2000年問題って終わったの?

あの、2000年問題に対する、年末の盛り上がりはどこへ飛んでいってしまったのでしょうか。1月も終わらない内に、日本の2000年問題は終わってしまったような感じです。まったく日本のマスコミって薄っぺらですね。一方で、アメリカのニュースサイトでは、いったい2000年問題とはなんだったのだろうか、本当に大金を注ぎ込んで対応する程の深刻な問題だっただろうかという議論が出ているようです。

アメリカのサイトの話題を見ると、まず、2000年問題によると思われる致命的な問題は(少なくとも最初の1週間は)世界的に起きていないという結論のようです。もちろん、韓国で床暖房が切れたり、スエーデンで心電図の機械に問題が出たり、アメリカのビデオ屋で100年もビデオを借りてしまった客が出たり(^_^;、偵察衛星のデータ処理に問題が起きたり、核工場のドアがあかなくなったりとか、そういう些細な?問題は報告されている[zdnet]ようです。このニュース記事の中には、もちろん日本で報道された原発のモニタリングシステムの問題も出ています。しかし、メディアがさんざん予告し、それにどっかの国の首相もテレビにまで出て指摘した(^_^;、大規模な停電や断水はおきませんでした。おかげで、みんなが買いこんだミネラルウォーターや、ボンベ式ガス台や、人によってはエンジン付き発電機とかも、当分出番がなくなってしまいました。そりゃ、カップ麺とか研がずに焚けるお米なんかの出番は無いことはないですけど、本来の使い道がなかったという意味でむだな消費だったわけです。でも、アメリカのニュースサイトは、もっと無駄な金が動いたと指摘して[zdnet]います。つまり、去年大もうけしたであろうY2Kコンサルタントは狼少年だったのではないかという疑問です。

この記事では、Y2Kに対応するために世界中で660億〜760億ドルもの大金が動いたということです。しかも、アメリカの企業は、310億〜410億ドルも余分な支出をしてしまったとも書いてあります。結局、これが無駄であったかどうかの議論は、話が広範囲すぎて結論がでないのが現実のように思います。全貌が見えないから、何もしなくてもよかったのだという人と、金をかけたから何も起きなかったのだ、いや、これから問題が起きるのだ、という押し問答になってしまうのではないでしょうか。コンピューターやそれをつかった情報通信は、家庭の家計簿から国防システムにいたるまで浸透しており、それぞれのレベルで自分たちが負担したY2K対策の評価も変わってくるでしょう。ですから、金の遣い過ぎだと騒ぐよりも、それはおいといて、大きなトラブルが起きなくて良かったねと納得してしまうのがハッピーかもしれない。このニュース記事の最後も、「今必要なのは、この問題に対応してくれた人々全員に一言でも感謝の意を表すことである」と書いてあるし。でも、それでも納得できない人には、Y2Kの対策費は、むしろソフトやハードを更新することで、今後情報産業に提案される新たなサービスに対応するための投資となっているのだ、という理屈も用意されて[zdnet]います(^_^)。ま、どうでも良いですが、新たな商売は、今のサービスが2001年まで、ちゃんと動いているのが分かってからにしてほしい気持ちもあります。私は、1999年から、2000年に渡ってプロバイダーに接続してたんだけど、100年分のアクセス料が請求されないかとちょっとだけ心配。あ、電話回線の使用料もね。

とはいえ、いったいどんなことが2000年問題にからんで出てきたかを眺めてみるのも面白いでしょう。例えば、パソコン業界ではGatewayがY2K問題の影響で売り上げを落とした[zdnet]ってことですよ。企業などが2000年問題を懸念してコンピュータの買い控えたが原因だという話なんですが。ほかのメーカーも売り上げが落ちたっていう傾向はあるんでしょうかね。深刻そうなのは、ロータスのメッセージソフト「Domino」にY2Kバグがあって、特定の日付のメッセージを受けるとクライアントソフトがクラッシュする[cnet]という話がでていますね。日付がからんでクラッシュするという、いかにもY2Kバグっぽい話だけに、これはロータスとしては大きなダメージだと思います。ソフトといえば、マイクロソフトの製品だってバグが無いわけではない[cnet]らしい。この記事によれば、Internet Explorer(IE)でWebページから日付を得るときに表示が「3900」になるというのと、無料電子メールサービスのホットメールを使っていると、やはり一部のメッセージの日付がおかしくなるとのこと。いずれも特定の条件でだけ起きるうえに、どっちみちロータスの問題のように、ソフトがクラッシュするわけでもないので報道するほうも、たいしたバグではないという認識に見えます。ほかには、MP3プレーヤーが2000年になったとたんにクラッシュしたり誤動作した[cnet]という話があります。誤動作の方は、日付の処理が間違っていたからでバグですが、クラッシュしたというほうは、dllファイルが期限つきだっために起きたものなので、Y2Kバグとは言えないように思いますね。

海外の話はともかく、日本では問題は起きていないのかということが気になります。この情報は、例えば、日経BP系のBizIT[bizit]というサイトで見ることができます。このホームページから、「2000年問題」というリンクをたどると、2000年問題のトップページに入れます。このページの右上にある視点[bizit]というリンクには、日本全国で年始に起きたY2Kと思われるトラブルが県別でまとめられています。ここで、自分の住んでいる県で何がおきたのか見てみるのも面白い(?)でしょう。データ的には、元旦までの報告しかないところもあるので、茨城県や、広島県や、山口県のように報告なしといっているところも、1月4日に新たな問題が発生している可能性もあります。ざっと見ても、日付の処理が間違っていて1900年になったとか、ありがちなミスが多いですね。気象観測装置のエラーが続発しているのは、同じ会社が納入したシステムだからでしょうか。件数で比較すると、東京が2件と少ないのに対して、大阪が11件っていうのは、県民性の違いが出てるんでしょうか(^_^;。それにしても、このリストを見ていても、件数は予想より少なかったにしても問題はあったわけで、2000年問題はたいしたトラブルもなく終わったという安易な認識をしてはまずいと思います。日本人って、すぐに「2000年問題は起きなかった」とか決まり文句を作って、忘れてしまう傾向があるからね。そんなこと言ったら、1999年生まれなのに76歳にされちゃった東大阪市の赤ちゃんの立場がないでしょう。

どうも、私には日本におけるY2K問題は、大きなトラブルを期待したマスコミの空騒ぎによって、たった1週間で完結させられてしまったっていうイメージがあります。マスコミときたら、キリスト教徒でもないくせに、なんでもかんでもミレニアムという、わけのわからない騒ぎようをするし。そのわりに、西暦1000年から1999年を振り返るなんていう企画は見たことがない(^_^)。ミレニアムを祝うなら、平安時代のカルチャーを振り返るとかやってみせろっての。せいぜい、振り返れてこの100年くらいでしょ。そして、Y2Kに話を戻せば、やたらと騒ぐわりに、大きなトラブルが無かったりすると、もはや2000年問題の文字はマスコミから消えうせるわけです。いったい、日本ではY2Kにどれくらいの金がつぎ込まれたんでしょうね。ミネラルウォーターとかカップ麺の売り上げなんか、企業がつぎ込んだ対策費に比べりゃごみでしょうに。でてくる話題は買いだめした対策品をどのように消費するかとか(^_^;。これで、年度末の3月に大きな問題がおきたら、まーた、がらっと態度を変えて騒ぎ始めるんでしょうね。一気に黙ってしまった、Y2Kの専門家とかも復活しちゃってさ。まっ、そんなやつらはおいといて、とりあえず、大きなトラブルを回避してくれた担当者の皆さんに感謝しましょう(^_^)。

2000.1.14

これを書いた翌週の1月17日の朝日新聞に、Y2K問題に関連してどんなトラブルが起きたかを特集してました。大きな問題は起きなかったが「珍事」がいくつか起きたみたいなとらえ方です。事実を並べただけの特集記事ならインターネットの個人ホームページでも書けるぞ、と思っちゃいましたけど。あまり、マスコミをけなしちゃだめかな(^_^;。

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