おもちゃが通信を始めるとき

最近、この欄では家電製品がネットワークにつながるって話題を書いていますが、ジャストシステムが情報家電製品用のソフト開発で、ソニーと提携したというニュースがでたりしているところを見ると、家電製品が互いにケーブルでつながる日も、意外に近いのかも知れません。ふむ、インターネット冷蔵庫の漢字変換は、ATOKってことになるのか(笑)。しかし、ネットワークにつながるのは、テレビや冷蔵庫やコーヒーポットばかりではない。リカちゃん人形も、接続される日が来るのです。

今年の2月頃なのですが、インテルとマテルが、パソコンの技術を使ってもっとインタラクティブなおもちゃをつくろうとしている、というニュースが出ていました。このニュースは、日本語のニュースサイトでは取り上げられていないようなので、残念ながら英語で読むしかありません。この話には、おもちゃにCPUを入れて賢くするということと、そんなおもちゃとパソコンの間の通信を規格化するという、二つの意味があるようです。特に、おもちゃとパソコンの間の通信規格を作るという発想は、いままで、あまり無かったように思います。これまでも、おもちゃにCPUを入れて、そのおもちゃの間で通信をするという技術は実現しています。例えば、携帯ゲーム機のゲームボーイは、通信ケーブルを買うことで、データ通信ができます。これを使って、子供たちは、自分のポケモンと友達のを交換したり、互いのポケモンを戦わせたりしています。しかし、このケーブルはパソコンのUSBポートやシリアルポートにつながる物ではありませんし、他の会社の携帯ゲーム機に接続できるわけでもありませんでした。もし、インテルとマテルの思惑通りになれば、例えば赤外線ポートを使って、パソコンとゲーム機との間を結ぶことが可能になり、ポケモンの世界と同様に、パソコンにポケモンを飼っておくことが可能になるでしょう。ちなみに、マテルはバービー人形を売っているメーカーなので、パソコンと人形の間の通信から始めるのでしょうか。将来、子供の声を登録することで、相手を聞き分ける人形なんてのもできるかもしれない。でも、捨てられた人形が、子供の名前を呼んでいたりすると恐い気もするが(ひぇーっ)。

しかし、こっちの記事によると、マテルはバービー人形にICを入れることで、すでにそれに近いものを作っているようです。この人形にはパソコンソフトが付いていて、あらかじめメニューにしたがって子供の名前や誕生日なんかのデータをパソコン上で作成します。それから、パソコンの赤外線通信機能を使って、人形のネックレスにそれを送信すると、人形は自分のご主人の情報を記憶してくれるという仕組みです。まるで、お友達みたいに「ジェミィの誕生日ってあしたよね」とか言ってくれたりするわけだ。そのあとで、「プレゼントはマテルのおもちゃがいいわね」とか言わないだろうな(^_^;。この「一緒にお話してバービー人形」について、もっと知りたい方は、こっちを読んでください(笑)。このおもちゃは、単純に人形にデータを覚えされるだけですが、もし、おもちゃ間通信の規格がまとまれば、そのデータをもとに人形が別の人形とコミュニケーションができるようになる。「あら、あなたのご主人てジェミィって言うのぉ。私の方は、サリィよ。一つだけ年上ねっ」なんてぐあいだ。こいつは、もうトイストーリーだぜ。それはともかく、当然、おもちゃとパソコンの間で、データ通信が可能になれば、おなじ要領で、家電メーカーが開発している情報家電製品なるものと、おもちゃの間の通信も可能になる。

おとうさんが、テレビでナイター中継を見ていると、子供がやってきてアニメスペシャルを見たいという。「だーめっ、お父さんはナイターを見るの。あっちでリカちゃんと遊んでなさい。」子供は、人形に呟く。「リカちゃんも、ドラえもんスペシャルみたいわよね」「そーよ、見たいわぁ」「チャンネル変えちゃいましょうか」って、人形が赤外線通信でテレビのCPUと交渉して、いきなりテレビのチャンネルが変わってしまう。「こらこら、いたずらしちゃだめじゃないか」って、おとうさんがテレビのリモコンを押しても、画面にエラーメッセージが出るばかり。「チャンネルはスーパーユーザー権限でロックされています。」あーぁ、おとうさんも人形買わないと、おちおちナイターも見てられませんよねぇ。もちろん、リカちゃんのお父さん人形ね(^_^)。それはともかく、インテルの方の思惑はなんでしょうね。おもちゃ用のPentiumでも開発するのかな。あるいは、例の人形にCPUを入れて、もっと上手に踊れるようにするとか。なお、こっちの方の人形について、もっとお知りになりたい方、ご購入を検討されている方は、こちらのページをお読みください(笑)。でも、買うかなぁ、これ。

1998.06.05
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