この先の辞書サイト

インターネットやコンピュータ界の最新情報は、Webのニュースサイトを使えば読むことができますが、訳の分からない用語が多いのが業界の外の人間にとってはうっとうしいですね。「IISを利用したECやESDが普及する中、○○社はOBIプロトコルと、インターネットEDIをサポートした、ECソフトを発表した」みたいな文章がぽんと表示されて、ふむふむと読めるあなたは、ハイレベルなインターネットおたくかも(^_^;。では、ローレベルな私たちは、どうやってこういう文章を理解したら良いのでしょうか。もちろん、インターネット用語辞典みたいなのを本屋で探すのも手ですが、こうした用語って簡単に作られて、半年もしないうちに使われなくなる世界ですから、まずは、インターネット上の辞典サイトを使ってみるのも手ではないでしょうか。

検索サーバーで辞典とかいうキーワードで探してみれば、いろいろな種類の辞書サイトが出てくるはずです。インターネットに辞書をおけば便利だろうと考える人は多いようですね。あとは、誰が手を上げて、辞典の構築とメンテナンスをするかです。特に技術用語の場合は、いかに頻繁に更新されるかが重要になります。こういう、辞書サイトは、個人が始めたものと、出版社や新聞社がサービスで始めたもの、それに、それ自体をメインのテーマにして運営している所もあります。個人が開いているところでは、不明解略語辞典[外部リンク]がメジャーでしょうか。使い方は、頭文字で知りたい略語を探すと、もとの意味が分かります。これによると、上に出てきたEDIとは「Electronic Data Interchange」の略称ですね。でも、OBIは出ていませんね。こういうときは、複数の辞書サイトを探して回ることになります。他に、個人で運営しているところには、ネットワーク略語辞典[外部リンク]というのもあります。こっちで調べると、OBIとは「Open Buying on the Internet 」なんだそうです。ただ、この辞典は、なんの略語であるかは分かっても、意味までは書いてありません。それでも、3000をこえる略語のリストをメンテナンスするのは並大抵ではありませんね。更新記録を見ても、まめに書き足しておられるようで、感心します。他に、言葉の意味も知りたいときは、通信用語の基礎知識[外部リンク]というのも結構使えます。このサイトの執筆陣のページをみると、多くの人が参加して作っていることが分かります。こうした、個人ベースの辞書サイトは個人の努力が全てですから、感謝して使わせてもらいましょう。

個人の辞書サイトでは、得られた情報の正確さは持ち主にお任せなので、ちょっと不安だという人や、もう少し用語の説明が欲しい人は、出版社などの企業が運用している辞書サイトがよいかもしれません。例えば、情報・通信略語林[incept]は、インセプトと言う会社が運営している辞書サイトです。略語を入れて検索すると、その言葉の意味が出るほかに、その言葉に関連した情報が載っているサイトのリンクも表示されます。そうしたリンクを上手に孫引きしていけば、もっと詳しく意味を知ることも可能になります。例えば、EC(electronic commerce)を引くと、電子商取引実証推進協議会なるホームページのリンクが出たりします。この会社は、Web作成とか、ホームページ来訪者の統計データ収集などをやっている会社らしくて、そのせいか、「情報・通信略語林」にアクセスすると、やたらとクッキーを設定されますね。ま、ただで情報がもらえると思ってはいけないか(^_^;。出版社が運営しているところでは、ASCIIのコンピュータ用語集[ASCII]というのがあります。これは、素直に辞書のように言葉の意味を検索するタイプです。ちなみに、ここにはASCIIという社名の意味は載っていませんが、先程の「通信用語の基礎知識」には、「あなたの好きなコンピュータ, 一緒にいい事しましょう」の略であると書かれています(^_^)。他には、日経BPのサイトの、通信関連用語集[日経BP]なども、使いやすいですね。出版社系の辞書サーバーは、サービス精神でやってくれているので、商売っ気がないぶん安心して使える気がします。ただ、何でも載ってるわけでもないので、本気で知りたい言葉を探すのなら、複数の辞書サイトをはしごするつもりでやらないとだめですね。

こういったサイトの中には、用語検索サービス自体をホームページの売り物にしているところもあります。例えば、whatis?com[whatis.com Inc]はそうした辞書専用サイトです。ここは、基本的にインターネットに関連した用語を調べるサイトですが、他にも、Webサイトを作るための細かな情報、ドメイン名の取り方の説明から、インターネット経由の職探しまでサービスをしています。特に、バナー広告もないホームページですが、いったい、このwahtis.com Inc.はどうやって収入を得ているのでしょうね。飾られている賞状の数をみると人気も高いようですから、ちゃんとした会社なんでしょうが。こうした、辞書サイトは、ある意味でポータルサイト(インターネットの入り口サイト)となりうるわけで、そういうサイトも将来は増えるのではないでしょうか。今のポータルサイトは、YahooなどのURL検索サイトが主ですが、必ずしもURLを検索するのがインターネットにおける検索の全てではないはずです。ある言葉の意味を調べるとか、複数の言葉に関連した情報を調べられる、一種のインターネット百科事典の様なものもニーズがあるのではなかろうか。その場合には、広辞苑クラスの言葉の説明はサイトの検索エンジンで提供して、さらに詳しい関連情報については、その情報があるサイトのURLのリストで提供するという検索サイトの方が便利なはずです。その原形は、「通信用語の基礎知識」や「情報・通信略語林」にあるように思います。

インターネットは情報の宝庫(あるいは、がらくた置き場:笑)と言えますが、既存のURL検索サーバーを使って、辞典のように言葉の意味を探そうとしても、ずばりと答えが返ってくるわけではありません。その言葉が含まれた記事の載ったサイトのリストがでるだけですから、多くの雑音情報が混ざります。そうした辞書引きの用途に対応して出てきたのが辞書サイトですが、この先、辞書をWebにコピーしたような形態から、さらにハイパーリンクによって、もっと目的の分野に特化した情報サイトへ移動できるような辞書サイトが主流になっていくでしょう。その先にあるのは、分野別の辞書サイト群と、それにリンクしたポータル辞書サイトのネットワークでしょうか。こういう構造になれば、インターネット初心者も、検索の鉄人を目指さずとも、最初からある程度の情報をインターネットから取り出せるようになり、インターネットも巨大なクモの巣(Web)のはったごみ箱とは言われなくなるでしょう。あ、巨大なごみ箱ってのは、わたしが言ってるだけか(^_^;。

ご注意:今回は各サイトのトップページ(ホームページ)ではなく、直接に下の階層のページへのリンクがあります。リンクが失われている場合はご容赦ください。なお、[外部リンク]の表示は、リンク先がこのドメイン以外にあるという意味です。「この頃」欄では、リンク先がニュースサイトの時は元記事のあるニュースサイトの名前、企業の場合は略称などをカッコ内に書いています。

1999.06.18
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