ハードディスクが盗まれる時代は近い

私が職場で使っているPowerMac 8500の内蔵MOディスクドライブに、ディスクがはまって取れなくなってしまいました。しかたないので、カバーを外してドライブを外すことにした。この、PowerMacは後ろのでかいネジ4本をドライバーで緩めるだけで、すぽっとフロントパネルごとカバーが取れる仕組みになっています。このネジは、完全には外れないようになっているので無くなる心配がない。問題のMOディスクドライブは、前面部の棚に固定されていました。片手でドライブをつかみ、同じ手で棚の縁にあるベロを押し下げると、そのままぐいっと外に引きだせます。ディスクドライブのすき間からドライバーを差し込んで、なんとか詰まっていたディスクを取りだすことができました。詰まった原因は、はがれかけたラベルの粘着部分が、スリットの天井に張り付いていたらしい。フロッピーディスクと違って、MOは分厚いので天井とディスクの間のすき間がとても狭いのですね。

ところで、MOディスクドライブを外していて思ったのですが、最近のパソコンは、とても分解しやすくできています。同じミニタワー型のPowerMacも、9600の様な去年の機種では、箱の上面に緑色のプラスチックの部分があって、それをぐいっと押すと、筐体の片面ががばっと倒れるように外せるようになっています。カバーをもって、よいしょっと持ち上げる必要すらないのですね。AT互換機でも、HPのKayakというミニタワー型の機種なんかだと、筐体の手前両わきにあるラッチをパンと引きだすだけで、カバーを手前に引きだすことができます。ドライバーすらいらない。それだけでは、あんまりだと考えたのか、後ろに鍵がついていますが。パソコンの中も、プラスチックを多用して、ネジを使わないでも部品を外せるようになっています。こうした、傾向は、もっと進めれば、壊れたパソコンをぱらんぱらんと分解して、鉄の部分とプラスチックの部分と、ボードに簡単に分別できるようになるでしょう。こういうのこそ、環境に優しいパソコンということでしょうか。

ただね、逆に気になるのは、あまりに簡単にフタが開くことなんです。これからの事務所荒らしは、きっとパソコンにアタックしますね。だって、名簿なんかがはいったハードディスクを見つけたら、そのまま名簿会社にアンダーグランドで売れる時代なんでしょ。ハードディスクから吸い上げた電子情報は足がつきにくいから、泥棒に最適じゃないですか。パソコンごと盗むのは重いけど、カパっとパソコンのフタを開けてケーブルを外し、ドックからハードディスクだけを外せば、なんと1分以内に盗みが完了ってことになりませんか。サーバーマシンなんか、これであっという間にデータベースを持ってかれちゃうかも知れない。だから、サーバーマシンには、とっても重くて、しかも筐体のフタに鍵がかかるものがよいですね。もちろん、鍵はかけて別なところに保管しましょう。パソコンによっては、鍵を刺しておくホルダーが、筐体に付いていたりしますが、そこに鍵を入れては意味がありません(^^)。こうした、テクノ盗難はクラッキングより人を選びません。だって、ネットワーク越しのクラッキングは、OSなどに高度な知識が必要ですが、押し入ってディスクを持っていくのは、度胸があればできますから。

ある朝、オフィスの鍵が破られているのを発見。しかし、机の中の小銭が盗まれた程度なので、こそ泥だろうということになる。しかし、仕事を始めようとパソコンの電源をいれても、一向にソフトが立ち上がらない。おやー、故障したかな。そういえば、ハードディスクが回っていないようだ。そこで、そのまま、電気屋に送って修理してもらうことにする。数日後、電話がかかってきて、「お客さん、ハードディスクが入ってないんですが、外したんですかぁ」といわれる。えー、「おーい、誰かパソコンのハードディスク外したかぁ。」まさか、小銭を盗んだこそ泥にハードディスクを外すテクがあるとは想像しないから、警察に盗難を届け出るのが遅くなる。そのころ、当のこそ泥は、ハードディスクをデータブローカーに渡す。ブローカーは、ディスクのOSなどを解析し、パスワードなども外してデータを取りだし、顧客データベースなどは個人情報屋に売り、プロバイダのログインパスワードが見つかれば、それもアンダーグランド市場に売り飛ばす。数ヶ月後、プロバイダーから法外な接続料金が請求されて、自分のハードディスクの中の個人情報が売られていることが分かるが、誰もそれで被った大きな損失を保証してくれはしない。こんな時代が来るんでしょうかねぇ。

本当に、大事なデータが入っているパソコンは筐体に鍵をかけることです。せっかく、Windows NTを入れているなら、ハードディスクが覗かれにくいNTFSでフォーマットされていることを確認しましょう。パスワードは、少しは分かりにくいものにすること。使いもしないゲストアカウントなんかは、使用しない設定にすることです。ノートパソコンを使っている場合は、そっくり持っていかれるかも知れないから、BIOSレベルでパスワードがかかるものを使うのがベストです。これは、電源を入れるとOSが起動する前にパスワード入力を要求する仕組みです。意外に盲点なのは、PDAではないかと思いますね。カラーザウルスには、一部の情報にプロテクトはかけられますが、画面をつっついて起動すれば、個人情報は取り放題というのが普通です。こういうこと考えるのって、神経質すぎるかなぁ。でも、これからは、パソコンにクレジットカードや銀行口座番号なんかを保存する時代になりますよ。そうなる前に、自分のデータは自分で守るってことがどんなことか、ちょっと想像してみるのも良いでしょう。

1998.02.27
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