インターネットを使っているサラリーマンの何パーセントが、自分の職場からプライベートなアクセスしているかという統計は見たことがありませんが、その内にこれが問題になるかも知れない。これは、あまり触れたくない話題ですが(^_^;、ZDNetには、職場からのインターネットアクセスは、生産性を低下させる元だという記事が出ています。 この、「会社の危機?仕事中のネットサーフィン」という記事によると、Spyglass社の調査では、5月から7月までの間、会社員が職場でインターネット接続に使った時間の24.45%は仕事と無関係だったということです。もとの情報はSpyglass社のページにあります。このページには、4月には、こうした仕事以外のアクセスの割合は18%だったが、その後、増加傾向にあると書いてあります。さらに、仕事に関係のないインターネットアクセス先の一番が、一般ニュースサイト(5.48%)で、以下、アダルトサイト(3.61%)、投資(3.01%)、娯楽(2.24%)、スポーツ(1.87%)と続きます。以前はトップであったアダルトサイトを、ニュースサイトが越えたのが特徴であるそうな。こうした統計は、CheckNetというサービスで集めたということです。このサービスは無料で、職場のインターネットへの通信ログを送ると統計処理して返してくれるシステムです。なんで、無料かというと、SurfWatchというソフトを買ってもらいたいからですね。このソフトは、LANとインターネットの間を仲介しているプロキシーサーバーにインストールして、社員がアクセスできるサーバーを制限するものです。これで、あなたの会社も、回線の無駄づかいが無くなるってことらしい。 Spyglass社は、企業の社員はかならず回線を無駄づかいしていると確信しているようで、その額は年間125,000ドル(1700万円)にもなると書いています。さらには、その時間を削れば、遅れている仕事もはかどるでしょうということで、さらに利益があがるというストーリーです。じゃあ、一般の企業が、雪崩を打って、インターネットへのアクセスを制限したり、積極的に社員のネットワーク利用調査をしようとしているかというと、そうでもないのですね。何故かというと、社員のプライバシーに絡むからです。例えば、インターネットに、どこそこの会社は、LANに流れる信号をモニターして、社員のプライベートな利用をチェックしているなんて噂が流れたとしたら、その会社の人気はがた落ちになるでしょう。なんせ、雇用しようとしている学生は、プライベートに学校の回線を使っているからね。だれだって、いつ、どこのWebを見たなんて事や、どこにメールを送ったなんてことをチェックされているとしたら、そんなLANは使わないほうがましだと思います。たとえ、仕事のためだけに使っていたとしてもいやなもんです。そういうことをする会社であれば、電子メールの内容だってモニターしていても不思議ではありませんから。 では、日本の場合、どれくらいの会社員が、会社の回線をプライベートに使っているのでしょうね。そんな、情報は聞いたことがありません。ただ、以前にここで紹介した、インターネットの中継点(NSPIXP)のトラフィックグラフを見ると、深夜と昼休みにピークがあることが分かります。つまりは、この昼休みのピークが、禁断のプライベート使用ってことなんでしょうか(^_^;。でも、休み時間なら生産性を落とすとは思えないけどね。むしろ、その他の勤務時間帯のトラフィックの内、どれくらいがプライベートかってことが問題ですか。でも、一方で、この昼休みをしのぐ量の信号が、深夜に流れています。これは、電話会社の割引サービスの時間帯と一致していますね。ということは、主に個人利用者のトラフィックと考えてよいでしょう。もし、会社員がプライベートに会社の回線を使いまくっていたら、昼間のトラフィックと深夜のトラフィックは同じくらいになるはず。ってことは、日本の会社員は意外と真面目で、プライベートなアクセスは深夜に自宅から、つましく電話割引サービスを活用して行っているってことなんでしょうか。 日本の会社では、まだインターネットへのプライベートなアクセスが、会社の経営を圧迫したり、生産性を落としたりするところまで行っていないように思います。多分、日本の大部屋な労働環境が、事実上、互いに監視しあうような効果をもたらしているのかもしれませんね。でも、この先、Spyglass社が言う様に、積極的に社員を監視して余分な贅肉を落としましょう、みたいな宣伝が経営者に浸透して、回線の監視とプロキシーでのフィルタリングが当たり前になる可能性はあります。こうした状況になったとき、企業は、自分のWebサーバーを消費者に見てもらって販売が伸びる効果と、自分の社員がインターネットにアクセスするのを止めて経費を節約する効果の、両方をてんびんにかける必要があるでしょう。例えば、昼間に自動車販売会社のホームページにアクセスするのが、タクシー会社や運送会社の社員だけになったら、現在のヒット数は維持できないでしょう。そういえば、CMでありましたね。エギュゼクティブっぽいおじさんが、早朝らしいオフィスでベンツのサーバーをみて、こいつはいいとか言っている。そこへ、女子社員が近づいてきたので慌てて隠そうとする..みたいなの。あの人も、禁断のプライベートユースでは(^_^)。 まあね、アメリカと違って、日本は腹芸ですからね。ちょっと、度を外してニュースサイトなんか読んでいれば、上司が後ろをうろうろして警告してくれるでしょう(^o^)。そこはそれ、阿吽の呼吸で自粛すれば、生産性を落とさずに、自由度も落とさないっていう日本の美徳が..。でもね、もっと恐いのは、上司はゴルフツアーの結果をスポーツ新聞サイトでチェック、後ろの同僚は投資情報サイト、落ち着きの無い隣の同僚は昼間っからアダルトサイトめぐり、なんていう職場にいるあなた。ちょっと、先行きに不安を感じた方がよいかも(^_^;。
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1998.08.28 |
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