大白法

平成13年9月1日号


主な記事

<1〜7面>

<8〜10面>


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奉安堂9月1日(23Kb)


第8回海外信徒夏期研修会

8月18日・19日の2日間にわたり、総本山において恒例の海外信徒夏期研修会が行われた。この研修会は、海外に在住する信徒を対象として平成4年より開催され、今回で8回目となった。今回の研修会には、大韓民国、中華民国、マレーシア、タイ、インドネシア、香港、シンガポール、フィリピン、アメリカ合衆国、カナダ、ブラジル、スペイン、U.K.、フランス、イタリア、才ーストリアの計16の国と地域より約1000名の信徒が参加した。

研修会に先立って、17日の午後には宿坊となる総二坊1階に海外部センターが開設され、16日から17日にかけて海外信徒が順次着山した。また17日にはサポートスタッフも着山を開始した。研修会1日目の18日午前9時から、広布坊において最初の行事である開会式並びにメンバー説明会が行われた。はじめに、各国からメンバーを引率して来られた海外寺院・布教所・事務所の御住職及び責任者、各国の担当教師、及び海外派遣要員と海外部の各御僧侶が紹介され、続いてサポートスタッフが紹介された。スケジュール説明の後、総本山滞在中の注意事項、マナーに関するビデオ放映と続き、最後に海外部長・尾林広徳御尊師が挨拶を述べられた。

午後1時半より待望の御開扉に臨んだ後、奉安堂建設現場を見学、3時からは客殿において御法主日頭上人猊下に御目通りを許され、宗旨御建立の2つの意義等、御慈悲あふれる御言葉を賜った。午後7時からは、各宿坊において国及び言語別に15グループに分かれて大坊在勤の所化学衆と塔中法華講員との三者交流会が開催された。これは従来までの大坊在勤の所化学衆と海外信徒の交流会に、塔中の法華講18支部・180余名が加わって行われたもので、どの会場も交歓の渦が巻き起こり、世界広布への熱気に包まれた。

研修2日目の19日、参加者は丑寅勤行に参加。10時からは海外常駐僧侶及び海外担当教師によって行われた「信行学の大事」の講義に、言語別10会場に分かれて受講した。なお、これに併行して9時から、明年の「宗旨建立750年慶祝第3回海外信徒総登山」に備え、今回任務に参加したサポートスタッフに対して研修会が行われた。昼食をはさんで1時半から2度目の御開扉に臨んだあと、参加者全員が広布坊に集まり、3時半より、全国布教師の興福寺住職・青山聴螢御尊師による「閻浮提に広宣流布して断絶せしむること無けん」と題する特別講義に臨んだ。

終了後、同会場において、海外部長指導会と閉会式が行われ、はじめに海外部主任・中本代道御尊師の挨拶、次いで尾林海外部長から指導があった。この中で尾林海外部長は「明年の宗旨建立750年の大盛儀の真の意義は、三大秘法を有する我が日蓮正宗総本山大石寺にしか存在しないのである。私達には、この大正法を世界に弘め、世界の人々を幸福にしていかなければならない地涌の眷属としての使命と責任がある。そのために『一年に一人が一人の折伏』を実践してゆく誓願を立てなければならない(趣意)」と参加者を激励された。続いて修了証の授与に移り、代表としてシンガポール事務所のルック・ヒップメンメンさんが修了証を受けるとともに謝辞を述べた。

こうして2日間の有意義な研修を終えたメンバーは翌20日早朝より、担当教師及び海外部の御僧侶、サポートスタッフ等に見送られ、順次下山を開始した。現在海外各国では、明年の「宗旨建立750年慶祝・第3回海外信徒総登山」に先立ち、順次「慶祝記念総会」が行われ、明年への慶祝気運がいよいよ高まっている。この大きな目標に向かって広布に邁進する各国メンバーにとって、研修会の成果は何よりの大きな力となり、自信となったことであろう。こうして2日間にわたって開催された海外信徒夏期研修会は、期間中、終始広布の情熱と歓喜に満ちあふれ、互いに各国広布の更なる前進と明年の大成功を誓いつつ、大成功裡に幕を閉じた。


〇 御法主上人猊下御言葉

本年度の海外信徒の方々の夏期研修会に当たり、各国の方々にはたいへん遠いところをおいでになり、御戒壇様に御参詣されることは、信心倍増のためにたいへん大切なことであり、私も心から喜ぶ次第であります。初めて総本山においでになった方もあり、また、いつも御参詣されておる方もあると思います。しかし、いつも変わらずにそれぞれの国において大聖人様の尊く正しい仏法を、色々な障害を打ち破りながらどこまでも受持し、信心倍増に努めておられることと思うのであります。

来年はいよいよ、我々が8年以前から心掛けておりました、宗祖大聖人様の宗旨建立より750年の記念に当たる年であります。宗門としても奉安堂の建立と、60回にわたる記念法要に伴う信徒30万総登山等を行うことになっており、海外信徒の方々もこの慶事に一緒に御参詣されることになっておる次第であります。宗祖日蓮大聖人様が宗旨建立をあそばされたのは建長5年4月28日であります。

大聖人様は、「去(ゐ)ぬる建長5年太歳癸丑4月28日に、安房国長狭郡の内、東条の郷、今は郡なり・・・此の郡の内清澄寺と申す寺の諸仏坊の持仏堂の南面にして、午の時に此の法門申しはじめて今に27年、弘安2年太歳己卯なり」(御書1396ページ)ということを『聖人御難事』の冒頭に仰せになっております。要するに、大聖人様は諸宗を遊学あそばされ、長い間、それらのなかから仏法における真実の法は何かということを検討された結果、これは法華経寿量品の一番の元である南無妙法蓮華経の五字・七字であるということを悟られたのであります。そして、この建長5年4月28日、大聖人様が32歳の御時に初めて、南無妙法蓮華経の五字・七字を唱え出されたのであります。

その南無妙法蓮華経の五字・七字は、大聖人の御一期の上においては三大秘法の弘宣となって顕れ、先程申し上げた御文のあとに、「仏は40余年、天台大師は30余年、伝教大師は20余年に、出世の本懐を遂げ給ふ。其の中の大難申す計りなし。先々に申すがごとし。余は27年なり。其の間の大難は各々かつしろしめせり」(同)と仰せになっておるように、弘安2年に出世の本懐たる本門戒壇の大御本尊を顕されたのであります。すなわち、大聖人様がお唱えあそばされた宗旨建立のお題目は、その後、「日蓮といゐし者は、去年(こぞ)9月12日子丑の時に頸はねられぬ。此は魂脱佐土(さど)の国にいたりて云云」(同563ページ)と仰せのように、法華経の刀杖瓦石、悪口罵詈、あるいは流罪・死罪の難等を一々の文々をことごとく身に当ててお読みになり、佐渡の国において法華経に予証されておる末法の仏様としてのお振る舞いを成就されることによって初めて、南無妙法蓮華経を根本としての大漫茶羅をお顕しになったのであります。

大聖人様の場合、「数々見擯出」という意味からも伊豆と佐渡の2度にわたって国主の難があり、その佐渡からお帰りになって初めて、この文々旬々を身に当ててお読みになった身業読誦がことごとく成就したのであります。そして、それが成就したところで初めて、末法万年の一切衆生を導くところの本門の三大秘法という重大な御法門をお示しになったのであります、これが示されるのは身延にお入りになってからのことでありますが、その三大秘法たる本門の本尊、戒壇、題目の3つの意義を1つに合わせ、その根本の法体をお顕しあそばされたのが弘安2年の本門戒壇の大御本尊様、すなわち皆様が本日、奉安殿において御開扉を受けられた際に参拝されたところの御本尊様であります。

この大御本尊様について、大聖人様は「仏は40余年、天台大師は30余年、伝教大師は20余年に、出世の本懐を遂ぐ」とはっきりおっしゃっておるのであり、この「出世の本懐」ということが非常に大事なことであります。そして、この出世の本懐という言葉を受けて「其の中の大難申す計りなし。先々に申すがごとし」と仰せであり、また「余は27年なり」と仰せになっておられます。この「余は27年」ということは、宗旨建立の建長5年から数えて2年目が弘安2年であり、その弘安2年の10月12日に本門戒壇の大御本尊様が顕されたことを指して「出世の本懐」と明らかにお示しになっているのであります。この御内証は、そのまま正しく日興上人へ御相伝あそばされ、その大法が今日までこの総本山大石寺に伝わっておる次第であります。

ここでひとこと申し上げたいことは、宗旨建立の意義は、あくまで正法を建立あそばされたことにありますけれども、そのためには必ずなさなければならないことがあるということです。それは「破邪頭正」の破邪ということであり、邪(よこし)まなる法があらゆる人々の不幸の元になっておるが故に、これを打ち破る折伏を行うところに、750年前の大聖人様の宗旨建立のお振る舞いがあったのであります。したがって、「此の郡の内清澄寺と申す寺の諸仏坊の持仏堂の南面にして、午の時に此の法門申しはじめて」ということは、『立正安国論』に明らかな如く、念仏宗等の邪宗がはびこるために多くの人々が三世にわたって地獄の苦しみにあえぐところの誤りの姿を、「念仏無間」という法門をもってお糾しになったのであります。そのことにより、大聖人様は邪義邪宗を信ずるところの僧俗によって清澄山を追われたのでありますが、そこから法華経の行者としての大難を体験あそばされる次第であります。したがって、宗旨建立の意義は、一つは折伏を正しく行ぜられたことであります。そして、その折伏の根本となる南無妙法蓮華経の大法が三世十方にわたり、また末法万年に向かっての一切衆生を導くためにお唱えあそばされたことの二つであります。

ですから、大聖人様がお題目を初めてお唱えあそばされるとともに、この日から「念仏無間・禅天魔一等の折伏をあそばされておるということを、我々は深く拝さなければならないのであります。皆様方一人ひとりは、その大聖人様の尊い御本尊を頂かれておるのであります。この御本尊様の功徳を真に受けきるためには、お題目をしっかり唱えることと同時に、縁のあるところ、一人が一人の折伏を行ずるということが最も大切なことであります。

大聖人様は『立正安国論』において、「汝早く信仰の寸心を改めて速やかに実乗の一善に帰せよ。然れば則ち三界は皆仏国なり、仏国其れ衰へんや。十方ば悉く宝土なり、宝上何ぞ壊(やぶ)れんや。国に衰微無く土に破壊無くんば身は是安全にして、心は是禅定ならん。此の詞此の言信ずべく崇むべし」(同250ページ)ということを仰せであります。これは、皆様方一人ひとりの心は本当に小さいけれども、その心が「実乗の一善」たる法華経の本門寿量文底の御本尊様を深く信ずるときには、その境界のまま「十方は悉く宝土」となるという、大きな功徳を成ずることができるということなのです。

そして、そのためには「信仰の寸心を改め」よ、と大聖人様が仰せになっておりますから、その教えを受けた皆様方一人ひとりが、縁のある方に対して「汝早く信仰の寸心を改めて速やかに実乗の一善に帰せよ」というところの折伏を行ずることが最も大切なのであります。そして、その折伏の意義をもって大聖人様は『立正安国論』の最後において、「唯我が信ずるのみに非ず、又他の誤まりをも誠めんのみ」(同)ということを仰せであります。

お題目を唱えるとともに、自分に縁のある方に真剣な覚悟をもって「正法正義を信ぜよ」ということを話していく、これが折伏であります。この折伏を行ずることが、明年の宗旨建立750年の佳節に向かって、御本仏大聖人様の御法に対し奉る真の報恩につながるものと確信するものであります。皆様方にはkのあと、僧侶から仏法についての様々な話を聞かれることと思いますが、明年の宗旨建立750年に向かって、一人が一人の折伏を行じようという気持ちをもってしっかりお題目を唱えるところに、皆様方一人ひとりの命が本当に幸せになっていくのであります。そのところをしっかりお考えいただき、これからのいよいよの御精進を心からお祈りいたしまして、本日の御挨拶に代える次第であります。



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