車にインターネットがついてくる

インターネットに接続できるテレビには、家庭から簡単にWebページが見られるという、うたい文句があります。しかし、テレビ以外にインターネット対応の家電製品が作れるかというと、あんまり思い浮かびません。もっとも、最近のやじうまWatchには、インターネット対応の冷蔵庫というのが紹介されていたから、この先、なにがインターネットにつながるか分かったものではないですけどね。それにしても、なんで冷蔵庫なんだろう。想像するに、一番、入れ換えの少ない家電製品が冷蔵庫だからではないかな。平気で10年はもつもんね。もし、インターネットの機能が2年で古くなってしまったら、パソコン内蔵のドアの部分だけ取り換えるのだろうか。それはともかく、いまのところインターネットにつながるのは、パソコン以外ではテレビくらいかなと思っていたら、家電ではないけど、意外に早く車がインターネット対応になってしまった。

ニフティーのコマーシャルで、プジョーの販売店らしきショールームにアベックがやって来て、「これでインターネットってできますかね」と聞くのがあったっけ。正解は、ソニーのカーナビを付ければできるらしいですよってところでしょうか。現在、どれくらいのインターネット対応のカーナビが出ているかは分かりませんが、目立ったところでは、ソニーの他に、トヨタとホンダが宣伝しています。ソニーのインフォメーション・ナビシステムは、去年の11月から発売されているもので、独自のブラウザを使うことで狭いカーナビのディスプレイに、任意のWebページを表示することができるようです。これには、専用情報サイトとして、モバイルリンクなるものが提供されていますが、行ってみると分かるように、文字中心で表示幅の狭いページになっています。これは、携帯電話の9600bpsでも、そこそこ待てるデータ量ということなんでしょう。ここのコンテンツはまだ貧弱なので、このサイトがあるからソニーのカーナビを買おうとは思いませんが、とりあえず一般のWebを(表示するのを根気よく待てば)見ることができるカーナビが欲しければ、これを買うことになるでしょう。

一方、トヨタのカーナビの方は、モネ対応というのが売りです。いったい、このモネなるものは何だろうと思ったら、どうやらトヨタが運営している月額500円の会員制のパソコン通信のようなものらしい。このパソコン通信のホストに電話することで、交通情報から天気予報からニュースまで、車にダウンロードできるという仕組みです。独自のブラウザを使うので、どんな情報も問題なくカーナビ画面に収まりますが、インターネット接続は電子メールだけのようです。もう一つの、ホンダのカーナビの方はインターナビと言って、トヨタと同様に専用のサーバーを使うものの、通信方式は「インターナビ拡張フォーマット」とかいって、トヨタとは違うらしい。車からは携帯電話で直接に専用のサーバーに接続して、画面に収まる形式のデータを受信します。インターネットのWebサーバーからのデータも、電子メールも、一度データ変換した後、このサーバーを通すようです。トヨタと違うのは、同じ情報に家庭のパソコンからインターネット経由でアクセスすることができる点で、そのデータはPCカードに入れて車に持っていくことができます。これだと、あらかじめ必要な情報は、高速な回線がつながったパソコンを使って検索しておけるので便利かも知れません。

どの、ネットワーク対応カーナビについても共通して苦労しているのは、小さい画面にどうやってWeb的な画面を表示するのかということと、携帯電話で制限される9600bpsという遅い通信速度で、どうやって情報を持ってくるのかと言う点です。画面については、ソニーのものはブラウザで調節しているようですが、ディスプレイも横長なのでパソコンに近い表示ができるようです。他のものについては、コンテンツを専用のサーバーから提供することで、画面に合わせたレイアウトにしていますね。通信速度については、ソニーのものは直接インターネットにつないでしまうので、多分、一般のサーバーからのデータはとってもダウンロードに時間がかかるでしょう。他の2社のものは、独自のフォーマットでデータを送る(具体的には技術が見えませんが)ことで、対応しているようです。移動しながら、ご当地の情報を得るのは、観光の時は便利です。北海道でレンタカーを借りたときに、観光情報(音声と静止画)つきのカーナビを使いましたが、なかなかよかったですよ。あらかじめ、旅行先のお勧めコースと観光データをDVDあたりにダウンロードしておいて、カーナビと合わせて使うなんて事ができれば、毎月500円くらい安いもんかも知れない。でも、一番の問題は、片手インターネットサーフィンのおかげで、交通事故の原因が増えることでしょうね。

1998.05.01
ひとつ戻る HOME つぎに進む