OS更新の季節

今週(2000年9月第4週)は、新しいOSの話題がたくさん出ていました。一つは、エンドユーザー向けWindowsと言われている、Windows Meが売りだされたという話題。もう一つは、来年に発売されるMacintosh用の新しいOSである、Mac OS Xのベータ版が売り出されたという話題。Windowsというと、花火でも上げて、深夜に電気屋の前に列を作るイメージでしたが、今回はアメリカでも地味だったようで[zdnet]、もっぱらWebの上での話題だったようですね。それにしても、これからのOSというのは、ユーザーにとって何か画期的に便利になるのでしょうか。

Windows MeのMeは、ミレニアム・エディションだそうです。今世紀の終わりを飾るOSってことなんでしょうか。この間、Windows 2000を出したばかりじゃないかと思いますが、あれは企業向けで、こっちは家庭向けなんだそうです。そんなこと知らずに、おうちのパソコンにWindwos 2000を入れちゃった人も多かったのでは。どこが家庭向けなのかは、マイクロソフトのサイトのWindows Meページ[microsoft]を見ていただければ分かると思います。これを読むと、得意のマルチメディア系サービスの話は置いておいて、家庭内のネットワークを簡単に構成できるというのと、システム保護というところが新しく出ています。ファイルやプリンタの共有は当然ですが、外部ネットワークへの接続環境も共有できるとある。これは、どれかのパソコンにモデムを付けてプロバイダーに接続し、他のパソコンはこのパソコンを通して接続する仕組みです。LAN側のIPアドレスは、入り口のパソコンがDHCPでローカルアドレスを振り分けるようです。でも、これだと、入り口のパソコンの電源はいつも入れとかないといけませんね。私なら、電源入れっぱなしが前提で同じことができる、ダイヤルアップルーターを買ってきますが。ファイルやプリンタの共有は、会社のLANと同じですが、ファイアウォールのない家庭内LANではちょっと、外部からの不法侵入が怖いですね。でも、OSにこういう機能がついたということは、この先、こうした簡易なLANがどんどん増えてくるでしょう。

もう一つの売りのシステム保護の方は、システム設定を保存しておいて、好きな日付の状態に戻せるというもの。これで、少なくとも変なソフトをインストールしたらシステムが不安定になったとかいう問題に対しては対処できそうですね。システム再インストールの回数も減るかも知れない。ただ、起動できなくなったシステムで、どうやってこのツールにたどり着けるのか、あるいは、safeモード状態からこの機能が使えるのかは、買ってみないと分かりません。それよりも、Windows 3.1の頃からのPCユーザーにとっては、MS-DOSモードが使えないということの方が問題かも知れませんね。MS-DOSベースのソフトウエアはWindows Meでは使えなくなります。来年出るらしい、次のWindwosバージョンもWin2000系になるでしょうから、MS-DOS系のソフトを持っている人たちは、Windows Meにアップグレードするなんて考えずに、今もっているWindows 95/98を大事に使ったほうがよいでしょうね。他にも、今度のOSはディスクスペースを大きく専有するという話もあります。これは、OS自体が肥大化していることもあるのでしょうが、初心者ユーザーも使いやすいように、ドライバー等を最初からハードディスクに入れてしまったりしていることも影響しているのでしょう。確かに、周辺機器をインストールするたびにシステムCDを探しに行くのは面倒くさいですね。最近は、ディスク容量も10GB以上が当たり前だから、多少システムが大きくても構わないということかも。

Windows Meは、今後売り出される家庭用パソコンのほとんどにバンドルされるでしょう。しかし、例によって、今使っているパソコンをグレードアップするのは大変努力が必要な[zdnet]ようです。問題は、古い周辺機器のドライバーが対応していないとか、パソコンのBIOS自体が対応していないとか。これらは、Windows 95へのバージョンアップを経験した人なら思い当たるものですね。上の記事を書いた人は、ドライバーとか、BIOSとかは事前にインターネットからダウンロードして頑張ったようですが、それでも読んでいると自分ではやりたくないという気持ちにさせてくれます。いろいろ、Windows Meの関連記事を読んでいると、Winodws 98がちゃんと動いているパソコンを、わざわざバージョンアップする必要はないように感じます。家のネットワークのために欲しいのであれば、新しく買ったほうが面倒が無くてよいかも。もちろん、OSをインストールするのが趣味であれば、これもまた楽しい作業かも知れませんけど。それと、めでたくインストールが完了して、家庭内ネットワークサーバーを立ち上げたとしても、セキュリティ情報はまめにチェックしたほうがよいでしょうね。既に、Windows Meのセキュリティに問題があるというニュース[zdnet]が出ています。この問題自体は、その機能を使わない人には関係ない話ですが、それでも、これまでのセキュリティに対するマイクロソフトの対応の悪さを見ていると、このソフトを家庭内ネットワークのサーバーにするのは、私としてはちょっと考えてしまいます。

もう一つの、アップルの新しいOSである、MacOS Xの話題は、Wired Newsで二回にわけて取り上げています[hotwired]。この記事の内容は、どちらかというとポジティブです。このOSがどういう特徴を持っているかは、CNETのニュース[cnet]からジョブズ本人がデモしている動画を見ると良いでしょう。あるいは、アップルのサイトにも紹介ページ[apple]があります。このOSは、UNIXをベースにしているので、今までのMacOSとは全く基本から違うものです。これが、今までMacの利用者を悩ませていたシステムエラーで全部のアプリケーションごと、システムダウンするという問題を解決してくれそうです。ジョブズ自身もデモの中で、アプリを異常終了させてシステムは落ちないところを見せていますね。しかも、全く違うということは、今使っているソフトは動かないかというと、そうでもないようです。以前、68kといわれたCPUから、PowerPCにアーキテクチャを移したときに見せた、アップル得意のエミュレータ技は今回も生きているようです。ただ、このエミュレータは遅いとか、メモリーも128MB以上ないと使えないという意見も出ているようです。それでも、ゼロから作り直したOSにもかかわらず、古いソフトもとりあえず動かすことができるという点は、OSを移行させるときに重要だと思います。

ただ、個人的にユーザーインタフェースで使われているドックという仕組みは抵抗がありますね。これは、起動しているソフトを画面の下のバーにアイコン化する仕組みで、カーソルの位置にしたがってアイコンをアニメーションさせたりするすぐれ物ではあります。これまでだと、アプリケーションのアイコン化はマッキントッシュではできなかった。完全に画面から隠すことはできましたがね。それを、隠さずに、アイコン化するWindowsのスタートメニュー的な使い方になった。慣れりゃいいんだけど、ごみ箱もこの中に入ってるのよね。これで、勝手にごみ箱を移動できなくなっちゃった。それと、今までデスクトップそのものだったファインダーが、Windowsのイクスプローラみたいなアプリケーションになった。これって、昔からMacを使っていた人から見ると、大きな変化だと思いますね。そうそう、もっと大きいのはアップルメニューがなくなっちゃった。使う頻度は別にして、これって悲しいかも知れない。それでも、上のWired Newsによると、今度のOSのメリットはむしろソフトウエアの開発環境にあるんだそうな。これは、秀逸....って書いたところで、Macが落っこちたぁ。おーぃ、何でもいいから早くMacOS Xの製品版を出してくれー。でも、問題は、エンドユーザーにとって、あえてMacintoshを選ぶ理由があまり無いってとこだったりして。これを買うこと自体が趣味?

なにはともあれ、二つのOSの話題は楽しませてくれます。Wired Newsの後編の方で、MacOS XとWindows Meを比べることは「リンゴをオレンジと……いや、食べられないものと比較するようなものだ」という文章がありますが、食べられないと思えるものでも、みんなが食べていれば食べてしまうのが人間の習性ですもんね。でもなぁ、最近、Macの光学マウスを使い始めたのですが、おしゃれで使いやすいんだよなぁ。実は、マイクロソフトの光学マウスも使ってるんですが、日本人の手にはちと大きすぎな感じ(^_^;。ほんとのとこ、MacOS XでWindowsのソフトが動けばよいのにと思っちゃうのは、私だけでしょうかね。私だけか。

2000.9.22
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