御法主上人猊下 新年の辞
輝かしき宗旨建立748年、元旦おめでとうこざいます。全国の法華講信徒皆様には、本仏宗祖大聖人の偉大な仏力と、本門戒壇の大御本尊の広大な法力を信受する大功徳により、真の充実と歓喜に漲る躍動の生命を以て、この新年をお迎えの事と存じます。
宗門は、今や平成14年の宗旨建立750年の佳節に向かい、仏恩報謝と正法広布の大業完遂のため、僧俗心を一つにして信行に邁進しております。この大業こそ真の正法の功徳を末法万年に開き、人類の安寧と福祉の根本正因となる浄業であります。
本仏大聖人様は『聖愚問答抄』に、「仏を良医と号し、法を良薬に譬へ、衆生を病人に譬ふ。されば如来一代の教法を擣篩和合して妙法一粒の良薬に丸せり。豈知るも知らざるも服せん者、煩悩の病ひ愈えざるべしや」(御書408ページ)と御指南であります。
一切の迷いはその源、妙法に迷うが故の苦悩であり、一切の人々の命は本来、妙法の真理に基づいております。故に、これを知らず思わざる人はいかに世智弁聡であっても、自らの有する妙法の理に背いているのです。従って、現社会に於いて三世にわたる様々な煩悩と苦難より逃れられない人々が充満しているのは、蓋(けだ)し当然でありましょう。
下種本仏大聖人様は、この妙法の根本法体を命懸けで顕されました。『諸法実相抄』に、「日蓮をこそにくむとも内証にはいかが及ばん」(御書665ページ)との御金言の如く、竜の口の断頭場裡には不思議の光り物出現して、三類の怨敵の憎悪による斬首の計画も不可能となりました。
しかし、大聖人は御自ら日蓮の首は刎ねられて魂魄佐土の国に至ると仰せであり、この「魂魄」の二字に万年の人類を救う本仏の内証がおわしましたのであります。故に、真実の正法である程、様々の怨嫉と迫害が来るけれども、真の仏様はこれを打ち破って大正法を確立されます。いわゆる「是好良薬今留在此」たる本門三大秘法の妙法蓮華経であります。
故にこの大法弘通には、おどしを以て、正法の弘通を妨げんとする謗法者が種々の形で表れてまいります。今日、我が宗門が正法正義を貫徹せんとするや、創価学会が魔鬼の本性を表し、邪悪の牙をむき出して悪口罵詈の妨害を企てております。しかし所詮、正理に背いて我利我見を通さん為、没義道に荒れ狂う姿こそ、その本心は弱い臆病者共であります。
今やこの大法弘通における真の時至り、昨年はその年頭より「出陣の年」と銘打って宗旨建立750年に向かい、地涌六万の誓願を実現すべく本宗僧俗が折伏の陣列に並び、勇ましく本格的な前進が開始されました。
そして今年こそ、まさにそれに引き続き、かつ宗旨建立の佳節を2年後に望んで、渾身の力を奮って、唱題と折伏に邁進すべき「実行」の年であります。30万登山の成否は、本年の僧俗一致の信心と折伏実行にかかっていると申すべきであります。
その上からもこの新年に当たり、信徒皆様一人ひとりが地涌の菩薩たる大自覚を以て、我れ一人立ち上がり、本年に於いて必ず一人以上の折伏の縁を作り行ぜんとの誓願を、大御本尊に祈念し奉られることこそ肝要であります。
その覚悟を以て行ずる勤行と唱題に於いて、ともすれば六道の迷いの中に沈みがちな不幸を呼ぶ命が、久遠劫来の常住の功徳に満ち溢れる、不思議な尊高の生命に変わることを確信するものであります。この我れ一人が本年一人以上の折伏を行ぜんとの志が、世界広布の要諦であります。
また、その実践に当たっては、それぞれ大切な世務を持つ皆様として、尊い毎日の時間を、強い信念に基づく尊い工夫を以て善処し、生活と仏法の一切に於いて真の充実を図ることが大切と存じます。これは行うと決意すれば出来るのであります。
念頭に当たり法華講員皆様のいよいよ信行倍増を心よりお祈り申し上げ、祝辞といたします。
12月16日、日蓮正宗マレーシア布教所開所法要が、現地信徒の大きな喜びの中、厳粛かつ盛大に行われた。これには、御法主上人猊下の御名代として海外部長・尾林広徳御尊師をはじめ、海外部から主任・石橋頂道御尊師、同・中本代道御尊師、宗務院書記・佐藤信俊御尊師が派遣され、またマレーシア担当教師の宣行寺住職・村上節道御尊師、隆妙寺住職・上野道武御尊師のほか有縁の本行寺住職・高野日海御尊能化、立正寺住職・岩域水学御尊師深教寺住職・岩城信義御尊師も参列し、マレーシア全土から約1,100名の信徒が参列した。
法要は、10:30と14:00の2回行われ、それぞれ尾林海外部長の御導師のもと御本尊御開扉・献膳・読経・焼香・唱題と進められた。式の部に移り、ウン・チエン・トワン=マレーシア妙蓮仏教会書記長による布教所開設までの経過報告の後、尾林海外部長が祝辞を述べられた。その中で海外部長は、「本宗寺院は仏・法・僧の三宝が実在するところであり、日蓮大聖人の正しい教えを学ぶ信行の道場である。大いに参詣し福徳を積み、弘教の進展を図っていただきたい」(趣意)と述べた後、布教所貴任者として赴任した岩城信統御尊師を紹介された。続いて高野御尊能化、信徒代表のタン・コク・キョン同会理事長が祝辞を述べ、最後に責任者・岩城御尊師が謝辞を述べ、式は終了した。終了後、記念撮影が行われた。また、14時からの法要の後には羅漢槙の記念植樹も行われた。
布教所は、首都・クアラルンプールの中心から高速道路で40分ほど南西のクラン市にある。国内線の空港からも30分ほどでマレーシア全土から参詣する信徒にとって交通至便な立地である。同国信徒は1991年のSGI破門を契機に、直接海外部と連絡を取りはじめ、以後7年間にわたり海外部の指導のもと、僧侶不在というハンデを克服しながら折伏を実践し、次第に増大していった。そうした中で、僧侶常駐の布教所を設立するための対応を進めてきたが、昨年2月に、これまでは地域性の信徒団体であった「セランゴール妙蓮仏教会」が、全国組織の「マレーシア妙蓮仏教会」として認可を受けて昇格し、5月16日に設立法要が行われた。さらに11月に、僧侶を招聘(しょうへい)するためのプロフェツショナルビザを取得。そしてこのたび、従来の会館が晴れて布教所として生まれ変わったものである。
今回の布教所の開設は、単にマレーシア一国の慶事にとどまらず、着実に進むアジア諸国における広布拡大の上から、仏法西漸の実相を顕わす上で意義は深い。信徒一同は、責任者として赴任された岩城御尊師と共に、僧俗和合し、2002年の大慶事に向けて心新たに「折伏実行の年」を迎えることを誓い合った。