ホームネットワークは一歩近づいたか

この欄では、家電製品をネットワークに接続する話について何度か書いていますが、最近、それに関連した二つのニュースが報道されました。一つは、一般のプロバイダーの利用者もWebTVが使えるようになったという話。もう一つは、いくつかの家電メーカーが、AV機器をネットワークにつなげる仕様について合意したという話です。

WebTVの話は、特定のプロバイダーと既に契約しているユーザーが、そのプロバイダーを通してWebTVのサービスを利用できるというものです。もともと、WebTVというのは、専用のアクセスポイントを使ってWebTVのサーバーに接続し、インターネットからの情報をテレビに表示するというものです。ですから、これまで、WebTVを使いたい人は、既にプロバイダーに契約していたとしても、テレビにWebページを表示するだけのために、改めてインターネット接続料金をWebTVに払う必要がありました。しかし、この「OpenISPサービス」を使うと、専用端末を買うだけで、WebTVを使えるようになります。WebTVのアナウンスによれば、使用料は月々1000円で時間制限なしだということ。WebTVのアクセスポイントを使わないので、通常の月々2000円(15時間まで)より安目になっています。こうしたサービスがでると言うことは、初めてインターネットを利用しようという人が簡単に使えるのがウリのWebTVであっても、日本の場合は、既にインターネットを使っている人も取り込まないと商売にならないのかも知れません。本当にWebTVというものは、アメリカのユーザーのように、テレビのチャンネルが増えた程度の簡単操作で使えるのかも知れませんが、日本人は、なにが便利か分からないものに、それほどお金を使わないようです。ちなみに、このサービスは6つのプロバイダーが契約していて、中にはぷららの様にWebTV端末のオンライン販売もする所もあります。WebTVが、どれくらいインターネット・サーファーの興味を引くかについては、テレビにリンクした実用的なコンテンツの質次第でしょうが、少なくともインターネットに抵抗の無いユーザーをうまく誘うことができれば、今までよりは利用者は増えるでしょうね。

もう一つの話題は、ソニーや松下電器といった大手のメーカーが、家電製品間を結ぶネットワークの仕様をまとめたというニュースです。これは、HAVi(Home Audio/Video interoperability)という名前の仕様で、名前の通り、テレビやビデオなどの間で通信する方法です。残念ながら、冷蔵庫には関係ない様子(^_^)。まだ、ホットな話題らしくて、このニュースページに貼られた参加企業へのリンクも、今の時点ではリンク先がないものがありますし、つながっても仕様書しか配付していないところもあります。少しは説明があって、実態が分かりそうなところは、シャープソニー程度ですね。ソニーのページには、物理層(配線)からアプリケーションまでの信号の流れを示す簡単な図面もあるので、こうした知識がある人には、少しは参考になるかも知れません。なにが決まったのかについては、これらのページを読んでいただくとして、これに対応した機器が売られるようになると、これからのAV機器はホストとなる機械(例えばパソコン)に電線でつながるようになります。ホストは何がつながったかを自動認識して、これらとデータをやり取りしたり、他のAV機器にデータを転送したりします。この電線は、IEEE1394というインタフェースに対応したもので、一体どんなケーブルやコネクタが使われるのか知りたい方は、テキサス・インスツルメンツのページを参考にしてください。しかし、AV機器であるからには、ホストはパソコンというよりもテレビの方が良いのではなかろうか。つまり、テレビにビデオやCDプレーヤーがつながっていて、テレビのメニューから指示を出すとビデオが再生されたりする。テレビがインターネットに接続されていれば、Webページのメニューを選択することで、映像データが自動的にビデオカセットに録画されたり、あるいは、Web上のテレビ放送予定表を選択するだけで、ビデオの予約ができてしまうとか。

IEEE1394は最近パソコンに標準でつくようになったUSBとは似て非なるものなので、すでに、新型のパソコンにはUSBの方を標準で付けるのが業界の常識となっているらしいことから、今後パソコンがAV機器のホストマシンになるかどうかは怪しいです。しかし、ビデオ映像などのAVデータの転送については、USBよりも一桁以上転送速度の速いIEEE1394を使わざるを得ないらしい。すると、HAViが家庭に入ってくるには、少なくともIEEE1394ポートがいくつもくっついたテレビとか、テレビの上に置けるような専用端末が必要になるでしょう。その端末は、もしかするとWebTV端末のようにインターネットにつながっているかも知れません。その箱から、たこ足のように家電製品に電線が延びていく。しかし、居間の外の機器につなげようとするとケーブルがドアに挟まってしまうし、部屋を横切って配線したりすると足を引っ掛けそうですね。やっぱ、ここは、IEEE1394以外にも赤外線通信も使えるとか、台所の冷蔵庫まで壁の中を配線できるとか、そういうところまで拡張してくれないと、家庭内ネットワークとは言えないように思うなぁ。それとも、専用端末にはイーサネットのコネクタもついているとか。それと、不気味なのは家電市場を虎視眈々と狙っているマイクロソフト。Windows 98はUSBもIEEE1394も対応していますからねぇ。そうかぁ、やはり未来のテレビは、スイッチを入れると、チャラーンとかいってマイクロソフトのロゴがでるのかなぁ。それから、ぴぽぴぽ言って接続AV機器を認識するのかな。でも起動する途中で保護違反なんか起こしたら、見たいテレビも見れなくなるぞ。

1998.05.22
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