大白法

昭和37年10月20日号


主な記事

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妙真寺落慶大法要厳修


東京都目黒区緑ヶ丘、本地山妙真寺の本堂庫裏新改築落成、大御本尊入仏大法要は、秋晴れの9月16日、総本山より、御法主日達上人猊下を御迎えして盛大に奉修された。

午前10時、御法主上人御着寺遊ばされ、11時より、信徒360名の御目通り式があり、感激裡にお盃を頂戴して11時半終了。午後1時、堂にあふれる信徒が唱題して御迎えする中を、第二教区及び遠近より来会の尊能師、大徳40名を従えて御出座。平山住職による御開扉、柿沼総監の献膳あって、御法主上人の御導師で落慶法要が開始され、猊下の慶讃文、読経・唱題、如法に虔修(げんしゅう)され、妙真寺総代丸井基隆氏の経過報告、柿沼総監、千種第二教区副支院長、法華講連合会長平沢益吉氏、創価学会松尾理事、同小泉副理事長(会長代理)等の御祝詞があり、次で高野日深尊能師、渡辺日容尊能師、真弓智尊師、其の他40余通の祝電が披露され、平山住職の感涙に咽んだ謝辞が述べられ、日蓮正宗の歌・東洋広布の歌の大合唱があって式典は終了した。10分間休憩の後、御法主上人の御親教があり、諌暁八幡抄拝読の上、1時間に亘って甚深なる御説法を遊ばされ、一同法雨に霑って感激法悦裡に散会した。

妙真寺は、現薫平山広生師が、恩師有元大慈院日仁贈上人の御教訓を遵守して爾来30年間御苦心の経営が、今日総経費900万円を要した本堂庫裏一切が新築されて、立派な法城が出来上がった事は慶祝に堪えない。




全国連合会講頭会議開催
各講中に青年部の設置を


去る9月30日、午前9時30分より、総本山大石寺、観行坊に於て、全国法華講連合会結成後、はじめての講頭会議が開催された。全法連の結成と共に、8地区の各講中に於ては「時来たる」を合言葉として、それぞれの活動を活発にして立ち上っていることは、非常に喜ばしいことである。此の度の会議に於て、5つの議題が出され、終始慎重に討議され、加速度的な団結への歩みと相まって、異体同心の全国的組織闘争の基礎が着々と築かれつつある。

会議開催に当って、平沢全国法華講連合会長より、総本山総合計画にもとずいて、二三の例を引かれ、現在の法華講は十二分に、その立場を自覚せねばならないと、強く要望され、唯今、猊下にお目通りした際、猊下より各末寺の小さな機関紙は止めるように、またこれから発刊することも止めて、「大白法」を法華講の新聞として立派に育成するようにしていきなさいとのお言葉をいたゞいてまいりましたとの挨拶があった。

続いて、次の如き議題にもとずいて、柳沢東京地区連合会企画部長の司会のもとに、会議が開催された。

  1. 大白法の育成及び発展
  2. 月例登山の育成及び発展
  3. 各講中組織の整備
  4. 各地区傘下講中の現況実態の報告
  5. 各地区連合会の組織の強化を急ぐこと

先づ、第1項目に於ては、「大白法」を全国法華講に拡大するについて、広告、通信員、納金、原稿内容について、建設的意見が発表され、全法連の発展の根幹となるべき、重要な使命を果せられていることを自覚したのである。

第2項目では、月例登山会を盛会にすべく各講中の奮起を促すと共に、登山会を通じ信心倍増と信心の交流を計り、合せて全国的に統一された、法華講登山会の充実が打ち出された。

第3項目として、全国講中の組織の整備にともない、各末寺の講頭の任証の手続の完備、また各講中に於いては、すみやかに青年部の結成をなし、責任者を本年末までに報告すること。

第4項目として、地区連合会単位に、各講中の世帯数を報告すること(10月末日)。

第5項目に於いては、自治能力の培養を計るとともに、自治的財政の確立をなして、行動半径を大にすること。

以上の如く各項目に亘り、2時間半に及んで、終始真剣に検討し、万場一致して議題にもとずいて、活動することが認められたのである。今後の動きが期待される。




光明 『無責任な民主主義礼賛は天魔の邪教』


「仏教は民主的だからよろしい」と言う人がある。「仏教は真の民主主義を教えるものだ」と言った人がある。だが待って呉れ。戦争中には、「仏教は生体主義だ」、「仏教は真の皇道精神だ」などと言っていた人も少くなかった事を思い出してもらいたい。

其れでは論法が逆なのだ。民主主義の中で仏法的な部分は正しいのだ。同様にして全体主義の中でも仏法的な部分は正しい。我々に取って仏法は物差しだ。外のものを標準にして物差しを計ってはいけないのだ。民主主義を物差しにして仏教を良いの悪いのと言ったら、仏教は民主主義以下のものになってしまう。仏教の上に君臨した民主主義は、「禅宗は理性の仏を尊んで己れ仏に均(ひと)しと思い増上慢に堕つ。定めて是れ阿鼻の罪人なり」(蓮盛抄・新編27ページ)であり、発達すればする程、世の中をぶち壊すものとなる。

民主主義を担いでいる人は、とかく戦争中の無茶な国家統制を引き合いに出して、そうだから民主主義でなければいけないと結論する。これは山は危いから海へ行けと言うやうなものだ。山だろうが海だろうが、其々の危険があり、其々の良さがある。民主主義が絶対安全であり、最高の指導原理であるならばそれもよかろうが、本来民主主義というものは、ソンナものにはなれないという性質をもっている。

第一に民主主義は確かな心棒が無い。ソ連の人民民主主義と米国の自由民主主義がイガミ合っているのは、民主主義そのものが骨無しで、ドウにでも解釈できるからだ。世界の人々が一致して従うことのできる民主主義は存在しないのみならず、解釈のし様に依っては永久対立の危険がある。

第二に民主主義は凡夫中心主義である。生の侭(まま)の、ムキ出しの人間性をそれその侭で無上尊厳だとするから、欲張り根性や鉄面皮が大手を振ってマカリ通って、正直者がいつでも損をすることになる。

第三に民主主義は、その生まれからして階級的対立を含む。中世ヨーロッパでは政権が騎士や僧侶の手に握られていた。そこへ新興階級の商人が割り込む為に、労働者や農民も引張りこんで唱え出されたのが民主主義だ。<等しく人間であるのに何故私達には政治的発言権が有ってはならないか。商売は自由にさせろ、信教に国家が干渉するな。学問は自由であるべきだ。そして自由な個人は自分の責任に於いて仕事をする。悪い物を高く売ったら信用をなくして潰れるから、商人は自律的に正しい商売をする筈だ。国家は国民の監督者でなく、保護者でなければならぬ。>かうした思想の下に発達したのが近代民主主義だ。

所が、商人はお金が有って強いから民主主義の恩沢を充分いたゞいたが、労働者や農民が取残された。そこで俺達にも分け前をよこせと暴れ出したのが人民民主主義だ。それだから元々民主主義というものは、自己主張と、階級的対立抗争の上に生長したものと言って良い。

現に民主主義時代になって、良い事も有ったが我慢のならないことが沢山出て来たではないか。巡査は威張らなくなったが、暴力団や麻薬業者を取締れない。列車の塗色は美しくなったが、時々ストライキが起り、居眠り運転や酔っ払い運転・集団列車強盗などという、昔は考えられなかったような事故を起す。

学生はハキハキ発言するようになったが、教授を信用しない(東大総長談、東京新聞・昭和37年10月2日)。放送や出版、劇などは華やかになったが暴力やゆがんだ性生活の宣伝みたいなものが多い。自動車の暴走は御承知の通り。

それでも識者は何とか民主主義の弁護を試みる。<警察が弱いのは法の不備の為だ。ストライキは労働者の権利だ。経営者がその気になれば起させないでも済む。学生は教授だからと言って信用するのではない。真理そのものに対しては、やはり謙譲である。ジャーナリズムの行過ぎは認めるが、それでも官僚統制よりは良いだろう。本当に良いものも沢山出ている。神風運転は民主主義のはきちがえである。民主教育が徹底すれば自然になくなるべきものだ。>

言や良し。だが、民主教育が徹底する前にひき殺された人を、生き返らせる事ができると言ふのか。世に無責任な言論ほど恐しいものは無い。<生きる為には法を無視しても良い。カッとして、ツイ殺した。日本に生れたからッて、何も愛国者になる必要はなかろう。>

こういうのを仏教では「凡夫六識の妄断」という。其を起させるのが煩悩だから・この煩悩メと抑え付けてしまおうというのが小乗。煩悩そのものを活用して、真理そのものに結びつけるのが大乗、殊には実大乗法華経の功徳である。教育や訓練に依って、一人一人の心を正しくし「真の民主主義」の世の中にしようというのは、一往良さそうに見えて、実効の無い天台法華宗の行き方である。昔はそれで良かったが末法にはダメだ。

先づ仏様のお魂である御本尊様に直接ぶつかって、直観的に「仏の心」を自分のものにする。そこから立戻って日常生活の内に「仏の心」を活用し、「仏の心」を固めて行く。これが日蓮正宗の仏法である。

仏心を腹の底にすえた人が増える事によって、世は凡夫の集まりでなく菩薩の集まりになる。菩薩の個性ならイクラ尊重しても、しすぎるということは無い。そうなって始めて民主主義は生かされる。そしてそうなった時、其はもはや民主主義と名付けるにはあまりに尊い内容となる。其こそ一念三千主義であり、法華主義である。

民主主義という言葉を使って法華主義を宜伝するのは、一往低抗がなくて俗耳に入り易かろうが、其では国体主義の名の下に日蓮主義を宣伝した為に、右翼の連中に庇(ひさし)を貸して主屋(おもや)を取られた田中智学の失敗を繰返すことになる。だから私は敢て言う。民主主義は天魔の邪教だ、と。

※マルクス主義については第4号を参照のこと。



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