大白法

平成12年9月1日号


主な記事

<1〜2面>


<3〜8面>


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海外信徒夏期研修会


去る8月5日・6日の2日間にわたり、総本山において恒例の第7回海外信徒夏期研隻系行われた。この研修会は、海外に在住する信徒を対象として平成4年より開始され、今回で7回目の開催となった。今回の研修会には、大韓民国、中華民国、マレーシア、タイ、インドネシア、香港、シンガポール、フィリピン、インド、スリランカ、アメリカ合衆国、カナダ、パナマ、ブラジル、アルゼンチン、スペイン、UK、フランス、イタリア、オーストリア、ガーナの計21の国と地域より約1,400名の信徒が参加した。


研修会に先立って、8月3日の午後には宿坊となる総二坊1階に海外部センターが開設され、3日から4日にかけて海外信徒が順次着山した。また4日にはサポートスタッフも着山を開始した。研修会1日目の5日午前8時半から、広布坊において最初の行事である開会式並びにメンバー説明会が行われた。

はじめに、各国からメンバーを引率して一時帰国した海外寺院・布教所・事務所の御住職及び責任者、各国担当の指導教師、海外派遣要員と海外部の各御僧侶が紹介され、続いてサポートスタッフが紹介された。スケジュール説明と滞在中の注意事項に関するビデオ放映のあと、海外部長・尾林広徳御尊師より歓迎の挨拶が述べられた。

午後1時半より待望の御開扉を受け、続いて2時半からは100日間唱題行の最終日に当たって客殿で行われた唱題行に参加した。小憩の後、同じ客殿において海外メンバーは御法主日顕上人猊下に御目通りを許され、御慈悲あふれる御言葉を賜った。

午後7時からは、各宿坊において言語別に分かれて所化学衆との交流会が開催された。これは時を同じくして総本山で開催中の行学講習会に参加していた大学生及び大坊在勤の高校生・中学生等と海外メンバーが、互いの理解と親睦を深めるために昨年に続き行われたものである。言語別16のグループに分かれた各会場では活発な交流が行われ、どの会場も交歓の渦が沸き、世界広布への熱気に包まれた。


研修2日目、6日の早朝には丑寅勤行に参加し、数時間の睡眠のあと午前8時からの1時間唱題行、そして10時からは海外常駐僧侶・海外担当教師による「内外相対」の講義が行われ、メンバーは言語別10会場に分かれて受講した。

昼食をはさんで1時半から2度目の御開扉を戴いたあと、メンバー全員が広布坊に集まり、全国布教師で法照寺住職の石井栄純御尊師から『日蓮は日本第一の法華経の行者なり』と題する特別講義を受けた。

特別講義終了後、同会場において、海外部長指導会と閉会式が行われた海外部主任・石橋頂道御尊師の挨拶に続いて、尾林海外部長から指導があった。この中で同部長は「日蓮大聖人こそ末法の真実の御本仏と確信し、御本尊に絶対の帰依をし、日蓮正宗の信徒になり得たことを人生の実の誇り、歓びとして日蓮正宗の信仰を全うしていただきたい。そして宗旨建立750年の大佳節をめざして、唱題に折伏に精進し、自らの使命、自らの仕事、自らの職務に精励して、最高の功徳と幸せと思い出を作ってまいりましょう」(趣意)とメンバーを激励した。

続いて修了証の授与に移り、信徒代表のスペイン妙昌寺信徒、エリック・ムニョス・デ・リベラさんに修了証が手渡され、最後に同氏が全参加者を代表して謝辞を述べた。


こうして2日間の有意義な研修を終えたメンバーは翌7日、再び丑寅勤行に参列した後、担当教師及ぴ海外部の御僧侶、サポートスタッフ等に見送られ、早朝より順次下山を開始した。

現在、海外各国においては、2年後の宗旨建立750年・2002年に開催される第3回海外信徒総登山と、これに呼応して各国現地で開催される慶祝記念総会を当面の大きな目標とし、それぞれが信行倍増に努め、折伏弘教に励んでいる。

こうした大きな目標に向かって広布に邁進する各国メンバーにとって、研修会の成果は何よりの大きな力となり、自信となったことであろう。各国広布への更なる前進と2年後の大成功を誓いつつ、研修会は大成功裡に幕を閉じた。



〇 御法主日顕上人猊下御言葉

ひとこと御挨拶を申し上げます。本年度の海外各国御信徒の方々に対する夏期研修会が、宗務院海外部の主催により本年もこのように盛大に執り行われ、海外のそれぞれの遠い地域から皆様方御信徒の方々がこうして多数、御参加になりました。これも世界広布の隆々たる発展の姿であると思うものであります。本当におめでとうございました。ようこそおいでになりました。御苦労さまでした。

先程は、図らずも皆様と共に3,000遍の唱題行を一緒に行うことができまして、これも大変うれしく思う次第であります。私は本年の4月28日、宗旨建立の佳き日から100日間を区切って、1日3,000遍の唱題行を提唱したのであります。全国各寺院の僧侶乃至、信徒の方々もこれに唱和して、この10日間1日3,000遍の唱題行を執り行ったことと確信しております。

5月、6月、7月には10期にわたる法華講連合会の夏期講習会があり、まだその他様々な法要・法務もあり、そのために私も非常に忙しい意味がありました。ですから、行ってみて判ったのですけれども、そのようななかで1日3,000遍の唱題行を行うということは、たしかに大変なことだったと思っております。そこでやむをえず、どうしても行うことができない日が3・4日あったと思うのであります。しかしそのときも工夫をいたしまして、次の日、あるいはその次の日に、その日の分と併せて5,000遍とか6,000遍というような形で行える時に消化いたしまして、都合、一旦3,000遍としての100日間の唱題行を滞りなく終了させていただいた次第であります。

本日はその最後の日に当たっており、ちょうど100日目なのです。そして、100日目の最後の日は3,000遍の唱題行を総本山にいる僧侶と寺族だけで行うということを前から言っておりました。ところが、ちょうどそこへ昨日から皆様方が総本山へおいでになりまして、ただいまは図らずも皆様と一緒に唱題行を行うことができ、私も本当にうれしく思っておる次第であります。

この唱題行を真剣に行うというところに、過去以来の煩悩あるいは罪障をおのずから浄化して、真の仏道成就の道が現在より未来永劫にわたって開けるのであります。その意味において、皆様には今後とも御精進をお願いしたい次第であります。そして一往、本日で一旦3,000遍の唱題行という形は終わりましたが、これからも随時、随所に、500遍の場合もありましょうし、1,000遍の場合もあるでしょうが、朝晩の勤行の他に唱題を重ね、その都度、種々の問題に対して道を正しく開いていくところの意義が唱題行にあることを確信しつつ、さらに精進していきたいと思っておるものであります。


宗門は今、宗旨建立750年、西暦2002年の4月27・28日以降の大法要、ならびに30万総登山に向かって勇躍の精進と前進をしておるところであります。その完遂のためにも、この唱題行を本年度の精進と正しい成果を確立していくために行ったのであります。

しかしその目標は平成14年、西暦2002年の30万総登山に存するのであります。そして4月から始まる30万総登山は当然、国内の信徒を中心として行われますが、海外の方々は海外部長の意見もありまして、現在、建立の支度を整えておる奉安堂が出来てから、つまり10月の12日以降に、立派に出来上がった奉安堂に御安置申し上げる御戒壇様への御報恩のために登山するということを、だいたいのめどとして考えておるのであります。

この奉安堂は非常に大きな建物であります。この客殿の高さは、地面から一番上の棟の所までが36メートルありますが、今度の奉安堂は55メートルの高さであります。したがって非常に大きいのです。そういうどころからも日本国の官庁、つまり行政機構におけるどころの建物等に関する役所があるのですが、そのほうからの許可について色々な方面で、なかなか大変な意味があったのであります。

しかし、関係者が非常に努力をいたしまして、なんと一昨日、許可が下りました。つまり奉安堂を建設するための官庁からの一切の手続き、必要な許可等をことごとくクリアいたしまして、これからいよいよ建設に取り掛かっていくことができる状態になったのであります。工期は約2年ですが、おそらく平成14年、西暦2002年の8月の終わりにはすべてが完成しておることと思います。


この奉安堂建立について、どのような意義を持っておるかということを考えてみますと、御本仏日蓮大聖人様の正しい教えを正しく実践しておるところの日蓮正宗の僧侶と、大聖人様の教えをそのまま純粋に正しく信心修行されておるところの日本国内ならびに海外の信徒皆様方の即身成仏のため、そしてまた広宣流布への行業の前進のための堂々たる大堂として造られるのであります。

既に解体したところの正本堂についてつらつら考えるとき、池田創価学会は形だけは日蓮正宗の信徒として振る舞っておりましたけれども、その内容においては全く我意我見をもって、宗祖大聖人様の仏法の法体を破ろうとするところの、また軽蔑して自分のみが、つまり創価学会、そして池田大作の存在のみが本当に正しいというような、実に根本的に大それた誤りの考えを持っておりました。その池田大作の率いるところの創価学会が存在し、そしてその上からの非常に不確かな、誤り多き広宣流布の形が存在したのであります。

思うに、大聖人様の御指南によるところの本門戒壇建立という重大事について、凡夫の簡単な見解のみをもってこれを断ずるということは、まことに大きな誤りでありました。その池田大作の謗法が元となって造られたのがあの正本堂でありました。したがって正本堂が存在するということは、謗法・邪宗の創価学会の精神がいつまでも総本山に存在するということでありまして、これは我々日蓮正宗の正しい僧侶と信徒がこれから真の広宣流布を行いつつ、即身成仏の大功徳を受けていく上において大きな障害となるのであります。

そこで私は、先般、この客殿が出来たその時から、断固として正本堂の解体とそれに代わるところの、我々日蓮正宗の僧俗の真心をもって建立するところの大堂、すなわち奉安堂をお造り申し上げて、そこに本門戒壇の大御本尊様を安置し奉り、その上に真の正法広布、僧俗和合の前進をしていきたいということを願ったのであります。 したがって、その意味からも一昨日、この奉安堂の建設許可が下りましたが、その許可が下りたところへ皆様方がはるばるおいでになったということは、正法興隆の上から本当に喜ぶべきことであると思うのであります。


ともかく、世の中のありとあらゆるもののなかにおいて、偽物が非常に横行しております。仏法の上からこれを見るならば、釈尊が方便として立てたところの宗派が、日本において奈良時代には南都六宗と言いますが、倶舎宗、成実宗、律宗、法相宗、三論宗、華厳宗という6つの宗派がありました。これは今ではなくなっておるものもあるし、法相、三論等のように今でも曲がりなりに存続しておる宗派もあります。

その後において天台宗、真言宗が現れ、さらに鎌倉期に至って禅宗、浄土宗という宗旨が出ました。このなかで特に禅宗、浄土宗等は釈尊の本懐たるところの教えを全く無視し、いい加減な間違った形から釈尊の方便の教えを持ってきて、それを敢えて末法の下根下機に対する一時の弥縫策(びほうさく)のような形で示したところの教えであります。

したがって、これは仏法の上からするならば全部、本物ではない、つまり偽物であります。真実の教えという意味においては、我々の命の真実を本当に正しく悟り、開かれて、久遠以来、我々を導かれておるところの法華経本門寿量品の仏様と、一人ひとりの命のなかに存在しておるところの心の意義において、これがことことく一念三千という珠を含んでおるということが本物なのです。そこに初めてすべての人が未来永劫に向かうところの真実の道筋が存在するのであります。

現在、釈尊仏教においても、その他、世の中のあらゆる道理にかなわないところの独断の宗教というものがたくさんあります。そういうものはすべて衆生を導くところの本物の教えではないのです。そのけじめをきらんとつけていくところに我が日蓮正宗の布教の姿が存するのであります。だから「あなたの信ずる教えは問違っていて本当の幸せにはなれません。偽物です」ということを他の人に向かって確信を持って説いていくことが日蓮正宗の正しい筋道を頭していく布教の姿なのです。

世の中には道にたがうところの、あるいは偽物のような形のものもたくさん存在しております。そのうちの最たるものが日蓮正宗の信徒から現れましたが、それは今日、日蓮正宗の戒壇の大御本尊様に、そして下種の三宝に背いておるところの池田創価学会であります。これはその拝んでおるところの対象も、その存在自体もすべてが偽りであり、偽物であるというけじめをはっきりつけていくことが・正しい筋道が顕われてくる所以だと確信するものであります。

皆様方におかれましても、それぞれの国において、創価学会のいる所もあるかも知れませんが、それはすべて偽物であって本物ではないのです。したがって絶対に幸せは掴めないのです。本当の幸せを掴むものは何かといえば、もちろん宗祖大聖人様が、「南無妙法蓮華経ととなうべし」(御書837ページ)と仰せになった本門の題目でありますが、この本門の題目は、正しい本尊を信じて唱えるところに真の筋道と道理、功徳が存するのであります。

皆様方は既にその正法を正しく信解されておることと思いますが、宗旨建立750年に向かって我々宗門の僧俗が正しい教えを一人でも多くの人々に理解させて、この世の中に本当の正しい筋道と功徳が堂々と大きく顕れてくるところを目標とし、宗祖大聖人様の一閻浮提正法広宣流布の御教えとお言葉を確信いたしまして、いよいよ精進していくことが肝要であると存ずる次第であります。


今回の研修会において僧侶からの色々な話もあると思います。正法と邪法のどういうところがどのように違っておるかということを、けじめをつけてお話しすることはこの場ではそう簡単にはできませんけれども、その面を色々なところから研学されて、そしてこの宗門の法義の深さ、広さを正しく掴み、唱題行とともにその功徳をもって自分自身の生活、生命の真の安穏、安定を図るとともに他を導いていくという気持ちを持っての御精進を心からお祈りする次第であります。

色々申し上げましたけれども、皆様方のこれからのいよいよの御健康とお幸せをお祈りする次第であります。



ガーナ法華寺で法華講支部結成式


西アフリカ・ガーナの8月は、日本よりも涼しく、平均気温25℃くらいで、一年の中で最も過ごしやすい時期である。

吉田道常御尊師が初代住職として、ガーナ共和国の首都アクラ郊外に建設された法華寺に赴任してから2年8ヵ月が過きた。その間、某団体の陰謀によって、1年6カ月の間日本に帰国できない時期があったが、その難のお陰で僧俗の絆はますます深まり、ついに盤石な僧俗和合のもとに法華講支部の結成を迎えることとなった。

アフリカ大陸唯一の本宗寺院における待望の法華講支部結成式は、8月16日午後2時より法華寺本堂で行われた。これには海外部主任の中本代道御尊師が出席し、平日にもかかわらず寺院より300キロ離れたクマシや、隣の国トーゴからもメンバーが駆けつけ、約700人の出席者と共に開催された。

少年部による上手な唱題の太鼓の音が響き始めると、住職が入場し、献膳、読経、唱題と式は進められた。題目三唱の後、はじめに住職よりガーナ広布の功労者であるナナ・アソマニ氏に対して敬意を表し、今後も後続のメンバーの育成と、法華講発展に協力してもらうよう特別顧問の任命書が授与された。参加した信徒全員の絶大な拍手の中、挨拶に立ったアソマニ氏はさらなる折伏に精進するように信徒を激励した。

次いで中本主任が登壇し、御法主日顕上人猊下よりの法華講支部認証書が住職に手渡され、さらに新たに任命された講頭クワメ・オダメ・ボアマー氏、副講頭サミュエル・マーティ氏他8名の幹事と会計に一人ずつ任命書を授与した。次に住職より壮年部、婦人部、青年部と各地区の責任者が発表され、ガーナ広布の新体制が披露された。

続いてこの度就任した講頭・副講頭・壮年部長・婦人部長・青年部長より、それぞれの決意が表明され、式は最高の盛り上がりを見せた。各氏とも全メンバーより信頼されていることを示すように、一言一言に絶大な拍手が起こった。

その後、中本主任が尾林海外部長のメッセージを代読すると共に、祝辞を述べられた。最後に吉田住職より謝辞が述べられ、全員で「地涌讃徳」を日本語で合唱して、結成式は終了した。


休憩の後、メンバーによりミニ文化祭が催された。はじめに少年部より「唱えてゆこう妙法を」の歌を日本語と英語で合唱し、次に婦人部の力強い合唱も披露された後、アフリカの太鼓が準備され、テマのメンバーによる民族ダンス、またクマシのメンバーによる勝利の踊りなどが披露された。最後に全員で記念撮影が行われ、すべての行事は終了した。

ガーナ法華寺では、住職と信徒全員で20年先までの広布のビジョンを持っている。地道な折伏活動と併行して、社会福祉活動も開始しており、現在は近隣に住む貧しい子供たちを集めて、算数や国語などを教えているが、将来は学校を作る準備も進めている。

法華寺法華講は、布教妨害など意にも介せず、社会的・経済的苦難に負けない生命力で僧俗和合し真面目で純粋な信仰と、真剣にガーナ国の発展を思う気持ちで、未来に向かって大前進を進めている。



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