パソコンで食っていく時代になったのか

先日(2000年4月)テレビの報道番組を見ていたら、ある会社でパソコンの技能をランク分けして、業種によって技能を身に付けることを義務化しているという話をしていました。最低ランクがパソコンの電源を入れられることで、次がキー入力ができる。さらに、ワープロが使える、表計算ソフトが使える、といった具合です。おかげで、普段トラックの運転をしているおにいさんも、パソコンの使い方を習わなくちゃいけない。一方、大学によっては、パソコンを各自が持つように義務づけているところもあります。日常的に使っている立場から言えば、こんなものを使うことを義務づけられるのも気の毒だなと思いますが、世間の動向は道具としてパソコンは必須という感じになってきています。

以前から、「赤兵衛の今日この頃」の大きなテーマの一つは、なんでパソコンはいつまでたっても完成度が上がらないのか、ってことです(^_^)。確かに、Windows 95の登場以来、PC AT互換機もMacintoshも、インタフェースはますます奇麗になりました。いかにも使いよくなっているかのよう。でも、相変わらずソフトは貴重なデータごと異常終了するし、OSは凍ったあげくに起動しなくなったりする。この状況は、テキストベースだったMS DOSの頃と基本的に変わっていないように思います。パソコン教室で最初に学ぶキーボードの使い方は、初心者にとっては一つの障壁ですが、それを越えれば楽しいパソコン生活が待っている...どころか、ますますパソコン世界の泥沼に陥るのが、いつものパターンではないかと思うのです。快適なのは、最初の一年?使っているソフトをバージョンアップして、使用メモリーやディスクがひっ迫してくるころから、パソコンは言うことを聞かなくなる。いかれちゃったパソコンを前に、押し入れの奥から、ほこりだらけの再インストールCDを引っ張り出したら、あなたはパソコン名人。それもパソコンの醍醐味だなんて笑えるのは、何度もパソコンでパニックに陥った経験をもった中級者以上の話でしょう。本来、誰もが道具として使わなくちゃいけないものは、そんなレベルでは困るのです。

その一方で、このしょーもないパソコンを道具として使わないと食べていけない状況になりつつあるので、職業訓練所や専門学校の役目が大きくなっているようですね。例えば、パーソナルコンピュータユーザー利用技術協会[pcua]から、初心者相談所のリンクをたどると、全国のパソコンスクールを検索することができます。ここに登録されていないところも多いと思いますが、それでも、地域検索をかけてみると、いろんな会社がパソコンスクールを開いていることがわかります。企業が企画している教室も多いですね。例えば、西東京リコーなんかの紹介ページ[ricoh]を見ると、Windows 98の基礎を午後いっぱい勉強して7000円、Excel 97の基本的な使い方を一日勉強して15,000円といった感じです。熊本の職業訓練センターのPCビジネス活用講座[kumamoto-vtc]の場合だと、8日間で基本操作からホームページ作成、表計算ソフトの活用までやってしまうメニューですね。たぶん、こういう講座は人気が高いんでしょうね。でも、なんか目的をもって受けたほうが身に付くと思いますよ。表計算ソフトが使えないとできない仕事につくとか。とはいえ、こういう講座が繁盛すると、中には仕事に関係なく、趣味でパソコン系の資格ハンターとなってしまう人も出てくるかも。上の、ユーザー利用技術協会のやっているパソコン認定試験[pcua]は、なかなかハードですよ。4級はとこかく、3級あたりからプログラムが書けないといけないみたい。よく読むと、BASICは1998年から汎用プログラム言語からはずされたなんて書いてある。あらま、もはやPascalかC++/Cなのね。この手の資格試験は、他にもじつに多くあります。例えば、NEC Solutionsというサイトの、その名も「The資格」[nec]というページでは、国家試験、各種団体主催の試験、メーカー主催の試験といった分類で一覧を見ることができます。

NEC Solutionsの目的は、こうした試験のための講座を利用してもらうことなのですが、よく読むと、一つの資格にはいくつかの講座を受けなければいけない。その一番基本となる講座の「コンピュータ入門」[nec]でも、一日の講義を受けるのに21,000円必要です。そーか、パソコンって言うのは、きちんと使えて資格をとるくらいのレベルに達するには、お金がたくさんかかるんだ。ま、英語検定とか、パソコン以外の資格だって似たようなものだけど。この先、就職活動にパソコンの技能が問われるようになると、採用する方としても、こうしたパソコン系の資格を持っている人の方が簡単に技術力を判断できるから便利ですね。だから、こうしたパソコン講座は、これから、どんどん盛況になるでしょう。そういうことだと、むしろ資格をとるための講座の講師になる資格を取ったほうが、お金になるかもしれないぞ。とはいえ、一歩引いて考えてみると、こうした講座が繁盛する原因は、パソコン自体がそれだけ使いにくいってことを意味してるのではないでしょうか。それは、OSの使い勝手とか表計算ソフトの使い方もそうですし、プログラミングだって言えることです。プログラムは、ハイエンドなユーザーが使えればよくなってしまったのでしょうか。パソコンにBASICが標準装備されなくなってから、パソコンユーザーはプログラミングの楽しさを知る機会を失ったように思います。Macintoshもそうです。なぜ、プログラミング可能なHyperCardの添付をやめちゃったのでしょうか(開発キットは別売)。あれは、とてもよくできたオブジェクト指向のプログラミング言語でした。

さて、パソコン講座を一通り受けて、道具としてパソコンを使いこなせるようになったとしても、それで卒業というわけではありません。インターネットの普及に伴って、パソコンユーザーに要求される知識はさらに増加していきます。それは、例えばIT(Infomation Technology)に対する知識です。もし、これからの商売にインターネットがからむなら、IT業界に関連した雑多な情報を避けては通れません。それが、どんな知識かは、上のNEC Solutionsのサイトにある、「あなたのIT感度をチェック」[nec]ページを試してみるとよいでしょう。(このページは季節ものらしいので、リンクがきれているかもしれません。)IT産業が騒がれて、そんなに経っていないのに、既にこれだけのサービスが出ているのですね。それにしても、アメリカが情報先進国だからって、やたらと略語を使わないで欲しいですね。WBTってWindows-base Terminalかとおもいきや、Web Based Trainingだってさ。数年後のビジネスマンは、表計算ソフトやデータベースソフトを使いこなし、その一方でインターネットからIT関連の最新サービス情報をキャッチするようでなくちゃいけないってことか。なんか、日々勉強って感じですね。あーぁ、今回はなんか疲れる話題だこと(^_^;。

2000.4.21
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