ノートブックに見る国民性

インテルがノートパソコン用のPentium II 300MHzチップを売り出したので、メーカーもそれを使った新しいノートパソコンを売り出し始めています。例えば日本ゲートウェイ2000とかデルコンピューターが報道されていますね。こうした高速なCPUは、ハイエンドデスクトップマシンなみの仕様の、巨大戦艦的なノートパソコンから使われるでしょう。しかし、アメリカでは、より薄いノートパソコンにトレンドが移りつつあるようです。

このCNETの記事によると、アメリカのノートパソコンのトレンドは、そこそこ薄くて軽くて、キーボードがデスクトップ機と遜色なくて、CD-ROMもフロッピーディスクドライブ(FDD)も付いているものになるだろうとのこと。この、そこそこっていうのは、重さで言うと2.3〜2.5kgの当たりらしい。これよりも軽い1.3〜2kgの領域の機種を、彼らは「極端な」超軽量ノートパソコンと言っています。この程度で「極端」だとすると、重さが1kgもないミニノートは、「オタクな」超軽量ノートパソコンとでも言うんでしょうか(^_^;。ここで、トレンドと言っている超軽量ノートパソコンは、IBMのThikPad 600あたりのグレードを言うようですね。「極端な」超軽量ノートパソコンというのが、ThikPad560とか、ソニーのVaio 505GXあたりになります。では、ミニノートとはどうかというと、「キーボードが小さすぎるのは、多くの消費者にとって検討に大いに値する要因となる(CNETの記事)」のだそうだ。確かにねぇ、mobioNXを使っていますが、このキーボードでタッチタイピングするは困難ですから。小指を使わないタイピングをマスターすればそこそこ行きますけどね(^_^;。ましてや、山のような体のアメリカ人がこれを使うのは、おもちゃのピアノでショパンを弾くようなもんでありましょう。では、キーボードには問題のないThinkPad 560XやVaio 505GXなんてのは、なんでトレンドでないかというと、軽量化するためにCD-ROMやFDDを内蔵していないからなのです。これは、重さとのかねあいになりますが、この先MMX Pentiumが消えていくことを考えると、モバイル版のPentium IIを使ってCD-ROMやFDDを内蔵した、重さ2.5kg前後のノートパソコンをかついで歩くアメリカ人が、この先増えていくように思います。

では、同じ傾向が日本でもあるのかっていうところが興味のあるところです。現在のトレンドは、インプレスという出版会社が提供している、マーケット情報一覧の売れ筋ランキングで垣間見ることができます。9月2日版の表のノートパソコンの所を見てみると、NECのLaVie NX LW23/43Dとか、富士通のFMV-BIBLO NUVII23、シャープのMN-390-X26なんかが上位にいますね。みたところ、7位までがオールインワンモデルと呼ばれる、CD-ROMもFDDも内蔵されてますというタイプです。でも、重さを比べると、日本人は、これを携帯しようと考えて買っているようには思えません。例えば、LaVie NX LW23/43Dが3.5kg、FMV-BIBLO NUVII23が3.4kg、MN-390-X26が2.9kgあります。こんなもの持ち歩いたら、腰がおかしくなりませんか。やっとこ第8位にVaio 505GX (1.9kg)ですから、この当たりから持って歩ける重さになります。ちなみに、始めに出てきた日本ゲートウェイ2000の新製品は、オールインワンのSolo9100が3.8kgもあります。デルコンピュータの方のLatitudeだと、もう少し軽くなっていて、2.5(D233ST)〜2.9kg(D300XT)というところのようです。どちらかというと、デルコンピュータの新製品が、あの2kgから3kgの間を狙った商品と言えます。とはいえ、これまでのところ、日本では、3kg以上のオールインワンと呼ばれる、CD-ROMやFDDが内蔵されたノートパソコンのほうが、携帯向きの機種よりも買われているようです。日本人は、どうやら始めっから、ノートパソコンを持って歩こうなんて考えていないらしい。

持ち運べるかどうかが判断基準に入っているアメリカ人と、取りあえず何でもついているのが好みの日本人の差というのは、ノートパソコンの使い方の違いによるのではないかと思いますね。そもそも、私は「極端な」超軽量パソコンであるIBM ThikPad 560Xを職場で使っていますが、ここ一ヶ月くらい机の上から持ちだしていません。家に持って帰ったことはありますが、持って帰れるというだけの意味で、mobio NXのように携帯して使おうという発想は、買ったときからありませんでした。職場の同僚のノートパソコンの使い方をみても、机の上とかに据置で使っているのは見ても。キャリングバッグに持って歩いている姿は見かけません。最近では、電子メールを読むために、mobio NXやLibrettoや、Windows CE機を持って歩く人は増えつつあります。でも、何故かWindowsマシンのノートパソコンを持って歩く人はあまりいないようす。ということは、日本人にとってのノートパソコンは、机の上でデスクトップ機の代りに使うものということなんでしょうね。自分がそうだからって、結論にしてしまうのも乱暴かな(^_^)。でも、たまに、海外に出る機会があると、空港の待合室でノートパソコンをひざの上で使っていたり、飛行機の中でかちゃかちゃワープロしているのは、だいたい欧米の皆さんであります。東洋人は、電子手帳をいじっていたりはしますが、未だにノートパソコンを空港で使っているのを見かけません。かといって、私がその第一号になろうとも思いませんが。せいぜい、Mobio NX。でも、きっと隣の欧米人に脅威の目で見られるでしょうね。あんた、よくそんな小さなキーボードを、はやく叩けるねって(^_^)。

薄型ノートパソコンは日本でも受けが良いようですが、実際に売れているのは何でも装備のノートパソコン。これは、日本人には、アメリカ人の言う「極端な」超軽量ノートパソコンでも、持ち運びはつらいというところが本音のように思います。そりゃ、アメリカ人は持って歩くと言っても駐車場から飛行機まで。飛行機から降りればレンタカー屋の駐車場までの間だけなんでしょうね。日本人みたいに、駅の階段を駆け登って、電車に飛び乗るような障害物競走はしないのであろう。でも、アメリカで売れれば、日本でもフル装備版の超軽量ノートパソコンは売れると思いますよ。だって、私もThinkPad 560Xを使っていますが、外付けFDDがじゃまくさいし、外付けCD-ROMの場所もとりますから。ぜんぶ中に入っているに越したことはない。半年もすれば、フル装備超軽量ノートパソコンが、日本のデスクに省スペースデスクトップ機として普及しているでしょう。でも、多分、机の上に跡がつくまで、その場所から持ちだされることはないかも知れませんね(笑)。

1998.09.11
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