1999年1月31日(日)


ハーレム

今日は日曜日。ついに、以前から楽しみにしていたハーレムにゴスペルを聞きに行く日がやってきた。朝食はホテルの近くのカフェで軽く食べて、朝8時半ごろ、タイムズスクエアから歩いて北上。ツアーの集合場所であるシェラトン・ニューヨークに9時ごろには着いた。とにかくこの日の朝は寒かった。めちゃめちゃ寒い。前の日まで帽子を被っていたので感じなかったが、今日は素の頭のままなので、耳がもげそうに、痛くて冷たくなった。吐く息もタバコの煙を吐いているかのようだった。寒さから逃げるかのように、私達は競歩選手の如く、すごい早さで闊歩していたと思う。
ホテルにはトミー富田さんというこのツアーを主催している人が迎えにきてくれた。前回のNY滞在のときにも、このトミーさんのツアー(ハーレム・ジャズツアー)のお世話になった。今日のツアーは30人ほど集まっているらしい。でっかいバスで、アッパーウエストの方から北に行った。セントラルパーク以北には、放火されて中ががらんどうになっていたり、窓に板が打ち付けられてあるようなマンションがいっぱいあった。前回ハーレムに来た時は夜だったので、道行く人々の人相が悪く見えてとても怖かったのだが、今日はそうでもない。天気が良くて、街はきらきら光って、明るくてキレイな町並みに見えた。
まずはアポロ劇場の前でバスを降りた。写真を撮ってみたりした。ハーレムのピカソと呼ばれるおじいさんと一緒に写真を撮った。アポロ劇場の前の通りの店のシャッターに描かれている絵のすべてを、このおじいさんが書いたのだそうだ。70を裕に越えているこのお方、日本人の若い彼女がいるそうだ。なかなかやるな♪
まず、1つ目の教会へ。ここは歌によって神と対話するという。Make a joyful noise! 皆、タンバリンを叩いたり、手拍子したりして、すごく陽気。音楽が盛り上がるに連れて、皆、自ずと立ち上がって、体がリズムを刻む。こうして幼い頃から音楽と触れ合っていれば、そりゃ歌もうまくなるし、リズム感も良くなるはずだわと感心した。私はキリスト教のことは良くわからないけれども、こういったゴスペルを歌うのはバプティスト系の教会だけらしい。彼らはすごく信仰心が強くて、音楽にのっているうちに、神が降りて来てしまう人もいるらしい。違う世界に行ってしまうと言おうか、トランス状態と言おうか。御老人の中には、そういう状態に陥った時に、心臓麻痺を起こしてしまって教会で亡くなる人もいるとか。けれども、それは彼らにとっては非常に良い死に方らしい。
私なんかが音楽鑑賞として聞いている音楽とはまた異なった意味合いで彼らはこの音楽を聞いている。軽々しくゴスペルは音楽のジャンルだよね〜などとは言えない雰囲気。どうしてこのように歌うようになったのか、歌うとどうなるのか、その理由は、私なんかが1回見たぐらいでは理解に及ばない世界にある。けれども、彼らにとってのゴスペル(神への福音)はとても大切な意味があって、重みのある音楽なのだと、私は耳と目と肌で感じた。
この教会で、私達はビジターとして紹介された。みんな、ビジターの私達を温かく迎えてくれて、握手を求めてきてくれた。たくさんの人達と肌を触れあわすことができて、すごく嬉しかった。みんな、実にフレンドリーだった。
そしてもう1つの教会に行って、まず昼食をとった。ソウルフードと言われるものだ。前回来た時に食事した「シルビア」という店よりか味は落ちるが、チキンやマカロニはおいしかった。紅茶は死ぬほど甘かった。
ここの教会のゴスペルは楽器の演奏によるもの。トランペット・チューバ・サックスなどの管楽器で演奏される。私はゴスペルというのは歌だけかと思ったが、演奏もアリらしい。とにかく、騒がしくすることは神が喜ぶことだとされている。
この教会を出て、一つ信号を渡った所のレコード屋さんに入った。トミーさん曰く、ハーレムで50年もここでレコード屋を経営されている方(ボビーさん)らしい。CDをカセットにダビングして、それをマンハッタンのレコード屋よりも格安で売っているらしい。それは違法行為なのだが。(笑)
昼間のハーレムはなかなか明るくて、キレイで、前回の印象よりも、全然安全。けれども、一人で来るのは怖いだろう。ハーレムに住む彼らは観光バスでやって来る私達をどう思うのだろうか。


「ハーレムのピカソ」呼ばれる
フランコさんの作品です。
アポロシアターの向かいだよ。




コレがあの有名な
アポロシアターですよ。
水曜日には名物・アマチュアナイトが
行われてるそうです。




ちょっと暗くて
わかりずらいかもしれないけど、
教会の中の様子です。




一人一人に楽譜が
手渡されるんですよ。
今日の歌は、「Lift him up」。
みんな両手を上に
上げながら歌います。
7時前にふと目が覚めると、隣に寝ているさいちゃんと目が合う。カフェでコーヒーをとってから7番街を歩く。極寒。早起きの甲斐あって集合30分前にはシェラトン・ニューヨークのロビーへ到着し、コンダクターのトミー富田氏に早いねと言われる。若干長髪なおじさまで、さいちゃんは前回のニューヨーク旅行でもお世話になったらしい。前評判よりファンキーさは感じられない。教会へ赴くためか。
 バスに乗ってセントラルパークウエストを8番街沿いに北上。アシスタントにホソカワミホさん。バスドライバーはMr.フィリップス。乗降のたび、にこにこと微笑みかけてくれるいいオヤジだ。パークの終わる110th St.を越えると本当に街並みが変わる。それまでミッドタウン周辺しか経験のないわたしにとっては、同じマンハッタン内とは思えない光景。このハーレムの北方にさらにワシントンハイツやブロンクスがあるのも不思議に思える(ブロンクスはマンハッタン島内ではないが)。
移動中は富田氏によるハーレムについてのレクチャーをきく。
About Harlem...

教会は2つ廻る。
 まずMemorial Baptist Churchへ。ミサは瞑想の時間・清書の時間・説教の時間(ここは出席せず)で構成される。皿がまわってきてひとり1ドルほどのドネイション(寄付)をする。瞑想の時間では参列者全員が手をつなぎあい祈る。隣席の富田氏と手をつなぐ。ビジター紹介の時間があり、お年寄りや子ども達、春に出産予定という妊婦さんら参列者と握手して挨拶を交わす。お年寄りはお年寄りの、子どもは子どもの視線で、両手で握手。聖歌隊の中にはプロのシンガーもいてソロで歌う。本日のソリストはシャーリー・コーランさん。ほか、やはりプロシンガーのパメラ・ジンマーマンさんもミサに参列していることを富田氏から耳打ちしてもらう。伴奏はピアノとオルガン、ドラムス(子どもがたたいていた)。何とも
グルーヴ感あふれるオルガンプレイに思わず聴き入る。座席にミサで歌う教典が備えてあり、Stand By Me なども載っている。配られたプログラムには今回歌った Lift Him Up という曲の楽譜が載せられていた。司祭様のお話にも大きな声でいちいち相づちを打つ参列者のみなさん。歌い始めると先程の妊婦さんも身重ながら飛び跳ねて神への感謝を表現している。富田氏とお腹の赤ちゃんのことを心配する。国会議員も参列しており簡単にスピーチをした。
 こじんまりとした教会で、とても暖かなものを感じることが出来た。富田氏は「ビジターもここのファミリーとして出席しているんだよ」と説明してくれたが、やはりツアー客であるという立場が頭を離れない。これはわたし自身の感じ方の問題である。どうしてもお邪魔しているという気持ちがよぎる。「ゴスペル・ツアー」と銘打ち、話しを合わせて富田氏もゴスペルを有名にした映画「天使にラブソングを」のことにしきりと触れる。確かに歌は素晴らしいものだったし、承知で参加しているのだから当然のことかもしれないが、ゴスペルを聴くこと以外に、教会がハーレム内でのコミュニティの場であるならその人々の信仰心や生活に少しでも触れたいという思いもあったので、ゴスペルに聴きいるだけでなく、こころを静かに落ち着けて参列していたかったと思う。やはりツアーを通じてしか参加の手だてがなく、一回しか訪問しないような立場でこのようなことを言うのもどうかと思うけれど。
次のUnited House of Prayerではブラスバンドに乗せて司祭様が歌をうたう。左サイドは子ども達のグループだった。見学前にここの食堂でソウルフードをご馳走になる。選んだメニュウは、さいちゃん: ベイクド・チキン、マカロニのチーズ和え、ポテトサラダ、わたし: トマトソースのミート・ローフ、青菜の総菜、イエローライスの組み合わせ。メインは他にオックス・テイル(牛のしっぽ)の煮込みやチキンの煮込みなど選べる。これにコーンブレッドとデザートにバナナプディング。さいちゃんはさっぱりしようと選んだアイスティーが逆に歯がきしむほど甘く、助けを求めてきた。青菜は日本のかき菜のお浸しに似て少しほろ苦い味がする。これらをイエローライスに混ぜて食べるのがおいしいというので試してみる。ゴハン好きとしてはうれしいメニュウ。さいちゃんはマカロニが気に入り、わたしも味見させてもらう。バナナプディングが感動的に美味しかった。思ったより食べやすいものが多く、朝食を抜いて正解であった。
道中二人の富田氏の友人に会う。お二人ともとてもステキなおじさま(おじいさまか)。ひとり目はフランコ・ギャスキンさん。アポロシアター前に店を構え、125th St.のシャッターに多彩な画を描き「ハーレムのピカソ」と呼ばれているとか。ジャズミュージシャンのシャッターを写真に撮る。来日経験ありとのこと。このフランコさんの画は国連切手の図柄にも選ばれたそうで、ミッドタウン・ノースの国連本部を訪れた際はここの郵便局でチェックしてみてください、わたし達の代わりに。
 もうひとりは、(たぶん)同じく125th St. に Bobby's Happy Store を構えるボビー・ロビンソンさん。このレコード店を経営する傍ら、黒人ミュージシャンのレコードレーベルをいくつもプロデュースした、知る人ぞ知る方なのだそうです。黒をメインにした服装がまた白髪に映えておしゃれです。店員の兄さん達(ひとりはピッシーさんというらしい)も陽気で、外でボビさんと写真を撮っているとき、ガラス越しにポーズをとってました。
帰りに通ったコロンバス・アベニューはとても落ち着いておしゃれなお店をたくさん見かけた。今回この辺りは散策できなかったけれど、次回は是非訪れてみたい界隈。日曜日ならこのあたり78th St. でのみの市が開かれるそうです



エンパイヤ・ステート・ビルディング

ホテルからエンパイヤまで歩いて行った。タイムズスクエア周辺よりか、人通りは少なくなる。エンパイヤに行く前に、メイシーズに寄ってみた。なんとなく、雰囲気が日本橋・三越って感じだ。とても古い建物で、エスカレーターは木造だった。あんな木のエスカレーターには生まれて初めてだったので、すごく驚いた。メイシーズの近所のトイザらスにでも行って、フィギアの1つや2つでも買ってみようかと思ったが、そのトイザらスの店の入り口の前だけに、なんちゃってハイパーヨーヨーみたいな、姑息なおもちゃを売る黒人露店商軍団がいた。道を通れぬほどに、彼らは店を開いて、盛んにヨーヨーをブンブン振りまわして、大声で道行く人の注意を引こうとしていた。ホント、その喋りの勢いが怖いっちゅ〜のよ。あまりにも彼らが怖かったので、トイザらスには入るのを諦めて、エンパイアに登ることにした。
エンパイアに着いたのは、夕方の4時から5時の間ぐらいではなかっただろうか。夕方だからすいているかと思っていたが、そうではなく、10分以上列に並んで待って、セキュリティーを抜けて展望台へ登った。エスカレーターは異様なまでの高速で、あっという間に展望台に着いてしまッた。私達は摩天楼の夜景を見ようと思って登ってみたのだが、それには少し時間が早くて、マンハッタンの向こうに沈む夕陽を見ることになった。オレンジ色の夕焼けが、マンハッタンに立ち並ぶビルを照らしてとても美しかった。時間が経つにつれて、ライトがたくさん付いてきて、特にクイーンズの方はそれこそ宝石箱をひっくり返したかのようにきらきら光っていた。これが、もっと夜が更けて、真っ暗になっていれば余計にライトが目立って、美しさも倍増したことであろう。しかし、私達はあとに予定があるし、それまでここにいるわけにもいかないし、展望台の風の冷たさに耐えることもできないので、6時手前には下に降りた。


窓ガラス越しの景色。
紅い月です。
クライスラービル越しのショット。
恵美ちゃんの激写。
34th St.の老舗デパート・メイシーズまでブロードウェイをタイムズスクウェアから歩く。42nd St. を過ぎると少し街の賑わいは薄れる感じがする。フラットアイアンビルらしきものをちらっと見るがたぶん違うだろうなと思う。ブロードウェイを左折し、エンパイヤ・ステート・ビルへ向かう。マンハッタンの夕暮れを見ようというつもり。チケットを買いエレベーターの方へ進むとそれまでにはなかった行列が現れる。周りにはいろいろなコトバが飛び交う。10〜15分位ならび、ようやくセキュリティ・チェックを経て展望台へ。チェックにいたピッペンライクの兄さんに「コンニチハ」と声を掛けられる。「ニイハオ」とか「アンニョンハシムニカ」とか返しておけばよかったか。高いところがちょっと苦手なわたしは、さいちゃんが柵より手を伸ばしてカメラを構えるのをゾクゾクしながら見守る。次第にオレンジの明かりが灯り、ニューヨークの棲み分け地域が一目で分かる。今日行ってきたハーレムにも明かりが灯る。ここニューヨークが人々の暮らす街なのだということをひしひし感じる。この展望台から初めて自由の女神像を見るが思ったより小さいのでがっかりする。エンパイヤにちょっと似てるクライスラービル付近になんと紅い月が登っていたので写真に収める。


ストンプ

エンパイヤからタクシーを拾って、アスタープレイスまで移動。運転手のおじさんにうまく行き先を伝えられなかったようなので、少々不安だったのだが、ちゃんとまっ黒い正方形のオブジェがある所で降ろして貰えて良かった。
イーストビレッジにあるカフェで軽くお茶をして、ストンプが上演されるオルフェウム劇場に行った。セントマークス通りを歩いて行ったのだが、やたらと日本人とすれ違った。日本語で書かれた店もあった。ここは日本人が多く住むところなのか?それとも、日本人に人気がある場所なのか?だったら、それはなぜなのか?と思いながら、寒さに耐えられず、やたらと早足で歩いて行った。
劇場は非常に小さかった。ほぼ満員の状態。言葉を一切使わないでいて、かなり笑えるステージ。声を出してげらげら笑えるほどの内容だ。体を張って取る笑いは万国共通なのだと実感した。小さい劇場なだけに、役者の動きが身近に感じられるし、舞台と客席の一体感も生まれる。あっという間に2時間のショーが終わってしまった感じだ。もう1回見てもイイかなと思った。


これはツアー会社の人にとって貰いました。
時間に余裕があるのなら、
自分で直接会場に買いに行っても
イイかもね。
5番街をタクシーでアスタープレイスまでタクシーで下る。カフェで夕食をとりオーフィアム劇場でSTOMPを観る。この劇場はかつてはユダヤ系の映画館だったとか。なかなか小振りな造り。案内してくれた窓口のお兄さんもなかなか。再びナイナイ岡村君の大きいライクの兄さんと小柄で貧弱な加ト茶ライクの出演者がお気に入り。パイプ詰まりの吸盤を使ったり、新聞雑誌や綿棒だけで見事なリズムを刻んで素晴らしいパフォーマンスを披露してくれた。客席にもハンドクラップのバリエーションを求めて、お客さんも大ノリ。本日二度目のタクシーに乗って帰るが、半ドア気味の車両で何度もドアを閉め直す。ドライバーさんにもおやすみなさいを言ってタクシーを降りる。


3日目のまとめ

ショーが終わって、イーストビレッジからタクシーでホテルまで帰った。
この日は、「脱・ミッドタウン」と言う感じで、なかなか縦に大きく移動した1日だった。ハーレムでのゴスペルで聞くことは、私の長年の夢であり、願いが叶えられ、さらに彼らの歌声に痛く感動して、とても良い経験になった。今度はハーレムのアポロ劇場で行われるアマチュアナイトを観に行ってみたいと思う。あと、イーストビレッジには夜に行ったので、あまり町を散策することはできなかった。日本人が多い印象を受けた。次回行けるのなら、ふらふら歩き回ってみたいと思った。ほんの少しの印象では、とてもパンキッシュな感じがした。

今日はマンハッタン内を大きく南北に動く盛りだくさんの日程だったにも関わらず、バスでの移動また二日ぶりに多くの日本語に触れたせいか、余裕の一日であった。就寝前には、出産時には夫に立ち会ってもらうか否かや高校受験制度の是非についてさいちゃんと語らう。




1999年2月1日(月)


グラマシー

地下鉄に乗ってグラマシーへ。駅近くの本屋さん、バーンズ&ノーブルに入る。エミちゃんは言語学の本が欲しいらしく探していたが、結局、欲しい本はなかったようだ。一方、私は写真集のところをウロウロして、インテリアの写真集などを見ていた。とてもかっこよくて欲しいと思った本もあったのだが、とても分厚くて、装丁がしっかりしていてとても重くて、これからソーホーに行くには大荷物になって大変だと思うので、ここで買うのはよしておいた。それにしても、ここの本屋さんのシステムは実に良い。図書館のように机と椅子が置いてあって、本を座って読めてしまうのだ。まったく、羨ましい。日本にもこういったタイプの本屋さんができればいいのにななんて思ってしまった。また、できればできたで、本が汚れるなどと行って問題が出来るのかもしれないけど。
グラマシーは高級住宅街らしく、ちょっと品の良い感じがする街並みだ。駅前の芝生には、リスがたくさんいた。


ここのW.C.の入り口に
日本で言うアドカードみたいのが
置いてあったので取ってきました。
今日はゆっくり目に出掛けるゆとりの日。ソーホー辺りを散策する予定。 9時頃出発してスターバックスコーヒーで日本では出していないというキャラメルマッキャートを味わう。つくるのを見ていたら兄さんがキャラメルソースをカフェオレに絞り込んでいる。甘い。甘いが朝からそこはかとないやさしい気持ちになる。底にこのキャラメルが溜まるのが難点。 部屋を出る前に昨日ハーレムでお土産にしたコーンブレッドを食す。美味。42nd St. からユニオンスクウェアへ向かう。

ユニオンスクウェアの大型書店・バーンズ&ノーブルで書籍を物色。 かねてから目当てのものがあったのだが、なかった。いろいろ捜してみたけれどなかった。 参考図書を捜していたのだが、これなら新宿の紀伊国屋や神田神保町の三省堂の方がよっぽど品揃えがいいぞ。しかし落ち着いた店舗で雰囲気はいい。午前中なのに人が結構来ていて 皆、本(商品)を読みふけっている。さながら図書館のようだ。落ち着いているのは店内だけでなく、 この辺り一帯も気取らず飾らずでいい雰囲気だ。ユニオンスクウェアにはリスもいるし。 広場周りには鉢植えや雑貨などを売る露天も出ていた。


ソーホー

更にグラマシーから地下鉄に乗って、ソーホーへ。前回来た時は、あまり時間が無くてほとんど見てまわることができなかったけど、今回はゆっくりとここで過ごせた。
地下鉄の駅を出たらすぐ目の前に、ディーン&デルカがあった。今回の滞在で、かなり気に入ったカフェの一つ。けど、ここソーホーのディーン&デルカはカフェと言うよりも、お総菜屋さんの色が濃い感じだ。お弁当を売っていたり、ディーン&デルカ特製のチョコレート、コーヒー、紅茶なども売っていた。紅茶は銀色の円柱の形をしたアルミの缶に入っていて、見た目がとってもかわいい。お土産にちょうど良さそうだ、と思ったが、ここで買っては荷物になるし、ミッドタウンにも、ホテルの近くにも紅茶を売っているかどうか確認していないがディーン&デルカがあることはあるからから、そこで買えばいいかなぁと思ってここでは買わなかった。(※Tちゃん情報提供ありがとう。)
ふらふら〜っと、アンティークな家具屋さんの前を通ったり、ギャラリーの前を通ったりしてみた。フラグメンツというビーズアクセサリーのお店(東京だと新宿の伊勢丹ぐらいでしか買えないブランド)やビビアン・タムなどなど、新進気鋭のNYブランドのショップをちらほら見る。
おなかがすいてきたので、ちょっと腹ごしらえ。名前は忘れてしまったが、赤いソファーが印象的なレストランに入った。う〜ん、今、なんとなく思い出したのだが、店の名前はジェリーズとかそんな感じだったような気もした。そこでエミちゃんはスモークサーモンのオムレツ、私はチキンのサンドイッチ、シーザーサラダをシェアして食べた。量も味もまぁまぁ。特にシーザーサラダにかかっていたチーズが激ウマ。ああいうチーズの名前なんて言ったっけ?チーズ好きの私にはとてもおいしく感じられた1品。
そこを出て、また街をふらふらさまよい、セフォーラと言うキレイな化粧品屋さんに入った。毛足の長い絨毯が敷いてある、ちょっぴり高級感漂う化粧品屋さんだ。流行りのブランドのスティラやヴィンセント・ロンゴ、シュウ・ウエムラなどなど、いろんな化粧品ブランドを扱っているお店。先日、バーニーズニューヨークでスティラのマニキュアとか、欲しいモノは買ってしまったので、特にここで欲しいと思ったモノはなし。エミちゃんは、クリニークのリキッドファンデーションが安いと言って買おうか買わないか迷っていたが、迷っているうちは買わない方がいいと言うことでなにも買わなかった。ここのお店の入り口には、まるで絵の具のパレットにすべての絵の具を並べて出したかのように、グラデーションにマニキュアやペンシルが並んでいた。セフォーラの自社ブランド化粧品らしく、実にお安かった。(※Uさん情報提供ありがとう。)
続いて、フェイス・ストックホルムという化粧品ブランドショップで、白のマットなアイシャドウを買った。さっきのフェイスでは白マットのアイシャドウがなかったし、フェイスの日本での正規ショップを知らないので、ここでなにかフェイスのモノを買っておかねばと思って買った。
ソーホーをウロウロしたあと、リトルイタリーの方にちょびっと足を踏み入れてみたりした。その後、ラファイエット通りを歩いていたら、サイバーカフェなるものを見つけた。インターネットでもして、うちの掲示板になにか書きこもうかとも思ったが、日本でもインターネットカフェなんてのに行ったことのない私はそのシステムがわからず、しかも英語で説明を受けるのは面倒くさかったので、結局は入らなかった。それで、てくてく、ラファイエット通りを北上していたら、すごく印象的な壁画広告を見つけた。本当は写真を撮りたかったが、人通りが多かったので恥ずかしくて出来なかった。その広告は、FILAの広告。それで、断崖絶壁とロッククライミングする男性の様子の絵がおよそ5階建てぐらいのマンションの壁一面に書かれているのだが、その男性の部分だけは絵ではなく、洋服を着たマネキン人形が実際に壁にくっつけられている。人の部分だけ、立体的になっているのだ。なんとユーモラスなんだろう。日本ではなかなか見られないような広告だ。ソーホーというギャラリーが多く、アーティストが行き交う街にとてもマッチした広告だ。広告もアートしてる。かっこいい〜♪日本じゃ絶対にこんな広告はない。絶対どこかで規制を掛けられて、できない。私はアメリカってやることなすことでかいし、カッコイイよなぁ〜♪と、この時、心の底から思った。

ユニオンスクウェアからさらに南下してプリンスSt.で下車。降りると目の前にわたし達の憩いの場ディーン&デルカの 本店がある。ここはカフェというより食料品が主で、入り口付近のスタンドでしか休憩をとることはできない。サラダやマリネなどの総菜やハムなどの肉類、菓子類もケーキやチョコレートのショーケースがあり、さながらデパートの地下食品売場といったところ。1階なので明るいところがまた商品を美味しそうにみせている。オリジナルのコーヒーや紅茶も出している。この店のオリジナルを購入するならここの品揃えが一番いいと思われるが、どうやら日本にも一部輸出しているという話しも聞いたので、こじゃれた雑貨店などには置いてあるところもあるかもしれない。 とにかくここはやはりステキなお店だ。

 ディーン&デルカ本店の向かいには、グッゲンハイムのソーホー別館があるが、 何となくパス。アッパーウエストの本館よりも現代美術に力を入れ、美術に関する電子図書館もあるらしい。 ぶらぶらするが思ったより店舗はない(ように思う)。Jerry'sとかいうカフェでランチ。 シーザーズ・サラダ(さいちゃんとシェア)とサーモン・クリームチーズのオムレツを頼む。サラダは濃厚な味で美味。アメリカの野菜は苦いもんだと思って いたわたしにはちょっと驚きの一品。オムレツもアメリカにしては程良い量で全て平らげる。海外旅行中ではこんなにキレイに平らげることは少ない。ハワイ民芸品を扱うという レディオ・フラを見つけるが月曜は休みらしい。アンティーク家具の店がひしめいている。