘が
幾つも。以下内容に関わる部分を引用させていただく。→以下は、私のコメント。
@昭和29年
○ビキニ岩礁午前四時 講談倶楽部5増刊
これは「岩礁」でなく「環礁」では?
→御指摘のとおりです。
A昭和38年
*天下分目忍法帖→忍者撫子甚五郎 推理ストーリー10 48 81 144
『極悪人』 双葉社(平8.8)
『極悪人』収録時のタイトルは「天下分目忍法咄(にんぽうばなし)」ではなかっ
たでしょうか?
→これも御指摘のとおり。「帰去来リスト」「中島河太郎」リストともに、「忍法帖」
とあるのは誤記なのでしょう。「極悪人」は双葉社創立50周年記念に自社の「推理スト
ーリー」からセレクトしたものですから、初出は「忍法咄」が正しいはず。
B昭和39年
○魔天忍法帖 アサヒ芸能12/27〜40.6/17 64
これは2年ほど前に徳間文庫で買った記憶があります。パラレルワールド歴史SF
とでもいうのか、信長が最後に天下をとる、といういかにも信長好きな山田風太郎
らしい話。まだ、絶版ではないと思うのですが・・・。ちなみに同年の、
*忍法八犬伝 アサヒ芸能 5/3〜11/29 55
これも徳間文庫で読んだような・・・。京極夏彦の解説付きの講談社ノベルス版も
ひかれますが、やはり安い文庫でしょう。
→「魔天」は、徳間文庫で本屋に置いてありました。私も読んだのはこれ。カウントダウ
ンは直したんですが、リストの方が直ってませんでした。「忍法八犬伝」の方も、入手可能
のようです。
C昭和42年
○忍者不死鳥→忍法剣士伝 河北新報ほか2/15〜9/11 74
これは数少ない角川文庫の生き残り組では?でももうあぶないかな。
→こちらもカウントダウンは直したんですが、リストが直っていませんでした。角川では
「おんな牢秘抄」とともに数少ない生き残り組。風太郎氏も出来は悪いが、題名のせいで、
結構売れてるとどこかで言ってました。
D昭和42年
*忍法倒蓮華→倒の忍法帖 小説現代11 78 133
『忍法甲州路』 講談社大衆文学館文庫コレクション(平9.8)
とありますが、『忍法甲州路』に上記作品は収録されてなかったと思います。逆に、
昭和43年
○筒を売る忍者→転の忍法帖 問題小説4 75 9
こちらが同短篇集にはいっていて爆笑させられた覚えあり。あれはいい本でした。
→これはヒドイ。御指摘のとおりです。「忍法甲州路」はいい本でしたが、表題作自体は
文春文庫「忍法関ヶ原」で読めるので、「現在入手不可能の」といううたい文句は、若干偽
りありですね。
E昭和44年
○忍法関ヶ原 オール読物4 85 141
『忍法関ヶ原』文春文庫です。これもぼくの知らないうちに絶版になったのでしょ
うか?「忍法天草灘」「忍法甲州路」「忍法小塚ッ原」がはいっててお得です。そ
ういえばこの忍法小塚ッ原」ですが、講談社ノベルス『剣鬼喇嘛仏』収録バージョ
ンよりちょっと短いです。要するにラスト1、2行をあとで書き加えたんですね。
発表時はオチがわからない人が多くてクレームがあったとどこかで読みました。で
も、それもわからん人はわからんままの書き方ですけど。
→「忍法関ヶ原」も現役でした。これも、カウントダウンは直してあったのですが。
書き加えについては貴重な御指摘です。
F昭和45年
○武蔵忍法旅 オール読物4 86 13
最近、廣済堂文庫の時代小説アンソロジー「宮本武蔵」(縄田一男編)に収録され
ました。アンソロジーでも読めるだけ縄田氏に感謝。国枝史郎作品もあったりして
、好企画といえましょう。余談ですが、「幽霊船棺桶丸」も確か縄田氏編の『時代
小説のたのしみ〜魔界への招待』という新潮文庫にはいってて、私はこれで「棺桶
丸」を知りました。縄田氏編のアンソロジーは要チェックです。
→「宮本武蔵」早速入手いたしました。新潮文庫の縄田氏編の時代小説アンソロジーには
風太郎作品が何作か入っているようですが、まだチェックできておりません。
杉浦さん。貴重な御指摘、御教示ありがとうございました。また、よろしくお願いします。
なお、*マークについては、必ずしも現行本全部を挙げていません。「本をさがす」
という強い味方ができたので、徐々に直してきたいと思いますが。
○お約束のリンクできませんでした(泣)。また来週。
●国内リスト更新情報(久しぶり)
山田風太郎「殺人蔵」、都筑道夫「八階の次は一階」、藤村正太(川島郁夫)「接吻物語」、楠田匡介「破小屋」、宮原龍雄「凧師」を入れる。
97.11.3(月・祝)
・「密室系」が「Index to Anthologies」にリンクしていただいた。ありがとう野村さん。来週、リンクコーナーをつくってこちらからもリンクいたします。
・連休、札幌に帰った際、ちょっと古本屋を廻ったが、結構充実しとるではないか。特に、近過去の角川文庫なんか2分の1ブックスで、ごろごろしてる。都内の古本屋だと、意外に見かけないし、置いてあっても結構高いんだけど。
・実家から風太郎関係何冊か引っぱり出してきた。かなり以前文庫で出た水鏡子「乱れ殺法SF帖」
(SF論)の風太郎論は、鋭い。全然内容を忘れていたが、一般的理解と異なり、忍法帖を前期と後期に分け、「妖説太閤記」に始まる後期を最高峰とする。で、この時期の忍法帖が真のSFになっているというもの。SFかどうかは私にとってはどうでもいいが、全編、示唆に富んでいる。
97.10.26(日)
・宿直明けで、神田古本祭りをウロウロ。特に収穫なし。
・「山田風太郎明治小説全集6」(「ラスプーチンが来た」等)出る。巻末の対談で、神戸の小学生殺しの話が出てきて、つい最近行われた対談だとわかり、かくしゃくぶりに一安心。
・横田さんからメール。現代教養文庫「山田風太郎傑作選1 首」が増刷されて、書店に出ていたとのこと。時代小説を集めた巻で、今、新刊で読めない短編は入っていないけど、昭和52年に出た粒揃いの選集です。それにしても、今回がなんと2刷とのこと。今さらながら、売れてなかったんだと苦笑。リストを更新しておきます。情報提供ありがとうございました。
97.10.21(火)
・ハルキ文庫から「男性滅亡」。単行本未収録「自立神経失調同盟」、1度だけ単行本化された「誰も私を愛さない」、2編は初文庫化というセレクション。特に、「誰も・・」は、読み応えありそうな中編で実に嬉しい。山風愛好家にとって、今は、summer
of love の季節なのだ。
・角川春樹事務所の「ボーダーランド」という雑誌が廃刊になったらしいが、持ちこたえろハルキ文庫。でも、「時をかける少女」は、おおこけしそうな気が。
97.10.19(日)
・「風太郎コメーディア」昭和23年をアップ。しかし、読むのはいいけど書くのはつらいっすねえ。続かんかも。
・ブルータスで海外ミステリ特集。コメントする気力なし。
97.10.18(土)
・山田風太郎全作品チェックリストを目指した「風太郎コンメーディア」を開始。第1回は昭和22年の3編。しかも、「達磨峠の事件」は未読。1年位で仕上げたいが。タイトルは風太郎の愛好するダンテ「神曲」から。地獄篇、煉獄篇を経て天国篇に至れるか。頼むぜ、ウェルギリウス。
・〈はし〉さんからメールいただく。風太郎リストに関して「夜よりほかに聴くものもなし」の初出は、昭和37年1月〜12月と廣済堂文庫の長谷部史親の解説に書いてあるというもの。確かにそのとおり。で、さっそく訂正。「帰去来リスト」では、時1〜7となっていた。「帰去来リスト」以前のバイブルだった中島河太郎編「山田風太郎年譜・作品目録」(別冊新評)でも、時1〜7となっている。間違いが踏襲されてたのね。面白くなって、現代教養文庫版(昭和52年初版)の平岡正明の解説をみると時1〜10となっている。きっと、全10話だから、10回連載と誤解したんだな。それで長谷部氏の解説で初出にこだわっていた理由もわかる。
・もう一つの指摘は、「夜よりほかに聴くものもなし」は、連作短編集であるということ。これは多少悩みました。まさにおっしゃるとおりで、本来なら「帰去来リスト」に各短編がリストに載ってもいいはずなのだが。ただ、「妖異金梅瓶」や「いだ天百里」の各短編が掲載誌も時期もバラバラなのに対し、「夜より・・」は、一雑誌の連載であり、連作長編の趣が強いから一応長編として扱っているということだと思う。東京文芸社の山田風太郎推理全集でも確か長編の扱いをされていたはず。という整理を一応しても、「明治波濤歌」の短編をリストに掲載しているのは、辻褄が合わない。こちらの方は、連載が中断したりしているせいか。いずれにしても、風太郎「長編・連作短編問題」は難しい。当面は、「帰去来リスト」に準拠するということにしたいと思います。また、御指摘待ってます。
・世界探偵小説全集「薪小屋の秘密」アントニー・ギルバート、「フロスト日和」ウィングフィールドが出ていた。後者は700頁、1080円。つんどくになりそう。そういえば、創元からカー短編集6が出るというので驚いた。4、5で学生時代の短編まで収録されているのに、この上まだあるのか。「奇蹟を解く男」のリストを見直してみるか。
97.10.15(水)
・うれひー。最近、風太郎関係のメールを立て続けに3人の方からいただいた。コアなツェッペリンファンの方、パソ通で山風布教をされている方、彼氏のために山風本を探している方。時代は、山風か。ところで、taguchiさん、メールの返信機能がうまくいかないようで、返事が届いてなければ御連絡ください。
・山田風太郎、菊池寛賞受賞。そんな賞知らないぞ。去年は、江川昭子とか野茂とか受賞しているようで、なんだか正体不明の賞だ。今まで、無冠の人だっただけに、どうせ、もらうんなら芥川賞が欲しかった(無理か)。でも、乱歩が風太郎のある作品について菊池寛らのテーマ小説の流れを汲むと評していたところをみると、案外無縁ではないのかもしれない。戦中の学生雑誌に発表していたという短編のタイトルをみると、モロ菊池寛っぽいし。
・廣済堂文庫で山田風太郎「死なない剣豪」出る。表題作は、単行本未収録作で柳生十部衛登場。初文庫化も3作とまたまた嬉しいラインナップ。また、カウントダウンできました。
・下の香山滋全集は立ち読みしたが、風太郎のパートは3頁しかなかった。連作ものなので通して読まねば意味不明であります。
97.10.8(水)
・野村さんの「Index to Anthologies」というホームページで見たのだが、「香山滋全集別巻」で、連作「白薔薇殺人事件」が完全収録。これが何かちゅうと、この中に山田風太郎の「薔薇の罪に薔薇の罰」が初収録されているのだ。しかし、定価8600円+税。さすがに買えん。
97.10.5(日)
・先日、関大人と酒を飲んだら、このページ、新刊が出て楽しみだとは書いて有るけど、読んだとは書いていないという話が出て、いやはや、御説ごもっとも。新刊レヴューも滞っているし、少しは気合いを入れて読むぞ。その他、ミステリ・マガジン500号、EQ20周年記念号の話が出て、しばし懐旧にふける。大人(たいじん)、今年のポケミスは不作とこぼすことしきり。
・都筑道夫「さかしま砂絵」出る。10年ぶり11作目の「なめくじ長屋」物。うち、2編は、新顎十郎物を書き直したというが、これは結構珍しい例なのではないか。このシリーズ不可能犯罪の宝庫と知りつつ、恥ずかしながら、まだ目を通していない。ぼちぼち、読むぜ。
・といいつつ、早稲田の青空古本市があると知って、覗きに行く。レ・ファニュ「アンクル・サイラス上・下」(創土社)を見つけて喜ぶ。ロバート・エィデイによれば、世界で最初の密室ミステリは、ボーの「モルグ街」ではなく、この一般に怪奇小説家と思われているレ・ファニュの「A Passage in the
Seacret History of an Irish Countess」(1838)だというのだ。確かに「モルグ街」より3年早い。レ・ファニュは、密室物を幾つか書いているが、この「アンクル・サイラス」こそ、彼の最高作とエイディー氏は誉めている。そのうち、読もう。といいつつ、古本屋街に旧宝石が結構出ていて、数冊買い込む。嗚呼。
●リスト更新情報
法月倫太郎「二の悲劇」、花木深「B29の行方」、歌野晶午、狩久2、夢座海二の短編を入れる。
97.10.4(土)
・うれひー。先日、このページを観た見知らぬ方からメールをいただいた。5月に立ち上げて以来、実質的な初メール。カウンターもないし、誰かみている人がいるのか疑問に思っていただけに、月で地球人に会ったような気分。
・山田風太郎作品リストなんとか完成。少しずつ入れはじめたのが去年の暮れぐらいだったから、随分時間がかかったなあ。本気でやれば2、3日で終わるはずなのだが。内容的には、「帰去来」リストに最近の情報を加えたくらいなのだけど、重複作品がわかるのが唯一の取り柄か。続いては、いつも見に行っている「よしのさんのえいぎょう」に対抗して?、年代順に全作品レビューにとりかかるつもり。
97.9.23(火)
○新着情報
・「本格ミステリ・ベスト100」(東京創元社1300円)出る。ちょっと前に出た「ニューウェイヴミステリ読本」に比べると、あまりもてなしの良くないつくりだな。山田風太郎作品は、22位に「警視庁草紙」27位に「明治断頭台」が入っている。よし。
・カッパノベルスから日本推理作家協会50年を記念して1946〜1958の探偵小説傑作選である「探偵くらぶ上 奇想編」が出る。過去のアンソロジー未収録の作品ばかりのようで、嬉しい企画。鷲尾三郎の「姦魔」が読めるのもお得。
○風太郎情報
廣済堂文庫から「旅人国定龍次」、明治小説全集5「明治波濤歌」が出る。
カウントダウンを更新。
●リスト更新情報
山村美紗の7長編「ガラスの棺」「京都不倫旅行殺人事件」「京都新婚旅行殺人事件」「京都祇園殺人事件」「財テク夫人殺人事件」「京都再婚旅行殺人事件」「京舞妓殺人事件」
「本格ミステリ・ベスト100」からゲットした4作品佐々木丸美「崖の館」、太田忠司「僕の殺人」、斉藤肇「思い通りにエンドマーク」荒巻義雄「無窮の滝の殺人」を追加。
97.9.15(月)
○風太郎情報
ハルキ文庫「みささぎ盗賊」出る。カウント・ダウン始まる。その他、新刊で本屋に並んでいた文庫関係の情報を修正。
●リスト更新情報
メフィスト9月号に載っていた篠田真由美と清涼院流水の短編を追加。
97.9.7(日)
●リスト更新情報
山村美紗の長編5、吉村達也の長編2、山田風太郎「天明の判官」を追加。
「天明の判官」(「忍法甲州路」所収)は忍法帖物の短編だが、平賀源内を探偵役にした不可能犯罪物とも読める(冒頭で平賀源内の不可能興味の話が語られる)。風太郎後年の某長編の原型であり、昨年賛否の嵐を巻き起こした某新人のデビュー作の基本構想と一致するのに驚く。
97.8.30(土)
○新着情報
セイヤーズ「殺人は広告する」創元。今回は20年代ロンドンの広告業界を舞台にした長編。サンデータイムズのベスト99にも挙げられていた作品で、実に愉しみ。
「甦る「幻影城」」角川エンタテインメント。新たな新書シリーズの第1弾作品の1冊。「亜城白人」をはじめ懐かしい名前が並ぶ。
北村薫「ターン」新潮。「スキップ」から随分間があいたが、シリーズ第2作の登場。これも愉しみ。
○風太郎情報
早くも「カウント・ダウン」訂正。「おんな牢秘抄」「忍法剣士伝」は、角川文庫の現役で、本屋に並んでいました。
●リスト更新情報
大谷羊太郎「姫路・龍野殺意の詩」(7月刊)、和久峻三「縛り首の館」殺人事件」、小林信彦「中華料理屋の密室」、平石貴樹「だれの指紋か知ってるもん」、筑波孔一郎「密室のレクイエム」「遅れてきた密室」、日影丈吉「善の決算」、千葉淳平「或る老後」「13/18・8」、西澤保彦「念力密室」を追加。
97.8.24(日)
またもや、山田風太郎新刊ラッシュ。廣済堂文庫「長脇差枯野抄」、講談社大衆文学館「忍法甲州路」、明治小説第4巻の3冊。今月買った風太郎の新刊は、5冊。いったいどうなっておるのだ。
こうしてはいられないとばかり、あと何が残っているのか整理を敢行。思ったより、まだ作品は残っている。その成果を「山田風太郎全作品刊行祈願カウント・ダウン」として、掲載した。ファンの方は、一緒にカウントダウンしてください。
今回、「長脇差」のラインナップは凄かった。「妖僧」「長脇差枯野抄」が単行本初収録。「山童伝」「死顔を見せるな」「売色奴刑」「盗作忠臣蔵」は、ほとんど入手困難な短編集から。次回も期待。
振り返れば、角川で最後の忍法帖短編集が出たのが、83年。その後、旺文社文庫、大陸文庫で細々と短編集が出ていたが、両者とも倒れた。忍法帖の長編も、代表作は富士見時代文庫で読めこそすれ、風太郎の作品は脇へ追いやられたような格好になってしまった。
状況が変わってきたのは、92年「柳生十兵衛死す」がちょっとした騒ぎになってからで、94年に講談社ノベルスから忍法帖が続々と出始めると、後は上げ潮ムード。河出から明治小説コレクションが出され、初期短編も、出版芸術社、大衆文学館、角川ホラー文庫から出始める。雑誌の特集も次々と組まれ、「GQ」「文学界」等が続く。「東京人」の特集では、ついに「戦後最大の物語作者」の称号までたてまつられるし、その独自の死生観により一種の老人アイドルの趣まで出てきた。静かなブームの確かさを確認させたのが、廣済堂文庫の傑作大全で、忍法帖以外の作品がまとまって読めるようになった効果は実に大きかった。
ここへきて、ハルキ文庫が参入し、大衆文学館が次々と出、ますます刊行ベースにドライブがかかってきた感じ。
しかし、人生わずか50年。栄華は長くは続かない。廣済堂文庫の売行は、一作品5万部程度だというし、もともとそんなに売れる作家ではないのである。ブームが去れば、潮がひくように市場から本が消えていくのは、70年代前半、80年代後半の「不遇」から明らかだ。とにかく、読まなくてもいいから、買い込もう。そして、好調を持続させて市場に全作品を送り出してもらおう。チャンスは、今しかないのである。全作品刊行に向けて、全国のフータローニスト団結せよ。(社説終わり)
97.8.18(月)
○夏休みその他あって、更新が滞りがち。
最近情報フラッシュ
・ハルキ文庫「黒衣の聖母」出る。「腐乱の神話」が単行本収録初。「魔島」が40年ぶり復刊。後者は130枚の力作であり、ガ島での死の行軍を題材にユートピア物の趣までみせる超異色作。とにかく、描写、展開ともに凄にして絶。ファン必読。
・単行本未収録の風太郎「東京魔法街」(昭和26.3「宝石」)読む。まずしい暮らしに飽き足らない19歳若妻ぎん子が家出してあこがれの東京でみたものは・・。題材からいって、単行本未収録もわからんでもないと思って読んでいくうちに、一杯くわされた。山風版O・ヘンリ?
・「螺旋(スパイラル)}読了。☆☆★。ここまでやって、評価されないなら、ひどい気がする。
・噂高き黄金時代の密室派作家クライド・B・クレイスン「チベットから来た男」(国書刊行会)でる。途中まで読むが、チベット趣味への腰の入り方半端ではない。期待大。
●リスト更新情報
雑誌・創元推理から
芦辺拓「「ホテル・ミカド」の殺人「名探偵Zの不可能推理」、巽昌章「閉ざされた庭で」(傑作)、山口光一「伊藤老人の小屋」を追加。
新刊
中町新「十四年目の復讐」(講談社ノベルス)出る。
97.8.3(日)
○山田風太郎明治小説全集早くも第3巻出る。毎巻買ってるんだから、全7巻終了時には、スクリーン・セーバーくらいつけてほしい。(って、でも、大久保利通の似顔絵とかなら、いらんなあ。)
●リスト更新情報
山田正紀「螺旋」(幻冬舎ノベルス:「全長6.5キロの密室から死体が消失!神宿る房総半島を舞台に史上最長の密室大トリックに挑む空前絶後の一大叙事詩。人間は善か、悪か。」
村瀬継弥「水野先生と三百年密室」(立風書房:「秘密の扉が今開かれる。四国の女子学園を震撼させた殺人劇。そして伝説の人喰い蔵の不思議に挑む水野先生。」)
都筑道夫「児雷也昇天」「浅草寺消失」「幽霊旗本」
を追加
97.7.30(水)
○HMM9月号川出正樹の「法に背いて」の書評。「「熱帯の密室殺人」は、誇大広告以外の何物でもない。間違って「密室」マニアが買ったら怒り狂うこと間違いない」・・HAHA。(いきなり大江健三郎と化す。6/15参照)。
でも、呼び声高かったピーター・ラブゼイ「猟犬クラブ」登場。密室をはじめ、これまでの作品と違って、ミステリに淫した作品のようで、愉しみだ。
EQ9のショート・ショート特集、バークリー、ブレイク、シェーファー、バーナードと(筆者にとっての)大御所が並び、いい感じ。
●リスト更新情報
HMM9月号、二階堂麗人「『本陣殺人事件』の殺人」、EQ9の山前譲氏の書評から吉村達也『「長崎の鐘」殺人事件』
97.7.27(日)
○台風9号対応で出勤。気象業界?では、今回の台風をロージ゛ーと呼ぶらしい。前回の8号は、ピーター。Qが頭文字の名前は、さすがになかったか。
●リスト更新情報
6/29付けで触れた、山田風太郎「厨子家の悪霊」(ハルキ文庫)の中の短編「天誅」は、単行本未収録だったのだが、何と、濁流の中の岩に磔にされた脱獄囚という不可能状況を扱ったミステリだった。まさに、風太郎しか書けない、ぶっとんだ話である。解決で示される光景を思い浮かべるだけで、笑いがこみあげる。人生に疲れた人に読ませたいハートウォーミングなケッ作。ああ、おかしい。
これで、600編目だ。
97.7.21(月)
○相変わらず、山田風太郎ラッシュ。廣済堂文庫からは「いだ天百里」、ハルキ文庫からは、「幻葉桐の葉おとし」。後者の解題(日下三蔵)でによれば、ハルキ文庫はシリーズ化され、廣済堂文庫は第二期が続き、両者をあわせれば、今まで単行本化された作品は、すべて読めるようになるとのこと。凄いことになってきた。それにしても、リスト化を進めなければ、重複してもっている作品がますます、わからなくなる。
●リスト更新情報
北村薫「紙魚家崩壊」「冬のオペラ」。(後者は、密室物であることを拒否した密室物)、岩田賛、大坪砂男の2編、日下圭介の「笛の鳴る闇」、大谷羊太郎の2編、島田一男、小栗虫太郎「潜航艇「鷹の城」等を加える。これで、599編。「
97.7.16(水)
○付録の「リンクみるだー」でアップしていたが、お試し期限切れで以後、更新できず。久しぶりの更 新。といっても、大きな変化はなし。新刊レビューに「英国庭園の謎」をアップ。
●リスト更新情報
「本格推理10」の「必読本格推理短編50選」から、大庭武年「十三号室の殺人」、角田喜久雄「Yの悲劇」、千葉淳平「ユダの窓はどれだ」をゲット。短編ミステリの奥は深い。ほかに、引っ張りだして
きた古本から、鷲尾三郎の「悪魔の函」所収の3編を追加。探偵作家毛間久利とストリッパー美鈴のコンビ探偵もので、このシリーズは、結構イケる。
97.6.29(日)
○昨日は、台風8号対応で事務所に泊まる。徹解決夜あけで、神保町の三省堂書店にいったら、ごっそり、出ていて目を見張る。まったく、本好きは幸せだ。毎週、ときめくことができる。
○早くも、「山田風太郎明治小説全集2」(うぐぐ)、待望の竹本健治「闇に用いる力学」、「都筑道夫名探偵全集T、U」、そして圧巻は、山田風太郎「厨子家の悪霊」(ハルキ文庫)。「殺人喜劇MW」「旅の獅子舞」「天誅」と、リストで目にしたのみの作品が3つも入っているではないか。タイトルの脇には「山田風太郎奇想コレクション」とあり、今後にも期待できそう。唐突だが、ハルキ文庫を応援するぞ。しかし、このカバーはなあ。
○三省堂書店の担当者は、その世界では有名なのかもしれないが、なかなか凄い。出版芸術社の怪奇小説アンソロジー「妖異百物語」に推薦札をつけて、鮎川哲也の「怪虫」を誉めまくったり、「カリブ諸島の手がかり」に興奮が伝わってくる推薦札を付けたり。さらなる御健闘を祈ります。
○それにつけても、本の読めなさよ。底をついた財布を見やりながら、再びストレスのたまる日曜日であった。
●リスト更新情報
若干の作品にコメントを付す。
97.6.22(日)
昨日、西葛西の巨匠と高田馬場で飲む。横溝正史「悪魔が来たりて笛を吹く」、江戸川乱歩「白髪鬼」「緑衣の鬼」、三好徹「コンピュータの身代金」は密室である、との御宣託をいただく。佐々木丸美はほとんど密室であるといい、実にくだらないトリックを一つ教えてくれた。でも、「緑衣の鬼」は「赤毛のレドメイン家」の翻案じゃなかったっけ。密室なんかあったかな。これは留保。
昨日も、新刊ラッシュで、国書刊行会から「ハムレットよ復讐せよ」は出るし、大衆文学文庫から山田風太郎の忍法帖短編集、集英社文庫からは多分未訳を含むクイーンの短編集、ドートマンダー物の新作と、うれしい限り。ところが、酔っぱらった巨匠が自分の買った本と間違って私の本の袋をもって帰っていったため、手元になし。早く返してくれ。
●リスト更新情報
少し励んで、阿井渉介、赤川次郎、芦辺拓、石沢英太郎、今邑彩、江戸川乱歩、大谷羊太郎、海渡英祐、小林信彦、斉藤栄、島田荘司、藤桂子、三好徹、横溝正史作品など29編を追加。これで579編に。早くコメントも入れ始めたいのだが。
97.6.16(月)
大阪日帰り出張の往復で、懸案の「これが密室だ!」を読了。鞄が重かった。調子に乗って小森健太朗の「バビロン空中庭園の殺人」も読了。新刊レビューにアップ。(少し古いが)
97.6.15(日)
講談社文庫のマイクル・エバハート『法に背いて』の帯曰く「熱帯の密室殺人。正義の鉄拳か、無法な復讐か!?」本当か。解説を覗いたところでは、リーガルサスペンスとしか思えないが。迷った末、買う。税込み950円。文庫も高くなったものじゃのう。
●リスト更新情報
有栖川有栖『スウェーデン館の謎』ほか3編、麻耶雄嵩「遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる」ほか1編、愛川純太郎「スタジオ」を追加。名作「木箱」の作者、愛川純太郎の作品には、他に「ラジオ」「四番ホーム」があるだけとの記述が鮎川哲也編「密室探求第二集」にあるが、多分、「スタジオ」の誤記だろう。草創期のラジオ放送局のスタジオでの毒死を扱った作品で、奇抜なトリックが用いられている。(昨日、早稲田の古本街で見つけた)
97.6.8(日)
・密室短編を含む麻耶雄嵩『メルカトルと美袋のための殺人』、有栖川有栖国名シリーズ第4弾『英国庭園の謎』(いずれも、講談社ノベルス)が出た。読みかけだが、前者の冒頭作は、ちょっと凄い。同時に出た峰隆一郎『寝台特急「さくら」死者の罠』も消失物?誰か読んで教えて。
・今日の朝日新聞読書欄で中条省平(仏文学者)が風太郎明治小説全集(筑摩文庫版)をとりあげ、「その面白さは現代日本の小説の頂点にある。」と書いていた。一点の曇りもないその断言や良し。
●リスト更新情報
鮎川哲也『鍵孔のない扉』、竹本健治『トランプ殺人事件』、山村正夫『赤い呪いの鎮魂歌』を追加。
97.6.1(日)
・今日、久しぶりに本屋に行くと、辻真先「崩壊」、日下啓介「密室・十年目の扉」が出ていた。これに先頃、出た「これが密室だ!」(17編中9編がエイディーの「LOCKEDROOM MURDERS」にも載っていないという驚異の短編集)、山田正紀の「妖鳥」や小森健太朗の2作等、「密室系」花盛りの初夏である。
・おまけに、国書刊行会第2期の注目作「カリブ諸島の手がかり」まで、出ていた。ポジオリ教授ものの短編集が極東の島国でハードカバーで読めるとは。
・さらに、山田風太郎明治小説全集1第1回配本「警視庁草紙」を買い込む。装丁南伸坊、対談構成森まゆみ、解説木田元という、まずは、人を得たラインナップで良かった、良かった。対談では、風太郎がドイツで載ったタクシーに「三軒茶屋に行ってくれ」といったという愉快なエビソードも載っているし。良くないのは、結構大きな本屋なのに、私が買った1冊しか置いてなかったことだ(それも著者名順本棚)。いったい、ぜんたい、売る気があるのか、筑摩書房。社長の趣味で出してるんじゃなければ、がんがん配本して、宣伝して、売って、売って、売りまくれ。そして、悲願の風太郎全集につなげるのだ。
・とりあえず、週に1回は、更新予定とします。
●リスト更新情報
・国内リストに、大谷羊太郎「目撃者は二人いた」、島田荘司「サテンのマーメイド」など3編、辻真先「崩壊」など5編、山村美砂「清少納言殺人事件」など3編、都筑道夫「まだ死んでいる」、日下啓介「密室・十年目の扉」を追加。
・リストから山村美砂「花のアリバイ」を削除。(「華やかな密室」所収。文庫版の裏表紙には「四つの華麗な密室の謎に挑む」と書いてあるのに、アリバイ物だった。主人公の女子大生探偵もがっかりしていた。4編目でネタが尽きたとしか思えない。)