サイバーホームの住み心地

前回に紹介した、インターネット冷蔵庫については、なんとアメリカのオンラインニュースであるNEWS.COMでも紹介されています。この冷蔵庫はインターナショナルに有名なんだ。この記事の日本語版はCNET Briefsにあります。これによると、インターネット冷蔵庫の内蔵パソコンは、CPUが333MHzのPentium IIで、メモリーが128MB、ハードディスクが3.2GBというしろもの。おいおい、私が仕事で使っているパソコンよりハイエンドではないか。もっと詳しく知りたかったので、これの元になった記事を探したらありました。日経マルチメディアに載った話のようで、BizTeckのページで読むことが出ます。試作機は、OSがWindows 95で、WebブラウザがNetscape Navigator4.0なんだそうな。でも、次の実験用モデルのOSはLinuxなんだって。開発者の趣味だろうか。それとも、常時電源が入っている冷蔵庫だからって、試作機のWindowsを立ち上げたままにしておいたら、クラッシュしてしまったのだろうか。ついつい、勘繰りたくなっちゃうな。タッチパネルの横にリセットボタン付けとけば、Windows 95でも大丈夫だと思いまけどね。でも、冷蔵庫にOSの再インストールなんて、あまりやりたくないなぁ。

インターネット冷蔵庫みたいな家電製品をサーバーに接続して使える、ネットワーク機能付きの家のことを、サイバーホームというらしいです。このNEWS.COMの記事では、IBMのホームディレクターというサーバーの話を紹介しています。これは、「エアコン、照明、コーヒーメーカー、警報器などを接続できる」サーバーなんだそうですが、このシステムはネットワークの構築がちょっと面倒くさかったのだそうです。で、このバージョンアップ版がホームディレクター・プロフェッショナル(笑)というもので、233MHzのPentiumプロセッサーを使って、特製のWindows 95を動かすんだって。これで、警報器、ビデオカメラなんかをコントロールしたり、テレビで他の部屋にいる赤ちゃんの状態をモニターできたりする(そんなことするよりも、そばにおいてあげろよ)。もちろん、家の外からエアコンを制御して、帰る前に部屋を暖めておくなんてことも簡単ですね。このシステムはオクラホマシティでデモされているんだけど、欠点は値段が高いこと。IBMは、300,000から700,000ドルの家に使うことを考えているそうだけど、ローンの返済が終わる前に陳腐化しちゃいそうね。この記事に出てくるアナリストも、こうしたホームネットワークは2002年までは、およびでないとコメントしています。

家にネットワークを引くことは、家電メーカーとしては当然考えているようで、NEWS.COMのページにも、松下、NEC、Sony、日立がホームサーバーを検討する部門を作っているとあります。確かに、試しにNECのホームページを見たら「ホームサーバー事業部」という組織がありますね。でも、まだ、サイバーホームに近いコンセプトを、表に出している企業は少ないように思います。その中でもSonyは、マイクロソフトと組んで、Windows CEベースの家庭向けネットワークのコンセプトを打ち出しています。このシステムのサーバーは、ホーム・ネットワーキング・モジュールなる箱で、これから、FireWireという技術を使って、ビデオカメラや、DVDなどのAV機器を制御するものです。これは、AV機器のメディアに入っているデータや、インターネット上のコンテンツを検索したりアクセスすることもできるということですが、まだ、冷蔵庫の中のコンテンツまでコントロールすることは考えていないようですね(^_^)。

家電製品をインターネットにつなげる話は、まだ、庶民の感覚から外れているように思います。インターネットからコーヒーポットのスイッチを入れたり、台所の冷蔵庫のドアで居間の赤ちゃんの様子をチェックする為に、数百万円の金を払う人種は少ないでしょう。それが、2002年に一桁安くなったとしても、どの機能も、あれば便利だけど、なくてもOKみたいなもんばかりです。まずは、ゲイツやジョブズみたいな大金持ちから試してもらって、バグをなくしたころに、その一部の機能を庶民に提供するって程度のものではないでしょうか。すると、やっぱり、家庭のネットワークはSonyが考えるように、テレビやビデオみたいな娯楽の線から入るのかも知れませんね。以前にここで、WebTVなんてパソコンを使ってインターネットサーフィンしているような人が使うだろうと書きましたが、アメリカではそうでもなく、asahi.comの記事に出てくる製材工のブロア氏のように、Web TVからインターネットをはじめて、親子してハッピーな余暇を楽しんでいます、みたいな例もあるらしい。この記事の最後に出てくる、家庭のメディア情報を管理するセット・トップ・コンピュータというのは、まさにSonyの言っている、ネットワーキング・モジュールに相当します。なにはともあれ、ネットワーク後進国の日本としては、必要かどうかにかかわらず、2002年から数年後に、各家庭のテレビの上か冷蔵庫の上に、電話回線とオーディオ機器につながった、なにやら怪しげな箱が乗ることになるのでしょう。

1998.05.08
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