続:家庭向けパソコンとは

前回、家庭で使うパソコンはどうなるかという話を書いたばかりですが、その後も個人ユーザー向けのパソコンの話題が次々に出てきています。でも、携帯用の情報機器も含めて、個人向けのパソコンのOSは、やはりWindwos 98ってことになるんでしょうか。

家庭で使う個人向けパソコンとしては、アップルのiMacのようなスタイリッシュでコンパクトで安いパソコンというトレンドが見えてきています。すでに発表しているコンパックのiPaq[cnet]や、AMDのEasyNow[cnet]などに続いて、dellもWeb PC[zdnet]を発表しました。Web PCというからには、家庭からインターネットアクセスするためのパソコンというコンセプトなんでしょうか。やはり、カラフルでコンパクトで安くて、例のレガシー・フリーという路線に乗っています。これは、従来のインタフェースを外して安く上げるというもので、この機種の場合、パラレルポート、シリアルポート、PS/2マウスポートを付けずに、代わりにUSBポートを5個付けています。キーボートとマウスもUSBポートに差し込むようになりますね。シリアルポートもなくてインターネットへの接続はどうするのかといえば、56kbps内蔵モデムでつなぐことになります。この機種の情報については、まだ日本語のホームページ[dell]には、載っていませんので、英語ですがWebPCのホームページ[dell]を見ることになります。このホームページについては、flashプラグインが必要なので、これをインストールしていない初心者が接続すると戸惑うのではないかという指摘もあったり[cnet]してます。もっとも、ここを見に行くような人は、すでにインターネットを使っているわけで、戸惑うことはないかな。ちなみに、そういう私はflashプラグインを入れてなかったので、読めなかったりする(^_^;。ハードの仕様程度なら、dellの英語版ホームページ[dell]の"Home, Home Office"の項目から探すこともできます。

それにしても、来年あたりは、こうした家庭向けパソコンが巷にあふれるのでしょうか。一方では、21世紀に一般市民が家庭で使うのはパソコンでは無いのではないという説もあります。例えば、マイクロソフトが分割されたら、という近未来ストーリー[wired news]がWied Newsに出ています。これによれば、3つに分割されたマイクロソフトが、互いに競争しているうちに、インターネットアクセスはパソコンではなく、ゲーム機などの専用マシンに取って代わられてしまいます。つまり、家庭からインターネットにつないだりするなら、それにチューンした専用マシンを使えば十分だということです。現に、ゲーム機のCPUなんてパソコンより先に64ビットに突入して、画像処理なんかはパソコンよりすごくなっている。もし、この先のインターネットが動画や静止画や音声といったマルチメディアに進んでいくのなら、まさにゲーム機にとってちょろい世界のはずです。もちろん、ゲームもできるし、DVDも鑑賞できるようになる。そう考えると、本当に家庭にパソコンは必要なんだろうかと思えてきます。ゲーム機をテレビから外して、専用のディスプレイにつなげれば立派な情報端末にもなる。パソコンは、ワープロもお絵書きも表計算もインターネットもゲームもこなせるから、一台何役でも使えてコストパフォーマンスがよいというのがこれまでの発想でしたが、OSが重くなってどんどん速いCPUや大きなメモリーが必要になり、機能も複雑化してきました。初心者にとっては、一見簡単そうだがトラブルに合うと、熟練者に手伝ってもらわないとお手上げになるという代物になっています。もし、これが、おかしくなったらリセットボタンを押すだけで復帰してくれるゲーム機の使い勝手になったとしたら、こっちの方がよっぽど家庭向け情報機器ではなかろうか。

ゲーム機がワークステーション並の処理能力を持ち始めた一方で、パソコンの方もどんどん高性能になっていきます。特にCPUの高速化は、もはやGHzのレベルに達しようとしていますが、これに対しても疑問が出ています[wired news]。WindowsやMac OSの世界にいると、OSのバージョンが上がるのにあわせて、定期的に高速なCPUのパソコンに買い替えていかないと、仕事にならないほどソフトの動作が遅くなります。もちろん、インターネットにしたって、MPEGやら、Flashやら、RealAudioやら、マルチメディア指向のページが増えてきたから、そうした大容量のデータを処理するのに、以前と同じハードウエアではやっていけないという理屈も立ちそうです。おなじワードプロセッサーだって、以前よりも図面や写真を手軽に入れるようになったし。でも、それだけで、あんなに大きなソフトやOSが必要なのだろうか。肥大化したOSやソフトが、家庭のユーザーが必要としているものに対して、効率良い仕様になっているのかという疑問は、答えはないのだろうけど、いつもつきまといます。いや、Windowsだって、コンパクトに設計すればROMにだって入るのだと出てきたのが、確かWindows CEでしたっけ。でも、時代は変わって、その名前すら無くなりそう[cnet]ですけど。

Windows CEマシンは先細りでも、Windows 98が走るミニノートは生き残りそうです。ミニノートと呼ばれた小型ノートパソコンとWindows CEマシンの違いは、ミニノートが完全にデスクトップ互換のWindowsマシンというところですね。私は、NECのmobio NXを持ち歩いています。長期の出張でもないかぎり出先でワープロを打つことは極めてまれですが、電子メールやWebはよく使います。同様にWebや電子メールができるパワーザウルスも持っているのに、こっちでインターネットにつなぐことはありません。なぜかというと、電子メールはともかく、パワーザウルスのブラウザは最近のhtmlを処理できない。特にWebに関しては、パソコンで読むことが前提のように技術が進んでいるように思います。いつも、最新のプラグインをダウンロードしておかないと、壊れたパズルのアイコンがでてしまう。つまり、インターネットサービスでも、電子メールはさておき、Windows 98/95/NTやMac OSの柔軟性のおかげで最新のマルチメディアコンテンツや、電子商取引を使うことができるとも言えます。家庭用パソコンがこの先も生き残るとすれば、冗長なまでのパフォーマンスで先進的なインターネット技術に対応できるという所ではないかと思います。

とはいえ、Windowsの入ったミニノートはハードディスクが必要だし、電力を使うので電池も重いのです。すると、PDAという独自のOSの携帯機で我慢してしまうのが現実的なんでしょうか。あるいは、完全に割り切って、携帯電話で読める範囲のインターネットアクセスを試みるとか。でも、IBMはウエアラブル・パソコンをまじめに開発している[cnet]ようですよ。MMX Pentiumと64MBメモリーで、USBまでついてるそうな。ディスプレイは、右目の前に小さなスクリーンをつけるんですが、800x600(SVGA)ピクセルと140万色表示できるんだとか。おー、ドラゴンボールのベジータみたいじゃ。でも、これを付けて電車に乗るには勇気が必要ですけど(^_^;。それはさておき、結局Web技術の急速なバージョンアップに付いていくには、Windows 98みたいなパソコンOSがお手軽だったりするのかな。で、OSがWindows 98の携帯電話とか出てきたりして。OSをROMに入れるよりも、同じアーキテクチャで部品を小さくするほうが手っ取り早いなんて言う結論が21世紀には出てるかもしれません。

1999.12.03
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